映画「梟 フクロウ」


English title: The Night Owl
directed by Ann Tae-jin
starring :Ryu Jun-yeol, Yoo Hae-jin, Choi Moo-sung, Jo Sung-cheol, Park Myung-hoon, Kim Sung-cheol, Ahn Eun-jin

盲目の鍼灸医のギョンス(リュ・ジュンヨル)は、病の弟のために、宮廷の医薬部署に勤めており、要請に応じて針を使っての治療も行い、その腕は確かで、御殿医も一目おくほどだった。
長く国を離れていたソヒョン世子が帰還したが、現在実権を握っている父王と意見が対立していた。大国・清国に従うのか、否か。
ギョンスはふとしたことから、誰にも秘密にしていたことを王子に見抜かれてしまう。しかし、世子はギョンスの事情を知ると、優しく笑って、拡大鏡を渡した。「あまりに読みにくい字だと間違って覚えてしまうぞ」と。
しかし、その夜、王子は口や目、鼻から血を流して不可解な死を遂げる。そのそばには御殿医がいた。そしてギョンスはその場に居合わせてしまったのだ。そして御殿医が置き忘れた針をギョンスは手にして驚愕する。それには毒が塗ってあったのだ。証拠を残してしまったことに気づいた御殿医は、執拗に目撃者を探す・・・そしてギョンスは命を狙われ、また世子の妻子も危うい状況に陥る。絶大な権力を誇る父王は、反対勢力もすべて退けてしまった・・・

最初から、「ん? 盲目って設定だったはずだけど??」って度々思ったギョンス・・・中盤、やっぱりそうだったんだ|ってことが判明する。でも、これこそが、彼の命を危うくすることでもあり、また、彼の命を救うことでもある。
でも暗殺の証拠を手に入れ、父王と御殿医の策略を世に晒そうとするも、どうにもこうにも「ハリウッド映画」のようにスカっと「正義は勝つ」にならないところが・・・アジア的?
  でも、権力を握って、罪もない、しかも実子でもある世子やその妻も葬り去った父王も時の流れには勝てないし、人心も離れていく。孤独で誰にも愛されず、誰も愛さなかった権力者の末路も予想通りの道を辿るが・・・
そこにギョンスが現れる・・・ここで「正義は勝つ」・・・だ。
なんかうまいなぁと・・・
狂言回し役的にユ・ヘジンがなんとも味わいのある表情で、やっぱり演技巧者だなぁと。
この作品は、朝鮮王朝時代の史実を題材にしたサスペンススリラーでもあり、心優しい鍼灸師の自身の抱えた秘密に葛藤する苦悩を描く人情物語でもある。史実をあまり知らなくても、十分堪能できる内容でした。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?