映画「動物界」
原題:Le Règne animal(仏): The Animal Kingdom (英)
directed by Thomas Cailley
starring :Romain Duris, Paul Kircher, Adele Exarchopoulos, Tom Mercier, Billie Blain
近未来。原因不明の突然変異により、人間の身体が徐々に動物と化していく奇病が蔓延していた。さまざまな種類の「新生物」は凶暴性をもつため、施設で隔離されている。フランソワ(ロマン・デュリス)の妻ラナもその一人だった。ある日、新しい施設へ「新生物」を移送中に事故が起き、彼らが野に放たれてしまう。森に逃げ込んで行方不明になった「新生物」たちの中には、ラナも含まれていた。フランソワと息子のエミール(ポール・キルシェ)は、近くの町にしばらく住むこととし、ラナを探そうと試みる。しかし、エミールの身体にも次第に変化が起こり始める。
確かにフランス文学では、カミュの「変身」や「ペスト」といった「とんでも!」な話はある・・・まずは「そういったとんでも!な前提」ありきで受け入れてみると、いわゆる「人間社会のよくある話」のメタファだなってわかりやすくなるかな。
エミールの体の変調は、いわゆる「思春期の第二次性徴のときに抱く、おそれ、不安、嘆き、哀しみ、孤独感」として読み解くと、「とんでも!」な設定の奥に透けて見えてくるものがあるかも。
鳥になっていく男性と、次第に打ち解けて、仲間意識、友情を育むも、長くは続かない。
妻が「新生物」になっていても、なお、妻のことを諦めないフランソワも、息子の変調を知り、やはり最初は「隠そう」とする。この辺、人間の弱さ、「お前もやっぱりそうなのか」、情けなさ・・・
しかし、森の奥深さ、懐の広さ・・・は、なんか憧れを感じてしまう。
次第にこの作品は、「とんでも!」な設定だけど、結局は「父と息子」という親子の物語になってまとまっている。
最終的に、息子を森の奥へ「行くんだ!」と送り出す父・・・
ん? 「おおかみこどもの雨と雪」も、同じ路線だったような・・・
あんなほのぼのファンタジー・・・は、生身の人間でやってたら、ありえんわなぁ・・・ってのも強く感じた。