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Anish Kapoor アニッシュ・カプーア「奪われた自由への眼差し 監視社会の未来」@GYRE GALLERY 表参道


「東京へ行ってくる、麻布台ヒルズのオラファー展と、国立新美の大巻伸嗣展見てくる」と同僚に話したときに、「東京やったら、今、アニッシュ・カプーアの展示があるって・・・確か、X(Twitter)でちょっと意見の応酬があって話題になってるよ」と教えてもらいました。

X(Twitter)でなんか炎上気味になるって、まぁ、あんまり好きなこと・・・じゃないけど、それがきっかけで話題になって「じゃぁ見てみよう」って気になる人が多くて、来場者が増える・・・ってことは多々あるよね。
 アニッシュ・カプーアの作品大好きな私としては、行かなくちゃ!! です!

金沢21世紀美術館の恒久展示作品「L'Origine du monde(世界の起源)」や、シカゴにあるパブリック・アート「cloud gate」など、単色を使うシンプルで大きな作品というイメージだったけど、現代アートの作家さんは、年月と共にその作品スタイルが変わってくる・・・思いや感情、作品の制作スタイルも変化していく・・・その「止まらない歩み」もまた魅力なんですよね
でも、必ずしも、それは私自身の好みと合うかどうか?ってのはまた別で・・・変化している作品についていけなくなる作家さんもあるだろうし、「前の作品の方がよかった」とか勝手な思いなんだろうけど、率直にそう感じてしまう場合もある。逆に変化していくことで新たな魅力にはまるってこともあるし・・・

さて、今回の作品・・・想像してたのと全く違ってた・・・という印象。
ドローイング作品がメインで、その展示空間に絵の具を厚く厚く塗ったくった塊みたいな、グロい塊!って表現がぴったりのような作品。絵の具も壁に飛び散ってるまんまの、すげぇ〜泥って感じ・・・でも、ドローイングをじっと見ていると・・・ああ、闇がある・・・って感じていく。どこか遠い違う惑星のような、地球創世記の姿のような、大地の亀裂って感じがするドローイングだった。
そして、血の塊といった感じの彫刻作品を見ていると・・・「子宮と胎盤」というか、女の身体の皮をずるっと剥いた内側の奥深さ・強かさが見えてくるような気がしてきた。
とすると、タイトルとか解説に書かれている「監視社会のどうのこうの・・・」という文章が、私にはどうにも嘘くさいというか、そんな理路整然とした文章で語られるものとは程遠い気がした。
チャプターの「天井の無い監獄の誕生」とか「全体制という怪物」って言葉は、情報化社会で監視されてデータの中で生きている私たちの社会の閉塞感・・・ではなく、結局のところ、「人間は女の体の血の塊の中を貫いて生まれてくる」っていう、すげぇ生々しいところを印象として受けるのだ。
女の身体は結局のところ、闇であり、怪物みたいな得体の知れないものであり、監獄の中からの解放が「誕生」ってことじゃないの?って思ったり・・・

なんか言葉が上滑りしてしまって、もっともっと血の生温かさを感じる気持ち悪さを感じたなぁ。

一度見たら忘れられない、脱力してるようなドローイングが、ず〜っと心から離れない。
すご〜く整っていたオラファー・エリアソンの展覧会を見た同じ日に、このカプーアの展示を見て、改めて、カプーアの「闇」にはまってしまう私でした。

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