映画「スオミの話をしよう」
directed by 三谷幸喜
Starring:長澤まさみ、西島秀俊、松坂桃李、瀬戸康史、遠藤憲一、小林隆、坂東彌十郎、梶原善、宮澤エマ
その日、草野刑事(西島秀俊)が部下の小磯(瀬戸康史)と訪れたのは、著名な詩人・寒川(坂東彌十郎)の豪邸。彼の妻のスオミ(長澤まさみ)が昨日から行方不明だという。実はスオミは草野の元妻だった。寒川は「大ごとにはするな!」の一点張りだが、草野はすぐに正式な捜査を開始すべきだと主張し、平行線。やがて、屋敷には続々とスオミの過去を知る男たちが訪れる。スオミは実は5回結婚していた。やがて男たちは、口々に「誰が一番スオミを愛していたか。」「誰が一番スオミに愛されていたか」を主張し始め、スオミの安否そっちのけの熱い語り合いになっていくのだが・・・不思議なことに、彼らの語る「私の知ってるスオミ」像がことごとく食い違う。仕草も物言いも服装もまさに別人格・・・スオミのすぐ側には、いつも同じ女性・チュワン(宮澤エマ)が寄り添っていた・・・
これが舞台なら・・・と何度も何度も思った。
実際、三谷幸喜監督自身も「舞台のような映画に」みたいな話をされていた。
でも、舞台そのまんまを映画に仕立てても、テンポがうまく噛み合ってなかったら、すごくもったいないことになってしまう・・・それを露わにしてしまった感が強過ぎて・・・実に残念な感じになってしまってる。一つには照明・・・舞台の照明はどうしたって映画の照明よりは暗いというかどうしたって偏りが出るため、それが効果的な陰影となって生の演技を見ているテンションも相乗効果になるけど・・・映画の照明は「パーンと全体に」当たっているため、なんか平板に感じてしまう。
また、舞台は「板が一つ」で、場面転換があるからこその緊張感が常にある。
映画は、それがないがために、広いんだけど、でも、緊張感がイマイチ。
だからこそのロケ地の魅力ってのがあるんだけど・・・本作では結局「同じ場所」での展開だから、映画ならではの深みが出ない。
舞台なら、尺を縮めてもっとコンパクトに、ぎゅっと焦点を絞れただろうに、映画にしただけに、間延びしてしまってる気がした。
そんな中、宮澤エマさんがとても光ってました。
長澤まさみさんも5つの人格を演じ分けていたのも凄かったけど、でも、宮澤エマさんの演技が変わってないことで、「あ、スオミって、いわゆる、そういう気質の人のことね」と「納得したい観客」をも納得させてくれた。5人の夫たちがみんな「三谷幸喜っぽく」見えてきたのも、なんか不思議(苦笑)。
最高傑作なんって構えずに、三谷幸喜さんで笑って過ごす時間だと・・・
最後のショーは・・・う~ん、いっそのことオープニングにぶつけてもおもしろかったかも・・・
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