下界Part0秋種加世(あきくさ かよ) 可奈野椎(かなの つち)
秋種加世(あきくさ かよ)13才(中学1年生)サディスト、肩までの外に跳ねた赤髪、身長168cm、Hカップ、体のどこかに触れればどんな鎧越しでも人の神経や精神を自在に操れる。エネルギーを自分にとって都合の良い物に物体化できる。
可奈野椎(かなの つち) 12才(中学1年生) 性に関しては影の人格上では年齢(25才以上)以上の知識と実体験あり、ショートカット、名前の逆さ読みを気にしている、身長?cm、?カップ、デフォルトは身長123cm、バストは洗濯板ですが下半身は普通に女の子です。願望実現達成能力(倶名尚愛の40倍、こいつに死ねと思われたら〇〇〇〇に秘孔を突かれたやつのように確実死んでしまう、機械に対しても可能、上記の能力により相手に身長や体格、顔、などを変えられる。カメラなどにもそのように映るのでセキュリティもフリーパス。
あたしの名は可奈野椎、一応中学1年生だけどまだ12才、誕生日が3月の28日だから小学生ではなくて中学1年生、4月からは中学2年に進学することになるのだけれど未だに小学生にしか見られない。
頑張れば年相応の身長や体格、顔を維持できるが気を抜くとすぐに身長120cm台の幼女になってしまうのが悩みなんだ。
特にアレの数日前が大変だ。
念のために言っておくがアレの間ではなくてアレの数日前辺りだ。
今日もいきなり校門で教育指導の先生に追い出されそうになった。
いくらあたしが生徒手帳を見せたところでその写真と記載されている身長や体重、だけでなくBWHどころかブラジャーのカップサイズの数値まで全然違えば誰も信じないだろうとは自分でも思う。
しかしスリーサイズどころかブラジャーのカップサイズまで生徒手帳に明記させられるのはなんでだろうか?
しかも校則で制服の上着下の下着着用はもちろんブラジャーも着用禁止という外道ぶりだ。
一時はマジでパンツの着用禁止も検討されたらしい、どんなエロ校長や、マジでブン殴りたくなる。
ちなみにあたしが通っている私立中学は幼稚園から大学までエスカレーター式に進学できる。
一旦、入学出来て仕舞えばお金さえあればどんなにも〇〇でも卒業できるらしい。
昔の元総理大臣みたいだが。
『仕方がない、一度出直すべきかな?』
そう思った時に背後から誰かに声をかけられた。
「なんでいつものやらないの?バッカみたい」
秋種加世だ。
はー、なんて今日はついていないんですか?あの能力はいつでも使えるってものじゃないのよ。
でもそれをこのサディスト加世にだけは知られたくない。
いつでも使えると思わせておかないと加世にあたしの最大の弱点を見せる事になる。
「あくまでもシラをキル気かしら?大国さえ滅せる程能力をもちながら?」
「なんの話ですかあ、おねえちゃん?」
あたしは惚けることにした、今は時期が来るまでは大人しくしておくべきだと判断している。
「それよりも秋種加世、お前こそなんなのだ、そのふざけた制服は」
今度は秋種加世が目をつけられたようだ。
確かにあの子がプロポーションを強調する様に制服のセーラー服をアレンジしている。
胸とか、胸とか、胸とか、おまけに美脚を強調するために大昔のスケバンが履いていたような長いスカートに腰までのパンツまで見え隠れする深い切れ目スリットなんて左右前後四方に入れるかなぁ。
派手な乳袋ではなくて、乳カーテン、しかしそれゆえにスカートで閉じられない上着。
少し動くだけで柔らかそうなお腹の上の縦長に深いおへそが顔を出してコンニチワをする。
深く切り込まれたVネックから胸の谷間を覗かせている、もちろんてゃあでゃだ。
腕の袖も短くて袖口が広い、ちょっと腕を上げただけで袖口からブラジャーをつけていない事もわかる。(まあ校則で禁止なのだからこれは加世のせいではない)
「セーラー服でそれをやるなと何度も何度も」
やれやれだ。今のうちにおいとましようとするか。
「逃げるか?まて!」
走り去ろうとするあたしを追いかけ出した秋種加世の右腕を教育指導の先生の太く逞しい右腕ががっしりと掴んでいた。
そして一気に引き寄せると左腕で背後から抱きしめてしまったがその左腕の差し出したが悪かった。
スカートとセーラー服の隙間から入り込んでしまった先生の左腕は加世の乳房を鷲掴みにしていた。
「なにしやがるんでぇ!」
加世がそう叫んだ時、すでに先生の身体は背負い投げで遥か上に飛ばされてあたしめがけて飛んできた。
あたしは咄嗟に避けようとしたが見事に先生の大きな体の下敷きになってしまっていた。
「ギブ!ギブ、」
叫ぶあたしにお構いなく加世は先生の身体の首筋に右手の中指を突き立てると彼の股間のアレは激しく脈打ちながら液体を噴出した。
それはズボンの股間からから染み出し、あたしのスカートをベチョベチョに濡らした。
「ちょ、ちょっと、なんてことしてくれたのよ」
あたしの抗議を無視して加世はさらなる一手を仕掛けて来た。
「さっき、椎は私の乳を揉まれるのをみてわらったでしょ」
加世は残酷な笑いを浮かべていた。
追加で先生の首筋にキーボードをタイピングするようにしていくつかの指をつぐ次とタッチさせた。
何かのコマンドを打ち込むかのようにして。
すると先生は急にくるったようにあたしのくちびるを奪うとスカートの中に手を入れてパンツの上から2本の指で感じる場所を強く擦り始めた。
はっきり言ってこれは非常にまずい状態かもしれない。
今、登校中の他の生徒や一般人には、教育指導の先生が事もあろうには小学生低学年の幼女を陵辱しているようにしかみえないかも!私の着ているセーラー服は先生の大きな体に覆い隠されてほとんど見えないかもしれない。
「ふーん、なんでかは知らないけど、今はあの能力は使えないんだ」
加世はさらに先生の首筋に幾つかのコマンドをタイプした。
「さあ椎ちゃん、本気にならないとあんたの名前の逆さ読みに先生のデカいものが突っ込まれちゃうよ、たっぷりと入れられて大事なものが破裂しちゃうよ」
くすくす残忍に笑いながら加世はあたしを見下していた。
先生を引き剥がそうとした体育の先生は教育指導の先生に殴り飛ばされて地面に仰向けに倒れたところに加世は近寄り彼の額にコマンドをいくつか打ち込んだ。
すると彼は近くにいた女子生徒を殴ると服の上から彼女の胸を揉みしだき押し倒すとエッチな行為を始めた。
もう収拾がつかなくなり始めているのはいくらバカなあたしにも理解できた。
要するにあたしと教育指導の先生に近付いただけで殴られて動けなくなったところを加世にコマンドを打ち込まれて自由自在に操られるという事なの?しかもその男子生徒は泣き叫び助けを求める女子生徒に対して強制性交を行おうとしていた。
今、健気にも先生の先生の手を手を引っ張ろうとした女子生徒も加世に首筋をタップさせられると、急に自分の服を脱ぎ出して素っ裸になるって男子生徒追いかけ回し始めた。
しかもその男子生徒を押し倒すとズボンのチャックを下ろして太いものを引き出すと舌の先でしゃぶり始めた。
それを見て加世はさも楽しげにくすくす笑っている声が聴こえていた。
あたしの股間に熱くて太いものがねじ込まれて股が裂けられる激痛と共に荒々しいあつい息を首筋に吹きかけながら自分の体が激しく揺さぶられ、半狂乱になり首を激しく横に振り始めていた時に時にパトカーのサイレンの音が遠くから聞こえて来た。
誰かが呼んだのかもしれない。
しかしまだその音が遠いにもかかわらず、あたしのお腹に大量の圧力が解き放たれてそれがあたしの腹を破裂させようとしてた。
意識が遠のく中、あたしは自分の不運を呪っていた。
排卵日、小学校6年生の授業で教わったその前後の数日に限ってあたしは自分の能力を失う。
正確には能力を失う事により衣服までセーラー服ごと体が実際の寸法に見えるだけなんだけど顔つきまで変わってしまうために門前払いされる事になっちゃう。
まあ速い話が印象操作みたいなもので身長145cm、サイズはそこそこの大きさに見えているに過ぎない。
それは自らが幼女である本当の姿を晒す事により男性の性欲を抑える事によりあたしにとってはタブーとされている妊娠させられる行為から回避するためのものだったのだが。
もしも受精して着床し、胎芽から胎児に成長した場合はどうなるのか予想がつかないと育ての親からも言われている。
「あーら、あらー、私の勘は的中しちゃったみたいね、あんたは排卵日付近は能力を行使できない」
その声で再び意識を取り戻す。
加世はさらにあたしの上に乗っかり激しく腰を振っている教育指導の先生の首筋に新たにコマンドを追加する。
「あんた自身にはこのコマンドを打ち込む打ち込む方法を使うとあんたの本来の能力が無制限に覚醒するからこうやって周りの人を操って始末するしかないのよね、さあ椎の身体が破裂するまでやってしまいな!」
加世がそう言って最後のコマンドを打ち込んだ時あたしの身体に怒涛のような濁流が流れ込み続けた。
腹が裂けそうな激痛を感じた時あたしの中の大事なものは水風船のように破裂していた。
大量の血に混じって先生の出している液体があたしの体の中の胃や腸、肝臓、腎臓などの隙間を駆け抜けて圧力をかけていく。
そして心臓の動きさえ押さえつけようとしていた。
気を失いかけた直前に聞き覚えのある声が聞こえた。
「さすがに今回はやりすぎですねショッピきますよ」
なんか幼女っぽい声が警察官みたいなことをキレ気味に言っている。
「はん、拳銃どころか警棒さえ持たせられないみならいのみならいが何を抜かす」
加世がそう言うと教育指導の先生の首筋にコマンドを打ち込む感覚が伝わってきた。
先生がむくっと起き上がってあたしの穴から太いものを引き抜くとやっと自分が口から大量に吐血してることに気がついた。
『逃げて、月輪ちゃん』
声に出して言ったつもりだったがその声は彼女には届かなかった。
加世が教育指導の先生に月輪ちゃんを襲わせて陵辱させる気がまんまんなのはすぐにわかった。
「もうすでに加世が操った方達に打ち込んだコマンドなら解除しちゃいましたよ」r
何事もないように月輪ちゃんが言うともうすでに加世に操られていた人たちは次々と倒れていた。
あたし自身が血の海の中を漂っていると柔らかな感触があたしの上に乗りかかって来た。
細い指が私の中に入って来る。
あれほど激しかった痛みが治まって来た。
柔らかい感触があたしの唇に押し付けられるとぬるっとしたものが入り込んできてめっちゃくちゃ甘い液体を流し込んできた。
「あなたが操っていた人には悪いと思っちゃいますが全員下痢になってもらいました」
月輪ちゃんの声が遠くで響いている、あたし、もうダメかもしれない、だってよく考えたらあの子は今東京に居るはずだもの。
「さてここでもんだいですよ?加世がわたしに触れてコマンドを打ち込むのと、わたしが加世の心臓を破裂させるのではどっちが早いでしょうか?」
言っている意味がほとんど頭の中に入ってこないがあたしは彼女が自分がよく知っている文月輪だと言うことを確信した。
まだ視力がほとんど回復していないので確信は出来ないがおそらくは2人の間には10メートル以上の距離がありそうだった。
どう考えても月輪が加世の心臓を破裂させるほうが早そうだ。
しかし、彼女は秘策を実行した。
「どうかしらね?このモンスターを暴れさせたらあんたは自分自身を防ぎきれるかしら?」
そう言って加世はあたしの上に乗ってとても治療行為とは思えないエッチな行為を行なっている少女の首筋に飛びつと素早くコマンドをいくつか打ち込んだ。
「小田井署の最終兵器、葉類亜希、彼女が投げる硬球はゆうに300km/hは超えると言われている、あんたに逃れられるかしら?」
そう言うと加世は勝利を確信したかのように笑い出した。
葉類亜希と呼ばれた女性警察官はあたしから離れると立ち上がり月輪と対峙した。
いまだに起き上がれずに仰向けになって倒れている、あたしの目には血まみれの制服のポケットから野球の硬式ボールを取り出してにっこりと微笑む亜希の姿が。
どうでもいいことだがスカートが短いから中のパンツが丸見えだ。
「やっておしまい!」
冷酷に言い放つ加世の声
「遠慮は不要じゃないですか?心臓ごとぶち抜いてやってくださいよ」
どう考えても心臓をぶち抜かれるのは月輪の方な状況なのに余裕をブッこいている月輪の違和感。
亜希はふりかぶって全力でその硬球を月輪に命中する直前で大きく弧を描いて戻って来て亜希のすぐ横に立っていた加世の胸に擦り亜希はそれを涼しい顔で受け取った。
「かすらせて一時的に心停止させるの1番難しいんだから面倒なことさせないでよね」
亜希なる女刑事みならいはそう言うと加世に背中回しにして両手に手錠をかけた
「私にはその手の操作はもう効かないのが伝わってないのか」
亜希はため息をつくとあたしに月輪を紹介した。
「もう知っているとは思うけど、私たちがここに来たのはほとんど偶然だから」
「え“!」
あたしは訊き返した。
誰かが110番をしたわけではないのだろうか?
「なんとなくこっちに来たくなっちゃったんですよ、サイレンとか派手に鳴らしながらね」
月輪はそう言ってあたしに微笑みかけると周りを見回した。
加世にコマンドを打ち込まれて操られて淫交にはしっていた子たちは実際には何もしていない事になっていて制服姿のままぼんやりとしていた。
きっと悪い夢でも見ていたのだろうか?
とでも思っているかもしれない。
「覚えてらっしゃい」
加世は捨て台詞を残してしばらくしてから来たパトカーに文字通りショッピかれていった。
「時に月輪ちゃん、あれからパトカー要請の無線入ってた?」
と唐突に亜希なる女刑事みならいは月輪ちゃんに訊いた。
確認だろうか?
「いいえ、誰もそんなことはしていないはずでじゃないですか?亜希先輩だって呼んでいませんよね?」
なぜそんなことを言うと言いたげに月輪ちゃんは亜希なる女刑事みならいに問い返した。
「じゃあ、多分仲間が手配した偽パトカーでまんまと逃げられちゃったか?しょうがないなぁ」
笑いながら言う両みならいにあたしはパトカーの後部席に月輪と一緒に乗せられてショッピかれる羽目となった。
もちろん運転は亜希なる女刑事みならいだ。
あたしは車のことに関しては全く無知と言って良い方だがこの地方の県警でよく使われるクラウンとは全く別物だった。
王冠のエンブレムはフロントグリルにはついていたけど・・・
それじゃあ普通にクラウンじゃないかって?
バカっ速いのだ。
22号線バイパスを100km/h以上でジグザグ運転をしながら車と車の間を縫うようにして駆け抜けている。
いつのまにかパトカーは高速道路に入っていた。
名神高速を京都方面に向かって走っている。
「あの、亜希さんと月輪ちゃんはどのような御関係で」
あたしは聞いてみた。
「わたしと亜希さんは一応6才違いという事になっていますが実はほぼ同い年なんですよ」
「え”!」
「免許とかどうなっているんですか?」
あたしがそう聞いた時彼女はイラつきながらハンドルを両人差し指でトントン叩いていた。
「どーしたんですか、センパーイ」
と月和ちゃん。
「いや、前のゾンダが遅いなぁって思ってね」
いやいや、遅いって言っても前のパガーニ・ゾンダ、どう見ても160mKm/h以上は出ていますよ?
え?ゾンダ知っているなら本当は車のこと詳しいだろうって?
知らないよ、むかし遊んでいたゲームにあったチートマシンだからよく使っていたから知っているだけだよ?ホントだよ?
「鬱陶しいから追い越すよ、シートベルトしているよね?」
女刑事みならいが言った途端にあたしたちの身体はシートバックに押し付けられて追い越し車線に出たかと思うとあっという間にゾンダを遥か後方に追いやっていた。
その時の180km/hまでしか刻まれていない速度計の針は完全に振り切っていた。
速度計くらい交換しろと言いたい。
そのくせフロントA右ピラーには15000rpmまで刻み込まれたエンジンの回転計が装着されているって制限速度守る気最初からないでしょ?
凄い勢いで追い越し車線を走る前の車が迫って来る、急制動をかけて走行車線を走るミニバンとRX -7の間に滑り込ませる。
走行車線をパッシングしながらさっきのゾンダが迫って来て僅かな隙をついて追い越し車線に出ると運転席の奴がこっちに向けて中指を立てていた。
「おのれえ」
亜希は再び追い越し車線に出るとゾンダの結にピッタリとつけて走行車線を走る車がないことを確認すると一気に左に出るとゾンダをあっというまに追い抜き再び前に出た。その間に相手のドライバーに向かって中指を立てることを忘れない。
しかしまたしてもすぐに追い越し車線を走る先行車がすごい勢いで迫って来た。
もう走行車線にも逃げる隙間もない、そもそも走行車線を走る車との速度差は120Km/h以上は軽くある。
「しゃあない、覚悟決めな」
亜希はそう言うと走行車線を走る車との追い越し車線を走る車の間を一気に駆け抜けた。
それからしばらく速度を緩めて走ると多賀サービスエリアで降りた。
「警察官がこんなことやっていていいんですか?」
あたしが『バクバク』あぶつ心臓をおさめながら言うと亜希はすました顔をして
「日常茶飯事だよ」
と言って来た。
サービスエリアの駐車場を探している間にパトカーが待ち伏せをしていたのに気がついた。
滋賀県警だ。
誘導されてその滋賀県警のパトカーのすぐ隣に止めた。
当たり前だけど警察手帳の提示を要求された。
「何かあったんですかぁ」
とすっとぼけた表情で亜希がいうとその滋賀県警の警察官は今にもぶちぎれる寸前の表情をしていた。
「何がじゃねぇ!名神高速を300km/h近い速度でカーチェイスしているゾンダとクラウンがあるって聞いたから衛星カメラで追跡したら愛知県警のパトカーじゃねぇか!」
「あー、そのぉ、犯人の追跡中でして」
亜希さん、その言い訳は見苦しすぎますよ?第一、サイレン鳴らしていませんでしたよね?おまけにゾンダ、ブッコ抜きましたよね?
「改めて免許証を見せてください」
そう言われて、亜希はしぶしぶ自分の運転免許証を見せた。
「じゃあ私たちはカツ丼でも食べに行きますので」
亜希がそう言ってクラウンから降りようとするといきなりだけど彼女の両手に手錠をかけられてしまった。
「カツ丼なら取調室でご馳走しよう」
そう言われてあたし達も車内後部席で手錠をかけられて車から降ろされていた。
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「なんか既視感が・・・」
亜希が目の前のミニバスを見て呟いた。
窓には鉄格子、右側中央には右開き、のスライドドア、そして後部には観音開きのドア、それを開くと左右両側に対面式のロングシート。
「シビリアンだ」
亜希がいうと警官に容赦なく殴られて床の上に吹っ飛ばされた。
あたしも月輪ちゃんも容赦なく殴り飛ばされて車内に放り込まれた。
乱暴にドアが閉じられるとそのシビリアンという名のVIPカーは乱暴に急発進をしてサービスエリアを後にしていた。
「ねえ、私、何か悪いことした?」
悪びれることなく亜希刑事みならいは月輪ちゃんに訊いた。
「いやいや、制限速度が100km/hの高速道路を300km/h近くでかっ飛ばしたでしょ?」
あたしは突っ込んでみたが見事にスルーされた。
「ちゃんと本物っぽい偽造免許証を提示しちゃいましたよね」
「月輪ちゃん、さすがに偽造はまずいでしょ」
突っ込んだ、あたしにふたりは顔を見合わせて『キョトン』とした顔をしていた。
まさかしれも小田井署では日常茶飯事なのか?そうなのか?
(完全にフィクションです)
「ところでこの高級観光バスは滋賀県警の筈なのに京都に向かってますね、なんででしょうか?」
月輪ちゃんが言うと亜希は何が面白いのかくすくす笑い出した。
「ところであんた達はどこでしょっ引かれたの?」
亜希は突然に正面、向かい側に座っているアベック、もとい百合カップルに訊いた。
『あ“!』
あたしは大声で叫んでしまった。
ゾンダであたし達とカーチェイスバトルをしていた女性ふたりだった。
「そちらからハーフっぽい茶髪で緑色の娘が佐原観萌さん(さわら みもえ) 13才(中学1年生)で、もう1人の日本人形っぽいのが水無月海さん(みずな つきみ)14才(中学2年生)のおふたりですね、しかしお二人とも綺麗なストレートヘアが長くて、おまけに美人で、わたし達幼女体型からしたら羨ましい限りです」
月輪ちゃん、それは棘のある言い方。
しかし確かにどう見ても、彼女達は大人の女性にしか見えない。
『え“!じゃあ彼女達も無免許運転⁈』
あたしは心の中で叫んでしまった。
「この中の5人、どう考えても未成年犯罪者じゃないですか?」
「いや、私たち何も悪いことしていないし」
開き直らないでください、葉類亜希刑事みならいさん!
「そうですよね、偽装警察手帳のどこがいけないんでしょか?わたしにはわかりません」
と月輪ちゃん、いや、完全にアウトでしょ?
「そだよね、女子中学生がふたり、男子高校生と3Pなんてよくあることだよね、だから店に入って来た客のスポーツカーを奪って逃げて来たのさ」
月海さんは見かけのような日本人形っぽくない、不良少女みたいな喋り方だった。
まあ確かに12、3才の女子ふたりがラブホに男子高校生と3人で入って、無免許でゾンダをひったくって高速道路を300km/hでかっ飛ばせば間違いなく不良でしょうよ。
「ふーん、そうなんだ、でもう1人の男子高校生はどうしちゃったのかな?その経緯を詳しく話して」
刑事みならいは佐原観萌さんと水無月海さんに興味を持ったようだ。
「えーと、ことの最初から知っているのはっ・・・、って、月輪だって割と最初から関わっていたじゃないですか?」
観萌さんは口をとんがらせて月輪ちゃんに抗議した。
「いいえ、わたしが関わったのは観萌ちゃんが電車の中で狙われていることを知ってからですから」
と月輪ちゃんは言うが。
「あたしにはなんのことかさっぱりわからないから最初から説明してください」
あたしは思わず口を挟んでしまった。
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「私はなぜかいつも厄介ごとに巻き込まれやすい体質なんですが、今日に限って学校フケようって、公園のトイレで私服に着替えて駅に向かっていたんですが名古屋方面の電車に乗るつもりが間違えて岐阜方面のホームに入ってしまい」
「はいはい、奥田駅だったんですね、あそこは上下ホーム別々の改札ですよね?でも踏切をなぜ渡らなかったすか?」
突然、観萌さんの話に月輪ちゃんが口を挟んだ。
「わたしには親しくしてもらっている方が思い浮かべているイメージや見ているものがわたしには伝わって来ますので」
そこまで言ってから月輪ちゃんは完全に顔を真っ赤に染めた。
「はい、なんとなくですが、もう自動改札機を抜けちゃった後だったので国府宮か一宮のどちらかの駅で乗り換えようとして男子高校生位の男の子のすぐ後ろに並んでいたのですが・・・」
今度は観萌さんも月輪ちゃんの顔も真っ赤に染まる。
「わたし、いきなりその男子高校生さんに強く抱きついてしまったのです」
しかし観萌さんの顔が赤くなるのはわかるけど何故、月輪ちゃんまで顔を真っ赤にして息を荒げているのだろうか?
「そ、それでその男子のズボンのポケットに手を突っ込んじゃっても大事なものを掴んでしまったのですね」
つ、月輪ちゃん、なぜそのような妄想を全開するような娘になった?
東京にいた頃の月輪ちゃんはちょっとした下ネタ話でも顔を真っ赤にして泣き出してしまうウブな娘だったはずだ。
愛知に来てから何がそうさせた?
月輪ちゃんを挟んですぐ向こうに腰掛けている痴女、葉類亜希刑事みならいのせいなのか?あたしの頭は混乱して来た。
「はい、わたしはその太くて硬いものを掴み引き抜くと天井の隙間から正確に言うと線路の架線の方ですね、投げていました」
え“?
「それは架線に引っ掛かることなく空高く飛び高度100メートルあたりで爆発しました」
それは普通に爆弾では?
「それで警察が来て電車はしばらく運行停止ってことなんだあ」
痴女刑事みならい、じゃない、亜希が口を挟んできた。
「それが警察官が4〜5人は来て実況見分を数分行っただけですぐに退散してしまい、電車もそれからすぐに運行を開始しました」
それを聞いて月輪ちゃんはもう一度質問を変えて訊いた。
「その彼を抱きしめた時のことをもう一度思い出せませんか?」
そう言うと観萌さんは目を閉じてブツブツと呟きだした。
「抱きつくと言うよりは抱き寄せる感じ?、そしてその直後に快速特急が通過した?、しかも彼の首筋には特殊な刻印が?」
月輪ちゃんは暫くは信じられないと言いたげな顔をして取り乱していた。
がすぐに落ち着きを取り戻すと観萌さんに言った。
「これから送るパターンと結果を解析してそれからもう一度男子生徒の首筋に打ち込まれていたこれを解析して」
それから僅かしか経たないうちに観萌さんの口はカタコト言葉を呟きだした。
「デ・ン・シャ・ノ・マ・エ・ニ・ト・ビ・コ・ン・デ・シ・ネ」
どうやら自殺をはかるように暗示をかけられていたらしい。
「加世の姿は見えていなかった?」
みならい亜希が口を挟んだ。
だが観萌さんも月輪ちゃんも首を横に振った。
「そっか、その時は観萌ちゃんも加世の顔知らないものね」
とみならい亜希がいうと観萌さんが話を続けた。
「もしも加世さんがそのような人物だとしたらポケットの中の爆弾もサイレンサー付きの拳銃を持った男も彼女の差金だっだということ?」
「んー、そこまで考えるのは時期尚早かな?」
「はい、わたしもそう思います、それで最初は国府宮駅か名鉄一宮駅で急行か特急に乗り換えようとしていたんですがなんとなくひと気がない駅で降りたほうがいいかな?と考えるようになって」
「国府宮駅の次で降りたけどサイレンサーは追って来たわけね」
月輪ちゃんは言うともう一言付け足した。
「もう一度ラブホに行く流れの話になってからの様子をおもいだしてくれない?」
月輪ちゃんにしては妙に真剣な口調だった。
「いた!」
月輪ちゃんは小さく叫んだ。
「観萌さんがサイレンサー付きの男に気を取られている隙に、おそらくは男子高校生の首筋にコマンドを打ち込みに」
「でもなぜ?」
と今度は月海さんが言った。
「でも確かにふたりを抱き抱えて別に場所に飛ぼうとした時、誰かに首筋を十数回素早くノックされた気がする」
水無月海はそう言うと
「そのすぐ後に3人でラブホに入りたくなって仕方がなかった」
と付け加えた。
でもなぜ?と言う疑問が残る。
「それが秋種加世のおそろおしいところであり、厄介なところなんです」
月輪ちゃんは苦悩する表情を浮かべながら言った。
そして続けて言う。
「彼女はひとりの人間に対して今のところ最大40行以上の命令コマンドを打ち込むことができます」
「その中にはパソコンのプログラム言語のように一部をモジュール化して何度も繰り返したり条件判断による分岐も可能になっていますがそれよりも恐ろしいのは・・・」
「もしかしてコマンドを打ち込まれた最初の人間自体も『他の人間に対してコマンドを数行打ち込むことができる』と言うことですか?」
あたしは思いついたことを思わず口にしてしまっていた。
みんなびっくりした顔をしてあたしを見ていたが正直1番驚いていたのはあたし自身だった。
「確かにわたし自身も3人でラブホに入りたい気分はありました、しかしそれは嫌な予感しかしなかったのでお金がないことや未成年である事を理由に入店を拒もうとしました」
観萌さんが少し顔を赤らめて続けて言った。
「もちろん3人分24時間のお金はありました、何しろいろいろ、名古屋のお店で高い買いお物をする気でいましたから」
あたしにはこの人の『高い』の基準がよくわから
「あたしは本当に金がなかったけれどその男子生徒が金を払うと言うことなので2時間程度ならって」
月海さんは思い出したかのように言った。
それぞれの思惑があったんだぁ、とあたしはぼんやりと思いながら聞いていた。
「実は待ち伏せの罠だったと」
「それは何時くらいだった?」
と月和ちゃんに続いてみならい亜希が訊いた。
「7時50分くらい?」
と観萌さん。
「椎ちゃんの中学で加世とのトラブルが発生したのは8時20分頃、やはり何か怪しげな大きい組織にカタンしてるんでしょね」
月輪ちゃんはそう言って、観萌さんの記憶をたどりながら当時の様子を再現するイメージを送って来た。
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わたし達3人はラブホの門をほぼ同時にくぐりました。そして男子高校生の子が会員登録や部屋選びをフロントで行い、3人5時間分のお金を払うとフロントの店員は部屋のキーを渡そうとしていました。
と同時に私は彼の身体を床に押し倒しながらもう待てない、『ここでやっちゃお』と言いながら月海さんの足を払い、床に倒しました同時に自動小銃が頭上を飛び交いフロント店員の身体が粉砕されていたのは見て確かめるまでもなかった。
「月海さん、近づくものを全て弾き落とせる?」
私は叫びながら出口に向かって走りだしていました。
その瞬間、彼、男子高校生の体が破裂していたの。
その後どうやって建物を抜け出したかはよく覚えてはいないわ。
目の前に急ブレーキをかけながら迫ってくる車があったので私たちはその前に立ち塞がり、その車は私たちの前に停止した。
罵声を私たちに浴びせながらドアを開けて降りて来た男女ふたりを引っ張り上げて投げ飛ばすと私たちのそのドアの向こうに飛び、素早く乗車するとスピンターンをしてホテルを後にしてそのまま名神高速に入って走っていたと言うわけ。
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「それがあのゾンダだったと言うことね」
みならい亜希が言った。
「もしかして私たちのことを追ってだと思っていた?」
と月和ちゃん。
「あのラブホに停まっていた警察パトカーと同じだったので追ってだったと警戒して全力で逃げていた」
と月海さん。
「じゃあなぜ、念動力で反撃してこなかったの?」
と月和ちゃん。
「正直言ってラブホで能力を使い切って、いやそういう意味じゃないぞ、あたしだって男子高校生しばきあげて観萌とエッチしまくりしたかったけど、あ、そういうことじゃないからな!、防弾にエネルギーを使いすぎただけだぞ」
ムキになって月海さんは全力弁解を始めていた。
「それにもかかわらず追いかけて来たのはパトカーに乗っていたのが私たちだって気がついたから?」
とみならい亜希。
「それは最初にお前らが追い越して来た時にロコツに月輪とわかるメスガキが中指立てて勝ち誇ったような顔をしていたから、ついこっちもムキになって」
「それでどうして捕まったかというと、あなた達が車と車の間をすり抜けた時にブレーキが間に合わなくて、追い越し車線を走っていた遅い車に・・・」
月海さんのセリフを観萌さんが補完した。
「なるほど、それであのスピードで事故ってもエアバッグとふたりの豊満な胸で右傷で済んだと」
と月和ちゃん、そして一言付け加えた。
「もしかしてぇ、アレを刺激させたことが椎ちゃんの能力を絶好調に変えちゃった?」
と月輪ちゃん。
「言えているねー、私はカツ丼を食べ損っちゃうことになりそうだけどね、コレは逃げるチャンスかも」
みならい亜希はそう言ってから、運転席、助手席、そのすぐ後ろの3人を見て言った。
「ねえ、月輪ちゃん、あの3人の首筋に打ち込まれたコマンド、観萌さんと協調して解読できる?」
すかさず観萌さんと月輪ちゃんは『OKサイン』を出した。
「あの加世って、女の人何がなんでも私たちを殺したいみたいね、ドライバーは意図的に大型トレーラーの後にピッタリへばりついてわざと追突させてその瞬間にふたりがこの護送車の座席下に仕掛けたプラスチック爆弾のスイッチを押す手筈になっているみたい」
月輪ちゃんが言うと観萌さんが補足した。
「それが失敗した時はとんでもないモンスターマシンに改造した、すぐ後ろを走っている大型タンクローリーを追突させて爆発、炎上、ってところかしら?」
「今の車間距離だと透視経由でのコマンド解除は無理、しかも念力攻撃が可能なほど接近してからでは下手に解除しようとするとアクセルをベタ踏みにして前のトレーラーとの挟み撃ちになるかも」
月輪ちゃんもお手上げ状態みたいだ。
「今、3人を倒してこの護送車をジャックしても無理かな」
とみならい亜希。
「無理でしょうね、今、月和ちゃんの透視を分析したところあのタンクローリーのタンクは偽物でほぼ空、代わりに低重心な位置に15,000cc、1500kWの水平対抗12気筒エンジンとプラスチック爆弾が搭載されています、ご丁寧に全輪駆動ですね、一般車なんて蹴散らしながら追いかけてくると思いますよ?」
観萌さんが言った。
確かに並の大きさのタンクローリーじゃない。
見せかけ上は40トン以上はあるかもしれない、でも実際はどうなんだろうか?150km/h以上は楽々出ると考えるべきか?
でも助かる方法はある筈。
「運転手以外から次々にコマンド解除、運転手も解除させて全員の神経を遮断、気絶させて運転席をジャック、次の高架になっている右カーブでコースアウトってのはどう?」
あたしは適当に言ってみた。
もうダメ元、ヤケクソだったかもしれない。
「了」と言って月輪ちゃんは3人全員を気絶させるとみならい亜希が運転席の男のシートベルトを外して後方に投げ飛ばした。
右の大きなカーブはすぐそこまで迫っている。
運転席をジャックしたみならい亜希は左車線を走っている車を巻き込まないことを確認すると左にハンドルを大きく切った。
ガードレールを突き破ってシビリアンは宙を舞うと奇跡的に何も植えていない畑に着地してそのまま走り出すと右にハンドルを切りそのまま県道に乗り上げて高速の下をくぐり抜けた。
名神高速の高架の向こうではあたし達のシビリアンの後を追いガードレールを突き抜けて落下したタンクローリーが爆発して炎上していた。
ホッとしたとこであたしは月輪ちゃんちゃんに訊いた。
「どうして東京を出てこっちに来たの?」
って。
「それは亜希ちゃんに浅草でナンパされたからですよ?」
「いやじゃあ観萌さんと月海さんは?どうやって」
あたしの問いに観萌さんと月海さんは顔を見合わせて言った。
「そりゃあもちろん亜希さんに秋葉原でナンパされて」
「やっぱりちじょじゃないかぁ!」
あたしは大声で叫んでいた。
つづく、かも(^◇^;)
下界Part1に続きます。
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