映画「フォール・ガイ」

原題:The Fall Guy
directed by David Leitch
starring : Ryan Gosling, Emily Blunt, Aaron Taylor Johnson, Hannah Waddingham, Teresa Palmer, Stephanie Hsu, Winston Duke

アクション俳優トム・ライダー(アーロン・タイラー=ジョンソン)のスタントダブルを務めているコルトー(ライアン・ゴズリング)は、背面で高いビルの屋上から飛び降りるシーンで事故が起き、大怪我を負って一線を退いていた。また、恋人のジョディ(エミリー・ブラント)とも一切連絡を取らずにいた。
  そんなある日、スタントとしての復帰作のオファーが持ち上がり、ハリウッド映画の撮影現場でジョディと再開する。彼女は夢を叶えて映画監督となり、いよいよ大きな資本がついた大作映画、スペースカウボーイが大活躍するSF・アクション映画を撮影中だった。
 しかし主演となるトム・ライダーが失踪、ジョディとの復縁と一流スタントマンとしての復帰をこの映画にかけるコルトーは、この映画のプロデューサーでもあるゲイル(ハンナ・ワディンガムにも懇願され、トム・ライダーの行方を追ったが、思わぬ事件に巻き込まれ、やがて、ゲイルやトムの陰謀をも知ることになる・・・

 自身もスタントマンの経験があるデヴィッド・リーチ監督。ストーリーは単純明快で、見てて痛快、頭空っぽで楽しめるアクション満載の映画でもあるが、一方で、映画を支える全ての「裏方さん」に対する愛が込められてもいる。
 「スタントマンを舐めるな!」という矜持もビンビン響いてくるし、一方で、VFX技術がすごいスピードで進化していってる現実をも否定しない。
トム・クルーズみたいに「何もかも全部自分でやる」ということを貫けるハリウッドでも、それでも、人間が演じてる以上、安全と危険を全く度外視もできない。VFXなくてはできないシーンもあるだろうし・・・ね。

 もちろん、トム・ライダーは「トム・クルーズ」をパロったキャラだ。
しかし、すごいいじり方・・・記憶力が全然だめで部屋中付箋だらけ・・・とか、自分自身でのスタント・アクションシーンは一切しないとか・・・これは、トム・クルーズが全ての出演作、自分自身で体を張ってアクションをこなしていることを、世界中の人が知っているからこそのパロディだ。
トム・クルーズへのリスペクトがあるからこそ、だからこそ、際立つパロディだった。
 さらに、トム・ライダー付きのプロデューサー?のゲイル・・・彼女こそが実は悪の黒幕だったのだが、彼女の本音・・・「男性社会のハリウッドで、映画監督として生きていくためには、泥水だって喜んで飲まなきゃやっていけない」という、夢の国の暗部をもちゃんと訴えてたしね。

 実際のスペースオペラ的スペースカウボーイ大活躍といった映画・・・これもスターウォーズのパロディだよね?
もともとは、これぐらい単純な話だったはず

 映画のエンドロールには、実際の現場のスタントダブルさんたちのメイキング映像も盛り込まれてるところ、やっぱり「体を張ってなんぼ!」という映画人魂が謳歌されていて、小気味いい。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?