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小さなノーベル賞『国際アンデルセン賞』
東京・上野公園にある国際子ども図書館(レンガ棟3階 本のミュージアム)で行われている、
『国際アンデルセン賞 受賞作家・画家展』に行ってきました。
開催期間は、2024年12月25日(水)までです。
今年11月に創立50周年を迎える日本国際児童図書評議会(JBBY)と共催で、
国際子ども図書館が行っている展示会です。
小さなノーベル賞 ー Little Nobel
国際アンデルセン賞は、1953年に国際児童図書評議会(IBBY)により創設された、児童文学への永続的な寄与に対して表彰される、
世界初の子どもの本の国際的な賞です。
『小さなノーベル賞』とも言われています。
この展示会では、1956年から2022年までに受賞した65名の全受賞者とその作品を、
国際子ども図書館所蔵資料を通して紹介されています。
3年の準備期間を経て1956年に第1回の授与が行われました。以来、隔年で選考されていますが、初めの3回は本に贈られました。1962年(第4回)からは、永らく子どもの本に貢献してきた作家の全業績に対して授与されることになり、1966年(第6回)には、作家賞と並び画家賞が設立されました。IBBY世界大会の中で行われる授与式では、受賞者に、賞状とアンデルセンのプロフィルが刻まれたメダルが贈られます。子どもの本が未来を拓き平和を生むというその理念から「Little Nobel(小さなノーベル賞)」と称され、デンマークのマルガレーテ2世女王陛下が後援しています。
ここで、2006年以降で受賞された作家、画家の方々の受賞年とお名前、出身地を記します。
国際アンデルセン賞 【作家賞】
2024年 ハインツ・ヤーニッシュ(Heinz Janisch)オーストリア
2022年 マリー=オード・ミュライユ(Marie-Aude Murail)フランス
2020年 ジャクリーン・ウッドソン(Jacqueline Woodson)アメリカ
2018年 角野栄子(Eiko Kadono)日本
2016年 曹文軒(ツァオ・ウェンシュエン/Wenxuan Cao)中国
2014年 上橋菜穂子(Nahoko Uehashi)日本
2012年 マリア・テレサ・アンドルエット(María Teresa Andruetto)アルゼンチン
2010年 デイヴィッド・アーモンド(David Almond)イギリス
2008年 ユルク・シュービガー(Jürg Schubiger)スイス
2006年 マーガレット・マーヒー(Margaret Mahy)ニュージーランド
国際アンデルセン賞 【画家賞】
2024年 シドニー・スミス(Sydney Smith)カナダ
2022年 スージー・リー(Suzy Lee)韓国
2020年 アルベルティーヌ(Albertineスイス)
2018年 イーゴリ・オレイニコフ(Igor Oleynikov)ロシア
2016年 ロートラウト・ズザンネ・ベルナー(Rotraut Susanne Berner)ドイツ
2014年 ホジェル・メロ(Roger Mello)ブラジル
2012年 ピーター・シス(Peter Sís)チェコ
2010年 ユッタ・バウアー(Jutta Bauer)ドイツ
2008年 ロベルト・インノチェンティ(Roberto Innocenti)イタリア
2006年 ヴォルフ・エァルブルッフ(Wolf Erlbruch)ドイツ
日本の国際アンデルセン賞受賞者
また、JBBYでは、国内選考会を行い、全業績を通して国際アンデルセン賞にふさわしい日本の作家と画家を選びIBBYに推薦します。
これまでに日本の国際アンデルセン賞受賞者として、5人が受賞しています。
赤羽末吉さん(1980年) 画家賞
『おおきなおおきなおいも』『かさじぞう』『スーホの白い馬』
安野光雅さん(1984年) 画家賞
『ふしぎなえ』『ふしぎなさーかす』
『天動説の絵本:てんがうごいていたころのはなし』
『はじめてであうすうがくの絵本』
まど・みちおさん(1994年) 作家賞
『ぞうさん』『やぎさんゆうびん』
上橋菜穂子さん(2014年) 作家賞
『鹿の王』『精霊の守り人』
角野栄子さん(2018年) 作家賞
『魔女の宅急便』『月さんとザザさん』『トンネルの森1945』
上橋菜穂子さんの『鹿の王』『精霊の守り人』
角野栄子さんの『魔女の宅急便』
は、アニメや映画にもなりましたので、わかる方も多いのではないでしょうか。
童話作家・角野栄子さん
「物語を旅する」について、言葉の力や幼年童話への思いなどを語られている、角野栄子さんのYouYube動画も是非!!
「子どもは、面白かったら『これ、面白いよ』って言うの。だから、おかあさんは「これどうだった?」って聞いちゃだめ。子どもは、めんどくさくなっちゃう。
おかあさんが熱心に読んでいたら、子どもは『おかあさん、どうしてそんなに本読んでるの?楽しいの?』って聞くに違いない。
『教えて!』と子どもが言ったら、
『すごく楽しいから教えられない』って言えばいいんですよ。
そしたら子どもは、それ絶対読みたくなる。
わさわさした気持ち、わくわくした気持ち、ぞわぞわした気持ちでもって、
物語を読むことを始めてほしいわけ。
だから、幼年童話は大事。
そこから物語の旅は始まるんです。」
JBBY専務理事・土居安子さんの「角野栄子作品の魅力」も。
おわりに
IBBYは、第二次世界大戦直後のドイツにおいて、
子どもたちが本を通して国際理解を深め、平和な世界を築くことを目指した
イェラ・レップマン氏により創設されました。
彼女の平和への祈りから生まれた『国際アンデルセン賞』とその受賞者について、理解を深めて頂けましたら幸いです。
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展示については撮影禁止だったので残念でしたが、
懐かしい本がたくさん展示されていて、とても良い時間を過ごすことができました。
子どもと一緒に、あるいは大人だけでも、足を運んでみてはいかがでしょうか。