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DIC川村記念美術館
東京美術館巡り夫婦旅-7
特別展:西川勝人「静寂の響き」
今回の東京美術館巡りでは、ここだけは展覧会目的ではなく、美術館目的でした。
夫にぜひとも「DIC川村記念美術館」の「シーグラム:ロスコ・ルーム」を見せたかったからです。
3月末で閉館となるので、先に行った方から「送迎バスがとても混む、行きはJR佐倉駅から乗れなかった・・・ってケースもあるから、京成佐倉駅からの方がいいよ」と言われていました。
京成佐倉駅までの道中、私が幼い頃、千葉に住んだことがある話を夫にすると、なんかすごく食いついてきた(爆)。
今までに何度か千葉に住んだ話はしたことあったんだけど、今までは「ふ~ん」程度にしか聞いてなかったみたいで・・・夫の千葉の印象は「成田空港しか行ったことがない」だったので、あまりにのどかな京成沿線にびっくりしてて、私が幼い頃の千葉の落花生畑の思い出話や、大船海岸の話とか、実際に車窓を見ながらだと「田園風景」の実感が湧いたみたいです。
京成佐倉駅からの送迎バスは、JR駅によらずに美術館に直行してました。たぶん、積み残し解消のために、バスを増便して、京成佐倉とJR佐倉別々にしたんでしょうね。
お庭も実は散策したかったんだけど、でも、そうやってると帰りの時間が気になってきちゃうし・・・
美術館一択にしました。
さて、特別展は後にして、先に常設展へ。
やっぱりレンブラントの作品は、じっくりと・・・3月閉館後、この作品、どこにいくんだろう・・・
「規模を縮小し、東京都内に移転」という話ですが、今のコレクション作品をどうするのか、ロスコルームはどうなるの・・・がまだ伝わってないですし・・・
早めにロスコルームへ。
以前は、一人きりで独占できましたが・・・今回はそうはいかなかったけど、でも、騒ぐ人とかなく、みなさん、落ち着いてじっくり鑑賞されていたので、ほっと・・・
赤茶色の大きな大きな、輪郭線がはっきりしない、門のようなものが描かれている絵画で囲まれた空間。一つ一つ、時間をかけて見つめていると、どの作品にもじわ~と光を感じてくるんです。これが不思議、ほんまに不思議・・・奥行きがある・・・って感じるんです。そして奥から静かな光が自分に向かって(つまり前方へ)さしてくる・・・
さて、今まで全くロスコの作品を見たことがない夫が、この「ロスコの作品に囲まれる空間」にどう対峙するか・・・ちょっと見ものだなぁって思ってた。この辺、我が夫なんですが、第三者的観察みたいな、純然たる好奇心で夫がロスコルームに佇む姿を見ていた。
脳出血を起こす前の夫だったら、まず誘わなかった。川村記念美術館って私はこれが三度目だが、「千葉の美術館まで行ってくる」と言っても全然関心がなく、「はい、どうぞ、行ってらっしゃい」だった。今、失語症の後遺症がある夫は、アートに対してもすごくフラット・・・余計な構えがない。理屈とか先入観とかに邪魔されないから、困惑はすると思うけど、病気の前の夫と作品を見るよりも、今の夫と作品を見る方が、私てきには「楽しさ」を感じてます。
大きいなぁとか、どう思うって聞かれても話し方わからんから困るなぁとか言ってるけど、この何枚もあるロスコの作品、どれが好き? どれか一枚持って帰れるなら、どれ選ぶ?っていう無邪気な質問に対しても、フラットに素直に返事が返ってくる。
私が、ロスコの作品に囲まれて、光を感じるんだ~って言って結構長い時間過ごしていてもつきあってくれる、うなづいてくれる・・・以前、元気な頃の夫だと、自分でどんどん次へ行っちゃうだろうなぁと・・・今は、一つには、私と離れていっちゃうのが不安だから付き合ってくれるんだろうとは思うけど、でも、なんか、今の夫だと、美術館巡りを一緒に楽しめること・・・これは新たな展開だと思うのね。夫もそう思ってくれてるといいんだけどなぁ・・・
さて、特別展:西川勝人「静寂に響き」
石膏や木やガラス、ドローイングと多岐にわたっていますが、淡いクリーム色と墨絵のようなモノトーンで、特に石膏の柔らかい白さがとても印象的で、しかもエッジがシャープなのに、とろけるような色味が素敵でした。淡い色味なんだけど、実は、がんとして譲らない芯がある・・・そういう感じが印象的でしたね。
この西川展の会場で、私たちと前後しながら回ってらっしゃる方、見覚えがあるのに気づきました。最初の直感は確信に変わっていきました。
素敵な方で、なにより、持ってらっしゃるバッグがおしゃれ。たぶんこれ、一点ものでしょう。絶対間違いない・・・展覧会を出て、ショップにいらっしゃったので、思わず声をかけてしまいました。
「先週、金沢の美術館に来られてたでしょう? 私はあなたと出会っています。素敵なバッグを持ってらっしゃるので覚えています。」と。
日本人じゃないな・・とは思っていたので、英語で話しかけて、向こうはびっくりされてましたが、「あ、このバッグを覚えてたの? そうですか、ありがとう」と笑顔で答えてくれました。
もしかしたら、ご自分でデザインされたのか、一緒にいらしたパートナーさんがデザインされたのかもしれない。金沢21世紀美術館でもお二人ご一緒でした。
帰りの送迎バスもJR佐倉駅行きと京成佐倉駅行きと別立てでした。
私たちはこれでJR佐倉駅から東京駅に出て、新幹線で金沢に・・・
3日間、やっぱり都会ではよく歩く・・・二日目は2万歩も歩いてました。13~14kmぐらい・・・
でも、夫も退院して4ヶ月か・・・ばっちり体力回復してますね、全然苦にしてなかったです。
インフルエンザも流行ってる東京への旅行、おかげさまで夫婦二人ともそこでは何ももらってこなかったみたい、よかったよかった!!