再会6
闘いの再開6
注意:当作品は過剰なまでのエロ描写及び性行為描写を含むため20歳未満の閲覧はご遠慮してください。
「これからどうする?」
と後ろから楓凛さん。
10歳以上年が離れているのがわかってもなお最初のうちは『楓凛』と呼び捨てにしていたが流石に自分が知っている彼女とは違うことに気がつくとそれはできなくなった。
「このメンバーで、愛を含めて六人のコブ付きでこれから先生きていけますか?」
私は楓凛さんを含む3人に訊いた。
さすがに今の愛ではこみ入った話をするのはかなり不安だ。
知能が本当に小学生低学年レベルでこれから私が言う事を理解してもらえるかどうかの不安だった。
しかも政権側が崩壊寸前でそれどころじゃないかもしれないが侵略者の動向も気になるところだ。
それと新政権と侵略者の繋がりがイマイチわからないとこも気になるところ。
「まあなんとかなるんじゃないですか」
敦子さんの声、フワッフワの髪の毛をポンポン弾ませながら言う。
「まずはご自身の問題を解決してから考えた方が良いのではないのでしょうか?」
と秋子さん。
それは確かにそうだけれど、流石にこの9人を置いて行くのは後ろ髪を引かれる。
「いや、お前を安心させるためにいうわけじゃないんだがああ見えて愛は俺たちの守り神なんだぜ、確かに戦闘能力は失ってしまったけど幸運だけは力強く引き寄せるようになった、これってある意味最強なんじゃないのか?」
と楓凛さんは言っているけれど。
「みんなでゴロゴロしよう」
愛がみんなに呼びかけると彼女は横になった、娘たちに至っては本当にゴロゴロしている、その上を数十発の弾丸が通過してゆく、
「あっちゃん、いつものやってみて」
とニコニコ笑いながら愛は言うと左手で何もない筈の方向を指さした。
「召喚、いつもの!」
敦子さんが叫ぶと彼女の腕にはホーガンが握られていた。
「やっぱり無理!」
敦子さんはそう言うと楓凛さんにパスをした。
「ってお前もう打てる状態じゃねえか」
そう言うと楓凛さんはホーガンの引き金を引いた。
数メートル先の何もない空間でホーガンの矢が止まりその直後矢に胸を貫かれた男の姿が浮かび上がってきた。
口から血を流してその場に倒れる。
その側には自動小銃が転がり落ちていた、全弾を撃ち尽くしたから捨てたのだろうか?
「えーと、これって愛は何を出して欲しいなんて指定していませんよね?」
私にはこの流れでホーガンが出てきたのか理解不能だった。
「なんとなくそうなのかな、ってのを出しただけですよ?」
「はい?」
というのが精一杯だった。
どうやら愛からの指示があってそれを出したわけではなさそうだ。
「こいつの腹回り見てみろ」
楓凛さんに言われてそいつのお腹周りを見たら・・・プラスチック爆弾?ってか羊羹巻きすぎでしょ?
「もしもこんな奴に銃弾や砲弾を撃ち込んだらどうなる?ここら一帯どころか建物自体が吹っ飛ぶかもな」
「まず愛が『ゴロゴロしよう』と言い出したのは単なるこいつらとの遊びの一部としてだ、決して自動小銃の弾丸が飛んでくるのを予想していたわけじゃない」
楓凛さんが言っていることはわかるけど実は白状させてもらうなら私の感知能力には全く引っかからなかった。
能力が低下しているのだろうか?
「そして敦子がホーガンを選んだのも単なる偶然だ」
そうかもしれない、それにしては事が私達に都合良く運び過ぎていると感じていた。
「こいつらも政府が送り込んできた暗殺工作員か?」
楓凛が転がった男の死体に巻き付けられたプラスチック爆弾を丁寧に外しながら私に訊いてきた。
要は私の顔見知りかどうかを訊きたかったのかもしれない。
答えは『NO!』だった。
理由は政府及び、あの種族が雇った、というか育てた集団は暗殺や破壊工作は主に少女が主力で少年や男は主に退役が近い20歳近い少女暗殺工作員の始末という事になっていると聞いた。
要するに女は利用するだけ利用して後は借り腹や生まれたばかりの幼女を育てるための保育士として利用できるだけ利用して、後はそんな彼女達を殺処分のための実行部隊が『こじろう学園』の生徒だという事だ。
もちろん私はそこまでは歳を取ってはいないので彼らと接触する機会なんてあるはずもない。
「ただ彼らが私の事を排除すべき対象だと認識したのならそれはあるのかもしれない」
私はそういうと再度目をひん剥いて倒れている男の顔を確認した。
やはり見覚えがない。
ーそもそも私、いや、正しくは亜希の始祖はどこから始まったのかわからなくなっていたー
どうやらあの風間志乃銃殺事件のとき以前の記憶が一切リセットされたのは確かなようだ。
その後風間志乃としての記憶は解放されたのだけどそれ以外の、他の人格の記憶は消えたままだ。
「じゃあこれからは君はどうする気だい?」
楓凛さんに再度問われた。
前田愛理、前田進、そして前田リナを殺害したのはほぼ間違いなく私と奴等の交配により作成された受精卵を複写して作成されたいわば私の娘と呼んでも良い存在だろう。
できれば手にかけたくはない、だけど彼女らを放置しておけば彼女達をベースに、さらに進化させられたモンスター(孫たち)が生産される事になる。
いやそれより、もうすでに目の前にいるまだ幼い孫娘たちを殺害する事ができなかった。
実はもうやろうとしたのだがそれは愛に邪魔をされて出来なかった。
情けない話だけど、捨て身で幼女らを護ろうとする愛を前にした途端身動きが取れなくなってしまったのだ。
「ここにある端末を弄ったらわかった事だけど私のような存在はかなりの数存在していたみたい」
私はなるべく順を追って時系列に沿うように努力しながら楓凛さん、秋子さん、敦子さん、そして愛に説明を始めた。
愛に至っては理解出来るはずなどないことはわかってはいたがそれでもなお自分の中の何かが説明を求めているように感じた。
ーーーーーーーーーーーーーーー
始まりは21世紀に入って少しした頃に起きた事件が発端だった。
九州のとある地方でまだ小学六年生だった女児が友人でもある同級生の女児を殺害するという事件が起きた。
当時は日本中を騒がすほどの事件だったがその女児はこの辺り、栃木にある『さぬきがわ学園』に入校させられる事により一応の解決を迎えた。
施設の表向きの設立目的は自閉症などの心や脳に重大な障害のある女児、及び凶悪な犯罪を犯した女児の成長、自立を支援し、更生の機会を与える事にあった。
なお近隣には同様な男児のみを扱っている『こじろう学園』も存在したけれどここでは省かせてもらう。
「そいつが今生きているとすれば今は何才くらいだい?」
楓凛さんが訊いてきた。
「今が2030年代だとすると40近い」
私は答えた。
ただしここの端末からはそのような記録は引き出せなかった。
彼女は2010年までに事故死扱いした事になっていた。
事実はここにいたゲスおくんのイメージでは事故死した直後に肉体ごと消失した事になっている。
それまでに彼ら学園側の組織は1個の受精卵の採取に成功した事になっていた。
しかしながら他の実験体(重大な犯罪を犯した女児)による実験で得た受精卵の存在が何組かはあるかは否定できない)
それを12個の受精卵に複写して当時『さぬきがわ学園に入校していた12人の少女達の胎内に着床させて出産させたことになっていた。
その12人に組織は『A』から『L』までコードネームを与えてある程度育つまでその借り腹として利用した後に少女たちに面倒をみさせた。
「その借り腹に利用した少女たちはどうなったの?」
気になったのか今度は秋子さんが質問をした。
「全員抹殺処分されたわ」
私自身で言っておきながら自分の口調の違いに少し驚いた。
「あなた、誰?」
と敦子さんに不審がられた。
それはそうだろう、私自身が一番驚いているのだから。
「それは私が単独で調べたことなんだけど1人の少女が自分の産んだ娘をさらって脱走を試みたからよ」
自分の言ったセリフに違和感を感じた。
これは私が端末から引き出した記録ではなくあのゲスおくんから引き出した記憶でもなかった。
私の口は勝手に次々と事実らしき出来事を語り続けていた。
「脱獄は失敗してその少女はその場で銃殺されたわ、ちなみにその時に連れ去られようとしていた娘は『G』というコードネームが与えられていたの」
私を驚きの表情で見る楓凛が言った。
「お前は誰だ?」と。
「ごめんなさいね、私達にはコードネームしか与えられていないの、もちろん今喋っているのは亜希さんでもなければ志乃さんでもないわ、今、私達の本体、いえボディと言うべきかしら、それは今から10年前のあの忌まわしき『さぬきがわ学園』の個室で寝息を立てているはずよ」
自分でも何を言っているのかさっぱりわからない状態だ。
「だからあなたは一体誰?」
今度は秋子が訊いてきた。
「自己紹介が遅れてごめんなさい、私のコードネームは『B』と申します、亜希はまだ事の事情をよく知らないので代わりに説明させて頂きますね」
と私の中の中の『B』は勝手に私の口を使って語り出した。
ここにいる敦子さんや楓凛さん、秋子さん、そして愛も関わっていないことだが、こことは別の時間線の『さぬきがわ学園』で教師に襲われて性的な暴行を受けた私、亜希と楓凛の身体を治癒して解毒剤を生成したのは私の中にいる『B』だったということだ。
特に生物系や医学系、そして化学、科学共に得意な分野らしい。
「暗殺工作部隊、というのには語弊があるわね」
私の中の『B』はそう言うと少し間を置いてから続けた。
「情報操作や実際の戦争に近い戦況に関わることもあったわね、確かに暗殺工作にも関わっていたけれど」
そう言ってから今度は愛を見た。
「今からこの世界のあなた、愛さんのカケラをお返しします」
そういうと私は愛の唇に自分のそれを重ねた。
「もう一度よく思い出してください、この世界のリナを殺したのは本当に亜希さんでしたか?」
愛は一瞬戸惑った表情を見せたが確信したように言った。
「確かに亜希にしては髪が短いと思った」
愛は何か思い出したように言った。
「そう、この世界のリナさんを殺したのはあなたたちが知っている亜希さんではなくて私達特殊部隊の『G』です」
それを聞かされたからといって愛に特に変化は見られなかった。
リナが死んだことには変わりがないからだろうか?
今の時間線ーー始祖の時間線ーー未確定の時間線
ーー↓ーーーーーー↓ーーーーーーーー↓ーーーー
児童Aが入学ー児童Aが入学ーー児童Aが入学ーー
実験体にするー実験体にするーー実験体にするーー
児童Aの死ーーー児童Aの死ーーー児童Aの死ーーー
『G』母の死ー『G』母子の死ーー『G』母の死ーー
ー特殊部隊ーーー特殊部隊ーーーーー???ーーー
志乃の射殺ーーーー???ーーーー志乃の射殺ーー
小田井署事件ーーーー↓ーーーーー小田井署事件ー
ーー↓ーーーーーーー↓ーーーーー亜希ら学園にー
野党の謀反ーーーーー↓ーーーーーーー???ーー
クーデター発生ーーー↓ーーーーーーー???ーー
新特殊部隊発足ーー???ーーーーーー???ーー
リナと両親の死ーー???ーーーーーー???ーー
特殊部隊壊滅ーーー???ーーーーーー???ーー
別世界亜希出現ーー???ーーーーーー???ーー
愛達と合流ーーーー???ーーーーーー???ーー
そして現在ーーーー???ーーーーーー???ーー
私の中の『B』が簡略化してまとめてくれた。
私にはよくわからなかったが楓凛さんは納得していた。
「???というのはどういった意味ですか?」
秋子さんが疑問を投げかけた。
「3つの世界にはそれぞれ違いがあり、それぞれ共通点があります」
私の中の『B』は淡々と答えた。
「3つのルートとも始祖の児童Aは存在していますが、右のルートは私達、特殊部隊の存在は確認できていません、しかしそこまでは3ルート共に共通していると言えます」
「右のルートも特殊部隊が存在している可能性があるということか?真ん中だけ違うのは『志乃の射殺』が無いということか?」
と楓凛が言った。
「それは確認できませんでした、ただ」
「ただ?」
と『B』に続き秋子さん。
「はっきりしているのは真ん中の時間線では『小田井署事件』は起きてはいない可能性が高いようです」
少し言葉を濁すように私の口を使って『B』が言った。
「真ん中の世界では『野党の謀反』や『クーデター』は起きなかったんの?」
珍しく敦子さんが口を挟んだ。
「それもわかりません、ただ」
「ただ、とは?」
と『B』に続いて楓凛。
「私の憶測ですが真ん中の時間線ではこの国、日本の軍事化は暴走を続けて世界に対して喧嘩(戦争)を売って絶滅した可能性があります」
「それどころか世界が、人類自体が世界大戦で絶滅した可能性があるよね」
『B』の後を受けたのは意外と愛だった。
「ちょっとまだ頭痛がするんだけど要するに最初が真ん中で、そのやり直しが左、そしてさらにそのやり直しが右のやつってことで良いんだよね」
自分の額を両手で押さえながら愛は言った。
「そしてあたしが知っている亜希や智恵さん、風間刑事はもうこっちの世界では死んでいて、もういないって事だよね?」
そういうことになるのかな?
私は自分の内なる『B』に訊いてみたが返事はなかった。
「ひとつだけいいですか?」
私は突然に敦子さんに向かって尋ねた。
「あなたはここの時間線の敦子さんじゃありませんよね?」
しばらく私と敦子さんの睨み合いが続いたが先に折れたのは敦子さんの方だった。
「そうよ、『B』さんだっけ?確かに私はこの時間線のの敦子ではない、もう一度さっきに表に書き込む必要がありそうね」
というわけでさっきの表をもう一度再修正することになった。
今の時間線ーー始祖の時間線ーー未確定の時間線
ーー↓ーーーーーー↓ーーーーーーーー↓ーーーー
女児童A入学ー女児童A入学ーー女児童A入学ーー
実験体にするー実験体にするーー実験体にするーー
受精卵の採取ー受精卵の採取ーー受精卵の採取ーー
女児童Aの死ー女児童Aの死ーー女児童Aの死ーー
『G』母の死ー『G』母子の死ーー『G』母の死ーー
ー特殊部隊ーー『G』の死と覚醒ー特殊部隊誘拐?ー
ーー↓ーーーーー特殊部隊ーーーーーーー↓ーーーー
志乃の射殺ーー特殊部隊壊滅ーーー志乃の射殺ーー
小田井署事件ーーーー↓ーーーーー小田井署事件ー
ーー↓ーーーーーーー↓ーーーーー亜希ら学園にー
野党の謀反ーーー野党の壊滅ーーーーー???ーー
クーデター発生ークーデター発生ーーー???ーー
新特殊部隊発足ー新特殊部隊発足ーーー???ーー
リナと両親の死ー軍隊により愛達殺害ー???ーー
特殊部隊壊滅ー敦子が新特殊部隊壊滅ー???ーー
敦子愛らと合流←隣の世界に移動ーーー???ーー
別世界亜希出現ーー???ーーーーーー???ーー
愛達と合流ーーーー???ーーーーーー???ーー
そして現在ーーーー???ーーーーーー???ーー
「ますます混乱してきた」
と楓凛。
まず事の始まりは始祖の魔女、児童Aが『さぬきがわ学園』に入学したとことから始まった。
彼女は実験体として扱われて何度も陵辱を受けて彼らの望む受精卵を作るのに成功した。
数多くの複製受精卵が製造されてそれは『さぬきがわ学園』の生徒に受胎させられて彼女らの胎の中で育てられ生まされるとしばらくは産みの親、つまり学園の女子生徒らに育てられた。
計画では10歳程までは育てさせる予定だったがある時事件が起きた。
「それがさっき言っていた自分の娘を連れ去り脱獄しようとして銃殺された娘さんだな」
楓凛が口を挟んだ。
「そうね、その時に『女は情に流されやすい』とかいう謎理論で産みの親達はどの時間軸でも殺処分されたことになっているわね、そして私たちは軍隊式の教育と養育を押し付けられるようになった」
淡々と『B』は私の口を借りて語っていたが同時に激しい怒りが伝わってきた。
「その時『G』という赤子はどうなったんだい?」
楓凛が追加質問をした。
「多分だけど、ここで大きな分岐点が生じたようね」
『B』が私の口を使って言った。
「左右の時間線では『G』は死ななかったわ、でも真ん中の時間線では『G』の身体も母親の身体と同時に心臓を弾丸で貫かれて命を落としたの」
そして違いはそれだけではなかった、私、亜希が入学して間もない頃、うたた寝していた隙をついて『B』は私の身体を勝手に動かして『さぬきがわ学園』の端末を操作して重要な機密情報を抜き出していたようだ。
「あちらの世界の特殊部隊に育てる予定だった娘達が全員誘拐、拉致された、と記録にありました」
私は敦子さんの顔をチラリと見てから『B』の言葉を伝えた。
「真ん中の時間線に関しては私達の始祖、つまり女児童Aが特殊部隊を壊滅させてからの事は把握しきれていないのでよろしくお願いしますね」
そう言った途端に敦子さんは苦虫を潰したような表情をして『チッ!』と舌打ちをした。
「ほとんど見当がついているはずな割には謙虚でいらっしゃいますね?」
もちろんこれは皮肉だろう。
「私が知り得た記録だと私の時間線の特殊部隊は呆れるほど弱かったらしいです、第一世代だから仕方ないという意見もあったらしいけど」
それを聞いて私の中の『B』は思わずクスッと笑ってしまった。
「私たちの中でも最弱と言われた『G』がいない部隊が最弱なんて笑えるわね」
「馬鹿話に付き合う気はないんで」
そう言ってから敦子さんは続けた。
「ごく普通の女子中学生並みの戦闘力しかなかったため『こじろう学園』の男子生徒に一瞬にしてほとんどが惨殺されて」
「ひでえな」
と楓凛さん。
「抵抗しなかった娘は辱めを受けて子種を植え付けられて身籠った」
敦子さんはそう言ったが私も『B』も少し違和感を感じていた。
「待って?私たちの身体にはそんな機能は備わっていなかったはずよ」
確かにそうだった。
あの『A』から『L』までのコードネームを持つ12人は子宮らしきもの、卵巣らしきものはあったが全く機能していなかったはずだ。
「そんなの私が知った事じゃないわ」
鼻息を荒くして敦子さんが言ったが嘘をついているわけではなさそうだった。
「とにかく11人中7人は惨殺されてそのバラバラに引きちぎられた遺体はその大半を『こじろう学園』の生徒が過去の『さぬきがわ学園』に時空間転送した、それがいわゆる始祖っていうか、最初の女児童Aの始末に繋がったらしいんだけど」
敦子さんの説明を聞いていて私も『B』も思わず
「それは変ですね」
と呟いてしまった。
「確か過去に私たちのバラバラになった遺体、というか肉片を過去に送ったのは始祖、女児童Aだったはず」
「ところで孕まされたのはなん人だ?」
楓凛がストレートに訊いた。
「私の母親だけよ」
そう言った敦子さん唇を噛み締めていた。
「他の3人は?」
と楓凛
「内臓破裂、感染症による壊死、血圧の異常上昇によるくも膜下出血、いずれにしてもろくな死に方じゃなかったわね」
私たちから顔を背けて敦子さんは続けた。
「でもそれがどうしてわかるんだ?」
楓凛が問う。
「何故かは知らないけど、私自分が生まれる前の記憶があるの」
ひと呼吸を置いて敦子さんは続けた。
「私は生まれると同時に母親から引き離されて・・・」
そこから先、彼女は言葉を失った。
「なるほどね、これで大まかな流れは読めたわ」
またしても私の口を借りて『B』が呟いた。
「敦子さん、あなたの母親はあちらの世界では健在よ」
そういうと私『B』は今までの流れを推測を交えながら語り始めた。
そして
「また会えるといいね」と言って微笑んだ。
てか無責任な発言だな。
まず『G』は真ん中の時間線の世界で銃殺される寸前に意識のみを右の時間線に飛ばして11人の身体ごと左の時間線に転送して左の時間線の各肉体と精神同士をそれぞれ融合させた。
これがまず私たち左側時間線の特殊部隊が『こじろう学園』の男子生徒に劣らないばかりか圧倒した能力を得た理由。
そして『G』が12人の中でも桁外れに最弱だった理由でもある。
実は『G』が最弱だったわけではなくて他の11人が異様なまでに強かっただけのことなんだけど。
そして『G』は真ん中の世界での自分の意識と右の世界の自分の意識を融合させて再び元の真ん中の世界に戻して敦子の母親となる少女の意識下に潜り込んだ。
敦子の母親と敦子自身の内面から精神のみならず肉体まで強化した。
「そして彼女を守った」
楓凛が続けた。
「それから奴ら『こじろう学園』の連中を全滅させてからの左の時間線への移動か、そして私が十分に育つまで私の中にいた、ってその『G』ってやつ何者よ?スペック高すぎない?」
呆れ返ったように敦子さん一気にまくし立てた。
「なんか『G』って最初から全てを見通しているように行動している」
私は率直な意見を述べただけだがその本人が私の顔と口を借りて顔を思いっきりニヤけさせて『べぇつにぃ』と言うのはかなりまずいと思う。
「愛、もう大丈夫だよね」
私は愛に対して確認を取った。
「うん、もうあたしは、じゃないあたしも大丈夫だよ」
彼女は笑ってそう言うと白い天井を突き破って突入してきた黒光をする円錐状の物体を見つめていた。
それは私たちのすぐ近くの白い床に深々と突き刺さった。
太い部分で直径10メートル全長は楽々80mはあるだろうか、多分ICBMか何かだ。
「大きさから言ったら数十メガトンあるよね、不発弾でよかったよかった」
愛の奴はそう笑っていたがICBMの不発弾なんて聞いたことも見たこともない、どうやら愛の能力は絶好調なようだ。
ラッキーにも程がありすぎる。
「じゃああちらのあたしにもよろしく言っといて」
「もちろん、私もやるべき事を片付けてからだけどね」
私は愛と敦子さん、秋子さん、楓凛さんと、そして5人の幼い娘たちと別れた。
やるべき事はいっぱいある。
まずは真ん中の時間線の娘たちと戦う、いや、惨殺しちゃうんだけどそれをやらないことには『G』達や『B』を含めた私たちは強くなれない。
それから組織全体の施設を総破壊だ、うん、忙しいな
ーーーーーーーーー
しばらくして私は『さぬきがわ学園』の寮のベッドで目を覚ましていた。
なんだかすごく長い夢を見ていたような気がする。
ドアをノックする音がして私が「どうぞ」と言うと勢いよくドアが開き楓凛と敦子が血相を変えて部屋に飛び込んで来た。
「大変だ、急がないと着床しちゃう!」
2人は大声で叫んでいたが私は『へっ?』と答えるしかできなかった。
闘いの再開6 終わり
7にちゅぢゅく!
あとがき
L「ところで俺っちらにつけられたコードネームって当然、胸のブラサイズだよな、てっことは『L』カップの俺様、勝ったな!ガハハ」
A「そんなわけないじゃないですか、1人を除いて全員適当に順番で決めただけよ、あたしがAカップだなんてあり得ないし(-。-;」
B「そうよそれに私たちにはもともと擬態能力というのがあって性別から年齢身長や体重、プロポーションまで自由自在に変えられるんだから、ただし顔以外はね」
C「じゃあ私がCカップなのはどうしてなの?」
B「多分、あなたがそれを望んでいるからね」
それぞれ一人一人杞憂している中でただひとりだけニヘラニヘラと笑いながら浮かれている奴がいた。
G「そうなんだ、私のコードネームは『ゴキちゃん』の『G』じゃなくてGカップのGだったんだうれしい😊
多分カップサイズの意味がわかっていないようだった。
他全員「いや、あんたの胸、悪いけどどう贔屓目に見てもBカップ以下でしょ」
B「それに身長130cm、プロポーションも変えられないのあなただけですよ」
それを聞いてズドーンと落ち込んだ様子を見せた『G』だったが直ぐに気を取り直したように言った。
G「ところで本編の最後の方で敦子さんが『着床』がどうのこうのって言っていましたけどあれは一体なんなのですか?」
ほぼ全員が言葉に詰まった。彼女達には生理という概念もなければ妊娠という概念もない。(何故なら彼女達の胎の中で擬似受精した原子卵胞は再び父(悪魔)に返されてその中で彼らの原始卵胞と合体してやっと一つの受精卵となるから、ちなみにその受精卵は父(悪魔)の中で育つか人間の少女を借り腹にして育つが多くは後者を選ばれていた(例えば『さぬきがわ学園』の低学年の女子生徒とか、後者は所詮他人事なので彼女達は関心を持たない、ただ今ここでは関係ない。
G「わかった!『明日ちゃんのセーラー服最終回』で小道ちゃんがステージの締めに決めたやつですね!あれはカッコよかったなぁ」
他全員「それは着地!てんねんか?」
続かないよ
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