再会15
闘いの再開15(再会15)
過激な性行為描写などを含みますので20才未満の方の閲覧はご遠慮してください。
「でもそれだとますますわからなくなってきた、奴らは何をしたいんだ?」
楓凛は頭を抱えて悩み出した。
それ、私たち全員同じ思いだと思う。
それを知るためにはまず『B』や『G』達が言う『悪魔』とやらと対峙する必要があるだろう。
私たちはこの学園のすべての情報とデータベースの処理と管理を担っている『電算機学習ルーム』に向かって歩いていた。
って、えっ?なんで廊下を1200メートルも歩かなくちゃならないの?
『さぬきがわ学園』敷地面積広過ぎでしょ!
「平和だねぇ」
敦子は左手に広がる巨大なクレーターを見つめながら言った。
「誰か憲法とか非核三原則とか無視して超小型核爆弾でも使ったんじゃない?」
と他人事のように愛が言う。
「あのジジイが変態有機溶剤を使いすぎたんだよ」
侮蔑する様に楓凛が続けた。
「ひょっとしたらこの『さぬきがわ学園』自体が異空間にあるのかも」
愛がつぶやいた。
「つまり表の『さぬきがわ学園』と裏の異空間にある広大な『さぬきがわ学園』が存在するってことね」
それはちょと考えたくないなぁと思いながら私はひとつ気になることがあった。
やはり彼らの行動はあまりにも結果とは矛盾し過ぎているとしか思えなかった。
彼がいつからこの地球にいるのかはわからないが遥か遠くから銀河を光の速さを超えてやってきたと言うのなら。
この地球上にある原子力発電所やその使用済み燃料、それを再処理する段階で発生する大量の放射性汚染物質、ウランを濃縮するときに発生する放射性物質それらを足したとしてもたかが知れているといえるくらい大量の放射線をあびつづけてきたことになる。
その程度の放射線量でどうにかなってしまう程度のメンタルなら数光年も移動する事もなく消滅するか全く別のエネルギーに変異をしていただろう。
何か大切な事を見落としていると思うべきかもしれない。
やっとの思いでたどり着いた『電算機学習ルーム』の入り口にはしっかりと施錠がされていた。
多分その鍵は教員室のどこかに引っ掛けられていたんだろうけど教員室ごと吹っ飛ばしちゃったもんなぁ。
私は鍵穴を探ろうとしたが諦めた。
これが昔ながらの機械式シリンダー錠なら空間認識能力で針金を最適な状態に曲げてそれをうまく操りながら開ける事も可能だったろうが生憎とこれは電子ロックキーの様だった。
私が真剣にこのキーを開ける方法を模索していたら後ろから白くてピチピチしている手が伸びてきてその指先がキーシリンダーの穴に触れた。
「派遣!ドアロック部品一式」
敦子の声だ。
「なにふざけていやがる、そんな事で鍵自体を消せたら街の鍵屋はどこも職を失うぜ」
背後から呆れた様な楓凛の声が聞こえた。
だが本当に呆れたのはそのドアの鍵の部品が一切消失していた事だ。
私は軽く咳払いをすると敦子に対して感謝の意を伝えた。
「ありがとう、ついでに上下のもやってくれると助かるんだけど」
さっそく実行してもらいドアを開けたらさまざまなセキュリティーのアラームが全力で鳴り響き始めていた。
私は右手のひらを拳で軽く叩いてつぶやいた。
「セキュリティ解除するの忘れていた」
「誰も来ないから大丈夫だよ」
耳元で誰かが囁く声が聞こえた。
中はかなり広くてパソコンデスク同士の間にはダブルベットが余裕で置けるんじゃないかってくらい隙間が空いていた。
無駄に広いくらいだ。
案の定中には誰もいなかった、人間は。
「めちゃくちゃに荒されているな、これ」
楓凛がガラクタにしか見えないパソコン類を眺めながら言った。
パソコン本体のケースカバーは全て外されて中のハードディスクやSSDメモリーはほとんど抜き取られている様子だ。
「BD-RもBD-REも無くなっているみたいね」
私『B』が言いながら机の引き出しの中とかを調べて回っていた。
「CD-Rみーつけた」
愛が無邪気にはしゃぐ。
「中を見たいところだけど使えそうなパソコンが見当たらないな」
楓凛は周囲を見回しながらあることに気がついた。
「まだ完全に残っているやつもあるな、すごく古い機種だけど」
「古いってどれくらいよ?」
愛が訊き返した。
「ペンティアム世代かな、coreシリーズになる前の奴」
骨董品じゃないのか?って少し思った。
「お宝発見!」
私は思わずはしゃいでしまった。
そこにはシルバーの少し丸みを帯びた縦型のPCケースがあった。
「何これ?見たことのない奴なんだけど」
珍しく『かなえ』さんが声を大きくしてはしゃいだ。
「マックだね、いわゆるインテルに移行する前のPPC970を搭載されたG5世代のやつ」
どうやらこの1台だけはハードディスクも抜き取られずに完全に使える状態らしい。
ただちゃんと起動はしてみたもののイーサネットケーブルは外されていてWi-Fiも使えない状態らしい。
「ねえねえ、この大量にあるCD-R、観たくない?」
目をキラキラ輝かせて愛が言った。
試しにドライブトレイにセットしてみた。
すぐに動画再生が始まったが楓凛がキーボードのイジェクトキーを押した。
それは私と楓凛の濡場シーンだった。
危ない危ない。他はどれも似た様なものだった。
女子生徒全員同士のものや男性教師とどうみても中学部入りたての女子生徒との濡れ場シーンの隠し撮り、最後のに至っては局部までモザイク無しでしっかりと映っていた。
「うーん私達のがその手の市場に売られていない事を願うしかないよね」
ゲンナリとしながら私は次のCD-Rをトレイにセットして再生を始めていた。
何やら不可解な蛋白質モデルの記号図や3Dモデル画面が表示されて同時に音声の再生が始まった。
「どうやら我々の邪魔をする勢力がいる様だ」
そこまで再生された時、G5マックはシャットダウンした。
どうやら故障とかではなくて部屋全体の電源が落とされた様だ。
「いやぁ〜!」
『かなえ』さんが叫ぶ声がした。薄暗い『電算機学習ルーム』の中、その冷たい床の上に彼女は押し倒されてその上に見覚えのあるあいつが馬乗りになっていた。
私も、敦子も、楓凛も、愛も同様に押し倒されてあいつらの馬乗りにされていた。
最後に押し倒されたのは『あつこ』さんだった。
みんなその頃にはズボンやパンツを引き摺り下ろされスカートは捲り上げられて、あいつらの蛇の様な長くて太い巨根の頭が舌舐めずりをしながらワレメの中の穴に潜り込んでゆくのがわかった。
身体中を走る激痛と相反する甘味な快感が同時に襲い中に大量の液体が噴き出している感覚が私達に激しい息遣いと喘ぎ声を出させていた。
「ぜ、全然懲りていないじゃない」
私は息切れ切れに漏れるような声でいうのが精一杯だった。
正直生徒400人を相手にしていなくても同じ結果になっていただろう。
あいつは昔、『G』が相手にした時よりも(精力が)強くなっていた。
でも『あつこ』さんと『かなえ』さんは巻き込んでしまって本当に申し訳なかったなと思っている。
首を激しく横に振って泣き叫ぶ姿はあまりにも痛々しい
「さっきはよくもわしらを謀ってくれたな」
老人の声でそう言ったのは私のお腹の上で何度も蛇の頭を差し入れしている悪魔だ。
「悪魔?わしらは一度もそう名乗ったことなどない」
そいつは私の心を読んでいるのかそう言い切った。
「さあ、わしらを愚弄した罰じゃ、貴様らの上の膣口でもわしらを堪能してもらおうか」
そう言った様な気がした時私の頭上ではもう1匹の別の悪魔が座り込んでいた。
そしてその蛇の頭のような巨根の先を私の口の中に捩じ込んでいた。
「わっはははは、もう貴様らは喋れまい、貴様らがダミーではないことは確認済みだ、これからたっぷりとあの有機溶剤を流して身も心も溶かし尽くしてやるから覚悟するが良い」
どうやら奴らは私達が実態である事を確認済みな様だ。
他の5人も同様な事をされているだろう、下手をすれば有機溶剤を流し込まれる前に窒息死するかもしれない。
だけど
ー『待って、その前にいくつか聞きたいことがある』ー
私は奴らが私の心をよめる事を前提に提案をしてみた。
「時間稼ぎか?それとも命乞いか?まあよい、聞いてやろう」
そいつは勝者の余裕か私の提案を受け入れてくれた。
ー『以前別の時間線であなた達に私の中にいる『G』は種ならぬ卵、いや卵子を植え付けた、その子は元気か?』ー
「ふん、その様なものとっくの昔に捻り潰したわ」
強がって奴らは言い返してきたがそれは嘘だとすぐに分かっていた、なぜならその存在は私の空間認識能力でもすぐに感知できたし、それに。
ー『あなたは私達と関わりを持とうとしている、でも悲しいかなこういった行為でしか私達は関われない』ー
「ふん、戯言を、なんなら今すぐ貴様らの身体に有機溶剤を流し込んでもいいんだぞ」
ー『わかったわ、そう言うことにしてあげる、でもそれよりあなた達はなぜ自分達に放射線が害でしかないとわかっているのにそこら中に原発や核兵器を各国の要人に推進する様に働きかけているの?』ー
「それは・・・・」
急に奴は黙り込んでしまっていた。奴らは自己の矛盾に気がついていたのだろうか?
「違う、それは貴様らがそれを望んだからだ」
=『そもそもその放射線で自分達の存在が危うくなるという理論そのものが勘違いだったのよ』=
涙声が聞こえた気がした、これは『かなえ』さんの心の声。
「それは、わしらはここの元首に働きかけて核の利用をやめさせようとしていたんだだけど現実は」
それは本当かもしれない、でも力がない声。
=『もう本音で話そうよ、君たちは元々意識の集合体となってこの星が生まれたばかりの頃にやってきた』=
これは『あつこ』さんの心の声。
もう彼女の体も心もメチャメチャに陵辱されているはずなのに気丈だと思った。
=『そこであなたはこの星でいくつもの生命が生まれて死んでゆく様をみていた、でもそれは生命のリンク、鎖によるつながりだった』=
今度は『かなえ』さん。
=『本当は放射線で自分達が消えていくわけじゃないと言うことに気がついていた、でもそれって違うんじゃない?』=
と『あつこ』さん。
=『君たちは私達人類がとても羨ましかった、何故なら何万、何億の意識体が集合してもそれはやはり内輪の中での1人あそびに過ぎなかったから』=
「貴様如き人間どもに何がわかる、このいつまでたっても癒しきれない孤独感が」
奴の苦悩が私の上の口から伝わってきた。
=『そこであなたたちは見てしまった、およそ言語というのもおこがましいくらい下等な音声のやり取りでコミュニケーションをとている人類の姿を』=
と『かなえ』さん。
=『そこで君たち意識体の一部が剥がれ落ちた、その時君たちは何が起きたかまるでわかっていなかった』=
『あつこ』さん。
=『やがてそれは進化を続け使う言語もバラバラになっていったが高度な意思伝達ができる様になっていた、またひとつ、ふたつと次々とあなたたちの意識体からかけらが剥がれ落ちていった』=
もう説明の必要もないかもしれないけど奴のことを『君』と呼んでいるのが『あつこ』さん、そして『あなた』と呼んでいるのが『かなえ』さんだ。
=『本当は放射線とか最初から関係なかったんだよ、ただ地球の人口の増加が君達、意識体を少しずつ削っていった』=
「そんなことなどあるはずがない」
少し狼狽だした奴の声。
=『人間同士が手を取り合いふれあい抱きしめてキスをしたり語り合う様を見ているうちにあなた達は私達人類を羨ましく思う様になっていった、そして一枚ずつだった剥がれ落ちが、10枚になり100枚になり10000枚単位となり、剥がれ落ちは加速していった』=
=『君たちは焦り始めていたんだ人類の人口増加と共に加速度的に増えていく自分達、意識体の剥がれ落ちに』=
=『あなた達はとうとう気がついてしまった、この世界の生の営みの魅力に、それは一塊の意識体の集合では体験でいないことだった』=
=『ここに来る前に誰かが言っていた、何故体外人工授精ではなくて肉体同士の交わり合いによる交配にこだわるのか?って答えは簡単よ、それは意識体の集合に過ぎなかったあなた達には到底体験できないことだから』=
=『だから君達は人類に嫉妬した、人類の営みの魅力に魅了されて剥がれていった仲間も一緒にね』=
=『あなた達は焦ったわ、このまま行くと自分達、意識の集合体は小さくなってゆきやがて消えてしまうんじゃないのか?って』=
=『だけどそれは君たちの大きな誤解だった、剥がれ落ちた意識体はその生命、命の火が消えればまた戻ってくる、けど君達はそれに気がつかないまま人類が絶滅する方向に持っていこうとしてしまった、核の理論を科学者の耳元で囁いたりとある国の政治家をそそのかして人類の滅亡を招きかねない戦争に誘導しようとしたり』=
=『あなた達の大きな失敗はそこだったのよ、人類の人口は増えれば増えるほど確かにあなた達を削っていくかもしれない、でもね人類が自然に絶滅した時、そうね、例えば地球が巨大化した太陽に飲み込まれたり、氷河期や巨大隕石で絶滅した時あなた達の意識体はおそらくは倍近くに膨れ上がってているはず、でも』=
=『君たちが人類に対して嫉妬や憎悪を向けたままだとはがれおちたカケラはもう戻ってこない、失望されたままは良くないと思うよ?』=
「ではわしらはどうすればよい?」
=『簡単なことよ、あなた達は私たちを慈しみ、私たちはあなた達を敬い、良好な関係を続ければ良いのよ』=
「そうか」
奴はそうつぶやくと悪魔の姿から光の球体に変化をした。
「数々な無礼は許せ、と言えた義理じゃないが今後これ以上はお主らに干渉しない事を誓う」
奴はそう言って消えようとしていた。
しかしいつの間にか起き上がっていた『かなえ』さんが呼び止める。
「ちょっとだけ待って、まだあなたに伝えたいことがあるの」
「まだ何の用か?」
奴の声。
「君たちの他にも別の勢力がこの星に干渉している、その正体は私も知らない、でも君たちには直接は干渉しないと思うけれど気をつけて」
『あつこ』さんがそう言うと奴は今度こそ姿を消した。
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数日後二つの更生施設は政府内閣調査室と警察寮の合同捜査で不正運用がなされていたことが発覚して施設そのものが解体されることになった。
私、亜希と愛、そして楓凛と敦子の4人は施設の近くの草っ原に寝転んで事件を思い出そうとしていたが何一つ思い出せずにいた。
「なんか他に2人いた様な気がするけど思い出せないよね?」
私が言うと楓凛と敦子もうなづいた。
「いつかきっとまたどこかで会えるよ」
愛がそう言っただけで本当にそうなりそうな気がしてくるのは不思議だ。
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再会secret
私はいつも一人で居たかった
そして私は時々みんなの輪の中に居たかった
あたしはいつもみんなの輪の中に居た
だけどあたしは時々一人ぼっちの世界に居たかった
重々しい現実の中に仲間を見出し
軽々しい虚構の中に孤独を感じた
チャット、ホームページ、メール、それらこそ、わたしたちにとってのリアルだった
ミニバスケ、サスペンスドラマ、学習ルーム、それらは演出させた虚構
大人は起きてしまった事象に対して常に理由と原因を求める
あたしたちが求めて居たのは目標であり、目的だった、むしろ理由づけやそこに至る理論はどうでもよかった
僕たちがあれを決行した前夜、山の頂に僕たちは八つ首の化け物を見た
それは僕たちが住む街を暗い人々を飲み込んだ
それでも僕たちはありもしない過ちを演出して大事なものを守った
あたしたちはそんな友人たちへの感謝の気持ちを忘れたことはない
後悔しているのか?そう問われたらわたしたちはどう答えるべきだろうか?
あたしたちは実に多くの人たちに迷惑をかけてしまった。それは否定しようがない事実だ
でもそれはあたしたちがあの時選択できた精一杯の方法だった
今なら別の選択肢を思いついただろうか?
それは違うよ、と君が言った
あたしとわたしのたった二人で始めたことが次第に幾つかの人生を巻き込んで大きな渦になっていった
だけどそれは自分たちが求めていたことじゃない、楽しくはなったけど愉快な日もあった。
ノイズだらけの毎日、そしてギガ単位の意識、その時地球の全生命は消滅していた
そしてまた別の光景が広がる。
誰もいない宇宙(そら)にわたしとあたしは浮かんでいた
頭上に広がる月の表面と足元に小さく見える地球、まだそこに住む住人たちは活動を続けていた。
どちらの未来が人類にとっては正しい選択だろうか?
どちらがわたしとあたしが望んでいた未来だろうか?
それからどれだけの年月が過ぎたのだろうか?
今、二人の頭上には巨大化して真っ赤に燃えている太陽があたしたちの地球を、人々や動植物がまたひとつの意識集合体に戻り遠くの新たなる別天地を求めて去って行った。
そして誰もいなくなった地球を飲み込もうとしていた
たった二人で始めたことだ、たった二人で終わるのも悪くはない
わたしとあたしは生まれたままの姿で抱き合いキスを交わした。
再会secret or final chapter そして「闘いの再開」no’t再会15
Fin.
おわり
あとがき
おまけ
今日も私は妙ちきりんな来客に悩まされていた。
例の霊能代予言少女だ。
「それで、今日は一体どのような有難い予言を授かってくださるのでしょうか?花澤香菜さま」
「ちがーう、あたしの名前は夏乃花奈、あなたわざと間違えているでしょ?」
「えーと、なんだっけ要するに秋子と愛が徒党を組んで大日本軍事帝国を復活させて、それから秋子が大総統に愛が副総統になって人民を支配しようとしたところに関東を巨大地震が襲って奴等の策略は頓挫して、前田一家は討伐されて平和な社会戻ってきました、めでたし、めでたしなんでしょ?なんの問題があると言いたいの?」
「全然違います、愛おねえさんも、秋子おねえさんも、庶民の暮らしの為に野党と組んで新政府を樹立してその第一歩を踏み出そうとした矢先に関東を巨大直下型巨大地震が襲って何故か旧政府の連中が生き残っていて新政権の要人達が次々と暗殺されて再びどころか緊急事態宣言をそいつらが発動して日本は再び軍事国家への道を歩み出して、大都会に数十メガトンの水爆を落とされてここら一帯も蒸発してかろうじて北関東に逃亡生活をしていた愛おねえさん、秋子おねえさん、楓凛おねえさん、そして敦子さんが旧『さぬきがわ学園』のあった場所に移動してそこで他の時間線の世界から立ち寄って来た亜希グランマと再会するんだけどその時には愛おねえさんは人格崩壊を起こしていて幼児化していたの、でもあちらの世界の亜希グランマは元の世界に帰らなくちゃいけなくて・・・」
そこまで長々と喋った花奈は突然に大泣きを始めた、その後の予知夢は碌な内容じゃないんだろう。
「秋子おねえさんの『願望実現達成能力』は完全に封じ込まれて4人とも、いいえそこにいた亜希グランマのひい孫も次々と肉片に・・・」
「ストーップ、もうあなたはさっきから私のことをおばあちゃん、おばあちゃんなんて失礼なことを言ってますけどね、さっきの話を私にした時点で未来は変わっているんだよ?」
溢れ出している涙を両手で何度もぬぐっている孫娘を名乗る花奈に私は言ってやった。
「あのねぇ、じゃあそのほかの時間戦の世界から来たグランマと言うのは多分、『さぬきがわ学園』に送られた私じゃないのかな?」
もしこっちの世界では前日観萌達と訪れていた時に言っていた北関東以外にも似たような施設があったら首謀者は一体何者なんだろうか?
どうも日本だけを潰せば良いと思っているだけのようには感じられない。
「じゃあ、この亜希グランマからも預言を託そうか?」
私はそういうとここに居る他のふたりに聞こえないように花奈の耳元でこっそりと囁いた。
「私が数十メガトン程度の水爆で蒸発するとでも思っているのかなぁ?」
私は彼女のおでこと自分のおでこをそっと重ねた。
名古屋に弾頭に水爆を積んだ軌道ミサイルを打ち込んだのは日本政府だった。それによって日本は今亡国の脅威に晒されていると印象付けるのが作戦だった。
一方軍事工場では大量の擬似クローンが生産されつつあった。さまざまな分野でのより優れた遺伝子情報を持つ受精卵のコピーが日本の少女や海外から拉致されて来た少女達の胎の中に受胎させられて彼女らは薬物により文字通り『兵士を産むためだけの機械』に仕立て上げられる。
秋子の能力は封印されるかもしれない、でもそこにお腹の大きな私が出現したら?
その大きなおなかの中にあなたたちがいる。
月輪、銀、花奈、香織、月海、椎、観萌、そして加世、加えて前からいた秋子、愛、凛、さとみ、そして『ゴキちゃん』や私のの直接な子孫じゃないけど敦子とあつこ、そしてかなえもそのお腹の中にいる。
『まあ葉類智恵警部と風間達也先輩も連れて行ってしまうんだけどね』
そう心の中で呟いてしまった途端離れた場所にいたはずの『銀』が急にニタァと笑い出した。
「おばあちゃん、夜寝る時に股間が硬くて長くて太いものを求めているのならのなら私が相手をしますよ」
その部屋にいる十数人に聞こえるような大きな声ではっきりと言いやがった。なので私もついつい大声で言ってしまう。
「風間先輩やヤクザので間に合ってますから、もうチ〇〇は太さも硬さも長さも液の勢いと量も十分まにあっています」
その次の日から私は署内中でヤ〇〇ン刑事と言われるようになってしまったのは言うまでもない。
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