下界(パラレル)15日本列島生物化計画9

下界(パラレル)15日本列島生物化計画9

毎回とは限りませんが今回も特に特に過激なエログロ描写や官能描写を多大に含みますので20才未満の閲覧はご遠慮してくださいね♪
なお現実と烈しく乖離している部分が多いですよ
しかも今回の話は科学的根拠はゼロです、うそ100%だと思ってください。

シビリアンが上郷サービスエリア下り側の駐車場に停まった時に下車してから観萌は私にこっそり耳打ちをした。
「亜希さん、その件に関しては当時の愛にとっても冴子さんにとっても一生記憶から消し去りたかった忌まわしき出来事です、そう簡単に忘れてはいません、でも反撃の手がかりはつかめそうです」
観萌はそう言ってから曇り空を見上げた。
「あのガラクタの山の中に答えはありました、あれが、私たちはもちろんのこと、椎奈さんも救いました」

サービスエリアのフードコートから持ち帰りでカレーパンを大量に買って来た亜希と観萌、そして香織と月輪が出て来た。
観萌は手にしていたカレーパンがたっぷりと入ったビニール袋をシビリアンに入れると「先に食べていて」と言って少し離れている場所に停められているハイエースをチラリとみて怪訝そうな顔をすると同時に複雑な笑みを浮かべた。

「なんか突然サービスエリアの駐車場に見覚えのあるハイエースが出現したと思ったら知った顔が5人も乗っているな」
私はそう言いながら観萌に続いて車内を覗き込んだ。
愛の現マネージャーであるアンドロイドの椎奈ちゃん。
中央新幹線でのタキオン脱線事故の時に彼女が同席していなければ今頃、愛はこの世にはいなかっただろう、人工地震による意図的な脱線事故の上に後方からの超電磁砲による殺害計画事件。
そして、彼の隣にいる女性は冴子さん、しかし私はこんな大人の彼女は知らない。小学生くらい、中学生、いや私の記憶にはないが自分の中にいる、志乃さん、風間志乃が幼い頃の記憶にある女性に似ている気がしていた。
彼女は歳を変え、姿を変えて、時々男装までして彼女の前に現れた。でもそのたびに彼女は奴らの罠に嵌められ、殺戮的な性的暴行を受けた挙句に遺体を物理的に処分されている。水爆や原子炉内に転送されることにより、ある時は分子レベルまで、ある時は素粒子よりも細かく粉砕されていた。
もっとも私がそれを知ったのはカレンダーガールに関する事件に関わった時だったが、私たちはあの山﨑秋子の愛人でもある3人組、そいつらが冴子さん、時には冴子ちゃんの殺害、陵辱をした連中だった。
「私がもうひとりいるのを見るのは妙な気分ね」
そう言ったのはまごうことなき今の佐原観萌。まさか彼女も、そして愛までもが奴らの餌食になるとは思いしなかった事だったが。
「やはりあの出来事は白昼にみた悪夢じゃなくて現実だったのね、バッテリーは十分にありそうだから椎奈さんと私がハイエースの荷室に持ち込んだガラクタが協調作動することで室内は完全に安全でクリアーな状態になる筈です」
観萌はそう言うと裸で愛と抱き合っているいる自分の顔の表情をみて『クスッ』と笑った。そして言う。
「まんざら悪い気はしないわね」
「確かあの床に転がっているのは愛さんのマネージャーの椎奈さんだよね?」
月海が興味深そうに言った。そういえば彼女は初対面かもしれない、おそらく報道番組か何かで知ったのかもしれない。
「うんそうだね、セカンドシートの上で横になっている女性は冴子さんんだっけ?あまり覚えがないんだけど」
スライドドアの窓越しにあつこが言った。
「あつこったら物忘れが激しすぎ、ちょっと前に時空間移動して助けに行った子達じゃない、確か冴子さんとか言ってなかったっけ?そしてお腹の上の娘はまだ幼い頃の志乃ちゃん」
確かに彼女達の時系列的にも私の時系列的にもそれは正しいのだろう、しかし。
「かなえったら記憶力良すぎ、でもこの椎奈ってアンドロイドがいなかったらあたし達もここにはいないだろうね、今考えても身震いがするほどヤバいくらいに強い敵だった」
「あの場で私たちに協力してくれたのがその後凶悪犯に銃殺されることになった志乃さんが若かった頃?でもそんなメンツが揃っていて何故あそこまで徹底的にやりたい放題にされたのよ?」
かなえがあつこに対して疑問を挟んだ。
問題はそこにあると私も考えていた。いくら奴らが強いとしてもこのメンバーで圧倒的な力の差で捩じ伏せられるどころか惨殺される付近まで責め殺されるとは考えられにくかった。
「でもどうしてみんな裸になって向かい合わせで抱き合っているの?」
花奈が興味深そうに言った。むしろ彼女は男にそういった行為を強要されて性的被害者となった事は何度かあったがこういった女性同士の行為は・・・
「花奈ったらジロジロ見ない、あれは貝合わせと言って女の子同士の求愛行動よ」
とかおり、『いや、あなた達、銀と3人で川内の海辺で同じ事をしていたでしょうが』と思わず突っ込みたくなったが自粛することにした。
「ちょ、香織、馬鹿なこと言わんといて、なんであたしが観萌に求愛しなきゃいけないのよ」
JK国会議員倶名尚愛が背後から突然に抗議の声をあげていた。
「なんで愛さんこんなところにいるんですか?」
「椎みたいな、いつ能力を暴発しかねない馬鹿がいるから月海にここまで念動力で椎奈と一緒に運んでもらって来たのよ、全く観萌ったらどんな色仕掛けを使ったのやら」
と愛とアンドロイド椎奈がそこに立っていた。
「愛だってしたくてしたんじゃない筈です、あの時あのハイエースの中にいた全員がそれぞれ自分の死を確信して互いの肌の温もりを求めていた、それだけのことです」
椎奈はそう言うとみんなにシビリアンの中に移動するように促した。
「あのハイエースの中の人たち、そのまま放置しておいて良いんですか?」
椎が訊いた。
それに対しての答えは簡素だった
「時が来れば自分達自ら出てきます」
「はだかで?」
「まさか、着替えは大きなボストンバッグに選び放題入ってますよ?」
観萌が言った。
椎奈が椎に訊いた。
「椎さんに訊きます、あなたが排卵期の状態になったのはいつ頃からですか?それはどれくらい続いていますか?」
椎に答えられるはずがなかった。
「車は、シビリアンはいつから運転していない?」
椎はしばらく考えたが答えられない様子だった。
「確か観萌の暴走で4ヶ月以上前の栃木県に飛ばされてからは運転していないと思う、いろいろあり過ぎてよく覚えちゃいないが少なくともお腹が大きな3人組が乗り込んできてからわからなくなった感じもする」
月海が言うと観萌は少し考え込んでから言った。
「今までの時系列をまとめようじゃないでしょうか?」
月海が言いながら周囲を見回した。
「このバス、いや護送車シビリアンには元々9人乗っていた。
途中で亜希が降りて『月輪、香織、花奈、銀、加世、月海、椎、観萌』の8人が残った」
その後を月輪が引き継ぐ。
「そして佐世保署に寄り、『かなえ』と『あつこ』のふたりと合流した、この時点ではまだシビリアンはモンスターマシンだった」
「しかし」と香織は引き継いだ。
「佐世保でふたりと合流した際にその場にいた警官によって観萌は頭を拳銃で撃ち抜かれてしまった、しかも普通は警察関係者が使わないような軍用のホルダー式拳銃によって、その結果も観萌は暴走してシビリアンは前の年のおそらくは10〜11月あたりの栃木県に飛ばされていた」

「ここに来てすぐに『かなえ』さんと『あつこ』さんに『さぬきがわ学園』に事件解決の為の応援をお願いをして、その間に数ヶ月を費やして私達は伊豆火山帯や富士火山帯の調査をしました」
それによって信じがたい事実が発覚したのは確かだ。
「それぞれの火山のマグマ溜まりが連結して、しかも脈動しているって奴か?」
月海が続けた。
「そして私、観萌、佐世保での事後処理を済ませて帰って来た、その前にそれらの事実が発覚、その頃には月輪、花奈、加世、香織、月海、銀、そして私、観萌でマグマ溜まり検証を始めていて、あら?その時の椎ちゃんは?」と観萌。
それに対して椎自身も続ける。
「何もしていなかったわけじゃなくてVRMMORPGに没頭していたわけじゃない、ただ今回の『さぬきがわ学園』事件やそこで干瓢に縛り付けられている『寄生体』と人類の関係に関して熱弁を振っていたらしいのだけどよくあたしも覚えていないのよ 」
そのあたりにカギがありそうな気がしてきた。
「確か『かなえ』さんと『あつこ』さんがノートパソコンを使ってワイヤーフレームで男女のエッチな行為を表示しながら『寄生体』が伝染、増殖してゆく過程を説明していたような気がしていた」
加世が口を挟んだ。
「やけにリアルな描写でしたよね、男女がエッチをしてその『寄生体とやらが増殖する過程」
観萌が指摘した。と同時に2人の表情が青ざめる。
「それは確かに変ですよね?本物の『あつこ』さんと『かなえ』さんは今どこにいますか?」
「いやですね、誤解ですよ、私たちが偽物のわけがないじゃないですか?」
『あつこ』がさっそくボロを出した。
完全にキャラを取り違えている。あつこの一人称は「あたし」だったはずだ
『では訊きます、私の未来世界、こちらの世界に転生してくる前の名前を言えますか?」
栗色のカールがかかった髪の毛をぴょんぴょん跳ねさせながらふたりの少女、『かなえ』と『あつこ』を両肩に抱えながら敦子が突然にシビリアンの車内に出現した。
当然答えられるはずががなくふたりはボロを出した。
「えっ?えーとニラさんだよ」と自称かなえが言った。
「ちがうよ、姉さん、ニキビちゃんだよ可愛いだろ」
もはや自分達のキャラ設定さえ怪しくなっていた。
もちろん『ニナ』が正解だ。
「このふたりの親の処置をお願います」
そう言って敦子は観萌の隣にふたりの少女を座らせた。
「一応放射性生物は処理しておきましたが用心してください」
そう言って敦子はふたりの偽者に宣言した。「召喚本当の姿のあんた達」
その瞬間にふたりの少女は『こじろう学園』の制服を着た男子生徒の姿に変わっていた。
「ふーん、まだ残党がいたんだ、でもあんた達が『寄生体』に関して詳しすぎるのも気になっちゃうけどさ、あんた達留守番の椎ちゃんに何をした?、正直に言わないと〇玉ひとつひとつ潰していくよ」
それでも彼女の脅しとしては控えめな方と言える。なんせ彼女は斧を召喚して親代わりの・・・
『そこ、余計なことを言わない!』
すかさず睨まれてしまったのでよぶんな描写は控えます。
「て、てえしたことはしていねえよ、喉が渇いていたみたいだったんでミネラルウォーターをな」
「ああ、コップいっぱい飲ませただけだ」
それを聞いた敦子は「召喚!お手頃な万力!」と言ってそれでふたりの〇玉を挟んでぐるぐる回して潰しにかかった。
「ふーん、放射性生物をたっぷりと含んだ天然水をね、それで彼女の能力を奪っておいて判断力さえ奪っておいて、彼女、椎ちゃんにあなた達は何をしたのかな?」
「あ、」っと花奈は小さな声を出した。彼女は時として目を覚ましている間にも特定の人の過去に起きたことも見ることが出来る。
「このふたり、卑劣にもふたりがかりで椎ちゃんを陵辱しました、無理矢理幼女化させて寄生体の種を植え付けて、」
「ふーんなるほどね、それで彼女を足がかりにほぼ全員を陵辱して能力を奪い取ったと、興味深いじゃない?寄生体なんかよりもその『放射性生物』って」
男子生徒の〇玉を万力がキリキリと締め上げ続けた。
潰れるのも時間の問題だろう。
一部の仲間、追跡者に対して月海の能力が効いたのも花奈の能力や後から乗り込んできた亜希とハルが自在に能力を使えたのもそのせいかもしれない。
そして後から来た3人の体調が急激に悪くなった理由も説明がついた。
元々能力を一杯一杯に使っていて余裕のない彼女達に『放射性生物』の混じったミネラルウォーターを与えて弱らせた上に時間操作能力を使い何度も何度も『放射性生物』の混じった精液を注入していたせいだろう。
香織も能力を奪われていなければ時間操作能力が扱われていた事に気がついていたかもしれないし、観萌だって気づいていた可能性もあった。彼女達も男子生徒に陵辱されて放射性生物をたっぷりと含んだ精液を胎の中にたっぷりと注入されて能力を封じ込められていたからだろう。
しかし彼らにとって想定外だったのは亜希とハルの乱入、そしてある程度事情を知っている愛と椎奈の参加、そして敦子の存在だった。
「あんた達が何を企んでいるかは知らないけどさ、あのモンスター3人組の復活、火山のマグマ溜まりの連携かそして相次ぐ原発事故とは関係があるよね」
愛はふたりを睨みつけると急にぐったりとし始めた。
「アレの除去は貴様ら如きじゃ不可能だ、あの3人組も復活させた事だしこのシビリアン内を地獄に塗り替えてやるさ」2人の男生徒が忽然と姿を消すとあの3人組が忽然と姿を現していた。
「復元するまで時間がかかり過ぎてしまったがな」
学生のひとりが言った。
まっさきに奴らが手を出したのはまだ能力を封印されていない花奈と月海、そして私だった。
一瞬にして捻り込まれて体全体を激しく揺さぶられ中に勢いよく大量の放射性生物を含んだ精液を洪水のように解き放たれ胎の中に出されて何度も何度も何度も腹を破裂させられすぐに修復されまた破裂させられる行為を繰り返された私たち3人は永遠とも思われる時間の中もう動く気力も失い、ただハルとかなえ、敦子、そして敦子も代わる代わる陵辱されて胎が破裂させられる姿を何回も見せつけられるのが精一杯だった。
もうシビリアンの車内は鼻を突く異臭とそこら中に飛び散った肉片と血の混じった白濁液で充満していた。
「やめてぇ!」
誰かが叫んだ声がシビリアン内に響き渡った。
その時、私が声の聞こえた方向を見たらそこにはまだ3才の志乃ちゃんが立っていた。極度に怯えた表情で。
「はぁ?貴様如きガキに何が出来る!」
危ない!次に破裂させられるのは彼女だ!
そう思った時に他にも4人立っていることに私は気がついた。
あちらの世界から来た観萌に愛、椎奈と冴子さんの4人だ。
「いいえ、破裂させられるのはのあなたがた3人ですよ」
無表情に椎奈は言うと「これは最終通達です」と付け加えた。
「何を馬鹿なことを、もう俺たちは貴様如き『1,000,000度攻撃』など対応済みだ」
そう言ってムキムキマンは志乃ちゃんのうでにつかみかかった。
「銀、アクティブホール、オールフルオープン」
志乃ちゃんはそう宣言するとムキムキマンを銀のあの穴の中に転送した。そして続ける「fly to the center of the sun」と宣告をした。ムキムキマンはどこに消えたのか?
続けてリーゼントもサラリーマンも銀の穴の中に転送した。
「銀、アクティブホール、オールクローズ」
「うん私もやったようなs気がするけど太陽のど真ん中に放り込んだね」と敦子は言った。
「はい、はい、シビリアンの中もきれいに掃除しますからね、全員服脱いで全裸になってくださいよ」
観萌に言われてもう1人の、こちらの世界の観萌も妙に大きな箱を両手でぶら下げていた。そこからコードを引っ張り出すとシビリアンの中に飛び散った肉片や血の混じった白濁液を吸い込み始めるとものの十数分でシビリアンの中はクリーニングしたように綺麗になった。
「それはどうする気?」と私
ふたりの椎奈はこじろう学園の生徒を縛り付けて入ってきた。
「もちろん拷問」
「といきたいところですがね、こいつらもある意味被害者なんですよ」
と愛。
「あの寄生体に操られてやったことですからね、それよりも問題はあの『放射性生物』をどうやって彼女達が、何の目的で開発したか?なのですが」
「あんた達は何か勘違いをしている」
干瓢に縛り付けられた寄生体の一匹が口を開いた。
「あれは原子炉の中で自然に発生した物、最初のうちはただの放射線エネルギーに過ぎなかった、しかしそれは微生物、いや、身近な耐熱性のあるウイルスを海中の排水口付近の海洋上で汚染させた、そしてその汚染されたウイルスが取り付いたバクテリアや微生物なども汚染して自我と耐熱性、そして放射線に対する耐性と吸収性を持ち始めた」
今度は別の寄生体が喋り出した。
「それらはさらなる放射線を求めて原子炉の一次冷却水が通る金属パイプに群がるようになった、自分達の増殖のためにそれらはそのの金属パイプを侵食し始めていた、そして薄くなった配管から漏れた放射線をエサに彼らウイルスは増殖を続けた」
また別の寄生体が語り出した。
「それらは再び放射線を吸収して放射線そのものが生物として微生物の中で活動を始めた、それらは特殊な生物であるがゆえに外部には放射線を漏らさずに当然ガイガーカウンターなどにも反応しなかった、原発による放射線漏れの事故は起きていなかったんじゃない、とっくの昔に起きていたのよ、あなた達、愚かな人類が気がつかないうちにね」
また別の寄生体が語り出した。
「その細かいものは我々の食糧でもある微生物にも取り憑いていた、それが我々の暴走の始まりでもあった、あなた達が知っているカレンダーガール事件、その首謀者という事になっているあの大手芸能事務所の社長に住み着いていたあの寄生体もなかに棲む放射性生物に操られるがままに種を増やす行為を繰り返していたに過ぎなかったわ、そして、彼ら3人組も社長と同様に放射生生物に侵略されたもの達だった」
観萌はそんな彼らを見ら見つけるとさらに問い詰めた。
「あの『こじろう学園』の生徒もそれで操られていた、その説明はついたとしてあの3人組は一体何なの?放射性生物に身体中が感染していたとしてもあり得ないほどのパワーと肉体の再生能力、そして特殊能力を身につけていたんだけれど、私たちはあいつらに何度も何度も殺された挙句時間が戻されることにより強制的に生き返らせられた、しかも体の一部、意識だけはその間中ずっと生かされたままね、何の拷問かしら?私にしても愛や亜希その他のメンバーに関してもずっとその能力は封印されていたわね?それはどういうことか説明してくれないかしら?」
私、亜希の目から見ても観萌の怒りようは尋常ではなかった。
「彼らは元々地球に一応は調査を命じられてやってきただけの異星人だった」
寄生体は観萌に対して淡々と語った。そも観萌が過去の世界から来た観萌か、それとも、今現在の観萌かなんてどうでも良いことのように感じられた。
「彼らは同じ星系から派遣されて来た、理由はみんな同じで特定の地球時に干渉しすぎた同じ星系の個体、SAe-Co、つまりここでいうところの冴子の暴走を監視するために」

「彼女は禁じられた禁忌を犯してしまっていた、本来はこの星の性犯罪者によって陵辱されて命を落とすはずだった幼女『志乃』、彼女は過去に遡って彼女を監視するだけの任務だった、しかし彼女と交友を深めてゆくうちに志乃自身の内なる力に気づいてしまっていた」

「彼女は未来においても過去においても警戒される存在だった、自由自在に数万年単位で未来にも過去にでも跳び、それも尚且つ自身の老化や幼児化といった代償もなくやってのけた、そしてその能力はそれに留まらず数百光年もの瞬間移動さえ身につけていた、それだけでなく彼女、志乃は何度も何度も冴子の身体も意識も自分の近くに復活させる能力も持ち合わせていた、そしてそれらは放射線生物の干渉さえ一切受け付けなかった」

「3人は元々そんな危険因子を始末するために改造された改造生命体だった、志乃は幼女の時点で3人に始末されることが確定していた、志乃は素粒子よりも細かなエネルギーに還されて消滅するはずだった」

「それは妙な話ですね」
突然に椎奈が話に割って入って来た。
「実際には暴走を始めていたのはその改造生命体の方じゃなかったのではないですか?」
そう言って彼女は怯えている志乃の身体をそっと抱き寄せた。
「彼らは本来の目的を忘れてまだ幼い志乃を陵辱しようと考えていた、それがかえってあだとなってSAe-Co、は冴子の姿を借りて本来は志乃を監視するだけのはずだった彼女は監視の保護対象として志乃の身代わりとなり3人組に話をつけるために対峙して話し合うことを決意した、しかし残念なことに3体の改造生命体は放射性生物の影響を受けて暴走を始めていた、そう、目に見えなかったこの国の原子力発電所内で起きていた微生物の事故によって」
椎奈はゆっくりとシビリアンの中央に立ち私の目の前に立って宣言した。
「その放射性微生物の増殖には寄生母体となる生命体の増殖が不可欠だった、だからそれに1番うってつけだったのがあなた達、寄生体だった」
そして椎奈はチラッと干瓢に縛り付けられた寄生体を見た。
「本来は愛のキューピットであったはずのあなた達が暴走をし始めたのはこの国や世界中の原発が乱立して建設されて稼働を始めてからです、最初はウイルス単位の汚染でしたがそれらは放射線を外部に漏らさずに技術者はもちろんのこと科学者にも存在を知られることもなくあらゆる生き物の中で増殖をし続けました」
そして椎奈は干瓢に縛られた寄生体のひとつに触れると呪文を唱えてから続けて言った。
「見てください、これが本来の彼女達の姿です」
と言われてもなあ、と私は思った。そこには寛平しか残っていなかったからだ。
「放射性生物によって彼女達の身体の構造に変化が起きてしまいまいました、花粉にも満たない彼女達の身体は巨体化して人間や動物達の生殖器に直接潜り込むようになり本来の姿であるべく『愛のキューピット』どころか人類を含む哺乳類の生殖活動にまで関与する生物、寄生体に変わってしまいました」
「ねえ、それまた大きくなって暴れたりしないよね」
敦子が恐る恐る尋ねた。
「今のところは、しかし原子力発電所が稼働をし続けて、その周囲から放射性生物が誕生し続ける限り同じ事は繰り返されるでしょうね、それが彼ら、放射性生物の本能、と言うか基本機能ですから」
それを聞いてから銀は深くため息をついた。
「まあそれでその寄生体とやらの説明はついたとしますよ、でもあの化け物3人組の異常な強さはどう説明する気ですか、それと火山のマグマ溜まりの連携化や脈動化の説明にはなっていませんよね?」

「はっきり言ってあの放射性生物自体には意識や思考力、思想はありません、ただもっと増えたいという本能みたいな物です、では冴子さんにお尋ねします、あの3人組の本能は一体なんですか?」
椎奈は冴子に尋ねた。
「私達星系の人類は元々1回や2回の性行為によって妊娠したりしない造りに変わっていた、人口が増えすぎたというのもあるけど1回の行為で満足感が得られるように性行為そのものが激しくなり乱雑になっていった、1度に排出される精液の量も増える様に自らを改造するように自らの身体を改造する男性も現れ、女性側もそれに少しの刺激で頂点(エクスタシー)に達するようにやはり自らを改造するようになっていった」
「つまり子孫を残すためのセックスはほぼご法度となって快楽を求める事が主な目的に変わっていったというわけね」
珍しく加世がツバを吐き捨てて毒づいた。
男性も最初は20ccの射精で満足していた、しかしそれもだんだん満足がいかなくなって40、80と増えていってとうとう殺人事件になるまで発展していった、女は性感帯を弄って自分の身体を感じやすくする方に改造していったけれどそこで男女の性に関しての認識は決定的にも乖離してしまっていた、女性は触れられることにより快楽を得たが、一部、いえ、結構な割合の男性が女性の胎内に大量に勢いよく何度も脈打ちながら解き放つ射精による快感と女性を乱暴に扱い苦しむ姿と表情を見ることに快感を得る、いわゆる性的なサディズムのめり込むといった乖離がますます大きくなり社会的な問題にまで発展していきました」
冴子はそういうとくちびるを噛み締めた。
「男性のみんながみんなそういった逝かれた方向に向かったわけじゃない、でも女性の死亡、いえ、殺人案件が増大するにつれて性的な暴行犯専用の収容所に収まらなくなり政府も対応に苦慮していた、その時ある科学者によっておぞましい発明が行われてそれを自らの身体に取り込む外道が現れ始めて女性に対する暴行殺人事件は激増というのも生やさしいくらい増加しました」と冴子が付け加えた。
「それが異次元からの物質転送による白濁液の尋常ではない増量とその勢いと排出時間及び回数の激増による男性側の快楽を満たしたってことかしら?」と過去の観萌。
「はい、もう彼らにとっての性行為は愛すべき子孫を残すためのものではなく、ただ女性の身体を破壊して快楽を得るための行為に変化してしまいました、結果女性の人口は激減して種族の滅亡の危機さえ訪れた時にやっと政府は重い腰を上げました」
そして続ける。
「それが異次元からの転送能力の禁止とそれらを使用したものに対する処刑です」
それを聞いた途端今の愛が激昂し始めた。
「ふざけんなよ!お前らの星の連中はそんなあぶねー奴らを調査員としてこの地球に送り込んだのかよ!」
いまにも冴子に殴りかかる勢いの今の愛を過去の椎奈は後ろから抱きしめて制止した。
「違いますよ、この星に送り込まれた3人組は最初はまともな人たちだったのです、でもこの星に長く棲んでいるうちに彼らもまた、放射性生物の影響を受け始めてしまっていました、あの異星人達にはそんな過去も記憶もなかったはずなのです、でも自分達の宇宙船の端末を見ているうちにその情報が残っていたことに気がついてしまいました、自分達が棲んでいた星の過去にそんな重大な事件があったことに」
「今となっては宇宙船に何故そんなものが残っていたのかわからない、だけどその時に彼らの中にそれを実現させたいという欲望が生じたのかもしれない、でもあの放射性生物はそんな彼らの欲望を満たすために彼らの体のつくりをその忌まわしき生物に変化させてしまいました」
過去の愛が今の自分の正面にまわり右肩にそっと左手を置いた。
「たったひとつだけこの星が助かった時系列、並行世界は彼らの面倒を一手に山崎秋子さんと彼女を胎の中に取り込んでいた『G』が引き受けてくれたからです、あの3人の相手の能力を封じ込める能力も放射性生物の能力も彼女達には通用しませんでした」
過去の椎奈が言うとその後は今の椎奈が引き継いだ。
「あの世界も偶然に偶然が何重にも積み重なって人類、いえ地球の存続ができたのにすぎないんです、一つでもピースが欠けていたら救済のない世界でした」

「ではこの火山活動はどう説明する気だい、ふたりの観萌ちゃんよ」
珍しく月海が観萌をちゃん付けして呼んだ。

「それはここにいる寄生体さん達がいちばんご存じなのではないのでしょうか」
そう言った今の観萌の語尾に疑問符はついていなかった、何か思い当たる節があったのかもしれない。
「もちろん今の状態は私たちが望んだ事ではないわ、でも事は全て裏目に動いた、人間達は反原発に進むどころか反原発派の始末を始めて原発推進派の加勢をし始めた、だから私たちは一つの並行世界の日本で原子力発電所の津波による事故で世界中が原発に否定的になり全ての原子炉が停止する事を期待したのよ、でもこの小さな島国の指導者や経営者達はその事故の後始末も終える前でさえ愚かにも原発の再稼働を叫び始めて国民の多数がそれに遺憾の意を示さなかった、もちろん反対派の声も聴かずに再稼働を強行、しかも他の国も似たり寄ったりだった」
「それで思いついたのがこの惑星、地球のリセット計画ですかぁ」
寄生体話に反応を示したのは意外にも過去の観萌だった。
「そうよこの並行世界でも今はまだ良いけれど指導者が核エネルギーに対す依存を諦めない限りそのうち冴子さんの星のように男の暴力的なセックスに対する欲望は強くなってやがて種族そのものを攻撃的にしてしまう」
それを聞いた途端に冴子さんの顔が急に青ざめた。
「冴子さんの棲んでいた星ではまたその禁忌とされた技術が復活してまた暴走を始めた男達によって性的被害を受ける女性が増えた、しかしそれも彼らが固執し続けていた核エネルギー発電にあるとは考えずに彼らは国同士で罵り合い攻撃をしてやがて全面核戦争に突入した」
さらに続く言葉が冴子さんに追い打ちをかけた。
「今思い出しましたが私たちがあなたの船の電算機に残された記録を見た時の記憶によるとあなた達が派遣された真の目的は惑星調査なんかじゃなかった、もう二度と自分達と同じ運命の轍(てつ、わだち?)を踏まないように警告しに来たという事でした、私たちは自身の意識を奪われる前にその記録を消去しましたが既に手遅れでした、あなた達のメンバーの誰かが既にそれに目を付けていました、あなた達、調査隊のメンバー構成が男3人に対して女性がたったひとりだったのはその時点であなたの星の女性がほぼ絶滅しかけていたからです」

「それはわかりましたでもそれがどうしてこの惑星、地球のリセットにつながったわけ?」
まだほとんど理解できていない私は訊き直した、よほど物分かりが悪い馬鹿に思われただろう。
「私たちはあのミミズメカを稼働中に偶然、マグマの中でも生息をしている生物を見つけました」
「それにあの放射性生物を植え付けたらどうなるのか?それが富士火山帯にあのミミズメカを向かわせた目的だったのか?」
冷ややかに月海が言った、ヤバい、ぶちぎれる寸前だ。
「結果は想像以上でしたマグマの温度は急上昇して膨張して生物のようにうごめきだしました、その生物はマグマそのものを生物化して触手を伸ばすようにして近くの火山のマグマ溜まりと繋がり、それらは次々と近いマグマ溜まりとつながり合って素晴らしいことに生物のように脈動を始めました」
うっとりとした表情で言う寄生体をわしづかみにして月海が叫んだ。
「俺が知りたのはそんな事じゃねえ!聞いた話だとそのミミズメカとやらには貴様ら一対2体を植え込まれた少年少女がひとりずつ無理矢理に搭乗させられていたと聞いたがそいつらはどうなった?と訊いているんだよ!」
しばらくの間沈黙が続いたが寄生体は言った。
「機械の温度がマグマの熱上昇に耐えきれずに瓦解した」
寄生体が口にしたその言葉は中に搭乗させられていた少年少女の死を意味していた。
「そんなめでてえ結果を残して計画はどうなった?まさか人類は絶滅するんだから些細な犠牲だ仕方がない、なんて言う気じゃねえよな?」
月海は笑いながら涙を流していた。
「やがてその脈動するマグマ溜まりは膨張をし続けてプレート自体を溶かす、それは世界中の火山帯のマグマ溜まりでも発生し始めています、それを行うにはあんなにも大掛かりな装置は要らなかったんです」
さらに別の寄生体が付け加える。
「全てのあらゆる地球上のプレートは溶解して地球は原初の姿、炎の球体に戻り、目的を終えたマグマの中の生物も長い、長い期間を過ぎて死に絶えまた地球の歴史は一から始まる」
そう言った寄生体は月海の手のひらの中で完全に潰されていた。
「ふざけんじゃないよ、今の世界がまた戻るってえ保証なんてどこにあるんだよ」
それを見た別の寄生体は悲しげに微笑んだ。
「少なくとも星ごと跡形もなく消し飛んで小惑星帯になってしまった冴子さんの星よりは救いがあるんじゃないかしら?」
どっちの転んでも私たち人類に未来は無さそうだった。

その時に過去から来た3人、観萌と愛、そして志乃ちゃんの姿が薄く、半透明になり始めていた。

「少し待って」
寄生体の一つがかすかな声でつぶやいた。
「私たちは全員全て、常に意識を共有していると言ったことがあるかしら?」
今の観萌は首を縦に振ったが今の私、亜希にとっては初耳だった。
「一度だけ私たちの仲間の一体が志乃ちゃんに寄生した時があった、その時には気にもとめていなかったけど彼女の記憶には見知らぬ惑星の風景と今の冴子よりも少し若い彼女の姿があった」
そしてもう一度ふたりを見比べて言った。
「まさかとは思うけど、志乃ちゃん、冴子さんの跡を追って時間と空間を超えて破滅寸前のあの星からやって来たなんてジョークでも言わないよね」
それだけを言うとその寄生体は寿命が尽きたかのように動かなくなってしまった。
それを聞き遂げると過去の観萌、愛、志乃の3人は陽炎のように姿を消した。
私には志乃ちゃんが消える間際に「うん、そのまさかだよ」とちいさくつぶやいて首を縦に振ったような気がしたのは気のせいだろうか?

下界(パラレル)15日本列島生物化計画9

終わり

私は誰〜下界シリーズ エピローグ 「 志乃と冴子 」に続く 

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下界シリーズです。

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