下界(パラレル)8日本列島生物化計画2
下界(パラレル)8日本列島生物化計画2
毎回とは限りませんが今作はエログロ描写や官能描写を多大に含みますので20才未満の閲覧はご遠慮してくださいね♪
なお現実と烈しく乖離している部分が多いですよ
本当に久々に我が家に戻ってきた気がする。
我が家といってもワンルームのボロアパートなんだけど。
いつもはひとりだけど今日はハルと一緒だから何だかワクワクしている。
「どこでもいいから好きなところに座って」
私は言ってキッチンのガスコンロに水を入れたヤカンを乗せて火にかけた。
「あきねえ、恋人いないの?」
唐突に訊かれて私は思わず驚いた表情を浮かべてしまう。
「そんなのいる訳ないじゃない」
思わず答えてしまった。だけどふと何人かの顔が浮かんでしまったのは何故だろうか?
結局私とハルのふたりはJR稲沢駅から歩いて帰ってきた。
部屋の時計を見たらもう夕方の3時を過ぎていた。
私はもちろん、ハルも一文なしだったから公共交通機関を使って帰る訳にはいかず腹を減らしたままずっと歩いてきた。
特にハルは私がコンロの火かけたヤカンのお湯が沸いた頃には私のベッドに倒れ込むようにして眠り込んでしまっていた。
スマホの充電をしながら私はらいんの着信履歴を確認していた。
相変わらず何もないわ、就職案内とかバイト案内、投資案内とかはいっぱい入って来ているけど肝心のリア友からは全く入っとらん。
冷蔵庫の中はミネラルウオーターと缶ビール数本のみ、乾燥食料関係のものを収納しているモスボックスにはインスタントラーメンとパスタとパスタソース。
それらを料理する気さえ今は全くない。
賞味期限切れ間近のウナギボーンなるものが大量に出てきた。
多分中部圏の人間じゃないとほとんどの人が知らない駄菓子なので軽く説明をしておく。
うなぎの身を3枚におろして身の部分ではない骨の部分を1〜2センチ長くらいに切ってタレや塩水などにつけて油で揚げたりしてカリカリにした保存食であり至高の駄菓子でもある。
まあこれをつまみにビールをグイッといきたいところだけどまさか自称とはいえ小学4年生に酒を飲ませる訳にはいかないし、まだ体内に残っている生殖器などの傷に対して良いか?と訊かれたらまず良くないのは間違いない。
胃や腸なども完全修復には程遠いし心臓はともかく肺だって完全とは言えない。
私は袋を開けたウナギボーンを自分の口の中で粉かく噛み砕いてミネラルウオーターも一緒に口に含みハルの唇に自分のそれを重ね合わせてゆっくりと流し込んだ。
彼女は最初の二口、三口は飲み込んでくれたがやはり私の母乳の方が良いのかパーカーを捲り上げて今度は右乳首に吸い付いてきた。
流石に慣れてきたとは言ってもハルの咀嚼してくれる顎の強さは結構キツいものがあって私は思わず顔をしかめてしまう。
でもそれで彼女の回復が早まればいうことがないので私も痩せ我慢ではないが笑顔を見せつつウナギボーンを肴にビールを飲む事にした。
私だってウナギボーンだけじゃエネルギーが足りない。
ビールのアルコール分を分解してエネルギーを蓄積したかった。
そういえばサラミチーズやタコせんべいもあった気がする。
気がつくと私はそれらと缶ビールを全て飲み干していた。
そこに私のスマホに電話が入ってきた。
相手は葉類智恵警部だ。どんな人物かほとんど覚えていないがスマホでの優先順位は「最優先」と出ていたのでやはり出ないと後々ヤバい事になりそうだということくらいは馬鹿な私にも理解出来た。
「はいこちらお子様電話相談室です」
一応断っておくがこれは合言葉だ。
もしも悪い奴にスマホを奪い取られていたり脅迫されていたりした場合の防御策なんだ。
ちなみに後者は有名アーティストライブ券の予約受付であるという事になっている。
しかし今のような事態の場合なんと返事をしたら良いのだろうか?
その件に関しては全く記憶が欠落していた。
「超強力除草剤を飲み込んだ児童が5人いる、早速対処しに西公園に来てください」
口調は柔らかだったが切羽詰まった事案である事には間違いはなさそうだった。
私専用の魔改造クラウンパトロールカーは滋賀県警に没収されたままだ。
一応セカンドカーとして古い中古の軽自動車は持っているが色々とワケアリな奴なんで表に出して置くわけにはいかない。
私はこれをアパートすぐ裏の中古車専門店のガレージに預かってもらっている。
そろそろハルには私の乳首から唇を離してもらってパーカーを下におろして露わになっている貧相な両乳房を隠したいところだが彼女は咀嚼を続けたまま一向に離してくれる気配がない。
仕方がないので私はハルを抱き抱えたままアパートを出てドアの鍵をかけた。
本当にその中古車専門店はアパート出てすぐ裏にありものの数分で着いてしまった。
「ちーわーす、亜紀さん、今日は何の御用・・・」
そう言いかけたその中古車専門店のにいちゃんは私の姿を見るなり後ろにのけぞるようにして尻餅をついてしまった。
そりゃあそうだろう、どう見ても10代前半にしか見えないちっこい身長とちっこいおっぱいな私が見ようによっては高校さえ卒業してそうな立派な身長でふくよかで形の整った立派なおっぱいと充実した腰つきの美少女に自分のパーカーを捲し上げて貧相な乳房の母乳を飲ませている姿なんて異常そのものにしか見えないはず、だよね!
「よしさんにお願いがあるんだけど例のフェローマックス改、車庫から出してくれない?」
私がそういうとよしさんは事務所の机の引き出しから鍵を取り出すと倉庫の奥からはっきり言ってレトロなスリードアの車を押し出してきて給油機の前に停めるとガソリンと混合用のエンジンオイルを補給した。
私はその間に前席を左右共に最後尾までスライドさせてハルを抱き抱えたまま乗り込んだ。チョークを軽く引いてエンジンの始動キーをキーシリンダーに差し込んでひねるとツーストローク独特なエンジン音が鳴り響いた。
商売道具を入れたバッグはもうすでに後部席に積んである。
私はクラッチペダルを踏み込み軽くアクセルペダルを煽るとギヤをローに入れて発進した。
まあ自称18才の私がこの車を知っている事自体異常なんだろうけどそれよりもさっきの店員に言わせるとこの車をまともに運転出来ることの方が異常らしい。
元々がかなりピーキーな特性のエンジンなんだけど実はちょこちょこと弄っていてノーマルでグロス40psの仕様を60psまでパワーアップしている、おまけにミッションとクラッチもレーシング仕様になっていて5速のクロスレシオタイプを搭載している、足回りも硬くしてオーバーフェンダーにしているのは当然。
4,000回転以下はトルクスカスカ、アクセルのふかし具合やシフト操作のタイミングを誤っただけでプラグが被ったりシリンダーが焼き付いたりとっても厄介な代物らしい。
排気量はボアアップして500cc、トレッド幅も弄っているので車検上は軽自動車ではなく普通車扱いになっているはずだが私は車検なんて面倒なものは通していない。見つかったら1発で逮捕される奴だ。
でもこいつは私とめっちゃ相性が良くて気分良く市街道も100km/h以上で走ってくれる嬉しい奴なのさ。
道はさして混んでいなくて目的地の西公園にものの15分くらいで到着した。
着く前から感知できてはいたけど犯人は西公園のジャングルジムに5人の女児を縄で縛り上げて固定していた。
犯行グループは7人、3人はテレポーターで軽い10kg程度の念力が使える、他の3人は50kg以上の念動力と読心能力、最後のひとりが厄介でかなり特殊な時間操作能力者だった。
私は用心のために公園から見えにくい200メートルほど離れた道端に車を停めた。
メールで指示された場所に行くと見知らぬおっさんが銃をジャングルジムめがけて構えて立っていた。まあ普通に考えて愛知県警の刑事だろう。
「あ、初めまして亜希と言います、おじさんはどなたでしょうか?」
私には本当に覚えがなかったのでそう訊いたらそいつは急にキレ出した。
「テメーざけてんのか?俺は風間達也、貴様の先輩刑事だ、貴様とは何度もセッ〇〇ヤッタ仲だろうが!そんなことも忘れたのか?」
その中年刑事は私を睨みつけると急に愕然と驚いた表情に変わった。
「てめえいつの間にそんなでかい子供産んだ!一体父親は誰だ」
もう言っていることが支離滅裂だ、どこの世界にどう見ても18才を超えていそうな女性に自分のパーカーを捲り上げてさして大きくない乳房を晒して母乳を飲ませている小学6年生くらいの身の丈の女がいるというのだ。
あ、自分だったわ。
「そこで訳のわからねえ、淫猥な会話している刑事ども、この可愛い幼女たちがどうなっても良いのか?」
ちょっと何を言いたいのかわからない犯人の一人らしき声が聞こえて来た。声というよりは直接脳に響く感じ、テレパスだね。
「何なら俺様たちの立派なものをひとりひとりの大事な穴に捩じ込んで〇〇してもいいんだぜ」
もうひとりの犯人も私の心に直接叫んだ。うん、なんてけしからん連中なんだ。
私がそう思った途端に隣の中年刑事はとんでもない事を叫んでいた。
「俺はこいつがしばらく行方不明になっていたせいでひと月ほど禁欲生活を送っているんだ、むしろそのガキどもをオレにやらせろ」
とんでもない刑事がいたものだ、私はハルを抱きながら左手でそのエロ刑事の頭をどついた。
しかし人質になっている幼女達5人にとんでもないピンチが訪れているのは確かみたい。
ジャングルジムに足から50cmほどの高さに縛り付けられた彼女ら全員のパンツが引き摺り下ろされて本当に全員レ〇〇される寸前になって泣き叫んでいる。
『まずは時間操作能力者から始末すべきね』
突然ハルの声が頭の中に響いた。
そのためにはどうすればいい?
そう考えた時、すでに私の左手には野球ボール大の鉄球が握りしめられていた。
『でも時間操作能力者が相手じゃ豪速球の威力も無くなるんじゃ』
私は心の中で不安をハルに伝えた。
そう思いながらもわたしはその時間操作能力者の胸部目掛けてその鉄球を投げる動作に入っていた。
しかしその鉄球を私は投げることが出来なかった。
私とハルがいる場所、約半径30メートルの球体空間だけ時間隔離をされていたようだ。
投げられない理由は後で話すとしよう。正確には投げられないのではなくて投げても意味がないだけのことだったが。
私の1秒は奴らにとっては10分くらいはありそうだ。
奴らはとんでもない速さで動き回っていた。
「しっかし、こんなタイプの時間操作能力者はあまり見たことがないね、たいてい自分の身体を中心に重力場断層を作る奴ばかりだから、相手をターゲットにその身体を中心に強力なブラックホール的重力場断層を造るとなると厄介としかなぁ」と私は呟く。
案の定時間操作能力者は全体を把握して他の6人に指揮をとっている気がした。
『わーどーすんのよ、私、7人にヤラれまくられる未来しか見えないよ』
ハルにどう抗議しても時既に遅しである。私は3人のテレポーターに囲まれて水玉模様のスカートを捲し上げられていた。
おそらくは瞬間的に時間操作の重力場断層を解除してテレポートさせた後にすぐに断層を復活させたのかもしれない。
私は結局アパートで着替える時間がなかったので当然中はノーパンだった。
右に立った男が私の腰を押さえつけて左側に立った男が左足をおもいっきりもちあげていた。
そして正面に立った男が自分のデカくて立派なものを私の大事なところに捩じ込もうとしていた。
いや、もう既に捩じ込んでいるし、激しく腰振って中に出しちゃっているよ。
脈打つように濁流が私の胎の中になだれ込んできて私は思わず大きな喘ぎ声を出してしまう。
それはともかくそこの中年刑事!
私の性被害現場をオカズにマスかいてるんじゃないよ!
「はい3人身柄確保」
私はいうと両側のふたりを両手で突き飛ばした。
ふたりの身体は20メートル以上吹っ飛び、私の左足を持ち上げていた男は公園内のトイレの壁に頭から激突して大量の血を噴き出して倒れ、腰を押さえ付けていた男は公園の案内図の板を突き破り頭から突っ込んでいた。
私が「よいしょ」と言いながら左足をおろすと目前の男は顔面蒼白になって自分のデカくて立派だったものを両手で掴んで私の大事なところから引き抜こうとしていたがそれは無理というもの。
万力のようにきっちり挟み込んでいるからね。
抜きようがない。
私は男の後頭部を上部から右手で押さえつけながら膝を曲げて海老反りになると奴の左側頭部に大きな石が激突していた。
ほぼ間違いなく頭蓋骨骨折どころか完全に砕け散っていた。その直後に衝撃波が私とハル、そして名前は忘れたけど中年エロ刑事を襲った。
私とハルは何とか耐えられたが中年エロ刑事の身体は5メートル近く吹っ飛ばされていた。
時間操作領域外から時速200km/hで飛んで来る石は私を囲む半径30メートル以内の重力場断層球体内に入った途端に120000km/h以上の速度に一瞬だけど加速されちゃう。その後急激に速度は落ちてゆくんだけどそれでも男の頭に命中した時は音速をはるかに超えていたことくらいは理解できる。
その破壊力は語るまでもないだろう。
しかし逆に私が仮に奴らに180km/hのボールを投げたとしてもそのボールは時間を遮断している球体から飛び出した途端に0.3km/hまで減速されてしまう。
つまり40メートル先の敵に全力投球をしても私たちを囲んでいる時間操作領域の球体を飛び出した途端に失速して地面に落っこちてしまうということだ。
つまり私の投球能力は何の役にもたたない。
早い話しがテレポーターがいなくなった現状、もはや時間操作をして私の周りの空間を時間隔離するメリットがない。
なんて思っていたら甘かったということなんだ。
さっきの念動力による重力場断層外からの投石がレールガン並みの破壊力を有していたのもその時間操作隔離領域による影響が大きいと思う。
今私の周りの30メートル内に関しては物体感知レーダーはまともに作動している。
でもその外となると心許ないとしか言いようがない。
「さーてと、どうしたものかな?」
呟いてみた私だが名案が浮かぶわけじゃない。
それどころか右から左から次々とサッカーボール大以上の大きさの石が次々と音速の10倍以上の速さで襲って来る。
それを到底避けられるとは思えない中年刑事の足を払い後ろ向きに転ばせてみぞおちに一撃を加えて気絶させる。
下手にうろうろされたら迷惑だから
ところで言うのを忘れていたけど私だって一応時間操作系の能力はもっている。
ただ使える範囲が10メートルそこそこなのと1/100〜100倍までしか変えられずスペック的にかなり見劣りがする。
フルに使っても10メートル手前で音速近くまでしか減速できない。でもそれを楽々かわしちゃうって私すごくない?
「あきねえ、それってすごい勘違い」
私の腕の中のハルがボソリと呟いた。
「あの人たちが念動力で飛ばした大きな石はあたしたちを取り囲むあいつが貼った時間断層30メートルの球体内に入ると確かに理屈上では600倍の速度にはなるけど空気の分子、正確には陽子や電子、などの動きは1/600になって、しかもその質量も600倍となってその石の突進を妨げる壁となる、その逆もあるので私らの周りの10メートル以内では逆にその抵抗は軽減されるけどサイボーグでなくても避けられる速度まで落ちている」
ハルは一気に捲し立てて一言付け加えた。
「もちろんウソよ」
うそだったんかい!
私は心の中で怒鳴っていた。
「でもそう信じることでそうなってしまうのがあきねえの能力でもあると思う」
思うって何だよ、なぜそんな不確かな情報が必要と思えるんだ?
「それはそうと私は何をすればいいのだ、参謀君」
私はハルに訊いて見た。
「とりあえず時間操作能力者を射止めるのが先ね」
いや簡単に言ってくれる。
何度も言うように私が投げられる鉄球は精々が200km/h前後しかない。時間を遮断する球体の外に出た途端に0.3km/hまで下がる。
時間操作能力者どころかカンス1匹さえ墜とせない。
「その30メートル球体内なら自在に瞬間移動出来るんでしょ?」
それは確かにそうなんだけど。それでどうなると言うわけでもあるまい。
「それをやると敵はどうすると思いますか?」
ハルは言うがそんな事はわかるはずがない。
「球体の中心が自動的にずれる?」
当てずっぽで言ってみる。
それでも普通は自爆物でしょ。
「正解ではあるけどそれだけじゃない」
ハルが私の両乳房をモミモミしながら言う。
ハルが男だったら放り投げていたところだ。でもさすがに小学4年生の女の子(たとえ彼女が大人っぽく見えたとしても)を放り投げるわけにはいかない。
「亜希ねえを全力でわたしが投げればいいかも」
ハルは突然とんでもないことを言い始めた。そりゃあ体格体重的には私の方が遥かに軽いし拾ったばかりの時ならいざ知らず今なら私の方よりも体力があるように感じる。
「要するに私を時間操作能力者に目掛けて投げつければ相手自身も強力な重力場の中に入ってしまう可能性があるという事に賭ける訳?」
私がそう言ったそばからハルは私の腕の中から飛び降りて私の腰を掴むと全力で時間操作能力者目掛けて投げつけていた。
その速度は多分150km/h以上、しかし奴からしたらほんの少しずつしか移動していないようにしか見えないだろう。
しかしハルの本当の狙いはそこにあったとも言える。
そこに油断が生じる可能性に賭けたと言う訳だ。
そこで私が瞬間移動を仕掛ければ奴は私の存在を見失う可能性に賭けたと言う訳だな。
「せーのぉ!」
掛け声と共にハルの奴は私を背負い投げにした。ジャングルジムが目前まで迫って来る、念動力者が3人こちらに向かって矢継ぎ早に石を飛ばして来るがこっちから見たらバルカン砲みたいなの3丁に集中砲火を受けているようなものだ。
その瞬間に瞬間移動を試みる、ハルの狙い通り私は奴の懐中に飛び込むことが出来た。狙い通り奴と私の時間の流れは同等だ。
重力場断層を解除すれば私達の狙い通りという事になる。
私は時間操作能力者の首筋に一撃を与えて意識を奪ったのち50メートル以上離れたところから矢継ぎ早に投げて来る念動力者3人に目掛けて矢継ぎ早に豪速石を投げつけた。
もう頭蓋骨を貫通させて即死させるようなヘマはしない。
あれ?私そんなことしたっけ?
ふとそんな疑問がよぎった。
私の投げた小石は3人それぞれの心臓を皮膚と胸筋肉の上から直撃して気絶させた。
とはいえ7人とも意識を取り戻すと厄介なので半殺しにしておいた。こう言う現場に出くわすとあの不殺を信条にしているアニメのヒロインは尊いとしか言いようがない。
だってはっきり言ってゾンビだったとしても生き返れないほど肉体を破壊しまくった方が後々楽だからだ。
「ハルちゃん、こいつらが意識取り戻さないように見張っておいて」
私はそう言うとジャングルジムに囚われていた幼女達を解放する前に一時的に眠らせて事件被害に遭った部分の記憶を封印させた。
とは言っても人の記憶なんて簡単に消せる訳じゃなくて単に偽の記憶を上書きするに過ぎない。だから永久に思い出さなくて済むと言う訳じゃなくていつかは思い出してトラウマにはなるだろうね。
「それをサポートするのが私たち大人の役目なんだろうとは思う」
「見た目小中学生の亜希が何を抜かしていやがる」
中年エロ刑事がイチャモンをつけてきた。
「ところでなんでこんな事になったんですか?中年エロ刑事さん」
見知らぬエロオヤジに亜希などと呼び捨て呼ばわりする気はないのだが事件の概要を知っているのはこのエロ刑事以外にはいないだろう。
「だから俺は風間達也だって何遍も言っているだろが」
そんなに凄まれても思い出せないものは思い出しようが無い。
「なんかバラエティ番組で共演者にセクハラしそうな名前だね」
「うるせー、誰とでも寝るメスガキに言われたくねーよ」
「あのねー、そんな、見知らぬレディに向かってヤリマンみたいにいうのやめてもらえませんかね?」
「実際そうだろうが、愛とか秋子とか楓凛とか、」
女ばかりじゃねえか。私はレズピアンか?
「実はうちの署にこんな画像データーが送られてきたんだ」
急に真面目な顔になって私にスマホ画像を見せた。
それは一見ごく普通の日本地図に見えたが所々に大小様々な赤い塊が数十箇所見て取れた。
そしてさらによく見るとそれぞれの赤い塊同士が細いモヤのような赤い線で結ばれているように見える。
「コレなんですか?」
私の問いに風間とかいう刑事は「わからん」としか答えなかった。
赤い塊の位置は実在する火山の位置とほぼ一致する。
そこから推測するにそれは。
「マグマ溜まりでしょうね」
ハルが私見を述べた。
するとそれらを結ぶ毛細状の細い赤い線は一体?
「あきねえ、さっきまで拉致されていてついさっきあたしが公園のベンチに座らせておいた小さな女の子達の姿が見当たらないんだけど」
ハルはベンチ周辺を見渡しながら言った。
確かに私もハルが眠らせた彼女達をベンチに座らせていたのは見ていた。
それは忽然と消えるなんて。
そしてついさっきわたしが倒したはずの7人の能力者達の遺体も消えていた。
その時、私と風間達也とかいう刑事のスマホが同時に鳴り出した。
緊急時のメッセージアプリが起動したようだ。
『小田井署庁が何者かの襲撃を受けている、すぐ戻れ』
下界(パラレル)8日本列島生物化計画2
終わり
下界(パラレル)9日本列島生物化計画3
に続く
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