再会5

闘いの再開5

毎回とは限りませんが今作はエログロ描写や官能描写を多大に含みますので20才未満の閲覧はご遠慮してくださいね♪
なお現実と烈しく乖離した描写がめちゃくちゃ多数ありますことをお断りしておきます。(某ネットエロゲーと被っていた部分を変えましたm(._.)m遊びでパクっていました)


私はいつも他の姉妹たちと一緒に過ごしていた。
産まれた12人いる中では真ん中くらいだけど私たちはみんな異母姉妹という事らしい。
受精卵は同じ物から作成した複製らしい、だけど実験では母胎の違いがどう中の胎児に影響するかを試す実験も兼ねていたという話は聞いたことがある。
結果は私を除いたほぼ全員の個体が寸分違わずよく似た優秀な双子、じゃない、11子ということになる。
とはいえその11人もそれぞれが得意な分野や性格の違いはあるようだ。
こういった場合私だけ特殊な能力を持ったチート主人公といったパターンが多いって聞いたことがある。
でも事実は逆に私だけは他と違う出来損ない、何をやらせてもダメな子だった。

「訓練の時間だ、みんな着替えて道場に向かえ」
天井の板に仕込まれたスピーカーから聞きなれた男性教師の声がした。
毎朝起床時間になると朝食前に必ずやらされる訓練行事だ。
私たちは急いで着替えてから道場に向かって歩く間にイメージトレーニングをさせられる。
同じ歩幅で、同じテンポで歩き、どちらが先に着くか?
それを競う、よくわからない訓練だった。
私たちの住処にしているベッドルームから道場まで約2キロメートル近い廊下を歩かなければならない。
決められた歩幅50㎝として1秒間に1歩として2秒で1m、2㎞なら2000mで4000秒、1時間と6分ちょっと、朝5時ちょうどにベッドルームをでて6時6分くらいに道場着ならば問題ないという計算ではあった。
しかし私はいつも10分以上遅れてしまうことが多い。
もちろんそうなった場合は道場の板の間で正座というお仕置きが待っている。
だけど私はそれに関してはさほど苦痛には感じていなかった。
「お前はなんでそんなにものろまなんだ」
教師にはよくそう言われるが自分でもどうしてなのかよくわからなかった。
ちゃんと歩幅を50㎝に合わせて1秒に1歩を心がけているのだけれど道場にたどり着いた時は6時20分過ぎているということはザラなんだ。
「なんでかなぁ」と自分でも言ってはみるけど正直本当のことだから仕方がない。
もっともこれを言っちゃうと教師は鬼のような形相になってしまうのだけど・・・
「『G(ジー、もしくはゴキ)』はトロイなあ」とみんながみんな口を揃えて言う。
だけど何故かは知らないけど6時前に早く着いちゃうのは特に問題がないらしい。
むしろ中には5時40分に到着して褒められている娘もいた。
『きっと1メートルの歩幅で毎秒2、3歩で踏ん張って歩いているんだ、そうに違いない!』
そう考えて頑張ってみたが歩き始めて10歩も歩かないうちから全身に激痛が走った。
「ばかやろー!ズルするんじゃねぇ!」
廊下の天井に仕掛けられたスピーカーから罵声が飛ぶ。
「えっ?早くついた方が勝ちってルールなんじゃ?」
私は抗議したが聞き入れられなかった。
もちろん道場についてから7時まで正座。
泣きたくなりました。
道場での訓練はほぼほぼ柔道か合気道、剣道、射撃とアーチェリーのいずれかを7時半までという決まり。
それが終わってからすぐ朝ごはんにたどり着ければ良いのだけど、道場から食堂までの長い道のりをまた30分歩かされると言う・・・・・勘弁してください!

「『G』、お前バカだろ」
朝ごはんを食べようと席についた時に隣に座っていたL(エル)にいきなり言われてしまった。
年上(とは言っても上から下までの差はひと月くらいしか違わない)のA~Fに言われるのならともかく、よりにもよって一番年下の『L』にだけは言われたくなかった。
「なんでですか?早くついた方が勝ちなんですよね?」
「ちげーよ」
いきなり否定されてしまった。
「あのなぁ、よく聞けよ、俺らの全身にモーションセンサーみたいなのが組み込まれていて歩幅とかそのピッチを計測できるようになっているんだよ、それを守らなかった時点でアウトなの、わかった?」
そう言われても自分にはさっぱりわからなかった。
それだとみんなほぼ同じタイムでゴールしなければおかしいことになる。
「それが能力の開発でもあるんだよ、やっぱり『G』は馬鹿だろ」
そうなんんども馬鹿馬鹿と繰り返して言わなくてもいいじゃないかって思う。
私だってそれなりには自覚はしているつもりだけどやはりこたえる。
「あなたたち、おもしろいこと話しているじゃない」
いきなり『B』さんが話に割り込んできた。
文字通り上から二番目の姉なんだけど同じ受精卵クローンからの全員腹違いだから年なんてひと月も違いがない。
「この馬鹿に朝のイメージトレーニングの理論を教えているだけだよ」
「だから馬鹿馬鹿ゆうなぁ」
私は再三抗議をしたが何度でもスルーされる。
「確かに『G』ちゃんが言っている通り普通に考えたら同着になるわね、でももし各自の時間の流れが違っていたらどうなるのかしら?」
「はい?」
きっと今の私は思いっきり眉間にしわを寄せていただろう。
「時間の流れが個々で違うなんて」
「本当にそうかしら?」
私の心の内を見透かしているかのように『B 』さんは言う。
彼女は他の姉妹たちと違い私に語りかける時はやたらと楽しそうだ。
「例えばあなたはご飯とかおやつとか美味しいものを食べている時って、すごく楽しそうじゃない?そんな時って時間が流れるのはすごく早いよね?」
彼女の美点は私に持論を押し付けてこないことだと思う。
必ず『私はこう考えているけどあなたの考えはどうかしら?』という感じで語りかけてくる。
「それは本当だと思います」
私がそう言ったら彼女はにっこり微笑んで私の口の中にスプーンでプリンアラモードの生クリームを突っ込んできた。柔らかくて、甘くて、ひんやりとした食感が口中に広がる。
「それとは反対に『G 』ちゃんは訓練がとっても苦手じゃないかしら?」
はい、言われるまでもなくとっても苦手ですよ。
私はいつも『眠っている』か『美味しいものをお腹いっぱいに食べている』か『何か可愛いものを集めている』時間さえあればそれでいいと思っている。
訓練なんて苦しいだけで本当にやりたくもない。
特に『柔道』とか『剣道』とか『合気道』なんて論外だ。
『射撃』と『アーチェリー』も苦手だ。
少なくとも硬い床の上で正座をさせられていた時間の方がはるかにマシだとさえ考えている。
「そうですよ、今日だって朝起きてからこうやって朝ごはんにたどり着くまでものすごく長く感じましたよ、5時から8時までが信じられないくらい長いです」
私が言うと『B』さんは『クスッ』と笑った。
姉妹は全員同じ顔のはずなのに彼女だけ特別可愛く見えてしまうのはなんでだろう?と時々疑問に思う。
「ごめんなさい、バカにしたつもりじゃないの、でも『G』ちゃん って本当はすごい能力の持ち主なんじゃないのかって・・・・ごめんなさい、話が逸れたわね」
と言って今度は枝のついた小さな赤い球体の枝部分を2本の指先でつまんで私の口の中に放り込んできた。それは私が苦手な果物でもあるアメリカンチェリーだった。
「もしも『G』ちゃんの体内での時間の流れが本当に外の流れよりも緩やかだったとしたら?体内に埋め込まれたモーションセンサーももしかしたら誤作動を起こすんじゃないかしらね」
わかったようなわからないような・・・・・もやもやっとした気持ち。
「だからよぉ~、俺たちは訓練大好きだから、一刻も早く道場にたどり着きたいから本当に俺らん中じゃ時間の流れも速いんだよ、バーカ」
『だからバカバカ言うな』って、心の中で『L』に反論していると無情にも朝食タイムが終了のサイレンが食堂内に鳴り響いたので私は慌てて残っているプリンアラモードを口の中にかきこむ。
「しかしお前もこんな朝っぱらからよくそんな甘いものばかり食えるな、俺らみたいに肉食わないと一日の訓練についていけねぇぞ」
そういうと『L』は席を立ち自分が食べた食器を返納棚に持っていった。
なるほど、彼女の持っているお盆の上にはステーキ用の鉄板、タッカルビ用の鉄板、牛丼用の丼がのせられていた。
「じゃあ私もお先に、『G』ちゃんも無理しないでね」

そう言いって立ち去っていく『B』さんの上腕から二の腕にかけたたくましい筋肉を持つ両腕が運ぶトレイの上には白い陶器のお皿やティーカップ、お洒落な小鉢などが所狭しと積み重ねられていた。彼女の嗜好はどちらかといえばフレンチかイタリアンだ。だからと言って朝っぱらからフルコースだなんて・・・
私も後から慌てて追おうとして席を立ち食器を乗せたトレイを持ち上げようとしたら・・・
「おーい、さっさとついて来ねーと置いていくぞ」
食堂の出口付近から『L』が叫ぶ声がした。
私は思わず持ったトレイのバランスを崩してその上に積み重ねられた白い陶器やガラスのすごく高価そうな食器類を滑り落とし、床に叩きつけられて割れて砕け散るのをただ呆然と眺めているしか出来なかった。

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食堂長に散々謝り、砕け飛び散った食器の破片を片付けて食堂を後にしたのは食事時間の終了を告げるサイレンが鳴り響いてから約30分くらい経過してのことだった。
(もっともみるに見かねた『B』さんが手伝ってくれなければもっと時間がかかっていたと思うけど)
本来のスケジュールでは8時から8時半までが朝食でそこから朝のイメージトレーニングと同様な感じで再び約1時間近くかけてベッドルームまで歩き11時までが待機という流れだ。
もちろん私がベッドルームにたどり着いたのは10時半近く、休める時間はたったの30分近くしかない。
『何のいぢめですか』と私は心の中で涙ぐみながら愚痴ったがそんなことをしても失われた1時間が返ってこないのはわかっている。でもなんか悔しい、けどどうしようもない。
「11時からの実地訓練もよろしくね」ベッドの上の段から顔を出して覗き込んできた『K』が言った。
ここで言う実地訓練とは今習っている『柔道』『合気道』『剣道』『銃撃』『アーチェリー』 のいずれかを含むありとあらゆる競技の技を使い組まされた相手が倒れて動けなくなるまで行う、いわばデスマッチのようなゲーム(試合)だ。

私はこれも苦手で逃げてばかりいる。
でもそれでは試合には勝てない。
私以外の強い娘達も決着をつけない事にはも昼食にたどり着けないので必死になって相手は私に執拗に襲いかかってくる。
そして問題はその勝負の結果で食べられるメニューに雲泥の差が生じる。
例えば勝者がうな重であり、敗者はうなぎじゃないばかりかうなぎの蒲焼に見立てた駄菓子(もちろん原材料は雑魚のすり身)のどちらかであるといったように・・・
だから誰もが自分が勝てそうな相手を積極的?に選ぶ。
「待った『K』、『G』は私の先約なんだけど」
「ちょっと『C』抜けがけ禁止」
「待ちなさいよ『G』は私の専属なんだけど」
この時だけは流石の私も大人気だ。
誰でも確実に勝てる相手と言えば私以外にはないから・・・
ぜんぜんうれしくはないけど。
そうやって私の周囲に姉妹たちが集まりガヤガヤしている中でなぜか『B』と『L』だけは中に加わろうとはしなかった。
みんなは気づいてはいないかもしれない、だけど実は彼女ら二人は姉妹の中でもずば抜けて強いと言える。
ただ二人は自分たちが目立ちすぎるのを嫌ってかお互い同士の組み合わせでなければあからさま、とまではいかないがこっそりと手を抜くことが多い。
それでも勝ててしまうから大したものだと思う。
しかしそれを悟られないのは必死になって戦っている相手はもちろんのこと、他の組み合わせの姉妹たちも自分らの戦いに集中していて2人の戦ってる様子を観る余裕がないから当然なこと・・・。
ただ一人激しい打撲痛と筋肉痛で早々とダウンして仰向けに横になっている私を除いてではあるけれど。
そして今日も無情に地獄の蓋が開くゴング、じゃなかったサイレンがベッドルームに鳴り響いた。
私たちはベッドルームからわずかに数十メートル離れたグラウンドに走って移動してすぐに捕まえた相手と組み得意な競技で挑むことができる。
朝の特訓の5種目にこだわる必要は全くない。
私はよりによって『A』と組むことになってしまった。
彼女は『B』さんや『L』とは違い桁外れな強さこそないがこの姉妹の中では確実にかなりの上位クラスだとは思っている。
彼女はどちらかというと剣術づかい、『突き』と『払い』が得意なので本当は性格的にはフェンシングの方が似合っている気もするけど生憎とここにある武具にはそれに使えるものはなく、竹刀しか無いのでそこが彼女にとってのハンディといえばハンディだと言える。
私は音もなく接近を許して正面から顔面を突いてきた竹刀を右足一歩引いて逆海老反りなになる事でなんとかかわした。
だが左から襲いかかって来た竹刀を左二の腕で跳ね除けることになってしまった。
激痛を感じる間も無く反対側に素早く回り込んだ彼女がすぐさま右から顔面を狙って同じ竹刀で襲いかかって来る。
同様に右腕で対応してそれは防げたものの右脇から下ががら空きとなった。
その直後に襲いかかって来た右わき腹への突き攻撃は躱す(かわす)事が出来なかった。
続いた右脇の下への突き攻撃でダウンしてしまった。
この試合には防具の着用は一切許されない。
それもルールの一つ。
ただし己の体を防具並みに鍛えるということは許されているみたいだ。
たとえそれが筋肉の強化によるものではなく別の能力的なものだとしてもそれはOK。
そしてそのほかの制約は一切なかったと記憶している。
もちろん頭部や急所への攻撃もありだった。

「はあ、今日の昼はやっぱり『すっぱムーチョ』(駄菓子です)かなぁ?」
青空を見ながらつぶやいている私の目の前を白っぽいパンティとデニムのショートパンツが飛び越えて行った。
『C』と『D』、『H』と『F』の間に着地した『B』さんは『L』の繰り出す7連続左右ストレートパンチを両手で構えた竹刀で防御する、しかし最後の一撃でへし折られた。
至近距離にいた『H』の体が離れるのを待ってから『B』さんは左回し蹴りで『L』の後頭部に蹴りを入れようとする。
だが素早くしゃがまれて躱(かわ)された。
同時に『B』さんの足元を『L』の左足が襲い『B』さんはそれをジャンプでかわす。
空中でそのまま右に一回転をして再びその左足で『L』の頭部を狙った。
それを『L』は背面跳びで(躱して)かわして私の体を飛び越えるとファイティングポーズをとったところに『B』さんの左膝飛び蹴りが襲う。
「子猫ちゃん柄?」
私がつぶやいた時は既に『L』はそれを横っとびでかわそうとしてして危うく『J』にぶつかりそうになる。
その『L』が姿勢を崩した隙(すき)を畳んでいた膝を伸ばして上半身を右にひねった『B』さんの回し蹴りが襲う。
私が見届けられたのは正直そこまでだった。
二人の姿は私の視界からも消え去り、ユックリと動いている他の姉妹達と『ぼーっと』それをながめている私だけが残されていた。
何故か今だに『A』が両腕を上げてガッツポーズを取っていてまったく動かないのは摩訶不思議な光景だったが。

しばらくして実地訓練の終了を告げるサイレンが鳴り響いた。
ほとんどの組みの決着が終了したのだろうか?
やっと二人は姿を見せてかと思ったら二人とも息を荒げたままファイティングポーズを取り睨み合って(にらみあって)いた。
勝敗は判定持ち越しなんだろう、だけど私には青アザのある箇所でおおよその見当は付いた。
『B』さんは左二の腕、そして『L』は両足太ももに大きな青アザを作らされていた。
多分このまま続けていれば『L』は次第に動きが鈍くなってゆき『B』さんにとどめの一撃を受けていたであろうことは確かだったけど・・・問題は『L』が素直に敗北を認めるかどうかなんですけどね。
「チキショー、なんでトドメをささなかったんだよ」
悔しそうに『L』は言った。
あれ?あっさり負けを認めちゃいましたね。
「今日の勝ち飯は伊勢海老のムニエルなんですけど、私は海老がアレルギーでダメなので負け飯の『かっぱえびせん』と代わってもらおうかって」
『B』さんは両手を重ね合わせてお願いするように言った。
その必死さが昔、本当にエビ料理で痛い目に遭っているんだなって・・・・・あれ?なにかおかしいなぁ。
「遺伝子は全員同じだから一人だけ海老アレルギーだなんて有り得ない」
『L』が言い切った。それに確か数年前に実施されたアレルゲン検査では全員見つかってなかった筈。
「ウソだよね?」「ウソこきやがれ」
私と『L』が声を揃えて突っ込んだ。
『B』さんの顔色がみるみる青ざめていく。
「あー、えーと、私がお腹の中にいた時の女性が伊勢海老の食べ過ぎでー」
「いやいや、そんな話は聞いていないし、母体の食生活は関係ないって聞いているし」
と私、『B』がますます困った顔をしている。
なんかそれがすごく可愛くてもっといじめたくなってしまう、とてもこの姉妹の中で最強の戦士とは思えない。

私たちはベッドルーム隣にあるシャワールームでシャワーを浴びて再びグラウンドに戻るとすでに昼食の準備が済んでいた。
もちろん勝者には『伊勢海老のボイル』、敗者には『かっぱえびせん』という決まりだった。
私はもちろん『かっぱえびせん』の席に着いたんだけど『B』さんと『L』は今だに『かっぱえびせん』をめぐって対立していた。
念のために断っておくけど『伊勢海老』を奪い合うために対立しているわけじゃない。
割とどこででも売っている『駄菓子』の『かっぱえびせん』をめぐってにらみ合いが続いていた。
「可愛い末っ娘が相手とはいえ私はこれを譲る気は全くない!だって『やめられない!止まらない!』という強烈なキャッチコピーで爆発的大人気を誇っていた伝説の駄菓子ですもの、きっと私を大満足させてくれるに違いないわ」
右手で拳を振り上げ『B』は力説をした。
「てやんでぇ、『100円でかっぱえびせんは買えますが、かっぱえびせんで100円は買えません、悪しからず』という経済に不可逆理論を初めて持ち込んだこの神駄菓子を誰にも譲る気はねえ」
すぐさま『L』も右手で拳を突き上げ高々に宣言した。二人とも成願?の暁には同様なポーズをとり滝のように涙を流しながら『我が生涯に一片の悔い無し』とか言い出しそうだ。
「この姉である私の願いも聞けないと言いますか?」
『B』さんも一歩たりとも譲る姿勢をみせない。
「姉さんの願いとはいえそれは聞けねぇ」
『L』も一歩たりとも引く様子を見せなかった。
二人の姿がほぼ同時に私達姉妹たちの視界から消えた。ーもうすでに常人の域を逸脱した超高速バトルに突入しているのだろう。
「あれ?さっきまでいた『B』と『L』はどこに行ったの?」
と私と同じ負け組の『E』が話しかけてきた。
「2人は『かっぱえびせん』を巡ってバトルをしている」
というと彼女は『信じられない』と言いたげに私を見つめた。
まあ普通の人間ならそんな選択で戦ったりはしないだろう。
「あんたってあの戦っている最中のあの二人を目視できるの?」
唐突に聞かれた。
「なんでそう思うの?」
と私。
そんなことを思わせぶりなセリフなんて言ってはいないはずなんだけどなぁ。
「うちら姉妹の中で子猫柄のパンティなんて履いているのは『B』姉さんしかいないからだよ」
『E』は素っ気なく言った。
どうやらあのセリフを聞いていたらしい。
しかしチェック細かいな。
「しょっちゅう見えているわけじゃないよ」
本当にたまにしか見えていない。
私の視線と『B』さんの動きがシンクロした時だけは見える時がある、ただそれだけのこと。
「しっかし、『G』は羨ましいよな、『B』と『L』にしごかれて」
ボソッと私の後ろ側で『C』が呟いた。なんで?いつも私は二人に弄ばれているんだよ?
『B』さんはもちろんのこと『L』も私を追い詰めながらトドメの一撃を加えようとはしない。
「おいおいまぢでわかんねえのかよ、あいつらはお前『G』に自分らが見えていることを前提にして戦っているんだぜ」
『C』はこの中で一番『L』に近いキャラクターの持ち主だった。もちろん似ている部分もあるけど似ていない点も多い、多分距離感とか私に対してどれほどざっくばらんなのか見下しているかの違い?
「でも見えているだけですぅ」
私は拗ねたように言った。
それでどうなるってものじゃない、文字通り『見えているだけじゃダメ!』なはずだった。
それに対応するように体を動かすことができなければ結局やられっぱなしという事になる。
もしかして『C』も私と同じで『目だけは良い系』?
そういった疑問が湧いてきたがよくよく考えたらそれだけで勝率70%以上も稼げるわけがない。
「あいつらとやっていて手や足が何本もあるかのような錯覚をしたことはないか?」
言われてみれば確かにそういうことはある。
そんな場合に私は。
「空いている場所に手や足を出さざるを得なくなる」
「だろー、でもそれが正解だったりするんだよ」
『C』に言われてもにわかには信じられない。
『B』さんはともかく『L』は私をなぶりものにして遊んでいるとしか思えない時がある。

「他人事だと思って~」
愚痴しか出てこない。いくら私が頑張ったところで彼女らに指一本触れることさえ叶わない。
「でもそのおかげで『A』にある程度は対応できるようになっているやん」
「対応できているのかな?結局瞬殺されているような気がするけど」
「お前まぢでそれ言っている?あいつらの訓練がなけりゃお前、今日は少なくとも二回は死んでいるぞ」
そう言われれば2回ほど顔面を突かれそうになった気がする。あれをまともに決められていたら眼球から入った竹刀を脳髄に打ち込まれたり左右の耳ごと脳髄を貫かれたりしていたということだろうか?
「その代わりに横っ腹と脇の下に突きを受けちゃいましたけどね」
私は両手でTシャツを脇の下まで捲り上げて竹刀で突かれて内出血をして黒いアザになっている場所を見せて言った。
「お、おい、それアザじゃなくて完全に内臓に達している穴になっているんだが、本当に大丈夫か?」
『E』が驚き、呆れたように言った。
その穴から血がポタポタ、いやドボドボと溢れ出していて内臓が見えるような気さえした。
「あ、あー道理で、さっきから意識が朦朧(もうろう)としているのは」

私はその日は、いやその日もお昼の駄菓子にさえありつくことなく医務室送りとなった。

ーーーーーーーーー

私が医務室のベッドの上で意識を取り戻した時にはみんな昼食を済ませて各自に自由訓練に入る時間を過ぎていた。
私が横になっているベッドを覆い隠したカーテンの向こうで男の人が二、三人話している声が聞こえてきた。
「今日はお見えにならないとお伺いしていたのですが、どういったご用件でしょうか?」
へりくだった若い教師の声が聞こえてきた。
私たちの保健体育の教師だ。
常日頃からいやらしい目つきで更衣室とかうろついているので私たち姉妹から嫌われている。
「君たちの成果を見たくてね、進行具合はどうかね?」
声からしたらかなり年配だろうか?聞いたことがない声だった。
「まずは試しに年長の娘の朝食に一服盛って見ました」
聞き覚えのある声、確か食堂長の声だ。
それにしても一服盛るだなんて物騒な話だ。
「それで、結果はどうだったかね?」
再び年配の声、それに続いて保健体育教師が発言をする。
「いつもの攻撃本能と能力が倍以上になり対戦相手は竹刀で体の二箇所に大きな穴を開けられた重傷で今そこのベッドで寝ています」
まあ確かめることもなくその対戦相手とは私のことだろう。
それにしても・・・
「いや、我が施設における一番の落ちこぼれを一番のエリートであるはずの『A』が息の根を止められなかった時点で実験は失敗とみるべきでしょう」
淡々と食堂長が言った。
『実験?』
『失敗?』
胸をざわつかせるワードが並べられていた、だが頭の中に入って来ない。
私はさっきの実地訓練で本当に命を落としていた可能性があったということだろうか?
「その時は正規投薬量の半分程度でした、しかし今度は昼食の伊勢海老には規定量の約2倍ほどを投薬してみました」
頭の中が真っ白になった。
それはどれほどの効き目があるのだろうか?
「一種の麻薬と同じではないですか?それで戦闘能力そのものが飛躍的に向上するとは思えないんがが」
体育会系教師にありそうなドーピング効果の否定論者がいいそうなセリフだ。
「我らの技術力を疑うのか⁈」
年配の男が吠えた。
一体何者なんだろうか?カーテンの隙間からもその年配の姿は見えなかった。
食堂長の背中と保健体育の教師の顔だけは拝める。
「まあ見ていてください、きっと満足のいく結果をお知らせができると思います」
料理長が自信たっぷりに言うと教師がそれに続けて言った。
「彼女らには互いの相手が息絶えるまで、いや手足がもげて血まみれの肉片と化すまで戦いを続けるように料理の盛られた食器に暗示の文字が書かれてあります」
「それは構わないんだがどれくらいの戦力が残る予定だね」
年配の声に嫌な予感がした。
私は彼らの声とは反対の方から抜け出すことを考え始めていた。
「12人が4、5人に絞られればかなりの戦力になると思うが・・・」
そこから先は私の耳には全く入っては来なかった。
そばにあった包帯をぐるぐる巻きにして内臓が外にこぼれないように自分で応急処置を施してから私はグラウンドに向かった。
信じられない事に私は体に2つの大きな穴が開けられたまま放置されていた。
グラウンドに出ると情け容赦ない戦いが続けられているかと思いきやもう戦いはほぼ終了していた。
回し蹴りで『B』さんが『A』を仕留めるともう彼女と『L』以外動けるものはもう残ってはいなかった。
「一体こいつらどうしたんだ?」

グラウンドに転がっている姉妹たちを見下ろしながら『L』が言うと『B』も
『本当に、突然無差別に襲ってきましたね』
相槌を打った。
しばらくは再び自分らの姉妹が襲いかかってくるのではないのか?と警戒していた様子だったが私の顔を見た途端ホッとしたのか表情を緩めて歩み寄ってきた。
『L!』私が叫ぶと同時に『C』の蹴りで『L』の体は真横に吹っ飛び、続けて『F』の鉄アレイで頭蓋骨を粉砕されかけた。
『L』はそれを横回転でかわすと同時に素早く鉄アレイを奪い取り首筋を左手で叩き気絶させた。
その間に『B』さんは『C』の首筋に平手打ちを入れていた。
どちらも普通の人間が相手なら確実に絶命していた強さだろう。
「しつけーんだよ」と『L』は言いながら周囲を見回した。9人の娘たち、もう今度こそ動ける者はいなかった・・・と思いたい。
「どういうことなんだろーな」と『L』
「わからないけど突然に暴れ出したのは伊勢海老組・・・」
『B』さんが思い出したかのように呟いた。
私は恐る恐る倒れている2人を見ながら言う。
「私、理由を知っています、伊勢海老に薬物が混入させられていたって聞きました」
二人は顔を見合わせて『なぜ?』と問い返してきた。
そして私の口からさらっと出てきた言葉は・・・
『選別』
しばらく二人はそのまま黙り込んで考えていた様子だった。
けれど私の肩下から脇腹までグルグル巻きにした包帯から大量の血が滲み出ているのを見つけると再び同時に口を開いた。
「無茶するなってあれほど」
私は医務室で聞いた話をなるべく詳細に二人に伝えた。
少々欠落した話もあるだろうけどなんとか伝えられたと思う。
「それはちょっとまずいんじゃないかしら」
眉をひそめて『B』さんは懸念を表明した。
「その話が本当なら私達は今頃ここらは血まみれの肉片と引き裂かれた手足の山と化している筈」
眉間に皺を寄せて『B』さんが言った。
「下手に動けば実験は失敗とみなされてより確実な方法で殺し合いをさせられる・・・ということだな」
『L』は言ってから少し考えて両手を打った。『ママの真似をする?』
それはあまりにもシンプルな答え、しかしバレる可能性だってかなり高い。
「待って、それは最後にとっておいて今は別の方法を考えましょう」
『B』さんがそう言うと『L』はその手があったか!と納得して私に向かってこう言った。
「お前、先公に伝言してくれ、頼んだぞ?」
はい?やっぱり『L』は人使いの荒い妹だった。
私は激しく痛む包帯で幾重にも巻いた傷口を押さえながら再び医務室に戻った。
そして医務室の入り口前で、それはもうワザとらしく『バタッ』っと倒れた。
「お前いつの間に抜け出していたんだ、落ちこぼれは寝ていていいんだぞ」
保健体育教師、
「傷口がひらいたか?」
と食堂長。
そして奥から出てきたのはどう見ても30才もいっていない若めの男が冷ややかな眼差しで私を見下していた。
さっきまでは4~50代だとばかり思っていたが意外と若かったようだ。
「大変です、伊勢海老を食べた仲間が全員食アレルギーで倒れました」
「え”!」 
顔を見合わせた3人の顔が見ものだった。しかし・・・・・
「君って確か伊勢エビ食べていないよね?」
確かなツッコミ、いやいや
『かっぱえびせん』だってエビ使ってますからね。
ただし本当は私、それさえも食べていないんだけど・・・
「保健の先生、みんなを助けて、アナフラキーで、アナフラキーショックで死んじゃう」
そう言って力尽きバタンと倒れるまでが私の仕事だった。

保健体育の教師、食堂長、謎の男が駆けつけた頃にはもう準備は整っていた。
まあどこからどう見てもアレルギーの肌を打撲痕で再現、みんなにエビアレルギーになってもらったらしい。
とにかくこの一件から私たちのこの施設教師達に対する疑惑が芽生え始めたのは確かだ。彼らは私たちを一体どうしたいのだろうか?

どうやら、当学園は私たちに『デスマッチ』を強要することは今しばらくは諦めたようだ。
また以前のように退屈で平和な訓練づくしの毎日が始まるというわけだ。
ただし『A』に右脇の下と右横っ腹に派手な穴を開けられてしばらくの間、安静を命じられている私はそも訓練には参加しなくても良いことになっている。
すごく痛い目に合わせてくれた『A』だったが感謝こそすれ恨んだりはしていない。
最も食堂名物のプリンアラモードやフルーツパフェをお腹いっぱい食べることを今しばらくは我慢しなくちゃいけないのは辛いのはとても辛かったが・・・
しばらくは『B』さんや『L』が医務室に持ち込んでくれる駄菓子プリンやチョコレート菓子で我慢しようと思う。

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夢の中で私は一人の少年だった。
顔立ちはどちらかというと丸っぽくって『くりっ』とした丸くて大きな二つの二重瞼(まぶた)を持った瞳は互いに近すぎず、かといって離れすぎず、小高くこじんまり整った鼻やや少し薄めの唇はいわゆる大手美少年アイドル事務所のタレントみたいで『僕』自身はあまり好きじゃなかった。
この顔立ちは親から頂いた遺伝子だから仕方がないとしてこの華奢な細い腕だけはなんとかならないものかと常日頃思っている。
自分のベッドの上で目が覚めるとアラーム設定時間からもう既に30分ほど過ぎていた。
「なんでもっと早く起こしてくれなかったんだよ」
『僕』はお勝手で忙しそうに親父や『僕』のお弁当作りに励んでいる『おふくろ』に対してついつい愚痴をこぼしてしまう。寝坊したのは夕べ夜更かしをして朝起きれなかった『僕』のせいだから逆恨みもいいところなんだけど・・・
リビング兼ダイニングには親父と可愛い妹がいて先に朝食を食べ始めていた。
傘のメニューは白いご飯に生卵、スクランブルエッグに目玉焼き、厚焼き玉子ってどんだけ卵づくしなんだよ!
流石に今日は食欲がなかった、のでご飯はパスしてスクランブルエッグと目玉焼きだけは腹のなかに流し込んで、ゆで卵は学ラン上着の右ポケットに放り込んだ。
お袋が投げ飛ばした弁当箱を受け取ると『僕』は一目散に玄関を飛び出して自転車にまたがると自分が通っている『中学校』目指して全力で漕ぎ始めていた。

「遅かったじゃん『ユーキ』はよぉ」
親友の『サトシ』が気軽に声をかけて来た。
「踏切が詰まっててよぉ」と僕。
「なんだよぉ、踏切前に可愛い美少女がいっぱいつまっていたか?」
『サトシ』は『僕』を指差してケタケタと笑い出した。
まあ失礼ではあるけどいいやつだ。
「お前美形だしモテモテだもんな」
冷やかすように言うが悪い気はしない、ただそれを時々重荷に感じてしまうことはあったが・・・
隣のクラスの『さとみ』ちゃんが窓の向こうの廊下から必死にアイコンタクトを取ろうとしている。『僕』が席を立ち歩いて廊下に行くと彼女は待ちきれなかったかのように一気に喋り出し始めていた。
「今日の帰りお買い物に付き合ってくれませんか?」
やっぱり?予感は的中した。その買い物というものも自分に対して買うものではなく、恐らくは『僕』に送りたいモノの買い物なんだろう。
「じゃあ放課後、自転車置き場で」
そう約束してその場は別れてあっという間に放課後がやってきた。
どちらかというと体温が低めで寒がりなので今だに冬服を来ている僕から見たら夏服を着て半袖の『さとみ』ちゃんのむき出しになってあらわな細くて白いしなやかな両腕は『僕』の眼にはとても眩しく映った。
『僕』は自転車にまたがり漕ぎ始めようとしたんだけど跨ごうともしないで押して歩き始めた彼女を見た僕も同じように自転車を降りて押して歩き始めていた。
『ごめんね』
彼女はいきなり謝り出した。
何を唐突に、と思ったが昨日までは生理痛がひどくて休んでいたらしい。
脳裏に一瞬血の塊が浮かび上がり吐き気を催したがなんとか彼女には悟られないようには出来ていたと思う。
「別に『僕』は急がないから明日でもよかったのに」
そういうと『僕』はすぐ目の前の大きな建物を見た。
この辺界隈ではすごく名の知れた大型商業施設だ。

『さとみ』と一緒の買い物は楽しかった。
彼女は自分が興味のある可愛いぬいぐるみや置物などを目にすると一目散に走り出し手に取り両手で高々と掲げて『可愛い!』と大絶賛をした。
そして美味しそうな甘味飲み手を見つけると容赦なく僕の学ランの袖を引っ張って走り出した。
僕は彼女の甘くてとろけそうな笑顔を見るのが大好きだった。
そして日がすっかり暮れて『僕』たちが店を出る頃、『僕』が両腕に抱えていたのは全長が1メートル以上ありそうな『緑のワニ』のぬいぐるみだった。

彼女と別れた一人での帰り道『僕』はいつもとは違う嫌な予感を感じ始めていた。
誰かに尾行されている、そんな感じだ。
生い茂った雑木が視界を遮る一角を右に曲がると『僕』はうっかり後ろを振り返ってしまった。自転車の前輪が何者かに右に強く蹴られると『僕』の体は自転車ごと雑木の群れの中に叩き込まれていた、折れた小枝が手や足、そして背中などに突き刺さり痛い。
妙な具合に雑木の罠に捕らえられて身動きが取れない『僕』を見下ろしていたのは『僕』のよく知った顔、学校の保健体育の先生だった。
「オメーは女なんだよ」
突然、先生は『僕』に対してそう決めつけた。
学ランのボタンとボタンの間にゴツい左手を入れられたと思ったら一気に引きちぎられた。そのスピードがあまりにも早くて見抜けなかったが、その左手には肉厚の黒光りをしたサバイバルナイフが握られている。
『僕』の上着もカッターシャツも、『僕』の胸を隠し通せなくなってしまった。
まだ下着に隠されているとはいえ小高く上むきに膨らんだ二つのそれ、それは僕が見たくなかったものの一つだ。
しかしそれだけでは終わらなかった。
先生はスーツのポケットからもう一つ折りたたみ式のナイフを取り出して伸ばし『僕』のズボンのベルトに引っ掛けると一気に切断した。
「やめろー!」僕は叫ぼうとするが恐怖で声が出ない。
ナイフの刃先はあらわになった『僕』の下着に突き立てられていて、ズボンのホックを破壊した。
「どんなにあがいても女なんだよ」
『狂っている』
そう思ったが手足のあちらこちらに枝が突き刺さり宙ぶらりんな状態で身動き一つ取れなかった。先生はこうなることを計算の上で『僕』をここに誘い込んだのかもしれない。
「やめろー」
再び叫ぶ、運が良ければ誰かが聞きつけて。助けに来てくれることを期待して。
「叫んでも誰もこないさ」
先生は断言した。
『僕』のズボンを引き摺り下ろすと、『僕』の血色の良いのツルツルした太股があらわになる。
すね毛一つ生えていない、『僕』が嫌いなところだ。
その際に二つのナイフの刃先が両太ももに触れて二本の線を刻み込んだかと思ったら真っ赤な鮮血が吹き出した。
「生意気にブリーフなんて履きやがってお前ら女はおとなしくパンティでも履いていりゃいいんだよ、ヤリやすいしな」
うっすらと笑みを浮かべながら先生は良いそのブリーフの内側にナイフを侵入させると一気に切り裂いた。『僕』の大嫌いな『私自身』が少し露(あら)わになる。
色の薄い縮れた細かい毛を牽制は折り畳みナイフで剃り始める、下手に動けばどうなるか想像がついたので恐怖で硬直して動けない。そうしてそれは確実に私の目にも、そしておそらくは先生の目にもその姿を晒し初めていた。ピンク色の盾に前からお尻の方にかけて伸びる割れ目を持つ柔らかな小高い丘。
ほぼ月に一回律儀に血を流して腹痛や頭痛、悪寒と共に、『僕』から冷静な思考力を奪う忌まわしき『私自身』、先生はサバイバルナイフを持ったままの左手でカッターシャツの下に着ている下着を切り裂きながら裂け目から忍首筋で引くとそのナイフを投げ捨てて決して小さいとは言えない二つの膨らみの一つを乱暴に揉み始めた。全身を電流が駆け抜けたかのように。
『僕は体を痙攣させて息を荒げる。
「やめてー」
出せる声もだんだん小さくなってきた。先生は右手の人差し指と中指で『私自身』を摩り始めてその谷間に指を潜り込ませた。
声にならない絶叫を雑樹林が吸収する。先生は私に私の手首よりも太いモノ、先端が亀の頭のような形状のそれを下ろしたズボンのチャックから引き出していた。


私、いや『僕』がそれから家にたどり着き自分の部屋で膝を抱えて泣いているところまで『僕』自身の記憶は存在しない。
きっと乱れた服を隠しながら股間を伝う異臭を放つ液体でズボンの裾まで濡らしながら両親や妹に悟られないように部屋の中に入ったのだろう。
特に好きだったわけじゃないが同じ男として尊敬していた、保健体育の先生にあんなことをされてショックだったというせいもあった。
しかしそれよりも自分自身の体が自分が一番忌み嫌う『メス』だったことを嫌という程思い知らせれたのが一番キツかった。
数週間体調不良で休んでからの自分は人とはほとんど話さなくなった、
今まで楽しかった女子との会話も嫌悪感を感じるようになり、男子とも一線を引くようになった。
それでも『僕』は一応男子の制服を着て学校に通っていたし普通に勉強もしていた。
ある日再び保健体育の先生に運道具置き場にしている倉庫におびき出されて拉致され、前回の暴行動画をネタにして脅され乱暴れるまで。どうしてそんなものが存在したのかすぐには理解できなかったがあの現場にいたのは保健体育の先生だけではなかったことをその時になって知ることになる。保健体育の先生の背後からニヤニヤ笑いながら出てきたのは世界歴史の先生だった。
確か歴史修正主義者と男子の間でも(悪い意味で)評判だった・・・多分それは今回の件とは関係ないだろうけど。
気がつくと私は体操着のまま高飛び用のマットの上に転がされていて乱雑に引き摺り下ろされていた自分のズボンとトランクスをぼんやりと眺めていた。
『もしもまた同じ事になっても相手にドン引きされて無事に住むかも』
そんな甘い考えでブリーフから履き替えたがなんのご利益もなかった。

『僕』が両目から大粒の涙を流して泣いている、私はそんな彼を後ろからそっと抱きしめようとしたがすり抜けてしまい触れることさえ叶わなかった。

『僕』はそのまま教室に戻ることもなくまっすぐに家に帰り、そして部屋に閉じこもってしまった。
両親も妹も心配をして何度も部屋のドアをノックしてくれるがドアに鍵をかけた私が畳半畳分のスペースから動くことはほとんどなかった。
「このまま君はここで死ぬ気?」
背後から誰かの声が聞こえた。
気のせいだろう、この部屋には僕一人しかいない。
「ご飯食べなきゃ飢え死にしちゃうよ?」
再び声が聞こえた。しかし振り返っても誰もいない。『僕』は思い切って小声で返事をしてみた。
実際は声にならなかったかもしれない、それほど『僕』は落胆していた。

「食欲ないしもうどうでもいいって感じ」と
「うーん、それもいいかもしれないけど君は私のように横っ腹に大きな穴が空いているわけじゃないし甘いデザートなんか食べるべきだと思うけど」
なんで私なの?と疑問を持ちがらも『僕』は少し苦笑いをして言った。
「君は『僕』が甘いものが苦手なのを知っていてわざとそう言っているのかな?」
「ごめん君はまるで『L』みたいだね」
自称私に返されてしまう。
「それで君はこれからどうするつもり?」
「・・・『僕』?自殺して親を悲しませたくないしなぁ」
「そのままここで膝を抱えたまま我慢していてもおしっこやウンコを漏らしちゃって大変だよ、最も首吊り死体はもっと汚いらしいんだけど」
「君は面白い子だなあ、どこから『僕』を見ているのかな?」
どっちが自分なのか、自分の視線で見ているのか、曖昧になってきた。
目の前の『僕』は周りをキョロキョロとみまわ・・・さなかった。
さっきからほとんど膝を抱えて自分の足のつま先だけを見つめている・・・いや、目を閉じて眠っていた。
私は急に不安になり始めていた、私は単に夢の中の傍観者だったはずだ。目の前の光景を突然にリアルに感じられるようになり始めていた。
そして目の前の『僕』は何の反応も示さなくなっていた。
近づいて触れようとしてもすり抜けるだけ、声をかけても応答もなし。

さっきまで彼は何をしていた。最近の彼はどうだったのか?
私は足りない脳を全開にして思い出し考えた。
最初のレイプ事件から『僕』の体には彼の言っていたいわゆる『月もの』は下りてきていないという。
つまり妊娠の可能性で悩んでいた。
そして今日の暴行事件、『僕』の心にとどめを刺したとしていても何の不思議もない。
そして『僕』の足も他に大量に落ちている空になった錠剤シート、それはおそらくは『睡眠導入剤』。
『僕』はあの時から不眠が続いて常に病院で『睡眠導入剤』を多めに処方してもらっていたんだろう。
このまま放置しておけば彼はほぼ間違いなく命を失う、しかし今の私に出来ることといえば・・・

ーーーーーーーーー

私と『僕』は病院のベッドが一つしかない病室の開かれた窓に仲良く腰掛けていた。
『僕はなんでこんなところで君と座っているんだ?』
不思議そうに彼は言う、目の前ではベッドから起き上がった元『僕』、由紀がぼんやりと自分に抱きついて泣いている両親と妹を見つめていた。
『なんで?僕は人生に絶望して大量の睡眠導入剤を飲んで死んでいたはずなのに』
そんな彼を見て私はクスッと笑った。
そしてそっと抱き寄せて言う。
「君の体の中にもう一人の人格があってね、いつも彼女はヒヤヒヤしながら君を見つめていただけだったの」
「由紀、あんな目に遭わされて辛かっただろうな、俺が奴を弾糾するから・・・」
父親は由紀に抱きつきながら涙を流していう。

「私は君の中にいる彼女の存在に気がついて手伝ってもらっただけ、『一瞬でもいいから意識を集中させて立ち上がって』、本当にそれだけ、また意識を失えばぶっ倒れて大きな音ががして家族の人達に気付いてもらえるからね」
目の前で由紀は泣いている父親の頭を撫でながら力強く言った。
「大丈夫よ、お父さん、彼とは自分でちゃんと決着をつけるから」
それを見ながら元の僕は呟いた。
「なんであの子、彼女は僕よりも強いのかな、女の子なのに」
その疑問に対して私はためらうことなく「女の子だからよ」と答えた。
私は『僕』が今後の『由紀』を心配していたから数日後の彼女を見せてやることにした。
彼女は中身(心)が女性になっても相変わらず学ランを着て登校して周囲を驚かせていた。
保健体育と世界歴史の教師にされていたことは全てクラスの全員はもとより学校中に知れ渡っていたけど本人が包み隠さずあっけらかんと公表してしまった。
その上にその先生達に対しても強気で話しかけていたので逆に彼らのほうが居づらくなって登校しなくなり自ら退職する羽目となった。近々証拠さえ揃えば書類送検されて逮捕も視野に入ってくるだろう。
そのはずだった。

教室の中での由紀は男子に対しても女子に対しても普通に女言葉で喋っていた。
男子の中の一人が由紀に聞いた、『なんでセーラー服じゃなくて学ランなんだ?』と。
それに対する由紀の答えは明快だった。
笑いながら「だって足元がスースーするから」
それを聞いた途端に女子を含めた全員が一斉に笑い転げた。

だけどまだ彼女には大きな問題が残されていた。
やはり最初のレイプの際に保健体育の教師が彼女の胎内に解き放った大量の精子がたまたま排卵されたばかりの卵子を受精させていて『由紀(ユーキ)』は妊娠させられていた。
着床してから月日が経ち過ぎていたせいでもう(この世界の)法律的に堕胎出来なくなっていた。
やがてお腹の張りが目立つようになり由紀は退学をせざるを得ない状況に追いこまれていた。
もちろん彼女は純然たる被害者であり問われるような非があるわけではない。
だが学園側は世間体のみを気にして由紀を「一身上の都合」というもっともらしい理由で退学させる事にしてしまったようだ。
しかも警察も保健所も検察もどこも動いてはくれなかった。
世界歴史の先生のバックにはこの国を自由に操れる程の大物政治家がついていてあらゆる方向に手を回したらしい。
かくして由紀は全校生徒の支援も虚しく学校を去る事になった。

1人校門を出た彼女を待っていたのは両親でもなく妹でもない、
他ならぬ『さとみ』だった。
もとより『由紀』は家を出て1人で生活を始めるつもりでいた。
家族に対する近所の人たちの嫌がらせも度を越していたから。
「どうして?」
戸惑う『由紀』を前に『さとみ』は涙ぐみながら言った。
「どうして1人で行っちゃうの?」
そう言ってから続ける。
「あたしも退学届出してきたんだよ?」
そう言いながら『さとみ』は『由紀』に抱きついた。
「私はもう君が好きだったユーキじゃないんだよ?それに私のお腹にはあいつに植えつえられた子種がいる」
『由紀』がそういうと『さとみ』は急にしゃがみ込み膨らんだお腹に耳を当てた。
「あたしが好きなのは『ユーキ』じゃなくて『由紀』なんだよ?そして今、このお腹の中にはあなたの子供が生きている、父親が誰だろうがあたしにとっては大事な命だよ?」
『さとみ』はそう言ったが『由紀』は戸惑いを隠せないようだった。
「あなたは女の子だよ?こらから、私なんかよりも好きな男の人ができるかもしれないじゃないその人と幸せな家庭を築いて欲しいの」
その一言でボク、『ユーキ』は理解したようだった。
『さとみ』を好きだったのは『由紀』も同じ、いやそれ以上に好きだったのだと。
「あたしの好きな人は男の人とか、女の人とか関係ない、あたしには『由紀』以外考えられない」
「だけど私の家は貧乏だし共働きで妹も変な噂をながされて学校でいじめられているってきいたか・・・」
『由紀』の言葉を『さとみ』を急に背伸びをした『さとみ』の唇が塞いだ。
「だから2人で家を出て遠くで暮らそう?」
突拍子もないことを言い出した、と『ユーキ』も、そして私、『G』も思った。
『由紀』に至ってはもっと驚いただろう。
「あら?あたしはこう見えてもC言語からアセンブラまでなんでもこなせちゃうプログラマーだって知っていた?」
自信たっぷりに『さとみ』は言った。
「あなただって特技があるでしょ?イラスト描いたり、物語を書いたり」
少し驚いた表情をして『うん』とうなづいた『由紀』に『さとみ』は極上の笑顔でトドメの一撃を与えた。
「これからはシングルマザーの時代じゃなくてダブルマザーの時代でしょ!」
自信たっぷりに言った『さとみ』の瞳も潤んでいたが『由紀』の二つの瞳から大量の涙が溢れ出していた。
そしてつぶやく。
「ありがとう」


『もう僕って要らない感じだな』
ユーキは悲しげに、寂しげに言う、そんな彼を私は両腕でぎゅっと抱きしめた。
『私は君が大好きだよ、行くところがなければの話だけど、一緒に行こう』
誘ってみた。

目がさめると私はボサボサの髪の毛のままベッドの上で起き上がりぼんやりとしていた。
ベッドの隣のトレイ台車に散髪用のハサミと手ごろな大きさの手鏡が乗っていることに気がつくと私はそれらを手にとり胸まで伸びていた自分の長い髪をバッサリと肩の上まで切った。
見舞いに訪れた『B』さんと『L』にびっくりした顔で『なんで?』と聞かれたけど私は微笑んで『気分転換』とだけ答えた。

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私の傷が治ってきてからさらに数ヶ月経ったある日のこと私たち姉妹は施設の中央にある会議室に集められていた。なぜか全員指定の体操着でとのことだったが。
あの『伊勢海老薬物混入事件(私たちはそう呼んでいる、最も私たちが所属している組織的にはあくまでも最初から予定されていた計画だったらしいけど)』以降は表立って私たちにデスマッチ的なゲームをさせようとはしなくなったようだ。それならそれで私が横っ腹と脇の下に穴を開けられた価値?があったというものだけど。
「一体なんの話があるっていうんだよ」
早速、『L』が愚痴っている、この会議場は高々十数人が入るには広すぎた。
私たちが入室してからしばらくして十数人の教師たちが入ってきた。たまにしかあったことのない顔もいれば始めて見る顔もある。私たちと教師たちは間に10メートル以上間を開けて向かい合わせに席についていた。ただ席順は決められてはいないようだったけど、私の左隣には『L』が、右隣には『B』さんが当たり前のように腰掛けていた。
「ま、ここはみんな硬くならずに肩の力を抜いて私たちの話を聞きたまえ」
写真でしか見たことがなかった人が口を開いた。確か校長先生だった気がした。
「肩の力を緩めて?」
突然『B』が珍しく眉をひそめて校長先生に突っかかった。
「ああ、ここにいるのは我々と君たちだけだ、それに今日は試験のようなことは一切しないから安心したまえ」
「ああおっしゃっていますから」と『C』
「それで率直に言うとこれから君たちには一仕事働いてもらおうと思っている」
上から降りてきた半透過のスクリーンに横30、縦15の列で大勢の顔写真が表示されていた。その一つ一つにさらに細かい文字でフルネーム、性別、年齢が書き込まれていた。
「この人達は一体?」
『K』がおずおずと尋ねた。まあ下から二番目ですから弱気になるのは当たり前で、『L』が異常に強気なだけで。
「こういうシチュエーションだと大抵全員始末しろ、だよな?」
『L』がヤスリで爪を研ぎながら言った。ここにいるほぼ全員が生唾を飲み込む。
「そうだ、ここにいる政治犯を始め思想犯およびテロリストを殺害してほしい、それだけだ」
「あたいらが嫌だと言ったら?」
『A』がすかさず反発をした、二度も薬物を盛られて姉妹殺しに加担するところだったのだから反発しない方がおかしい。
「誠に残念な話だが君たちにはその選択肢はない」
校長が冷たく言い放つと『B』さんはここにきてからやっと少し微笑んだ。
「つまり、そういうことなんですね」
『B』さんはまず校長先生のすぐ左隣を指差した。
「そこにひとりいらっしゃいますよね?、さっきから時折、超高速移動をなさっていらっしゃる御様子ですが」
「へーそうなんだ、俺には時々チラチラざわついているノイズしか見えないんだが」
『L』がキョロキョロ見回しながら続けて言った。
「これほど手強そうな殿方たちが少なくとも他に5、6人はいらっしゃるのにどういった御理由で私たちをこのような面倒ごとに巻き込むのでしょうかね?」
「B』さんはマジでブチギレる3秒前かもしれない。右側の眉毛がさっきから何度も『ピックピック』と引きつっている。
「これも君たちに対する訓練の一環だよ」
保健体育の先生が口を挟むようにいった。
『B』さんはそれを聞いて深くため息をつくとなぜか用務員に向かって喋り始めた。
「わかりましたそういうことにしておきます、それで計画の実行はいつ、どこででしょうか?」
「やけに物分かりがいいな、不気味なくらいだ」
見覚えのない・・・、いやあの日医務室で話し合っていた3人のうちの一人、謎の男だった。
「仕方がないでしょう?、ここで戦えば私たちはものの数十秒で血まみれの肉片になってしまうのですから」
一番グズな私でもこの会議室に充満している何者かの気配が私たち姉妹12人分の能力を遥かに凌駕している何者かが存在しているのはわかった。なんかよくわからないが妖怪みたいなのが渦巻いている感じ。
「それで俺たちはどうしていれば良いのですか?すぐに実行ですか?」
珍しく腰を低くして『L』は尋ねた。
「今は君たちが始末する対象がこれだけいるということさえ覚えてくれれば良い」
校長先生はそう言うと手にした葉巻を咥えた。
それに火をつけようとしたところに上から水が降ってきた。
「今バケツで水を校長先生に水をかけた黒づくめのイケメンが『ここは火気厳禁です』と言ってましたよ?」
私が校長先生を指差して言うとここにいる『B』さんと『L』を除いた全員が一様に驚いた顔をした。最も良い意味ではなく悪い意味でだったが・・・
しばらく沈黙が続いたのち校長先生が口を開いた。
「いや、妄想はいらないから」
「クラス一番の落ちこぼれに見えるわけないよな」
保健体育の教師。
「甘いものだけならぶっちぎりなんだけどな」
食堂長。
いや、私、マヂ発言だったんですけど、これじゃぁきっとおしっこかけられても気がつかないと思いますよ?それどころか私たちの中には・・・
『処女奪われても気がついていない奴いるしな」
『ぼそり』と『L』がつぶやいた。
道理でさっきから妙な挙動や喘ぎ声を出している姉妹がいるわけで・・・「え?じゃあ私も?」、思わず小声で叫んでしまった。
そう言われれば膝の上に何かに乗られて股を広げさせられたような気がする。
「心配しないで!あなたの処女は私と『L』のものだから!」
「あの、もしかして私たち全員がブルマ着用でここに呼ばれたのはそっちが目的だったんでしょうか?」
「なんでそう思う」と『L』。
「いえ、さっきから挙動のおかしい姉妹は5、6人はいるし、ブルマが変な感じにずらされて中から突然溢れ出した液体で濡れちゃっている娘もいるし」
「時々男性教師をたぶらかして情報を引き出そうとしていた私たちならわかるんですがなぜあなたが・・・」
『B』さん、あなたは私なんかに男性経験などある筈がないと言いたいわけですね?確かにありませんよ?リアルではね!
これは紛れもなく『ユーキ』の記憶によるもの。
「いいよ、こいつの天然は今に始まったことじゃねぇし」
『L』はそう言いながら『私の膝の上に向かい合わせになって跨って乗り私の乳房を揉もうとしていた何か』の頭をど突いていた。
そいつは続く『B』さんの拳から逃れようと私の膝から飛び退こうとしたけどそれは叶わなかった。
「だってそいつの両手首は私がしっかりと握っちゃっているもの」
私は暴露をした。
そいつはかろうじて『B』さんの拳を避けた。
「さあ何者かは知らないけど私に胎にタネを植えますか?」
自分でも信じられない言葉が口から飛び出していた。
ー君の体って本当におもしろいねー
いつかの聞き覚えがある少年の声が私の心の中でこだました。
ー姉妹たちの仕返しだから好きにしていいよ、君自身の仕返しもあるだろうからねー
はっきりとわかったわけじゃないけど私の前にいるそいつが生前の彼を苦しめていたそいつと同類なのは薄々感づいていた。
さっきから私のブルマをパンティごとずらして穴を弄ろうとしていたそれを自分自身の腰を動かすことにより誘導して巨根のー挿入を許してあげる。
両隣で二人が真っ赤な顔をしているけど気にならない。
今目の前に私と向かい合わせになって腰掛けているのはまぎれもない雌雄同体の人類だった。
見るからに華奢な体つきに頭部に生えた雄山羊のようなツノ、豊満な二つの胸の膨らみに股間に長く生えた巨根、その先っちょが私の女の子に突き刺さっていた。
『あ、今度は二人とも、いやここにいる全員が青ざめてドン引き状態だ』
私は心の中で呟く。
でも彼は自分の姿がここにいる全員に晒されていることにまだ気がついていない。
「うん、世間一般というか、昔の本に載っていた『悪魔』の姿に似ているけどかなり違うね、顔だけはイケメンだけど」
私はその『悪魔』の顔に自分の顔を近づけるとそっと唇同士を重ね合わせた。
「あなた達が私たちのお父さん達ってことでいいんだよね??自分の娘達と交わる今の気分はどう?」
返事はなかった。
予想はしていたことではあったけど。
「他の方達も動かないで、お楽しみ中の方達も含めてだけどど、このパパの命は私が握っていますんで」
私はそういうと自分の腰を激しく降り始めた。
自分の女の子の中で「悪魔」の長くて太い巨根の先は激しく揺すぶられて、擦られて、堪え切れなくなって溜めていた液を大量に私の胎に放出した。
全身をエモすぎる快感が貫き私はそれを一旦身体のどこかに取り込んで成分や含まれる細胞類を解析、加工処理を加えた後に自分の女の子からそれを『悪魔』の巨根と口の中に流し込んだ、もちろん私自身のDNAも織り交ぜて。
「多分残念だけど私たちはあなたの娘さんは孕めないんで、なのでもうあんな悪夢のような実験はやめてもらえませんか?」
顔を離してそういった私と彼の唇から少量の白濁液が溢れて滴り落ちていた。
「これからあなたには私とあなたの間に出来た子供を産んでもらうからね、何十年先になるかまではわからないけど」
施設の連中、特に校長先生が青ざめた表情をしていた。
「ではもうひとり、いえ、ここにいる全員私の相手をしてくれますよね?」
私はにっこりと微笑んで言った。

ーーーーーーーーーーーーー

「まぢで12人も相手にするとは思わなかったぜ」
ベッドルームに帰ってきてから『L』は呆れたように言った。
「それにしても最近の『G』、少し変わってきたと思っていたけど何があったの?」
いきなり単刀直入に『B』さんが聞いてきた、しかも呼び捨てになっているし。
私は最近見た不思議な夢の話を二人にした。もちろんきっと馬鹿にされて鼻で笑われるに違いないと思っていたんだけど。
「あなたが一般人を吸収?」
最初は眉間にしわを寄せて考え込んでいた『B』さんだったけど。
「なぁるほど、それなら一般人と私たちの体のつくりが、というか挙動が全く違うことに気づいて当然ね」
うんうん、でも驚くのはこれからですよ。
「あの、彼が生前一番苦しんでいたことなんですけど生理って、月経ってどんなものか知ってましたか?」
あーやっぱり、と思った。
それはここにいる誰も考えたことがなかったことだ。
自分たちには最初からそれがなかった。
それが当たり前だと思っていた。
「彼がすごく私の体に興味を持ってくれてね、自分が女性の体持ちだった頃に不快に感じていたことなどをそのまま覚えてくれて私の体と比較してくれたの」
そして彼が出してくれた答えは・・・
「私たちの体自身が人類の、女性の模倣品だったというわけ、一応生殖機能に該当する部分はちゃんとあるんだけど、機能していないというか、私たちは成長してもここの星の男性とエッチをしても子供を作れない」
それもそうだ卵巣によく似た器官はあるが卵巣自体はない。
卵管や子宮に関しても全く同じだった。見た目はそっくりだけど、ってやつ。
それに対してあいつらは・・・、私にはおおよその見当はついていた。当たっているかどうかは知らんけど・・・そこで私は一つの仮説を立ててベッドの前に広げた大きめのノートに図を書いてみた。

人類なら・・・
女性→卵子→受精→懐妊→胎児→出産
______↑__________
男性_精子→射精___以降用無し?

となるべきところが

娘達→受卵→付精→送卵→母性化?
___↑_____↓_____
悪魔_卵素→準備→受胎→胎児→出産(どこから?)

「こんな感じ!わかる?わかるよね!」
少し造語が混じってはいたけどノートに図を記入した私は自慢げに二人に対して勝ち誇っていた。
「なにこの構図は?実は悪魔の方が人類よりもフェミニスト?」
横から割り込んできて『F』が疑問を述べた。
「巨根は『一方通行』ではなくて『相互通行』ということでしょうか?」
少々の間をおいて『B』さんは自分の質問を述べた。
「で、あのキッスは意味のある行為だったのか?」
『L』が追い説を求めてきた、そこまでは正直考えていなかった。ただ『キッスがしたいと身体がムズムズと』なんて言ってみたところで信じちゃもらえないだろう。
かと言って・・・
『不足分のミネラルタンパクを送ったとか?』
「フザケンナ!」
やはりその一言で片付けられた。
「まあまあ、皆さん、私の『G』を弄るのはそれくらいにしてくれませんか?」
『B』さんはそう言うと私が書き込んだノートの隣のページに別の図を書き込み始めた。

さぬきがわ
___________子A____子B______
悪魔(異星人?→射精→↑_→射精→↑_→以降ループ
________↓__↑__↓__↑____
成長不安定少女→実験→受胎→実験→受胎→以降ループ

「先生たちから集めた情報とかを聞いていたところこんな感じかな?なんて思っていたけど・・・不可解な点が多くて・・・」
『B』さんは一旦語尾を濁らせて『子A』『子B』にバッテンをつけた。
「よく考えたらこれでうまくいくくらいなら私たちをあの部屋、会議室に集める必要なんてなかったんですよね」
「だけど、この実験は成功することがなたったと」
『B』さんのセリフを受けるように『C』は続けた。
「さっきの『G』の話を聞いていて気がついたんだけどそもそも彼らがつがいの体内に放出していたのが人類の男性が女性の胎内に放つそれと同じとは限らない、ということも考えるべきだと思うの」
『B』さんはノートのページをめくり別の図を書き出した。
さぬきがわ
___________子A____子B______
___________↑_____↑____
成長不安定少女→実験→受胎→実験→受胎→以降ループ
________↑_____↑_______
成長不安定少年→射精→改良→射精→改良→以降ループ
___↑_______↑_____↑__
悪魔→魔改造→→→→→魔改造→→→魔改造_以降ループ

「少し複雑になったけどわかるかしら?」
『B』さんはそういうと周囲の『妹』たちを見回した。
ただ一人の『姉』を除いてだったが・・・。
私を除いてほぼ全員が理解できた様子だ。
『魔改造』とか『改良』の意味がいまいち理解できなかったけど多分他の娘たちは理解できていたのだろう。
そう思いたい・・・、後で聞いて回ることができるから・・・
今『先生、わかりません』と言うべきなんだろうけどなんか『L』の目が『それは許さんぞ』とばかりに睨みつけていたから・・・
「彼らは古来よりこの星の人類と交わり子孫を残すことを試みたけどそれらは全て失敗に終わった、男性よりも女性の方がかつての彼らの『つがい』に姿が似ていて、さらに大人の女性よりも年端もいかない少女の方がより近かった」
『B』さんはそういうと一旦前のページに戻り図に大きなバッテンをつけた。
「だけどそれは失敗に終わり、ほとんどの少女たちは闇に堕ちて、快楽のみを追求するようになり、肝心の受精卵も採取できなかった」
『どっかのアダルトゲームみたい』
頭の中で少年ユーキが苦虫を潰したような表情でつぶやいた。
うん、彼って潔癖症だったからね。
『B』さんは再びページを戻して続きを説明し始めた。
「そこで彼らはこの国に殺人などの凶悪犯行に手を染めた、しかし年齢の幼さゆえに女子留置所に入れられない不良少女達の為の『国立さぬきがわ学園』と同様な不良少年達の為の『国立こじろう学園』の二つの再教育施設の存在があるに気がつきこれを利用することにした」(この世界線での話です)
『B』さんは『成長不安定少女』と『成長不安定少年』の二つを大きな楕円で囲み続けて解説し始めた。
「多分彼らは驚愕したと思う、この世界の『男性』と呼ばれているものたちがこれほどまでに子孫繁栄に関しては『低機能』だったのか?と、実際に種付け行為(受精)以外は全て『女性』に丸投げでしたからね、そこで生殖機能を含む肉体改造などは『女性』に対しては行わずに『男性』のみを改造することにしました」
私はそこで気になり出したことがあったので確認を取る。
「その情報を先生に聞き出す手段というのは私自身にはどうってこともないんですが私の中の『ユーキ』がすごく嫌悪感を感じちゃって・・・早い話が私さっき食べたものをここで吐いちゃっていいですか?」
もちろん速攻で『L』様に『No!』を頂きました。
そして『話を勝手にそらすな!』とも。
「もちろん確信したわけじゃないのですけどその卒業間近の男子生徒に施された魔改造というのは肉体の強化、過去への一方通行のみの限定的タイムリープ、そしてそれを応用した奥歯に仕込んだ加速装置、じゃなかった加速能力(時間速度操作能力)を少年達の肉体と精神に組み込みました」
「あ、今さりげなくパクリワードぶっ込んで何事も無かったかのように続けやがった」
『L』は鋭く突っ込んだが『B』さんは鰈(華麗)にスルーした。
それよりも問題は『A』だ、『なんて素敵な魔改造かしら』とうっとりしている。
何を想像しているんだろうか?
「そしてさらに問題なのは彼らの体内、『精巣』で生成される生死にどうやって自分ら悪魔の遺伝子を組み込むかだったんだけどそれは意外と早く解決した、この星の遺伝子工学が意外と早く悪魔たちが期待するレヴェルに発達したから、そして彼らはその『悪魔の遺伝子』を持つ『精子』を生成出来る『精巣』と異常なまでの性欲を与えられ教師として『国立さぬきがわ学園』に送られた。
『A』はさらにうっとりした表情をしてよだれを垂らしている。
とりあえず手始めにもともと『悪魔』に近いポテンシャル(魔力)を持つ『魔法少女』を強姦させて孕ませてさらにかつての自分たち『悪魔』のつがいだった存在に近い『メス』を作成する実験が行われたため、そのためだけに一人の魔法少女の人生が踏みにじられました」
『B』さんはそう言うとうつむき言葉を止めて歯ぎしりをしだした。
少し長い沈黙が続いたのちにその一言は続けられた。
「それが私たちのママ・・・」
である、と。
彼女の両目から涙が溢れているのがわかった。
多分悔しいのだと思う。
「そしてその後、施設の他の女の子たちも仮胎や生殖実験体としての餌食に、私はそれをまず食い止めたい、でも今の私たちでは明らかに力不足、もし仮に男子寮を壊滅出来たとしても父親気取りのあいつら、『悪魔』に必ず役立たずの不用品と決めつけられ、私たち全員始末、惨殺されるしかない」
開いたノートの上に『ポトリ、ポトリ』と大粒の雫が落ちた。
「それに今、この世界が仮に奴らから守れたとしても多くの並行世界で同じことが行われてしまう、でもそれを止める手段が私たちには・・・」
『B』さんはそんな涙を流したままの顔を上げて私に向かって微笑んだ。


ーーーーーーーーーーーーー

私たちを殺しに来たのは意外な人物、私たちに近い存在だった。
私の直感は自分達のママだった者だと告げていた。
それでも私がすべきことはただ一つ、姉妹全員を見渡せる部屋の隅に立ちその最期を見届けること、あれほど強かった『B』さんの両手足が一瞬にして捥(も)がれて相手の姿さえ見届けることなく腹部でひねりちぎられた。
『L』も何の造作もなく頭部が首のところから引くちぎられて床に転がり落ちた。
惨殺は以降も引き続き行われたが私はただそれを怯えた瞳で見届けることしかできなかった。
『B』さんにはただそれだけをしてくれとしか言われていなかったから・・・
『いい、これだけは絶対に守って、相手が『悪魔』だろうが『男子寮の魔改造男子だろうが、どんな相手でも決して私たちを助けようとか、戦おうなんて考えちゃダメ、ただ私たちの死に様を見つめて、明確に頭の中に叩き込んで」
あの時に言った『B』さんのセリフを思い起こした時、待機室にいたみんなは、私を除いた全員血まみれの肉片と化していた。
本来なら憎いとか、恐ろしいとかの感情が湧きそうなものだったけど、今の私は自分自身に凄まじいまでの恐怖を感じていた。
目の前の血まみれの少女がほぼ動きを止めて姿を見せたとき私は彼女とは『戦いたくない』と感じその場から姿を消した。

『よく我慢してくれましたね』と『B』さんが私の中で私の頭を撫ぜてくれた。
『L』が『やっぱりやるじゃん』と言って肘鉄を私のおなかににしてくれた。
クラスの全員、姉妹たちが私の中で生きている。
しかしそれでも私は孤独だった、あの人たちに出会うまでは。
私の果てしなく長い旅はたった今、始まったばかりだった。
それからどれほどの時間が過ぎただろうか?
ただ、今は私の、私たちの元になったママに会いたいと思う。
しかしあるとき私は一人の少女の悲痛な叫び声を耳にしていた。
背中から弾丸を撃ち抜かれて胸から大量に血を流している少女の悲痛な叫び声を。
私は公園の中の広場でその少女を両腕で抱きかかえている中年男性を前にして立っていた。

再開 5 了

6に続く

あとがき

愛「もしかしてコレってループモノなの?」

亜希「ちぎゃーす、スパイラルモンやで」

愛「でもこれって初期に書いていたやつ、あのネットエロゲーのモロパクだったよね」

亜希「それ自分で言うか?」

凛「尻尾を〇〇少女のオ〇〇に差し込んで陵辱しまくる雌雄両体の悪魔ってモロマルパクだもんな、なんとか言い訳してみろよ愛」

愛「いや、あたしはあのエロゲーに一言申し上げたいね!あの広告ポップの動画何回かみたけどさ、あれって悪魔が〇〇少女を犯している時に一所懸命腰振っているけど、あれって意味あるの?、尻尾動かせば済む話じゃん!つか腰いくら振ってもエネルギーの無駄遣いじゃん!」

凛「え?くそまじめなお前が言うことだから女性に対する冒涜とか言うかと思ったら、突っ込むとこ、そこなの?」

愛「尻尾をウネウネ動かして舌なめずりながら〇〇少女のマ〇〇に潜り込ませてその舌で子宮の隅々まで舐め尽くす、それこそエロってモノでしょうが!」

亜希「ハイハイ、愛はやっぱり男って生き物がわかってないわね、男って生き物はね差し込むだけじゃ物足りなくって腰を振って振って振りまくってついて自分の固くて立派なぺ〇〇で女の子の胎を突いて突きまくって彼女のアヘアヘ顔を見るのを生きがいにしている生き物なのよ!(ゼイゼイ)」(亜希個人の偏見と感想です)

凛「風間パパのようにか?」

凛の顔面に特殊ボールが直撃して凛の身体が吹っ飛ぶ。

愛「よし、決めた、その設定の犠牲者第1号は亜希ね、作者権限で亜希にはせいぜい作中でヒイヒイ言わせてあげるわ」

今度は亜希の左ストレートが愛の胸を直撃、吹っ飛ぶ。

凛「それよりも今日は新開発の三股電マを持ってきたけどこれから3Pする?」

愛、亜希「要らんわ、ボケ!」

そのあと凛がふたりに徹底的にボコられたのは言うまでもない。

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6字
基本全話無料です、お代はもしお気に入って頂けたらで良いのでm(._.)m

私は誰5の続編です。 亜希の始祖とは? 並行世界での異種族の干渉とは?

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