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story (小説)

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小説やショートショートはこちらにまとめます。
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#シロクマ文芸部

小説/ハートに画鋲が刺さるとき《#シロクマ文芸部》

「恋猫と書いて『らぶね』って名前、かわいいですよね?」 新人の莉子は、自分のお腹を愛おし…

豆島  圭
2週間前
49

小説/Sweety sweety House《#シロクマ文芸部》

甘いものは控えたほうがいい。 7年前、最初にそう伝えた時の君の表情を、僕はまだ覚えている…

豆島  圭
12日前
40

レモンとオレンジの間で 《#シロクマ文芸部》

「レモンから映せよ。なんでアイツのアップからなんだよ」 「スポットCMなんて商品とナレーシ…

豆島  圭
5か月前
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小説/桜色のマニキュアとハチワレの空

桜色のマニキュアだった。 ター子の汗ばんだ手のひらの上に置かれたそれは、今の季節にピッタ…

豆島  圭
11か月前
69

小説/おめでとう。卒業と、《#夜行バスに乗って》《#シロクマ文芸部》

卒業の季節、イコール絶望。 卒業式って何だろう。結局一度も参加してないから分かんない。た…

豆島  圭
11か月前
68

カバー小説/雪の道 《#シロクマ文芸部》

椎名ピザさんの企画により、yuhiさんの超短話「アパート」をカバーいたしました。 (カバー小…

豆島  圭
1年前
52

冬色シチューの待つ家へ《#シロクマ文芸部》

冬の色になったね。もう安心だよ。 そう先生に言われて、隣に立つ母がほっと胸を撫で下ろしたのが僕にまで伝わった。 僕はと言えば、急に来た自分の身体の変化に戸惑いと恥ずかしさが纏わりつくばかりで、家族や先生の喜ぶ顔もまともに見れない。でも 「テルマくん。明日から一人で学校まで来られるね」 そう言われて、やっと嬉しさもこみ上げてきた。 僕は家族から守られるだけの対象ではなく、自分で自由に出歩いていい存在ってことなんだ。 大人になるってこういうことなのか。 先生にさようならの挨

B面:逃げる夢 《#シロクマ文芸部》

逃げる夢だ。これは夢に違いない。 そう思いながらもひたすら逃げる。でも、逃げても逃げても…

豆島  圭
1年前
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A面:逃げる夢 《#シロクマ文芸部》

逃げる夢をオレは必死で追いかけてるわけさと、ランチタイム終わりしなのオムライスにたっぷり…

豆島  圭
1年前
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珈琲とチョコと至福のひと時《#シロクマ文芸部》(約2000字)

珈琲とチョコレートって最強の組み合わせと思いません? ゴディバはよく戴きました。でもピエ…

豆島  圭
1年前
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白雪姫はリンゴ箱に乗せて 《#シロクマ文芸部》(約4000字)

りんご箱を右手に、その蓋を左手に持ち、ワゴンRを降りた静香が小走りで母屋に入ってくる。 …

豆島  圭
1年前
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昨日のナポリタンも愛してる 《#シロクマ文芸部》

秋桜たちが小さく震える駅前ロータリーにそっと車を滑り込ませた。その小さな花たち全てに陽が…

豆島  圭
1年前
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黄昏の空を走る《#シロクマ文芸部》

走らないで。まだ、いいです。 心の中でお願いしてるのに、走りだした。 幼稚園生だ。 スーパ…

豆島  圭
1年前
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「ちゃんと読んでますか?」「YES・NO」

読む時間なんて、はっきり言って無駄だと思う。 先生たちにとって、学校の定期テストをパソコンでやるなんて清水の舞台から飛び降りたくらい革新的な試みなんだろうけどさ。俺たち Z 世代舐めんなよ。 「今日はお試しみたいなもんだからテスト自体は短時間で超簡単だけど、時間内に全部終わらないと放課後に残ってペーパーテストだ。最初に表示される注意事項をよく読んでから始めること」 だってさ。 注意事項なんて読まなくったって感覚で操作できるっつーんだよ。さっさと始めろよ。 俺は、さっき