映画「ヴァタ ~箱あるいは体~」

directed by 亀井岳
starring:フィ、ラドゥ、アルバン、オンジェニ、レマニンジ、サミー

マダガスカルが舞台。
タンテリとザカ、スル、そして離れ小屋の親父の四人は、出稼ぎ先で亡くなったタンテリの姉・ニリナの遺骨を取りに行き、ルールを守って持ち帰るように命を受け、それぞれ楽器を手に片道2~3日かかる村へ旅に出る。4人は途中、出稼ぎに行ったまま行方知らずの家族の消息を求めて旅するルカンガの名手・レマニンジに遭遇する。果たして4人は無事にニリナの遺骨を故郷に持ち帰り、ニリナは「祖先」となれるのか。レマニンジは家族を見つけ、長い旅を終えられるのか。

  監督がマダガスカルでドキュメンタリー映画を製作したときに、出会ったという、遺骨の入った箱を長距離にわたり徒歩で運ぶ人々を素材にこの映画を作ったという。
マダガスカルロケ、そして演じたのも現地の人で・・・という。
 言葉自体は知らなくても、演技経験がある人が話してるのか、そうでない人が話してるのか・・・がすぐにわかってしまう・・・「セリフ」だからなんだろうな。
 だから、かえって、どこまでがフィクションで、どこまでが実際にある風習なのか、混沌としてよけいに不思議さが際立ってくる。
  マダガスカルという、日本ではほとんど知られていない場所がロケ地。
  森もあり、広大な荒野もあり、草原もあり・・・季節はどうなんだろう? 暑いのか? 温暖なのか? 寒いのか?もよくわからない。なんとなく、水牛を使って耕作したり、アジアみたいな感じも受けるけど、アフリカ大陸のすぐ近くにあるんだよね・・・

 でも、なんとなく、「遺骨を故郷に返す・・・そして祖先となる」という話は、日本人として納得ができるなぁ。戦争で南方地で亡くなった兵士の遺骨を戦後何十年とかけて拾って収めて日本に返すってのと、通じるなぁと。
  
 ただ、途中で行方不明になった妻と娘の霊と遭遇し、全員が激しく楽器をかき鳴らす中に、姿を現すシーン・・・長いんだけど、その激しいダンスをいつまでも続ける・・・トランス状態のようなシーンは息を呑む。

ただ、夜が明けた後も姿を保ったままの「死者」は、ちょっと興醒めかな。
夜明けの光と共に消えてほしかった気がする。


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