映画「違国日記」

directed by 瀬田なつき
starring : 新垣結衣、早瀬憩、夏帆、小宮山莉緒、中村優子、伊礼姫奈、滝澤エリカ、染谷翔太、銀粉蝶、瀬戸康史

両親を交通事故で一度に亡くした15歳の朝（早瀬憩）。葬式の席で、親戚たちの「あの子、どうする？」というひそひそ声が心を突き刺す。そんな時、朝の母の妹の槙生（新垣結衣）が、まっすぐ言い放った。「あなたを愛せるかどうかわからない。でも、私は決してあなたを踏みにじらない」と。こうして、半ば勢いで、誰も言い出さない中で、槙生は朝を引き取った。実は槙生は朝の母、つまり姉に対してどうしても許せないことがあり、ずっと疎遠にしてきたのだった。こうしてほぼ初対面の、少しぎこちない同居生活が始まった。人見知りで片付けが苦手な槙生は少女向け小説家。人懐っこく素直な、少し恥ずかしがり屋な朝にとっては、初めて見るタイプの大人の女性だった。対照的な二人の生活は戸惑いの連続だが、槙生の親友（夏帆）や、元カレ（瀬戸康史）にも見守られながら、二人の距離は近づいていくが・・・槙生が話せずに隠していたこと・・を朝が気づいて、二人は衝突するのだが・・・

新垣結衣のぶっきらぼうで、ぼそぼそしゃべるキャラクター、なかなか似合っててうまい。槙生みたいな女性が、実は、素の新垣結衣さんなのかも・・・とも思った。それぐらい自然体なのだ。どの作品でも「役を演じてる」が感じられてそれが巧さであり、素の新垣結衣さんはきっと違う・・・って思わせるのが彼女の持ち味なんだと思っていたけど、この槙生、は、すごく自然体だった。

この作品、原作漫画もアニメ作品も未見だが、槙生と姉（つまり、朝の母）との間に、そんな憎しみさえ感じるような激しい何かがあったのか？？ってのは、割とさらりと語られて、拍子抜けするぐらい「え？　そんなことで？？」みたいな感じだが、当人にとっては、それが「姉と妹」の間柄であっただけに許せないことだったのだろう。
私自身、一歳下、つまり年子の姉妹なのだが、私は割とあっさり抜け出した・・・と自分では思ってるが、相手はまだまだ引きずってる感じがある。もぉ！！って思うけど、でも、もう還暦だぜよ！という気持ちでいるんだけど・・・
朝自身も、母に対して「こういうところが、ちょっと苦手だった」と告白しているが、その前の場面で、後ろ姿でたたずむ槙生に実母を重ねて見ているってシーンもあるし、姉と妹って、そういうところ（後ろ姿とか立ち姿とか）に重なるんで、それが「決して切れない関係」ゆえんのところ。
　そして朝と槙生も姪と叔母なんだけど、血縁あるんだけど、でも今まで一度も接点がなかった者同士という微妙な距離感と不思議な空気感。寄り添って・・・・いいの？　どういう位置どり？っていうためらいが、すごく雰囲気出ていた。
　　
　朝を演じた早瀬憩さん、いい感じでした。透明感があり、でも、今どきの女子高生であり、でも、擦れてない、ふわっとした感じ。ぎらついていないところが、なんか良いなぁと。
　新垣結衣さんと根っこのところで似てるんだと思います。ぎらついていないところがすごく「ほっとする」感がある。
　二人が、言葉選びをする・・歌詞の言葉をいろいろ出し合っていくところ、すごく素敵でした。