アダルト版カレンダーガール10 クソガキの反抗期2
アダルト版カレンダーガール10 クソガキの反抗期2
#20才未満閲覧注意
#SFっぽく
#ハタチ未満はご遠慮ください
#ハルサメとナッツシリーズ
#過激な描写あります
#エログロ注意
#波瑠沙芽とナッツ
#小説
この話はストーリーの都合上過激な性描写や暴力描写、及びグロテスク、パクリな表現を多く含みます。
20才未満の方の閲覧はご遠慮ください。
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@今回の参考資料です。
もうこの日本という国は現行憲法の前文さえ守る気がないということもわかってきた。
それどころか自民党自ら日本協会と合同して発案した自称改正案の前文でさえ守る気もないこともわかってきた。
今回はおとなしめにしておいたためにもう自ら守ることさえ放棄している。
今回の改憲の真の目的は『それ以降の改憲を行いやすくするための布石だった』ということも理解できた。
「如何なる状況でも自分たちのやりたい様に改憲を可能にするための改憲。
「リナさん、あなたがいた別の時間線では何があったか教えてくれませんか?そしてあそんなあなたの目から見てこちらの時間線の改正案はどこがヤバいと思いますか?」
ボクが言うとリナは少しずつ何かを思い出しているように語るかと思われた。
しかし彼女は自民党草案の問題点をかいつまんで説明することにしたようだった。
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUA27DJO0X20C23A4000000/
自民党 新憲法草案の全文(2005年10月28日発表)
憲法のトリセツ
憲法のトリセツ
2023年5月1日 5:30
より引用、参照させて頂きました。
2012年以降秘密裏に大幅変更があった可能性がある事をお断りしておきます。
https://www.shugiin.go.jp/internet/itdb_annai.nsf/html/statics/shiryo/dl-constitution.htm
現行憲法
衆議院トップページ >国会関係資料 >国会関係法規-日本国憲法より引用、参照させて頂きました。
https://www.dan.co.jp/~dankogai/blog/constitution-jimin.html
前回に引き続き参考にさせて頂きました。
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@比べてみたよ
「基本的に上段が改正案、下段は現行憲法だから覚えておいてね」
リナは前置きをしてから比較作業を始めた。
三章 国民の権利及び義務
一〇条 (日本国民) 日本国民の要件は、法律で定
める。
第三章 国民の権利及び義務
〔国民たる要件〕
第十条 日本国民『たる』要件は、法律で『これを』定める。
「変わりませんよね?」とボク。
「日本国民『たる』と『これを』定める。の二重カッコが省かれたこと以外はね」
とリナ。
「そんなに気にするところ?」とボク。
「まあ『たる』は資格を表したり、『特筆すべきこと』を意味するわね、『これを』はつまり「日本国民たる要件』を意味するから変わらないと言っちゃ変わらないけど二重に念を押していると言えるわね」
リナは次に行った。
一一条 (基本的人権の享有)国民は、すべての基本的人権の享有を妨げられない。この憲法が国民に保障する基本的人権は、侵すことのできない永久の権利として、現在及び将来の国民に与えられる。
〔基本的人権〕
第十一条 国民は、すべての基本的人権の享有を妨げられない。この憲法が国民に保障する基本的人権は、侵すことのできない永久の権利として、現在及び将来の国民に与へられる。
「ここは変わったことはないわね、次」
一二条 (国民の責務)この憲法が国民に保障する自由及び権利は、国民の不断の努力によって、保持しなければならない。国民は、これを濫用してはならないのであって、自由及び権利には責任及び義務が伴うことを自覚しつつ、常に公益及び公の秩序に反しないように自由を享受し、権利を行使する責務を負う。
〔自由及び権利の保持義務と公共福祉性〕
第十二条 この憲法が国民に保障する自由及び権利は、国民の不断の努力によつて、これを保持しなければならない。又、国民は、これを濫用してはならないのであつて、常に公共の福祉のためにこれを利用する責任を負ふ。
「ここで新たに追記されたわね、『自由及び権利には責任及び義務が伴うことを自覚しつつ、』、まあ最近は無責任な輩が多いのは事実だけどこれを発案した自民党議員に多いのはどうかしら?って気もするのよね、ウラガネとか『行ってしまえ』とか文章改竄とか被災者を放置してどんちゃん騒ぎとか海外外遊とか」
確かに次の案ではさりげなく変えられていそうな気がする。
一三条 (個人の尊重等)すべて国民は、個人として尊重される。生命、自由及び幸福追求に対する国民の権利については、公益及び公の秩序に反しない限り、立法その他の国政の上で、最大の尊重を必要とする。
〔個人の尊重と公共の福祉〕
第十三条 すべて国民は、個人として尊重される。生命、自由及び幸福追求に対する国民の権利については、公共の福祉に反しない限り、立法その他の国政の上で、最大の尊重を必要とする。
「ここでまた変えられたのが『公共の福祉に反しない限り』が『公益及び公の秩序に反しない限り』に変えられていることね、『公共の福祉』と『公益及び公の秩序に反しない限り』じゃ全然意味が違ってくるからね、公共だと一般人も入るけど公益や公となると政治がらみの運動に制約が生じる可能性は否めないと思うわ、次」
一四条 (法の下の平等)すべて国民は、法の下に平等であって、人種、信条、性別、障害の有無、社会的身分または門地により、政治的、経済的または社会的関係において、差別されない。
2 華族その他の貴族の制度は、認めない。
3 栄誉、勲章その他の栄典の授与は、いかなる特権も伴わない。栄典の授与は、現にこれを有し、または将来これを受ける者の一代に限り、その効力を有する。
〔平等原則、貴族制度の否認及び栄典の限界〕
第十四条 すべて国民は、法の下に平等であつて、人種、信条、性別、社会的身分又は門地により、政治的、経済的又は社会的関係において、差別されない。
2 華族その他の貴族の制度は、これを認めない。
3 栄誉、勲章その他の栄典の授与は、いかなる特権も伴はない。栄典の授与は、現にこれを有し、又は将来これを受ける者の一代に限り、その効力を有する。
「『障害の有無、』が追記されたのは喜ばしいことだけど実際にはその自民党の一部議員や支持者と思しき人たちがその障害者をヘイトしたりハラスメントしたりするような発言をしたりSNS投稿しているのが現状だからね、次」
一五条 (公務員の選定及び罷免に関する権利等)公務員を選定し、及び罷免することは、国民固有の権利である。
2 すべて公務員は、全体の奉仕者であって、一部の奉仕者ではない。
3 公務員の選挙については、成年者による普通選挙を保障する。
4 選挙における投票の秘密は、侵してはならない。選挙人は、その選択に関し、公的にも私的にも責任を問われない。
〔公務員の選定罷免権、公務員の本質、普通選挙の保障及び投票秘密の保障〕
第十五条 公務員を選定し、及びこれを罷免することは、国民固有の権利である。
2 すべて公務員は、全体の奉仕者であつて、一部の奉仕者ではない。
3 公務員の選挙については、成年者による普通選挙を保障する。
4 すべて選挙における投票の秘密は、これを侵してはならない。選挙人は、その選択に関し公的にも私的にも責任を問はれない。
「この『普通選挙を補償する』が何を意味しているのか知らないけど、ちゃんと不正の無い正当な開票結果の公表の内容保証を求めたいわね」
突然に有希の発言
「まあ『すべての選挙における』の全てが削除されたくらいかな?(自民党総裁選とか?)その他の例外も含ませたいのか、まあ気にしてたらアレなので次」
一六条 (請願をする権利)何人も、損害の救済、公務員の罷免、法律、命令または規則の制定、廃止または改正その他の事項に関し、平穏に請願をする権利を有する。
2 請願をした者は、そのためにいかなる差別待遇も受けない。
〔請願権〕
第十六条 何人も、損害の救済、公務員の罷免、法律、命令又は規則の制定、廃止又は改正その他の事項に関し、平穏に請願する権利を有し、何人も、かかる請願をしたためにいかなる差別待遇も受けない。
「あ〜、『請願したものは、そのために』か『何人も、かかる請願をしたために』の違いですね、てか請願したもの以外は差別待遇を受ける可能性もあるとも取れるので改正案でも『すべての請願をした者は』として欲しいですね、次」
一七条 (国等に対する賠償請求権)何人も、公務員の不法行為により損害を受けたときは、法律の定めるところにより、国又は公共団体に、その賠償を求めることができる。
〔公務員の不法行為による損害の賠償〕
第十七条 何人も、公務員の不法行為により、損害を受けたときは、法律の定めるところにより、国又は公共団体に、その賠償を求めることができる。
「これはそのままですね、次」
「あたしとしてはどちらも守られているのかな?と言う気がしないではないよ?特に警察関係に多い気がする」
ボソッと有希。
一八条 (奴隷的拘束及び苦役からの自由)何人も、いかなる奴隷的拘束も受けない。
2 何人も、犯罪による処罰の場合を除いては、その意に反する苦役に服させられない。
〔奴隷的拘束及び苦役の禁止〕
第十八条 何人も、いかなる奴隷的拘束も受けない。又、犯罪に因る処罰の場合を除いては、その意に反する苦役に服させられない。
「これは変わってなさそう、次」
「どちらも同じだけど実際には『ウィシュマさん』の件などのように実際に守られていると言い切れるのかな?外人だから除外というのは現行憲法の全文さえ読んでいない証拠だよね、だから前文を色々と削除しまくったんだろうけど」
そう言った有希の横顔は少し悔しさが滲み出ていた。
一九条 (思想及び良心の自由)思想及び良心の自由は、侵してはならない。
一九条の二 (個人情報の保護等)何人も、自己に関する情報を不当に取得され、保有され、または利用されない。
〔思想及び良心の自由〕
第十九条 思想及び良心の自由は、これを侵してはならない。
「改正案の二項、ここになぜ個人情報等の項目が入るのかが不思議だけど、取り敢えず記憶に残しておいて保留、で次」
二〇条 (信教の自由)信教の自由は、何人に対しても保障する。いかなる宗教団体も、国から特権を受け、または政治上の権力を行使してはならない。
2 何人も、宗教上の行為、祝典、儀式または行事に参加することを強制されない。
3 国及び公共団体は、社会的儀礼または習俗的行為の範囲を超える宗教教育その他の宗教的活動であって、宗教的意義を有し、特定の宗教に対する援助、助長もしくは促進または圧迫もしくは干渉となるようなものを行ってはならない。
〔信教の自由〕
第二十条 信教の自由は、何人に対してもこれを保障する。いかなる宗教団体も、国から特権を受け、又は政治上の権力を行使してはならない。
2 何人も、宗教上の行為、祝典、儀式又は行事に参加することを強制されない。
3 国及びその機関は、宗教教育その他いかなる宗教的活動もしてはならない。
「え〜と『国及びその機関は、宗教教育その他いかなる宗教的活動もしてはならない。』と『国及び公共団体は、社会的儀礼または習俗的行為の範囲を超える宗教教育その他の宗教的活動であって、宗教的意義を有し、特定の宗教に対する援助、助長もしくは促進または圧迫もしくは干渉となるようなものを行ってはならない。』は全然違う気がするんだけれど、その自称宗教団体が政治に干渉するのは構わないということかな?」
有希が口を挟んだ。
確かにそうだ、改正案だと『ひとつの宗教団体だけじゃなくて多種な宗教に関わり援助や助長をすることはOKなんじゃね〜?と言うことになってしまうと思う。例えば自民党なら靖国神社や日本神道、幸福の科学やエホバの会、統一教会や朝起き会、とどめに創価学会を加えたら特定の宗教ではなくなると言った理屈かも?
「まあ流石にそれは考えすぎだと思うけど次」
二一条 (表現の自由)集会、結社及び言論、出版その他一切の表現の自由は、何人に対しても保障する。
2 検閲は、してはならない。
二一条の二 (国政上の行為に関する説明の責務)国は、国政上の行為につき国民に説明する責務を負う。
〔集会、結社及び表現の自由と通信秘密の保護〕
第二十一条 集会、結社及び言論、出版その他一切の表現の自由は、これを保障する。
2 検閲は、これをしてはならない。通信の秘密は、これを侵してはならない。
「何か関係がないものがブッこまっれている気がするんですけど?なんで?」
ボクがきくとリナはさも当然そうに言った。
「巧妙なトラップね、普通誰も第二十一条には表現の自由とそれに関すること以外は入れないと思うはず、おそらくは自民党が下野した時のためにとってあるんでしょうね、まあ自分たちも今まで行政上の行為に関して説明してきたことなんて一度もないけどね!次」
二二条 (居住、移転及び職業選択等の自由等)何人も、居住、移転及び職業選択の自由を有する。
2 すべて国民は、外国に移住し、または国籍を離脱する自由を侵されない。
〔居住、移転、職業選択、外国移住及び国籍離脱の自由〕
第二十二条 何人も、公共の福祉に反しない限り、居住、移転及び職業選択の自由を有する。
2 何人も、外国に移住し、又は国籍を離脱する自由を侵されない。
「あ、またまた『公共の福祉に反しない限り、』が抜けてますね、なんでかなぁ〜?」
「自分の国を戦争状態にしておいて、自分たちは安全な海外に高飛びとか?」
有希の疑問に対してボクは可能性を挙げてみた。
「さ、流石にそれは考えすぎよ、ゼレソスキ一じゃあるまいし・・・」と慌ててリナ。
「あのぉ〜リナさん固まってませんか?」と有希。
「固まってないわよ、つ、次」
二三条 (学問の自由)学問の自由は、何人に対しても保障する。
〔学問の自由〕
第二十三条 学問の自由は、これを保障する。
「これは大きな進歩と言っていいわね、『何人に対しても』、これを改正案に入れたからには朝鮮学校に対する学資金の補助を打ち切るな!って話になるけどさぁ、次」
と冷ややかな笑みを浮かべながらリナ。
二四条 (婚姻及び家族に関する基本原則)婚姻は、両性の合意のみに基づいて成立し、夫婦が同等の権利を有することを基本として、相互の協力により、維持されなければならない。
2 配偶者の選択、財産権、相続、住居の選定、離婚並びに婚姻及び家族に関するその他の事項に関しては、法律は、個人の尊厳と両性の本質的平等に立脚して、制定されなければならない。
〔家族関係における個人の尊厳と両性の平等〕
第二十四条 婚姻は、両性の合意のみに基いて成立し、夫婦が同等の権利を有することを基本として、相互の協力により、維持されなければならない。
2 配偶者の選択、財産権、相続、住居の選定、離婚並びに婚姻及び家族に関するその他の事項に関しては、法律は、個人の尊厳と両性の本質的平等に立脚して、制定されなければならない。
「まあほとんど同じに見えるけど『女性から離婚しにくい社会は良い社会だ』なんて言っていた政治家がどこかの党にいませんでしたっけ?」
ボクが突っ込んでみたらリナはあわてて「次」と言った。
いや現行憲法は同性婚なんて考えられなかった時代に作られたものだから仕方がないとしても改正案で『両者の平等』くらいには変えてほしかった気がする。
もちろん現状は男性と女性の両性が平等か?と言われたら現行憲法にしても、改正案にしても、どちらもアウトなんですけどね。
二五条 (生存権等)すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する。
2 国は、国民生活のあらゆる側面について、社会福祉、社会保障及び公衆衛生の向上及び増進に努めなければならない。
二五条の二 (国の環境保全の責務)国は、国民が良好な環境の恵沢を享受することができるようにその保全に努めなければならない。
二五条の三 (犯罪被害者の権利)犯罪被害者は、その尊厳にふさわしい処遇を受ける権利を有する。
〔生存権及び国民生活の社会的進歩向上に努める国の義務〕
第二十五条 すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する。
2 国は、すべての生活部面について、社会福祉、社会保障及び公衆衛生の向上及び増進に努めなければならない。
「え〜と、もうここまで来たらどう突っ込んだら良いのかわからないよ、もうすでに守られていないし」
ボクが言った。
「今回の草案でそれを入れてしまうと国民に拒絶されるからあえて残した可能性があると言うこと?なんだっけ、さっき先にリナりんが説明してくれた憲法改正に関する条項だっけ?」
と言った有希の眼が怖かった。
「そうね、『両議会で過半数の合意を』のくだりね、その可能性は否定できないでも今は、次」
二六条 (教育に関する権利及び義務)すべて国民は、法律の定めるところにより、その能力に応じて、ひとしく教育を受ける権利を有する。
2 すべて国民は、法律の定めるところにより、その保護する子に普通教育を受けさせる義務を負う。義務教育は、無償とする。
〔教育を受ける権利と受けさせる義務〕
第二十六条 すべて国民は、法律の定めるところにより、その能力に応じて、ひとしく教育を受ける権利を有する。
2 すべて国民は、法律の定めるところにより、その保護する子女に普通教育を受けさせる義務を負ふ。義務教育は、これを無償とする。
「子女という言葉は気になるけど90年近く昔に制定された憲法だから大目に見て、次」
そのすぐそばで「経済的な差別と給食の貧困化は進んでいるけどね」とつぶやいた有希。
「何の話?」とボクがきくと有希はボソリとつぶやいた。
「あんただって行きたくもない派遣授業に、ごめん、きっと記憶違いだから忘れて」
二七条 (勤労の権利及び義務等)すべて国民は、勤労の権利を有し、義務を負う。
2 賃金、就業時間、休息その他の勤労条件に関する基準は、法律で定める。
3 児童は、酷使してはならない。
〔勤労の権利と義務、勤労条件の基準及び児童酷使の禁止〕
第二十七条 すべて国民は、勤労の権利を有し、義務を負ふ。
2 賃金、就業時間、休息その他の勤労条件に関する基準は、法律でこれを定める。
3 児童は、これを酷使してはならない。
「ここもほぼ同じね、次」
「同じとは言えないわ、法律が変われば基準も変わる、12歳以上は児童と認められなくなったら?コレはどちらの憲法にも共通した落とし穴であり罠、ごめん、今日のあたし、どうかしているね」
二八条 (勤労者の団結権等)勤労者の団結する権利及び団体交渉その他の団体行動をする権利は、保障する。
〔勤労者の団結権及び団体行動権〕
第二十八条 勤労者の団結する権利及び団体交渉その他の団体行動をする権利は、これを保障する。
「まあ現行憲法を作成した人たちは『これを』を多用するのが好きみたいね、問題ないので次」
「そうかな?うちはとんでもない個人契約を・・・」
有希はそう言ってからなんでもないと否定した
二九条 (財産権)財産権は、侵してはならない。
2 財産権の内容は、公益及び公の秩序に適合するように、法律で定める。この場合において、知的財産権については、国民の知的創造力の向上及び活力ある社会の実現に留意しなければならない。
3 私有財産は、正当な補償の下に、公共のために用いることができる。
〔財産権〕
第二十九条 財産権は、これを侵してはならない。
2 財産権の内容は、公共の福祉に適合するやうに、法律でこれを定める。
3 私有財産は、正当な補償の下に、これを公共のために用ひることができる。
「これは前進と言えるわね、『この場合において、知的財産権については、国民の知的創造力の向上及び活力ある社会の実現に留意しなければならない。』まあ憲法で決めることか?と言われたら返す言葉がないけど逆に自由度がなくなってひんぱんに憲法改正をしなくちゃならなくなるかもだけど」
「あたしたちアイドルのファッションとか肖像権とか、作った歌詞や曲なんかどうなるの?」
有希はきいてきたがリナは冷酷にも「次」と言った。
三〇条 (納税の義務)国民は、法律の定めるところにより、納税の義務を負う。
〔納税の義務〕
第三十条 国民は、法律の定めるところにより、納税の義務を負ふ。
「まあこれも同じね、次」
「貧困層も収入の半分以上をぶん取られてもですか?」
と有希はスマホでニュースサイトを閲覧しながら言ったがリナの返事はなかった。
三一条 (適正手続きの保障)何人も、法律の定める適正な手続きによらなければ、その生命もしくは自由を奪われ、またはその他の刑罰を科せられない。
〔生命及び自由の保障と科刑の制約〕
第三十一条 何人も、法律の定める手続によらなければ、その生命若しくは自由を奪はれ、又はその他の刑罰を科せられない。
「これも書体などを除けば問題はなさそうね、次」
「問題だらけよ、現状は売春に走らされている少女は多い、そかも全てホスト遊びが原因みたいに言われているけど嘘っぱち、相手はホストとは程遠い、やめよこんな話」
いつになく今日の有希はあきらかに饒舌(じょうぜつ)すぎる。
三二条 (裁判を受ける権利)何人も、裁判所において裁判を受ける権利を奪われない。
〔裁判を受ける権利〕
第三十二条 何人も、裁判所において裁判を受ける権利を奪はれない。
「これもそのままですね、次」
ウィシュマさんんはどうなんだろうか?不法入国者だなんて誰が決めつけたのか?
三三条 (逮捕に関する手続きの保障)何人も、現行犯として逮捕される場合を除いては、裁判官が発し、かつ、理由となっている犯罪を明示する令状によらなければ、逮捕されない。
〔逮捕の制約〕
第三十三条 何人も、現行犯として逮捕される場合を除いては、権限を有する司法官憲が発し、且つ理由となつてゐる犯罪を明示する令状によらなければ、逮捕されない。
「微妙な違いがありますね、『裁判官が発し、かつ、理由となっている犯罪を明示する令状によらなければ、逮捕されない。』と『権限を有する司法官憲が発し、且つ理由となつてゐる犯罪を明示する令状によらなければ、逮捕されない。』とありますね、憲法上では裁判官を指すらしいですが広義では検察官や司法警察職員も含むらしいですね」
ボクが言うとリナは続けた。
「司法に関する職務を行う公務員を指す事もあるらしいわよ、次」
三四条 (抑留及び拘禁に関する手続きの保障)何人も、正当な理由がなく、もしくは理由を直ちに告げられることなく、または直ちに弁護人に依頼する権利を与えられることなく、抑留され、または拘禁されない。
2 拘禁された者は、拘禁の理由を直ちに本人及びその弁護人の出席する公開の法廷で示すことを求める権利を有する。
〔抑留及び拘禁の制約〕
第三十四条 何人も、理由を直ちに告げられ、且つ、直ちに弁護人に依頼する権利を与へられなければ、抑留又は拘禁されない。又、何人も、正当な理由がなければ、拘禁されず、要求があれば、その理由は、直ちに本人及びその弁護人の出席する公開の法廷で示されなければならない。
「どっちも同じですよね」
ボクが言うとリナは「微妙だけど違うわ」と言った。
「現行憲法じゃ『公開の法廷で示されなければならない。』になっていて裁判官や検察が何を言おうがそれを却下出来ない、だけど改正案じゃ『公開の法廷で示すことを求める権利を有する。』になっていて裁判官が『却下する』といえばそれまでなのよ、それと『もしくは』とか『または』を誇大誤解釈されそうで心配なんだ、どれかひとつさえ適合されれば逮捕が可能と判断されかねない」
「確かにそれは検事や弁護士によって間違った解釈をしそうな可能性があるわね、特に日本語の堪能でない外国人や憲法をよく知らない一般人ならころりと騙せそうな気もする、とにかく次」
三五条 (住居等の不可侵)何人も、正当な理由に基づいて発せられ、かつ、捜索する場所及び押収する物を明示する令状によらなければ、その住居、書類及び所持品について、侵入、捜索または押収を受けない。ただし、三三条の規定により逮捕される場合は、この限りでない。
2 前項本文の規定による捜索または押収は、裁判官が発する各別の令状によって行う。
〔侵入、捜索及び押収の制約〕
第三十五条 何人も、その住居、書類及び所持品について、侵入、捜索及び押収を受けることのない権利は、第三十三条の場合を除いては、正当な理由に基いて発せられ、且つ捜索する場所及び押収する物を明示する令状がなければ、侵されない。
2 捜索又は押収は、権限を有する司法官憲が発する各別の令状により、これを行ふ。
「まあこれも同じね、『受けない』と言う表現が気になるけど、次」
第三十三条によると現行犯逮捕か逮捕令状か何かがないと出来ないことになっているけど『おそうさいパンや菓子パンの万引きなどの逮捕って現行犯かな?政治家は使わずに所持していれば犯罪にならないと聞いたけど?
三六条 (拷問等の禁止)公務員による拷問及び残虐な刑罰は、絶対に禁止する。
〔拷問及び残虐な刑罰の禁止〕
第三十六条 公務員による拷問及び残虐な刑罰は、絶対にこれを禁ずる。
「大方は同じなので次」
「ただしどこまでが拷問及び残虐な刑罰にならなくて何処からが拷問及び残虐な刑罰になるのかはっきりとしてほしいわ、以前も生徒同士のいじめに加担していじめられていた子を自殺に追い込んだ教師もいるし、憲法って本当に機能しているの?」
有希は言ったがボクは何も言えなかった。
三七条 (刑事被告人の権利)すべて刑事事件においては、被告人は、公平な裁判所の迅速な公開裁判を受ける権利を有する。
2 被告人は、すべての証人に対して審問する機会を十分に与えられる権利及び公費で自己のために強制的手続きにより証人を求める権利を有する。
3 被告人は、いかなる場合にも、資格を有する弁護人を依頼することができる。被告人が自らこれを依頼することができないときは、国でこれを付する。
〔刑事被告人の権利〕
第三十七条 すべて刑事事件においては、被告人は、公平な裁判所の迅速な公開裁判を受ける権利を有する。
2 刑事被告人は、すべての証人に対して審問する機会を充分に与へられ、又、公費で自己のために強制的手続により証人を求める権利を有する。
3 刑事被告人は、いかなる場合にも、資格を有する弁護人を依頼することができる。被告人が自らこれを依頼することができないときは、国でこれを附する。
「違いといえば『刑事被告人』が『被告人』になっていることくらいかしらね、というか現行憲法でも第一項では『被告人』となっているしよくわからないわ、次」
「名張の毒葡萄酒事件のような話もあるしこの第三十七条が間もられているのか疑問ね」
なんか今日の有希は黒くて怖かった。
三八条 (刑事事件における自白等)何人も、自己に不利益な供述を強要されない。
2 拷問、脅迫その他の強制による自白または不当に長く抑留され、もしくは拘禁された後の自白は、証拠とすることができない。
3 何人も、自己に不利益な唯一の証拠が本人の自白である場合には、有罪とされない。
〔自白強要の禁止と自白の証拠能力の限界〕
第三十八条 何人も、自己に不利益な供述を強要されない。
2 強制、拷問若しくは脅迫による自白又は不当に長く抑留若しくは拘禁された後の自白は、これを証拠とすることができない。
3 何人も、自己に不利益な唯一の証拠が本人の自白である場合には、有罪とされ、又は刑罰を科せられない。
「まあ『無罪だけど刑罰にかけるぉ』なんて事はないと思うけどこの先憲法がどんどん変えられていけばそういう事もあるかもにょ、はい次」
また変な語尾が入ったが気にしたら負けだと思った。
でもそうは思わない奴もいるようで。
「それからいくとカルロス・ゴーン氏はあきらかに不当に長期にわたって抑留されていたんだけどこの国は現行憲法の改正案も守る気が皆無なんじゃなくって?、特にウィシュマさんとか」
有希は明らかに苦虫を潰したように言った。
三九条 (遡及処罰等の禁止)何人も、実行の時に適法であった行為または既に無罪とされた行為については、刑事上の責任を問われない。同一の犯罪については、重ねて刑事上の責任を問われない。
〔遡及処罰、二重処罰等の禁止〕
第三十九条 何人も、実行の時に適法であつた行為又は既に無罪とされた行為については、刑事上の責任を問はれない。又、同一の犯罪について、重ねて刑事上の責任を問はれない。
「まあ犯行が行われた時にそれを取り締まる法律がなかったとか、過去の犯行において逮捕されて服役した人が後になって別の事件で逮捕されて、その過去の事件でまた裁かれて罰を受けちゃうのを防ぐ的な?知らんけど、ほぼ同じだから次」
なんかこのリナとかいう自称ロリババァは本当に信用していいのかどうか不安しかなくなってきた。
四〇条 (刑事補償を求める権利)何人も、抑留され、または拘禁された後、無罪の裁判を受けたときは、法律の定めるところにより、国にその補償を求めることができる。
〔刑事補償〕
第四十条 何人も、抑留又は拘禁された後、無罪の裁判を受けたときは、法律の定めるところにより、国にその補償を求めることができる。
「まあこれも同じだけど、気分転換に何か実験して遊ぶ?」
リナは突然言い出したが不安しか感じないのはなぜだろうか?「同じだけど両方とも問題ありよ、『国にその補償を求めることができる。」じゃダメなの、『国はその補償をしなければならない。』じゃないと」
有希は御機嫌斜めなのだろうか?
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@リニアの原理を学んでみたよ
「例えばこの国のリニアモーターカーも超電磁砲も起源は同じなんだよね」
またまた、この幼女はボクがすごいバカだと思っているのかとんでもない大嘘を。
「どちらもフレミングの法則を応用したものなんだよね、むしろレールガンの方が構造自体は単純で作り安かったりするんだけど」
「ちょっと実験をするからあなたのオーディオスピーカーを借りるわね」
リナはそう言うと椅子から飛び降り、ボクが何度もおねだりをして親に買ってもらったCDコンポステレオからスピーカーに繋いであった結線を勝手に外して片方のスピーカーボックスを机のそばに持ってきた。
フロントネットがついていない低音用スピーカーが丸見えのヤツだ。
「ちょっとこのちょっと大きめのACアダプタもらって良いよね」
なんに使うかよくわからないままボクはうっかりそれを了承してしまう。
「それでこのDC(直流5V)側のプラグをバラして日本の電線を剥き出しにしてスピーカーの入力端子に繋ぎます」
なんか嫌な予感がしてきた。
「これからアダプターをコンセントに指すからね、ちゃんとウーファー(低音用)スピーカーの中心あたりの動きをちゃんとみておいてね」
「ダメェー」
有希の叫び声も虚しくリナはアダプターのプラグをコンセントにブッ刺していた。
『ボン!』と言う衝撃音とともにウーファースピーカーのセンター部が勢いよく前に飛び出したかと思ったら黒い煙が立ち込め焦げ臭い匂いがして白いコーン紙が燃え始めた。
慌てて火を消すのに奔放する僕たちをよそにリナはぼそっとつぶやく。
「あれ?なんで?」
本当にこいつは数百年以上生きてきた天才なのか?こいつの言うことマジで信じて良いのか?
「コイル式スピーカーに直流厳禁!」
「抵抗ほぼゼロで過電流」
2人で説明して説明してやっとリナは納得したのか右手にひらに拳を下ろして「忘れてた」とだけ言った。
「まあ今のが大まかな理屈ね、コイルをもっとぶっとくしてその中に磁性体の棒とか入れて大電流を流せばこの部屋のふすまくらい簡単に破れるよ?今ので分かりにくかったらもう一つのスピーカーでやってみよか?」
「あほ~、どうやって親に説明すりゃ良いんだ、もうボク、小遣いゼロだよ」
抗議するボクを不思議そうな顔をしてリナは見ていた。
「あなたもう死んでいるのよ?お小遣いなんて元々ないじゃない」
確かに言われてみればそうだ、しかしこの現状を見て不審に思わない大人がいるだろうか?
「簡単よ、元の状態に戻してアダプターを隠せば怪奇現象の出来上がり」
すました顔をしてりなは言うが。
「ど、どんな怪奇現象ですか?」
「そうね、さしずめ自然発火?それとも楓山ゆうき、怨念の業火?」
他人を出汁に遊ぶのはやめてください。
「あら、明日からあなたの机の上に大好物だったお菓子や料理が大量にお供えされるかもよ?」
ボクは怒りのあまりしばらく言葉を失った。
そしてしばらくして
「それをボクが食べたらさらに大騒ぎになるっちゅうの!」
「バカね、私が食べれば済むことじゃない」
リナ~!あんたが食う気か?
「当たり前でしょ、ここには生きている人間は私しかいないんっだから」
リナはそう言うとボクの遺影写真の前に備えてあった一個しかないミニ最中を一口で食べてしまった。
「あ、それボクの」
リナはボクの言うことも聞かずに話を続けた。
「リニアもレールガンも基本的には同じなんだけどリニアモーターカーでは無制限に速度を上げる事は出来ないしきめ細かな速度制御と安全性を要求される」
「どう言う事?リニアモーターカーも速ければ速い方が良いんじゃないの」
有希が話に入ってきた。
「リニアモーターカーがレールガンの弾丸並みに加速したら中の乗客はどうなると思う?世界最速のロケットブースターなんか比較にならないくらいの強烈な加速度でぺっしゃんこになるわ」
リナはそう言いながら両手で有希の顔を強く挟んだ。
「ちょ、いたい、痛いよ!」
「まっそういうわけでリニアモーターカーの制御は地上の軌道上に並べられた無数のコイルの磁場の変化をきめ細かく移動させてそれに同期させる事で速度を上げたり下げたりするんだけどある一定の速度からは車両本体にかかる空気抵抗などの理由でそれ以上同期できなくなりそれ以上は速度を出せなくなる」
リナはそういうと今度はボクの机の上の陶器の入れ物に目をつけて飲み始めた。
「それ飲んじゃダメ」とボクが言った時は時既に遅く彼女は盛大にむせていた。
「なんなの、この水腐っている」
そう言われても一週間以上は替えていないのだから当然かもしれない。
「レールガンの弾丸はただ単に最大速度で打ち出せれば良いんだから単純に磁力の反発力を使っているに過ぎないの」
「でも実際には細かい軌道修正みたいな制御は入るんでしょ?」
とボクは言った。
細かい事はわからないがレールガンとリニアモーターカーの大まかな違いがわかってきた。
「もう一つ、リニアモーターカーは走行させる区間に全距離にコイルを敷き詰める必要があるがレールガンはいくら巨大でも数百メートルあれば十分ということ、これが何を意味するかわかるかしら?」
リナは訊いてきたがボクにはそれが何を意味するのか理解できなかった。
「今の憲法では他国を侵略するための兵器を所持できない、それくらいは理解できているでしょう?」
確かにボクでもその程度の知識はある、でもレールガンは速度こそ音速をはるかに超える速度で打ち出せる。
しかし一度打ち出してしまったら細かい制御がほぼ不可能なため戦闘機や巡航ミサイルなどの途中で軌道を変えられる可能性のある高速飛行物体には対応できない。
早い話しが専守防衛には向かないといえる。
逆に動かない標的、敵基地などに対する先制攻撃にはかなり有効に使える武器、兵器となり完全に憲法第9条に違反する。
「でもそんな物、所有したら監視衛生などでバレちゃうんじゃ?」
ボクはリナに問いかけた。
「レールガン砲台は車輪さえつければリニアモーターカーの軌道上を移動可能なのよそれが何を意味するのかわかる?」
リナはスマホに中央新幹線のルートを示す地図を表示した。
「中央新幹線にはいくつかの車両基地があるのは知っているね」
リナは言うとそのポイントを表示した。
「中央新幹線にはトンネルがやたらと多いけどそれは何故かわかる?」
その問いには有希が答えた。
「より走行距離を短く距離曲線を減らして直線を多くするため」
それを聞いたリナはニヤリと笑った。
「教科書に書いてある事を素直に信じる日本人の鏡のような答えね」
なんかイラっとする言い方だった。
「じゃあ他にはどんな理由があると言うんですか?」
ボクの問いにリナは少々苦々しい表情で答えた。
「地下の車両基地や整備工場の名を借りたレールガン砲台の保管場所ですよ、しかも中央新幹線の軌道上を移動可能式の」
「スパイに嗅ぎつかれない限り見つけられないと言う事ですね、ある程度の発射実験ができるスペースも確保できると言う一石二鳥いや、一石三鳥といえるね」
と有希。
「それが何箇所あるかはわからない、でも国民に知らされない限り憲法違反には当たらないのよ、かつての米軍港にに入港していた空母や潜水艦に搭載された核兵器の持ち込みと同様にね」
ボクはしばらく考えてからリナに訊いた。
「前田愛理さんは、あなたはそれを知っていたの?」
「いや、党の上層部でさえ知らなかったよ、バーコードの元総理とかそのクラスなら知っていたかもだけどね」
有希が珍しく真剣な目をしてボクらを見つめている。
「それが本当としてもどうやって原発レベルの電力を供給可能な電源を確保する気なの?」
リナは少し呆れた表情になり返事をした。
「何故日本が省エネに優れたドイツ式を採用しないで電力馬鹿喰らいの超伝導方式を採用したのかわかってないの?レールガン砲台が移動可能な広い軌道と原発数基必要な仕様が必要だったからよ」
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
@憲法の現行と改憲案の比較(下)国会など
四章 国会
四一条 (国会と立法権)国会は、国権の最高機関であって、国の唯一の立法機関である。
第四章 国会
〔国会の地位〕
第四十一条 国会は、国権の最高機関であつて、国の唯一の立法機関である。
「あ、そういえば昔、『私は司法の長だ!』と言った総理大臣がいたそうですね、そんな人がカイケンカイケンと騒いでいたとか?」
『立法機関』の文字を見てその話を思い出したのか急に有希が言い出した。
「まあどうでも良いけどその総理大臣は自分の党が提出した改憲案もろくに目を通していなかったという事だよね」
とボク。
「まあほとんど同じだから次」
四二条 (両議院)国会は、衆議院及び参議院の両議院で構成する。
〔二院制〕
第四十二条 国会は、衆議院及び参議院の両議院でこれを構成する。
「これも同じね、次」
「そーいえば参議院の方がタレントとかスポーツ選手とか多いのはなんででしょうね?」
「逆に言うと愛とか秋子とかなんで衆議院にこだわるのかわからないけど」
有希に続いてボク。
「それはおいおいわかってくるわ」とリナ。
四三条 (両議院の組織)両議院は、全国民を代表する選挙された議員で組織する。
2 両議院の議員の定数は、法律で定める。
〔両議院の組織〕
第四十三条 両議院は、全国民を代表する選挙された議員でこれを組織する。
2 両議院の議員の定数は、法律でこれを定める。
「これも同じね、次」
「でもせめてあたしたち中学生も投票権くれないと全国民とはいえないんじゃない?大人たちってあたしたちのことをアイドル歌手の追っかけばかりやっていると偏見の目で見てるけど!あたしたちの目から見たらなんでこんなのが当選するかなぁってのが多すぎるもの、むしろ大人たちの方がイメージにだまされているんじゃない?」
不満げに有希は毒づいた。
四四条 (議員及び選挙人の資格)両議院の議員及びその選挙人の資格は、法律で定める。この場合においては、人種、信条、性別、障害の有無、社会的身分、門地、教育、財産または収入によって差別してはならない。
〔議員及び選挙人の資格〕
第四十四条 両議院の議員及びその選挙人の資格は、法律でこれを定める。但し、人種、信条、性別、社会的身分、門地、教育、財産又は収入によつて差別してはならない。
「うーん、色々と叩かれていた方もいた気がするけど無かったことにして次」
「気がするじゃないよ、ツブヤイッターみたいなSNSならアホとバカの烏合だから仕方がないけどその改正案を提出した党の人がれいわの車椅子の人たちを卑下したのにはドン引きしたわよ」と有希。
四五条 (衆議院議員の任期)衆議院議員の任期は、四年とする。ただし、衆議院が解散された場合には、その期間満了前に終了する。
〔衆議院議員の任期〕
第四十五条 衆議院議員の任期は、四年とする。但し、衆議院解散の場合には、その期間満了前に終了する。
「もちろん変わりなし、次」
「ねえご高齢さん、昔はよく衆議院の任期半ばにして解散とかあって衆参同時総選挙とかあったらしいんだけどあたしたちが物心がついてからやらなくなったのはなんで?」
なんか今日の有希は手当たり次第に突っかかる不良みたいでなんか怖い。
四六条 (参議院議員の任期)四六条 (参議院議員の任期)参議院議員の任期は、六年とし、三年ごとに議員の半数を改選する。
〔参議院議員の任期〕
第四十六条 参議院議員の任期は、六年とし、三年ごとに議員の半数を改選する。
「考えてみれば自民党にとってもここを変えたとしても何のメリットないわね、なので次」
「そーでもないと思うな」と有希。
「知名度のあるアホな女性アイドルとかスポーツ選手とか時の人を投入しやすいし、人気途中で解散しないから6年も経てば投票者も騙されたことなんて忘れていると思うよ」
任期3年で総入れ替えするか質疑ランキングとか作って選挙前の非人気投票で評判の悪い人を任期関係なく選挙の対象にしちゃった方が面白いんじないの?特になんとか金脈とか消えてほしいわ」
四七条 (選挙に関する事項)選挙区、投票の方法その他両議院の議員の選挙に関する事項は、法律で定める。
〔議員の選挙〕
第四十七条 選挙区、投票の方法その他両議院の議員の選挙に関する事項は、法律でこれを定める。
「まあ、内容は同じですけど改正案は1Wordでもファイルサイズを減らそうと必死な割にPDF形式にこだわったり意味不明ですね、次に行きますか?」
とボク。
「そんなことないじゃん、サブタイ長すぎ」と有希。
四八条 (両議院議員兼職の禁止)何人も、同時に両議院の議員となることはできない。
〔両議院議員相互兼職の禁止〕
第四十八条 何人も、同時に両議院の議員たることはできない。
もうそりゃそうでしょうよとしか言いようが無い。
「てか過労死で死ぬ人増えたら面白いのに」
と有希、今日は悪魔でも取り憑いているのか?
四九条 (議員の歳費)両議院の議員は、法律の定めるところにより、国庫から相当額の歳費を受ける。
〔議員の歳費〕
第四十九条 両議院の議員は、法律の定めるところにより、国庫から相当額の歳費を受ける。
「はいはいどこの上級国民か?って言いたくなるくらい高い歳費なのよね」
と有希。
「でもどっかの元少女アイドルグループの女なんてそっちの方が収益が高いからそれは当たらないとか言ってたような?」
ボクが言うと有希は速攻で否定した。
「それヒロの歌唱力と他のメンバーのダンス力にファンが惹かれているだけだから!」
あのそれ言っちゃうとエッフェル塔の人だってバレちゃうんだけど?
五〇条 (議員の不逮捕特権)両議院の議員は、法律の定める場合を除いては、国会の会期中逮捕されず、会期前に逮捕された議員は、その議院の要求があるときは、会期中釈放しなければならない。
〔議員の不逮捕特権〕
第五十条 両議院の議員は、法律の定める場合を除いては、国会の会期中逮捕されず、会期前に逮捕された議員は、その議院の要求があれば、会期中これを釈放しなければならない。
「会期中じゃなくても賄賂や交通事故で人跳ねても逮捕されない議員が与党にやたらと多い気がするけど気のせいかしら?」
と有希。
「そう言われれば6年以上説明責任を果たさずにいまだにあっちこっちから甘いしるを利とくしている方もいらっしゃいましたね、次」
とリナ
五一条 (議員の免責特権)両議院の議員は、議院で行った演説、討論また表決について、院外で責任を問われない。
〔議員の発言表決の無答責〕
第五十一条 両議院の議員は、議院で行つた演説、討論又は表決について、院外で責任を問はれない。
「さっきの不逮捕特権もそうだけど、なんか最近議員院外構わず暴言吐きまくっている人が多いのはこれを誇大解釈している人たちのような気がしてきたよ」
とボク。
「コレ現行憲法に入れたの絶対にあの党だよね、何処がマッカーサーの押し付けだよ」
有希は毒づいた。
五二条 (常会)国会の常会は、毎年一回召集する。
2 常会の会期は、法律で定める。
五二条 (常会)国会の常会は、毎年一回召集する。
2 常会の会期は、法律で定める。
「え“!」というより他になかった。少なくとも2回は召集がかかっていたと思っていた。
「そりゃJKのアイアンクローサバイバルナイフ愛やシャイニングイガイガバイブレーター秋子でも国会議員なんてやれるわ」
と有希が言った。いやアレは捏造動画だから。
「そういえば1日国会を開くたびに数億円飛んでいくから会議を無駄に延長するのは歳費の無駄遣いだって言ってましたよね?国会議員が日当制だなんてその時に初めて知りましたよ?それとも国会の光熱費や中継代はは1日だけで数億円飛んでいくようなスーパースターアーティストのコンサート並みに派手な演出とかあるのかしらね!」
やはり今日の有希の心には悪魔が棲んでいるようだ。
五三条 (臨時会)内閣は、国会の臨時会の召集を決定することができる。いずれかの議院の総議員の四分の一以上の要求があれば、内閣は、その召集を決定しなければならない。
〔臨時会〕
第五十三条 内閣は、国会の臨時会の召集を決定することができる。いづれかの議院の総議員の四分の一以上の要求があれば、内閣は、その召集を決定しなければならない。
「それでもうちのボスはなかなか応じなかったけどね、形だけの憲法よ」
とリナ愛理時代の話だろうか?
「え?なんで?お昼寝の時間が増えて良いことだらけじゃん、それとも1回数百万円の講演とか某宗教団体とのお付き合いでもあるのかしらねぇ」
怖いから有希、もう黙ってて。
五四条 (衆議院の解散と衆議院議員の総選挙、特別会及び参議院の緊急集会)六九条の場合その他の場合の衆議院の解散は、内閣総理大臣が決定する。
2 衆議院が解散されたときは、解散の日から四十日以内に、衆議院議員の総選挙を行い、その選挙の日から三十日以内に、国会の特別会を召集しなければならない。
3 衆議院が解散されたときは、参議院は、同時に閉会となる。ただし、内閣は、国に緊急の必要があるときは、参議院の緊急集会を求めることができる。
4 前項ただし書の緊急集会において採られた措置は、臨時のものであって、次の国会開会の後十日以内に、衆議院の同意がない場合には、その効力を失う。
〔総選挙、特別会及び緊急集会〕
第五十四条 衆議院が解散されたときは、解散の日から四十日以内に、衆議院議員の総選挙を行ひ、その選挙の日から三十日以内に、国会を召集しなければならない。
2 衆議院が解散されたときは、参議院は、同時に閉会となる。但し、内閣は、国に緊急の必要があるときは、参議院の緊急集会を求めることができる。
3 前項但書の緊急集会において採られた措置は、臨時のものであつて、次の国会開会の後十日以内に、衆議院の同意がない場合には、その効力を失ふ。
「現行憲法3も改正案4もコレほど意味のないものはないと思うけどさ、要するに衆議院の同意がないとせっかく決議しても無駄になっちゃうってことじゃないの?なんでそんな意味のない項目入れちゃうかなぁ」
と有希。
まあ彼ら(衆議院議員)には彼らなりのプライドがあるんじゃないの?」
とリナは言った。
「そーかぁ、(ピー)ジュニアに対する(ピー)ジュニアウエストみたいな関係なんだね」と有希。
おいおい問題の本質を間違えていないか?
五五条 (資格争訟の裁判)両議院は、おのおのその議員の資格に関する争訟を裁判する。ただし、議員の議席を失わせるには、出席議員の三分の二以上の多数による議決を必要とする。
〔資格争訟〕
第五十五条 両議院は、各々その議員の資格に関する争訟を裁判する。但し、議員の議席を失はせるには、出席議員の三分の二以上の多数による議決を必要とする。
「まあよっぽどの事をやらかさない限りクビになった議員は聞いた事ないけど、よく世間じゃ除名は緩いというけどアレ一種の忠誠に従わせるための脅しだからね、政権に逆らったら今度は『自公維国の4党で3分の2なんて簡単に集められてただの人にしてやるぞ』って脅しだから、ある意味で党則よりも強力な毒針付きの鎖よ」
リナは言った。
五六条 (表決及び定足数)両議院の議事は、この憲法に特別の定めのある場合を除いては、出席議員の過半数で決し、可否同数のときは、議長の決するところによる。
2 両議院の議決は、おのおのその総議員の三分の一以上の出席がなければすることができない。
〔議事の定足数と過半数議決〕
第五十六条 両議院は、各々その総議員の三分の一以上の出席がなければ、議事を開き議決することができない。
2 両議院の議事は、この憲法に特別の定のある場合を除いては、出席議員の過半数でこれを決し、可否同数のときは、議長の決するところによる。
「特にないわ、実は共に下野した時の奥の手に仕えるんだけど、人工地震などで与党議員の大半の命を奪い自分たちはシェルターで生き延びれば、よしましょう異世界での話は、次」
なんとなく異世界での話が聞きたかったが本人はあまり語りたくないようなのでまた今度聞くことにしよう。
「あ、でも利点は他にあると思いますよ?本条の第一項は簡単には削除できないけど、第二項の方は緊急事態宣言下だったら簡単に削除とか無効化できるかも?」
唐突に有希。
それを聞いたリナはスマホ画面をマジマジと見つめて「しまった、そうだったんだ」とつぶやいた。
五七条 (会議及び会議録の公開等)両議院の会議は、公開しなければならない。ただし、出席議員の三分の二以上の多数で議決したときは、秘密会を開くことができる。
2 両議院は、おのおのその会議の記録を保存し、秘密会の記録の中で特に秘密を要すると認められるものを除き、これを公表し、かつ、一般に頒布しなければならない。
3 出席議員の五分の一以上の要求があるときは、各議員の表決を会議録に記載しなければならない。
〔会議の公開と会議録〕
第五十七条 両議院の会議は、公開とする。但し、出席議員の三分の二以上の多数で議決したときは、秘密会を開くことができる。
2 両議院は、各々その会議の記録を保存し、秘密会の記録の中で特に秘密を要すると認められるもの以外は、これを公表し、且つ一般に頒布しなければならない。
3 出席議員の五分の一以上の要求があれば、各議員の表決は、これを会議録に記載しなければならない。
「こっちは特にいうことがないわ、次」
「ないこともないでしょこっちには議員総数に対する出席議員の割合に関する規約はないし改憲案の第五十六条二項が無効化出来ちゃうなら当然秘密会も簡単に開けちゃいますよね?」
と有希。
「あ“〜!」
とリナ、本当にこのふたりを見ていたらあきない、と言って良いのかは知らないけど、意外とリナはうつけものかも。
五八条 (役員の選任並びに議院規則及び懲罰)両議院は、おのおのその議長その他の役員を選任する。
2 両議院は、おのおのその会議その他の手続き及び内部の規律に関する規則を定め、並びに院内の秩序を乱した議員を懲罰することができる。ただし、議員を除名するには、出席議員の三分の二以上の多数による議決を必要とする。
〔役員の選任及び議院の自律権〕
第五十八条 両議院は、各々その議長その他の役員を選任する。
2 両議院は、各々その会議その他の手続及び内部の規律に関する規則を定め、又、院内の秩序をみだした議員を懲罰することができる。但し、議員を除名するには、出席議員の三分の二以上の多数による議決を必要とする。
「結構これは現行憲法でも問題になっていて第一野党を含む与党にとって気に入らない議員を除名処分にする事が出来る悪法なわけ、もちろん私も昔に参加させられそうになったわ、棄権したけど会議には残った、でも今の子達じゃ無理ね、党則に逆らえない」とリナ。
「だからあの寄生体持ちの人たちも議員を除名できないのね」
と有希、やめて!その話題は男のシンボルを中から引き裂いて出てきたあの(ピー)まみれのミニチュア美少女を思い出しちゃうから!
五九条 (法律案の議決及び衆議院の優越)法律案は、この憲法に特別の定めのある場合を除いては、両議院で可決したとき法律となる。
2 衆議院で可決し、参議院でこれと異なった議決をした法律案は、衆議院で出席議員の三分の二以上の多数で再び可決したときは、法律となる。
3 前項の規定は、法律の定めるところにより、衆議院が両議院の協議会を開くことを求めることを妨げない。
4 参議院が、衆議院の可決した法律案を受け取った後、国会休会中の期間を除いて六十日以内に、議決しないときは、衆議院は、参議院がその法律案を否決したものとみなすことができる。
〔法律の成立〕
第五十九条 法律案は、この憲法に特別の定のある場合を除いては、両議院で可決したとき法律となる。
2 衆議院で可決し、参議院でこれと異なつた議決をした法律案は、衆議院で出席議員の三分の二以上の多数で再び可決したときは、法律となる。
3 前項の規定は、法律の定めるところにより、衆議院が、両議院の協議会を開くことを求めることを妨げない。
4 参議院が、衆議院の可決した法律案を受け取つた後、国会休会中の期間を除いて六十日以内に、議決しないときは、衆議院は、参議院がその法律案を否決したものとみなすことができる。
「ここは言うこともないわ、次」
とリナ、彼女たちが異世界で立ち上げた新政権が何らかの罠にはめられたのは確かなようだ。
六〇条 (予算案の議決等に関する衆議院の優越)予算案は、先に衆議院に提出しなければならない。
2 予算案について、参議院で衆議院と異なった議決をした場合において、法律の定めるところにより、両議院の協議会を開いても意見が一致しないとき、または参議院が、衆議院の可決した予算案を受け取った後、国会休会中の期間を除いて三十日以内に、議決しないときは、衆議院の議決を国会の議決とする。
第六十条 予算は、さきに衆議院に提出しなければならない。
2 予算について、参議院で衆議院と異なつた議決をした場合に、法律の定めるところにより、両議院の協議会を開いても意見が一致しないとき、又は参議院が、衆議院の可決した予算を受け取つた後、国会休会中の期間を除いて三十日以内に、議決しないときは、衆議院の議決を国会の議決とする。
「これも変えていないみたいだけどその予算案自体が闇鍋なのよねぇ」
「それ知ってる、一般会計よりも高額な特別会計って奴でしょ」
「へえ、意外、有希ってアイドルのくせに色々と知っているんだ」
「あのねぇ、ゆきりんが知らなすぎ、芸能事務所ってところはある意味小さな政府なの、むしろあのエッフェル塔令嬢たちが知らないふりをして演じているか、寄生体を孕まされたかのどちらかだと思うわ」
ボクは有希にキツく返されてしまっていた。
六一条 (条約の承認に関する衆議院の優越)条約の締結に必要な国会の承認については、前条二項の規定を準用する。
*2 予算案について、参議院で衆議院と異なった議決をした場合において、法律の定めるところにより、両議院の協議会を開いても意見が一致しないとき、または参議院が、衆議院の可決した予算案を受け取った後、国会休会中の期間を除いて三十日以内に、議決しないときは、衆議院の議決を国会の議決とする。
〔条約締結の承認〕
第六十一条 条約の締結に必要な国会の承認については、前条第二項の規定を準用する。
*2 予算について、参議院で衆議院と異なつた議決をした場合に、法律の定めるところにより、両議院の協議会を開いても意見が一致しないとき、又は参議院が、衆議院の可決した予算を受け取つた後、国会休会中の期間を除いて三十日以内に、議決しないときは、衆議院の議決を国会の議決とする。
「まあ参議院の連中がいくら粘ったところで俺たちにが敵わねえぜby衆議院与党ってところでしょうね」
リナは悔しそうに言った。
「前田愛理さんって参議院議員だったんですか?」
ボクがきくとリナは全否定した。
「愛理の母親の心の中にまだ私が棲んでいた頃の話よ、あちらの世界で参議院の立ち上がり初期の頃ね」
どうやらリナが住んでいた世界はボクたちの世界とあまり大きな違いはなさそうだ。
六二条 (議院の国政調査権)両議院は、おのおの国政に関する調査を行い、これに関して、証人の出頭及び証言並びに記録の提出を要求することができる。
〔議院の国政調査権〕
第六十二条 両議院は、各々国政に関する調査を行ひ、これに関して、証人の出頭及び証言並びに記録の提出を要求することができる。
「わからないわあ、4、5年に一回来るやつ?」
有希は言ったがもちろん違うに決まっている、大体字が違うでしょ、あっちは『勢』、こっちは『政』、でも証人喚問みたいなことするのかな?
「さあ、私がいた世界じゃそんな話は聞いたことがないわ、証人となるとみんな罰則とか恐れて尻込みをして拒否されるからね」
とリナ。
六三条 (国務大臣の議院出席の権利及び義務)内閣総理大臣その他の国務大臣は、両議院のいずれかに議席を有すると有しないとにかかわらず、いつでも議案について発言するため議院に出席することができる。
2 内閣総理大臣その他の国務大臣は、答弁または説明のため議院から出席を求められたときは、職務の遂行上やむを得ない事情がある場合を除き、出席しなければならない。
〔国務大臣の出席〕
第六十三条 内閣総理大臣その他の国務大臣は、両議院の一に議席を有すると有しないとにかかはらず、何時でも議案について発言するため議院に出席することができる。又、答弁又は説明のため出席を求められたときは、出席しなければならない。
「まあそうなりますよね」
としか言いようがなかった。
「ポンポンが痛いとか言うのは理由にできないのですか?」
とボク。
「さすがにそれは・・・、でも『海外首脳陣に招かれたから出席できない』とかいうのだったら私たちの世界ではあったわね」とリナ。
六四条 (弾劾裁判所)国会は、罷免の訴追を受けた裁判官を裁判するため、両議院の議員で組織する弾劾裁判所を設ける。
2 弾劾に関する事項は、法律で定める。
六四条の二 (政党)国は、政党が議会制民主主義に不可欠の存在であることにかんがみ、その活動の公正の確保及びその健全な発展に努めなければならない。
2 政党の政治活動の自由は、制限してはならない。
3 前二項に定めるもののほか、政党に関する事項は、法律で定める。
〔弾劾裁判所〕
第六十四条 国会は、罷免の訴追を受けた裁判官を裁判するため、両議院の議員で組織する弾劾裁判所を設ける。
2 弾劾に関する事項は、法律でこれを定める。
「なんなの『六四条の二』、ある意味やりたい放題じゃない!」
急に有希がキレ始めた。
そりゃそうだパーティ券による集金も政治パーティも宗教団体を騙る世界を股にかけた軍事産業団体との密談も「政治活動の一環だ』と言い切ればやれてしまう。今でもやっているけどそれが合憲か違憲かの違いなだけだ。
「次からは内閣に関する章だけど本当にやりたい放題なんだぉ」
またリナのセリフにイラつく語尾が入ってきた。
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@ヤバくないかく?
五章 内閣
六五条 (内閣と行政権)行政権は、この憲法に特別の定めのある場合を除き、内閣に属する。
第五章 内閣
〔行政権の帰属〕
第六十五条 行政権は、内閣に属する。
「あ、また改正案にヤバいワードがさりげなく組み込んである」
有希はそう言うとスマホ画面の1点を指差した。
『行政権は、この憲法に特別の定めのある場合を除き?』、何のことだろか?意外と落とし穴かも。
「特別の定めねぇ、『美少年を除く』とか?」
そんなわけあるかーい!と言いたくなってしまっていた。
六六条 (内閣の組織及び国会に対する責任)内閣は、法律の定めるところにより、その首長たる内閣総理大臣及びその他の国務大臣で組織する。
2 内閣総理大臣その他の国務大臣は、文民でなければならない。
3 内閣は、行政権の行使について、国会に対し連帯して責任を負う。
〔内閣の組織と責任〕
第六十六条 内閣は、法律の定めるところにより、その首長たる内閣総理大臣及びその他の国務大臣でこれを組織する。
「今度はところてんですか?」
ボクはグチッた、今までの経験から他の章か条をまとめた感じだ。
「どうして?」と有希。
「だって内閣総理大臣って確か自衛隊の最高指揮権を持っていてその下の防衛大臣が隊務を統括していることになってなかったっけ?」
ボクは有希が疑問を挟んできた疑問に答えた。
「でもそれをわざわざ入れるって事は『OBなら問題ない』言っているとも取れるわね」とリナ。
「それの何処に問題が?」とボク。
「OBといえば聞こえはいいけど実質上は天下りみたいなものだから、名目上は自衛隊を退官したことになっていても未だに自衛隊という組織の支配下にある人は多いしね」
「じゃあ『自衛隊経験者を除く文民でなければならない』に変えれば良いんじゃない?」
とボク
「でもそうもいかないのよね、特に防衛大臣はある程度は自衛隊の内部事情に詳しくないと困ることもあるし」
リナは頭を抱え始めていた。
六七条 (内閣総理大臣の指名及び衆議院の優越)内閣総理大臣は、国会議員の中から国会が指名する。
2 国会は、他のすべての案件に先立って、前項の指名を行わなければならない。
3 衆議院と参議院とが異なった指名をした場合において、法律の定めるところにより、両議院の協議会を開いても意見が一致しないとき、または衆議院が指名をした後、国会休会中の期間を除いて十日以内に、参議院が指名をしないときは、衆議院の指名を国会の指名とする。
〔内閣総理大臣の指名〕
第六十七条 内閣総理大臣は、国会議員の中から国会の議決で、これを指名する。この指名は、他のすべての案件に先だつて、これを行ふ。
2 衆議院と参議院とが異なつた指名の議決をした場合に、法律の定めるところにより、両議院の協議会を開いても意見が一致しないとき、又は衆議院が指名の議決をした後、国会休会中の期間を除いて十日以内に、参議院が、指名の議決をしないときは、衆議院の議決を国会の議決とする。
「単に1項と2項に分けただけじゃないですか?」
と有希は言ったが何か引っかかる気がした。
「確かにその次の改憲で都合の悪い項目を削除できるメリットはあるけどそうれだけじゃないよような気もするし」
「意見が違った場合は参議院が選出した議員と衆議院が選出した議員の2名に候補を絞って衆議院で再議決すれば良いんじゃないかな?」
と唐突に有希が言った。
「それってなんの意味があるの?」
ボクがきくと「ゴミが減って野党に少しだけ有利になる」
と無責任に有希は答えたが本当にそうだろうか?
六八条 (国務大臣の任免)内閣総理大臣は、国務大臣を任命する。この場合においては、その過半数は、国会議員の中から選ばれなければならない。
2 内閣総理大臣は、任意に国務大臣を罷免することができる。
〔国務大臣の任免〕
第六十八条 内閣総理大臣は、国務大臣を任命する。但し、その過半数は、国会議員の中から選ばれなければならない。
「違いは『内閣総理大臣が任意好き勝手に閣僚クラスの大臣を辞めさせられるってことですかね?自民党内部における総理大臣による独裁化が進むことになってまずいんじゃないですか?」
ボクが言うとリナは一度はうなづいたが首を横に振って続けた。
「それは彼の真意じゃないわ、この改正案が提出された頃はまだ第二次安倍内閣さえ始まっていなかったことになっている、だから多分外部から日本の政権をコントロールしたい宗教の皮を被った国際的な軍事産業団体からの圧力ね」
六九条 (内閣の不信任と総辞職)内閣は、衆議院が不信任の決議案を可決し、または信任の決議案を否決したときは、十日以内に衆議院が解散されない限り、総辞職をしなければならない。
〔不信任決議と解散又は総辞職〕
第六十九条 内閣は、衆議院で不信任の決議案を可決し、又は信任の決議案を否決したときは、十日以内に衆議院が解散されない限り、総辞職をしなければならない。
「衆議院解散に比べたら内閣総辞職の方が自民党にとってはダメージは少ないですよね?でもそうしないのはなぜですか?」
ボクがきくとリナはデコピンをする構えをしたのでボクは慌ててひたいを両手でかばった。
わかっている、そんな防備じゃICBMにJアラートの防御ポーズだ。
しかしリナはデコピンをしないで説明を続けた。
「それよりも問題は憲法改正よりも内閣府不信任を国民投票で行うべきじゃないかしら?、そうでもしないと今の内閣はまじめに仕事をしないと思うけど、もちろん過半数じゃなくて全投票権者の3分の2以上の不信任が必要とすべきだけどね」
七〇条 (内閣総理大臣が欠けたとき等の内閣の総辞職)内閣総理大臣が欠けたとき、または衆議院議員の総選挙の後に初めて国会の召集があったときは、内閣は、総辞職をしなければならない。
〔内閣総理大臣の欠缺又は総選挙施行による総辞職〕
第七十条 内閣総理大臣が欠けたとき、又は衆議院議員総選挙の後に初めて国会の召集があつたときは、内閣は、総辞職をしなければならない。
「内閣総理大臣が欠けたときってどんな状況ですか?ひとり欠けただけで内閣総辞職って一体、副総理大臣は何のために存在しているんですか?」
ボクはきいたがリナは答えなかった。
「総理大臣の病死とか暗殺とかは1ミリも考えていないみたいに感じるんだけどリーダーが抜けたら総入れ替えってそんな組織は病んでいると思う、平等主義とか言うけど総理大臣から見たら他の大臣やヒラの議員たちはただの駒なのかなって、なんかいつも自民党の幹部たちは何かに苛ついているように感じるんだけどそれが原因とは考えないのかな?常に代理を立てられる状況を用意しておくべきだと思うけど?」
珍しく今日の有希は饒舌(じょうぜつ)だ。
七一条 (総辞職後の内閣)前二条の場合には、内閣は、新たに内閣総理大臣が任命されるまで引き続きその職務を行う。
〔総辞職後の職務続行〕
第七十一条 前二条の場合には、内閣は、あらたに内閣総理大臣が任命されるまで引き続きその職務を行ふ。
「また謎ワードが出てきたよ、ゆきりん」
やっぱり有希はボクのことを『ゆきりん』という変なあだ名で呼ぶことをやめられないようだ。
もちろん『謎ワード』というのは『前二条』の事だが現行憲法にもその言い回しが使用されているところを見るとどうやら第六十九条の不信任決議である可能性が高いのだがリナ自身もわからないらしい。
「第六十九条と第七十条のふたつを指しているんだと思うけど第六十九条に適用するのは不自然な気もするよね」
有希が口を挟んだ。
七二条 (内閣総理大臣の職務)内閣総理大臣は、行政各部を指揮監督し、その総合調整を行う。
2 内閣総理大臣は、内閣を代表して、議案を国会に提出し、並びに一般国務及び外交関係について国会に報告する。
〔内閣総理大臣の職務権限〕
第七十二条 内閣総理大臣は、内閣を代表して議案を国会に提出し、一般国務及び外交関係について国会に報告し、並びに行政各部を指揮監督する。
「ワザとわかりにくくしてミスリードを誘っているのかも」
とリナは言った。
「うん、あたしは政治のことは詳しくはないんだけど個人の人権や平和問題に関しては好きだけど、現行憲法も実は結構穴だらけで、それを自民党改憲案が長所だったはずのその部分を壊してダメなところをまたさらに増強して継承している気がするんだ、実は結構現行憲法自体が今の自民党にとって都合の良い部分がかなりあって、いざ手を加えてみたら自分の首を絞めてしまうカオスな状態になってしまっている気がするよ?最初に署名した内閣総理大臣が吉田茂さんだからそんなに自民党にとって不利な内容になることは考えられないけど」
有希はそう言うと引用を続けた。
七三条 (内閣の職務)内閣は、他の一般行政事務のほか、次に掲げる事務を行う。
一 法律を誠実に執行し、国務を総理すること。
二 外交関係を処理すること。
三 条約を締結すること。ただし、事前に、時宜によっては事後に、国会の承認を経ることを必要とする。
四 法律の定める基準に従い、国の公務員に関する事務を掌理すること。
五 予算案及び法律案を作成して国会に提出すること。
六 法律の規定に基づき、政令を制定すること。ただし、政令には、特にその法律の委任がある場合を除いては、義務を課し、または権利を制限する規定を設けることができない。
七 大赦、特赦、減刑、刑の執行の免除及び復権を決定すること。
〔内閣の職務権限〕
第七十三条 内閣は、他の一般行政事務の外、左の事務を行ふ。
一 法律を誠実に執行し、国務を総理すること。
二 外交関係を処理すること。
三 条約を締結すること。但し、事前に、時宜によつては事後に、国会の承認を経ることを必要とする。
四 法律の定める基準に従ひ、官吏に関する事務を掌理すること。
五 予算を作成して国会に提出すること。
六 この憲法及び法律の規定を実施するために、政令を制定すること。但し、政令には、特にその法律の委任がある場合を除いては、罰則を設けることができない。
七 大赦、特赦、減刑、刑の執行の免除及び復権を決定すること。
「職務権限があるのは良いんだけど今の状態は内閣がひとつのチームとして成り立っているかと言うとそれは違うと思う、けっこう輪を乱している人は多いし、肝心の総理がそれを放置しているから大臣間の不信感がピーク状態になってしまっている気がするよ?」
ボクがそう言うと有希は別の点を指摘した。
「あの金脈さんやるいるいさんたちの事ならそれはそれである意味自民党の顔なんだから賛同出来なきゃ党を去るべきだしむしろそれよりも『第七項 大赦、特赦、減刑、刑の執行の免除及び復権を決定すること。』があるんだけど、それとか法務大臣が死刑囚の死刑執行の命令を出せたり、コレって本来は司法のお仕事であって立法が口を出す事じゃないと思うんだけど、現行憲法押し付け論を展開している人ってその辺を理解しているのかな?」
七四条 (法律及び政令への署名)法律及び政令には、すべて主任の国務大臣が署名し、内閣総理大臣が連署することを必要とする。
〔法律及び政令への署名と連署〕
第七十四条 法律及び政令には、すべて主任の国務大臣が署名し、内閣総理大臣が連署することを必要とする。
「誰かが暴走するか、他人事のように気軽に法案や認可証に署名してしまう、そんな事でまともな内閣運営ができるのかな?あたしはアイドルグループの一員に過ぎなかったけど、その気軽に署名したファンクラブ規定に署名したサインがファンの誰かを泣かせちゃったこともある、ひとりの自分勝手な奴に振り回されて互いに疑心暗鬼を生ずる事だってある、あたしたちのアイドルグループはあの大手芸能事務所社長に良いように振り回されて全員が殺し合うようなことになってしまったけど、本当は寄生体なんか関係なくお互いの連携さえ取れていて、自分達のファンたちの事を考えられる余裕があったら誰も泣かずに済んだかもしれない、本当に今の中央主義のまま総理大臣ひとりに責任と権利を集中させて本当にいいのかな?」
七五条 (国務大臣の特権)国務大臣は、その在任中、内閣総理大臣の同意がなければ、訴追されない。ただし、訴追の権利は、これにより害されない。
〔国務大臣訴追の制約〕
第七十五条 国務大臣は、その在任中、内閣総理大臣の同意がなければ、訴追されない。但し、これがため、訴追の権利は、害されない。
「要するに悪いことをした大臣がいても、その大臣を訴える事は総理大臣が同意しなければ訴えることが出来ないって奴でしょ、総理大臣のご機嫌取りをすれば訴追されないって、そりゃ総理大臣の周りはイエスマンばかりになるし私腹を肥やす奴も増えるよ?これで『訴追の権利は、害されない』って何のジョークですか?と言いたいわよ、現状はしっかりと害されているじゃん」
有希はまるで納得がいかない様子だった。
六章 司法
七六条 (裁判所と司法権)すべて司法権は、最高裁判所及び法律の定めるところにより設置する下級裁判所に属する。
2 特別裁判所は、設置することができない。行政機関は、終審として裁判を行うことができない。
3 軍事に関する裁判を行うため、法律の定めるところにより、下級裁判所として、軍事裁判所を設置する。
4 すべて裁判官は、その良心に従い独立してその職権を行い、この憲法及び法律にのみ拘束される。
第六章 司法
〔司法権の機関と裁判官の職務上の独立〕
第七十六条 すべて司法権は、最高裁判所及び法律の定めるところにより設置する下級裁判所に属する。
2 特別裁判所は、これを設置することができない。行政機関は、終審として裁判を行ふことができない。
3 すべて裁判官は、その良心に従ひ独立してその職権を行ひ、この憲法及び法律にのみ拘束される。
「本当にそうかな?」
有希がボソッとつぶやいた。
「最高裁判所の裁判官を選出して任命するのは一体誰?案外あの男はそれをうっかり口に滑らせてしまったのかもしれない、『司法を支配しているのは俺だ』と言いたげに」
「それは後回しにしてここで1番の問題は現行憲法で一度廃止した『特別裁判所』の設置を認めないとしながらも改正案じゃその『特別裁判所』のひとつでもある『軍法会議』の呼び方を変えただけの『軍事裁判所』の設置を認めてしまっていることなのよね、いくら下級裁判所とは言ってもこれはまずいと思うわ、下手をすれば沖縄で女児が米軍兵に輪姦されたような事件でも『軍事作戦状の機密』を理由に無罪にされるケースが出てくるかもしれない」
その時はまさかね、とボクは思っていた。
七七条 (最高裁判所の規則制定権)最高裁判所は、裁判に関する手続き、弁護士、裁判所の内部規律及び司法事務処理に関する事項について、規則を定める権限を有する。
2 検察官、弁護士その他の裁判に関わる者は、最高裁判所の定める規則に従わなければならない。
3 最高裁判所は、下級裁判所に関する規則を定める権限を、下級裁判所に委任することができる。
〔最高裁判所の規則制定権〕
第七十七条 最高裁判所は、訴訟に関する手続、弁護士、裁判所の内部規律及び司法事務処理に関する事項について、規則を定める権限を有する。
2 検察官は、最高裁判所の定める規則に従はなければならない。
3 最高裁判所は、下級裁判所に関する規則を定める権限を、下級裁判所に委任することができる。
「まずひとつ目は『3 最高裁判所は、下級裁判所に関する規則を定める権限を、下級裁判所に委任することができる。』だけどコレ自体は差して問題はないように見えるけど」
リナが言っている途中で有希が口を挟んで挿んできた。
「さっきの改憲案にあった『軍事裁判所』の問題ですよね、最高裁判所が任意の事件を下級裁判所である『軍事裁判所』に委任する事が可能になってしまう」
でもそんな案件を真っ当な最高裁判所の裁判官たちが『軍事裁判所』に委ねるだろうか?
「2の項目だけど現行憲法では『検察官は、最高裁判所の定める規則に従はなければならない。』となっているけど改正案では『検察官、弁護士その他の裁判に関わる者は、最高裁判所の定める規則に従わなければならない。』となっているわ、最高裁判所に従わなきゃならないのが検察官だけならまだしも弁護士まで封じられるとなると大勢の罪なき冤罪者が死刑台送りになりかねない、『自称司法の長』みたいな事を言っている人が『シケーだ、シケー、グヘヘ』とか言って裁判官を操り出したらどうなるかしらね、もしかしたら思想犯の死刑囚が大量に発生するかもよ」
って有希、それを『グヘヘ』とか変な笑みを浮かべながら言うんじゃない!
七八条 (裁判官の身分保障)裁判官は、次条三項に規定する場合及び心身の故障のために職務を執ることができないと裁判により決定された場合を除いては、公の弾劾によらなければ罷免されない。行政機関は、裁判官の懲戒処分を行うことができない。
〔裁判官の身分の保障〕
第七十八条 裁判官は、裁判により、心身の故障のために職務を執ることができないと決定された場合を除いては、公の弾劾によらなければ罷免されない。裁判官の懲戒処分は、行政機関がこれを行ふことはできない。
「まあ体調不良などで辞めた人はいないと思うけどハラスメントなプレッシャーで引退した人はいそうな感じ、でも安全性に問題のある重大事故につながる欠陥が指摘されているにも関わらず原発再稼働を認める判決を下した裁判官って、その後に巨大地震でメルトダウンや臨界爆発のような大事故を起こして大勢の人たちが命を落としても裁判官は元より総理大臣さえなんのペナルティも下されないのよね?少なくとも自分が下した判決には責任を取ってほしいんだけど」
と有希は言ってから叫んだ。
「テメーらは罪に問われねぇかもしれねーけどあたしたちは大勢被曝して死ぬんだよ、その責任の1ミリでも感じやがれ」
それから一息深呼吸をして続けた。
「あ、テレビで『電気を使うな』とか『江戸時代の生活をしろ』と言った人たちも同罪だからね」
七九条 (最高裁判所の裁判官)最高裁判所は、その長たる裁判官及び法律の定める員数のその他の裁判官で構成し、最高裁判所の長たる裁判官以外の裁判官は、内閣が任命する。
2 最高裁判所の裁判官は、その任命後、法律の定めるところにより、国民の審査を受けなければならない。
3 前項の審査において罷免すべきとされた裁判官は、罷免される。
4 最高裁判所の裁判官は、法律の定める年齢に達した時に退官する。
5 最高裁判所の裁判官は、すべて定期に相当額の報酬を受ける。この報酬は、在任中、やむを得ない事由により法律をもって行う場合であって、裁判官の職権行使の独立を害するおそれがないときを除き、減額することができない。
〔最高裁判所の構成及び裁判官任命の国民審査〕
第七十九条 最高裁判所は、その長たる裁判官及び法律の定める員数のその他の裁判官でこれを構成し、その長たる裁判官以外の裁判官は、内閣でこれを任命する。
2 最高裁判所の裁判官の任命は、その任命後初めて行はれる衆議院議員総選挙の際国民の審査に付し、その後十年を経過した後初めて行はれる衆議院議員総選挙の際更に審査に付し、その後も同様とする。
3 前項の場合において、投票者の多数が裁判官の罷免を可とするときは、その裁判官は、罷免される。
4 審査に関する事項は、法律でこれを定める。
5 最高裁判所の裁判官は、法律の定める年齢に達した時に退官する。
6 最高裁判所の裁判官は、すべて定期に相当額の報酬を受ける。この報酬は、在任中、これを減額することができない。
「やっぱりね」
有希がつぶやいた。
「最高裁判所の一番偉い人以外は内閣が選定するんでしょ?、その内閣でいちばん偉い人は誰?総理大臣でしょ、じゃあいちばん偉い裁判官を選ぶのは誰?総理大臣たちが選んだ裁判官たちだよ?やっぱりあの総理大臣発言は口を滑らせただけなんだ」
確かに有希の言う通りかもしれないが現行憲法では衆議院選挙と同時に審査を受けることになっている、今よりは良くなるんじゃないだろうか?
「憲法で定められているのにわざわざそんな法律作るかしら?」
有希は疑心暗鬼の塊になっているように感じた。
まあ今の世界的軍事産業団体と繋がりのある党のあの人が総理大臣だから仕方がないかもしれない。
八〇条 (下級裁判所の裁判官)下級裁判所の裁判官は、最高裁判所の指名した者の名簿によって、内閣が任命する。その裁判官は、任期を十年とし、再任されることができる。ただし、法律の定める年齢に達した時には退官する。
2 前条五項の規定は、下級裁判所の裁判官の報酬について準用する。
〔下級裁判所の裁判官〕
第八十条 下級裁判所の裁判官は、最高裁判所の指名した者の名簿によつて、内閣でこれを任命する。その裁判官は、任期を十年とし、再任されることができる。但し、法律の定める年齢に達した時には退官する。
2 下級裁判所の裁判官は、すべて定期に相当額の報酬を受ける。この報酬は、在任中、これを減額することができない。
「要するに司法は内閣の下僕なの?」
と有希は言ったがボクはそれを否定出来なかった。
八一条 (法令審査権と最高裁判所)最高裁判所は、一切の法律、命令、規則又は処分が憲法に適合するかしないかを決定する権限を有する終審裁判所である。
〔最高裁判所の法令審査権〕
第八十一条 最高裁判所は、一切の法律、命令、規則又は処分が憲法に適合するかしないかを決定する権限を有する終審裁判所である。
「それにしちゃ最近明らかに幼い女子に性的暴行を加えたりした男が無罪放免になったりする、あきらかな憲法違反で差別を受けた者たちが捨て置かれる判例があったりするんだけどね」
有希がどんどん黒くなってゆく気がした。
いや内閣に入ってからずっとか?
八二条 (裁判の公開)裁判の対審及び判決は、公開法廷で行う。
2 裁判所が、裁判官の全員一致で、公の秩序又は善良の風俗を害するおそれがあると決した場合には、対審は、公開しないで行うことができる。ただし、政治犯罪、出版に関する犯罪又は三章で保障する国民の権利が問題となっている事件の対審は、常に公開しなければならない。
〔対審及び判決の公開〕
第八十二条 裁判の対審及び判決は、公開法廷でこれを行ふ。
2 裁判所が、裁判官の全員一致で、公の秩序又は善良の風俗を害する虞があると決した場合には、対審は、公開しないでこれを行ふことができる。但し、政治犯罪、出版に関する犯罪又はこの憲法第三章で保障する国民の権利が問題となつてゐる事件の対審は、常にこれを公開しなければならない。
「ちょと、これって『売春を強要された女性やAV制作業者絡みに巻き込まれた女性たち』に対する裁判が非公開になるって事?、その辺をはっきりしてほしいけど」
有希は取り乱して言ったがさすがにそれはないと思う。
裁判官の全員一致なんて。
【それがこの国日本ではあり得る事なんだぉ〜】
また例のうざたて〜声が頭の中に響いた。
七章 財政
八三条 (財政の基本原則)国の財政を処理する権限は、国会の議決に基づいて行使しなければならない。
2 財政の健全性の確保は、常に配慮されなければならない。
第七章 財政
〔財政処理の要件〕
第八十三条 国の財政を処理する権限は、国会の議決に基いて、これを行使しなければならない。
「健全性ってオランダ語の『健康健全』を意味するケゾントから来ているんだって、知らんけど」
いよいよ有希が壊れ始めたようだ、ひょっとしたら先々々々々代からの呪いだろうか?
八四条 (租税法律主義租税を新たに課し、または変更するには、法律の定めるところによることを必要とする。
〔課税の要件〕
第八十四条 あらたに租税を課し、又は現行の租税を変更するには、法律又は法律の定める条件によることを必要とする。
別に取られるのは仕方がないとしていろいろ合わせると年収150万円の人でも40パーセント近くは取られているときく、それなんとかならない?と言うのが本音だが武器の爆買いや海外へのバラマキ、謎の特別予算に消えていくと思うとなんだかなと思う。
八五条 (国費の支出及び国の債務負担)国費を支出し、または国が債務を負担するには、国会の議決に基づくことを必要とする。
〔国費支出及び債務負担の要件〕
第八十五条 国費を支出し、又は国が債務を負担するには、国会の議決に基くことを必要とする。
もっと有意義に使ってほしいんだけど、あの変な布マスクやマイナカードのために巨額な金を役立たずな日本の電子通信大企業に献上するのはやめてほしいと思う。
八六条 (予算)内閣は、毎会計年度の予算案を作成し、国会に提出して、その審議を受け、議決を経なければならない。
2 当該会計年度開始前に前項の議決がなかったときは、内閣は、法律の定めるところにより、同項の議決を経るまでの間、必要な支出をすることができる。
3 前項の規定による支出については、内閣は、事後に国会の承諾を得なければならない。
〔予算の作成〕
第八十六条 内閣は、毎会計年度の予算を作成し、国会に提出して、その審議を受け議決を経なければならない。
「あのねぇ『2 当該会計年度開始前に前項の議決がなかったときは、内閣は、法律の定めるところにより、同項の議決を経るまでの間、必要な支出をすることができる。』というのと『3 前項の規定による支出については、内閣は、事後に国会の承諾を得なければならない。』ってマジでなめていると思うんだけど、わざと審議を遅らせたり予算の提出を出し渋ったりして好き勝手に予算を引き出せるじゃん」
ボクがキレ気味に言うと有希は意外にも落ち着いて反論してきた。
「それは逆に野党側の審議妨害をして来た時にそれを防ぐのに必要だし、あたしたちが臨時のイベントを行う際にも会社の会計会議を待っていたら手遅れになる事もあるよ?それにちゃんと改正案には『事後に国会の承諾を得なくちゃいけない』と明記してある、だからそこは問題じゃない、ただしそれは国民にちゃんと何処にと何処にいくら使ったかの明細を領収書付きで誰でも見られるファイル形式で公表しなくちゃダメだし、それをマスコミなどに圧力をかけて報道させないのは論外だし国家機密という言葉は『不正』を産む温床になるから論外だよ、あたしたちがそれやったら大問題だよ」
八七条 (予備費)予見し難い予算の不足に充てるため、国会の議決に基づいて予備費を設け、内閣の責任でこれを支出することができる。
2 すべて予備費の支出については、内閣は、事後に国会の承諾を得なければならない。
〔予備費〕
第八十七条 予見し難い予算の不足に充てるため、国会の議決に基いて予備費を設け、内閣の責任でこれを支出することができる。
2 すべて予備費の支出については、内閣は、事後に国会の承諾を得なければならない。
「もちろんこれについては異論はないけど本当に国民が必要としている時にそれに見合った予備費が計上されるかが問題よね、いつだったかの能登半島大震災の時にすぐに臨時予備費が計上されなかったのは問題だし、これに関しては反対しそうなのは野党落ちしていた時の自民党くらいのものだけどあの東北太平洋沖地震の時の民主党の動きは早かったし、その時の自民党の反応を見ていたら2024年初頭の自民党の対応はまさしく『推して知るべし』としか言いようがなかった」
有希は一気に捲し上げた後でボソリと付け加えた。
「もうこれは憲法前文以前の問題だし改正案さえ守られてないからね」
八八条 (皇室財産及び皇室の費用)すべて皇室財産は、国に属する。すべて皇室の費用は、予算案に計上して国会の議決を経なければならない。
〔皇室財産及び皇室費用〕
第八十八条 すべて皇室財産は、国に属する。すべて皇室の費用は、予算に計上して国会の議決を経なければならない。
「ここで暴言を吐かせてもらうなら皇室こそ民営化したほうが良いんじゃないかな?結構今のところ皇室は世界に誇れるブランドだと思うし政権の顔色を伺いながら『日本の象徴』を続けるのはムリがあると思う。
八九条 (公の財産の支出及び利用の制限)公金その他の公の財産は、第二〇条三項の規定による制限を超えて、宗教的活動を行う組織または団体の使用、便益もしくは維持のため、支出し、またはその利用に供してはならない。
2 公金その他の公の財産は、国もしくは公共団体の監督が及ばない慈善、教育もしくは博愛の事業に対して支出し、またはその利用に供してはならない。
〔公の財産の用途制限〕
第八十九条 公金その他の公の財産は、宗教上の組織若しくは団体の使用、便益若しくは維持のため、又は公の支配に属しない慈善、教育若しくは博愛の事業に対し、これを支出し、又はその利用に供してはならない。
「それを言い出したら大半の大きな新興宗教法人はアウトなんだけど憲法が機能していない一例じゃないの?」
いや一部のファンのためだけに活動していたあなたがそれを言う?
「あのさぁ、ゆきりんは何か勘違いしているかもしれないけど私が批判しているのは企業化した宗教法人であって、その皮を被った『多国籍軍事産業団体』なの、わかりなさいよ。
九〇条 (決算の承認)内閣は、国の収入支出の決算について、すべて毎年会計検査院の検査を受け、法律の定めるところにより、次の年度にその検査報告とともに国会に提出し、その承認を受けなければならない。
2 会計検査院の組織及び権限は、法律で定める。
〔会計検査〕
第九十条 国の収入支出の決算は、すべて毎年会計検査院がこれを検査し、内閣は、次の年度に、その検査報告とともに、これを国会に提出しなければならない。
2 会計検査院の組織及び権限は、法律でこれを定める。
「国会で決めるのは構わないけどちゃんと、せめて数百万円単位でエクセル形式といくつかの項目に分けてグラフ化して公開してほしいわね、それをすべてのマスコミが自由に報道できるのが原則、世界が羨む(うらやむ)日本にしたかったらそれが最低条件」
九一条 (財政状況の報告)内閣は、国会及び国民に対し、定期に、少なくとも毎年一回、国の財政状況について報告しなければならない。
〔財政状況の報告〕
第九十一条 内閣は、国会及び国民に対し、定期に、少くとも毎年一回、国の財政状況について報告しなければならない。
「さっきも言ったけどこれがほとんど守られていないのが実情なの、どんぶり勘定どころか100メートルプール勘定よ」
八章 地方自治
九一条の二 (地方自治の本旨)地方自治は、住民の参画を基本とし、住民に身近な行政を自主的、自立的かつ総合的に実施することを旨として行う。
2 住民は、その属する地方自治体の役務の提供をひとしく受ける権利を有し、その負担を公正に分任する義務を負う。
九一条の三 (地方自治体の種類等)地方自治体は、基礎地方自治体及びこれを包括し、補完する広域地方自治体とする。
2 地方自治体の組織及び運営に関する基本的事項は、地方自治の本旨に基づいて、法律で定める。
第八章 地方自治
〔地方自治の本旨の確保〕
第九十二条 地方公共団体の組織及び運営に関する事項は、地方自治の本旨に基いて、法律でこれを定める。
「地方アイドルやっているとわかるけどさ、そこの市町村の長や議員の質で役場の人たちの住民への対応も違う、そうなれば自ずと良質の長や議員を持つ自治体の住民は活気があるしそうじゃない自治体の住民は暗くどんよりとしている」
第九十二条 該当項目なし
九二条 (国及び地方自治体の相互の協力)国及び地方自治体は、地方自治の本旨に基づき、適切な役割分担を踏まえて、相互に協力しなければならない。
地方自治体切り捨て宣言でしょか?
九三条 (地方自治体の機関及び直接選挙)地方自治体には、法律の定めるところにより、条例その他重要事項を議決する機関として、議会を設置する。
2 地方自治体の長、議会の議員及び法律の定めるその他の公務員は、当該地方自治体の住民が、直接選挙する。
〔地方公共団体の機関〕
第九十三条 地方公共団体には、法律の定めるところにより、その議事機関として議会を設置する。
2 地方公共団体の長、その議会の議員及び法律の定めるその他の吏員は、その地方公共団体の住民が、直接これを選挙する。
「はい次」
九四条 (地方自治体の権能)地方自治体は、その事務を処理する権能を有し、法律の範囲内で条例を制定することができる。
九四条の二 (地方自治体の財務及び国の財政措置)地方自治体の経費は、その分担する役割及び責任に応じ、条例の定めるところにより課する地方税のほか、当該地方自治体が自主的に使途を定めることができる財産をもってその財源に充てることを基本とする。
2 国は、地方自治の本旨及び前項の趣旨に基づき、地方自治体の行うべき役務の提供が確保されるよう、法律の定めるところにより、必要な財政上の措置を講ずる。
3 八三条二項の規定は、地方自治について準用する。
*2 財政の健全性の確保は、常に配慮されなければならない。
〔地方公共団体の権能〕
第九十四条 地方公共団体は、その財産を管理し、事務を処理し、及び行政を執行する権能を有し、法律の範囲内で条例を制定することができる。
「これも次ですね」
リナはやはりあの件が気になって仕方がない様子だった。
九五条 (現行憲法の条文を削除)
〔一の地方公共団体のみに適用される特別法〕
第九十五条 一の地方公共団体のみに適用される特別法は、法律の定めるところにより、その地方公共団体の住民の投票においてその過半数の同意を得なければ、国会は、これを制定することができない。
「これってもしかして沖縄の事?もしのこれが辺野古湾の埋め立て及び基地建築の事を指すのなら国というか自民党が現行憲法をガン無視していることになりますね」
第九十五条削除の理由はそれか?とボクは思った。
九章 改正
九六条 この憲法の改正は、衆議院または参議院の議員の発議に基づき、各議院の総議員の過半数の賛成で国会が議決し、国民に提案してその承認を経なければならない。この承認には、特別の国民投票において、その過半数の賛成を必要とする。
2 憲法改正について前項の承認を経たときは、天皇は、国民の名で、この憲法と一体であるものとして、直ちに憲法改正を公布する。
第九章 改正
〔憲法改正の発議、国民投票及び公布〕
第九十六条 この憲法の改正は、各議院の総議員の三分の二以上の賛成で、国会が、これを発議し、国民に提案してその承認を経なければならない。この承認には、特別の国民投票又は国会の定める選挙の際行はれる投票において、その過半数の賛成を必要とする。
2 憲法改正について前項の承認を経たときは、天皇は、国民の名で、この憲法と一体を成すものとして、直ちにこれを公布する。
「今までのを読んでいるとやはりリナが言う通り今回の改憲のキモはコレですね」
とボクは思った。
3分の2の賛成から過半数の賛成というと大して変わらないように感じるかもしれないけど、逆にいうと現行憲法化ではどちらかの議会で3分の1以上の反対があればその改憲案はつぶせる。
しかし改正案ではどちらかで過半数の反対がないと国会ではつぶせないことになる。
その後の国民投票の戦略を考えると全話で秋子さんが語ったように護憲派にはこれ以降かなり不利な戦いを強いられる事は確かだ。
そしてその改憲案はかなりの高い確率で短期間に何度も提出される可能性が高いのも事実だ。
〔参議院成立前の国会〕
第百一条以降 改正案に該当項目なし
参議院は既に存在するため削除
〔参議院成立前の国会〕
第百一条 この憲法施行の際、参議院がまだ成立してゐないときは、その成立するまでの間、衆議院は、国会としての権限を行ふ。
〔参議院議員の任期の経過的特例〕
第百二条 この憲法による第一期の参議院議員のうち、その半数の者の任期は、これを三年とする。その議員は、法律の定めるところにより、これを定める。
〔公務員の地位に関する経過規定〕
第百三条 この憲法施行の際現に在職する国務大臣、衆議院議員及び裁判官並びにその他の公務員で、その地位に相応する地位がこの憲法で認められてゐる者は、法律で特別の定をした場合を除いては、この憲法施行のため、当然にはその地位を失ふことはない。但し、この憲法によつて、後任者が選挙又は任命されたときは、当然その地位を失ふ。
十章 最高法規
九七条 (基本的人権の意義)この憲法が日本国民に保障する基本的人権は、人類の多年にわたる自由獲得の努力の成果であって、これらの権利は、過去幾多の試錬に堪え、現在及び将来の国民に対し侵すことのできない永久の権利として信託されたものである。
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第十章 最高法規
〔基本的人権の由来特質〕
第九十七条 この憲法が日本国民に保障する基本的人権は、人類の多年にわたる自由獲得の努力の成果であつて、これらの権利は、過去幾多の試錬に堪へ、現在及び将来の国民に対し、侵すことのできない永久の権利として信託されたものである。
九八条 (憲法の最高法規性等)この憲法は、国の最高法規であって、その条規に反する法律、命令、詔勅及び国務に関するその他の行為の全部または一部は、その効力を有しない。
2 日本国が締結した条約及び確立された国際法規は、これを誠実に遵守することを必要とする。
〔憲法の最高性と条約及び国際法規の遵守〕
第九十八条 この憲法は、国の最高法規であつて、その条規に反する法律、命令、詔勅及び国務に関するその他の行為の全部又は一部は、その効力を有しない。
2 日本国が締結した条約及び確立された国際法規は、これを誠実に遵守することを必要とする。
九九条 (憲法尊重擁護義務)天皇または摂政及び国務大臣、国会議員、裁判官その他の公務員は、この憲法を尊重し擁護する義務を負う
〔憲法尊重擁護の義務〕
第九十九条 天皇又は摂政及び国務大臣、国会議員、裁判官その他の公務員は、この憲法を尊重し擁護する義務を負ふ。
第十一章 補則
〔施行期日と施行前の準備行為〕
第百条 改正案に該当項目なし
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第十一章 補則
〔施行期日と施行前の準備行為〕
第百条 この憲法は、公布の日から起算して六箇月を経過した日から、これを施行する。
2 この憲法を施行するために必要な法律の制定、参議院議員の選挙及び国会召集の手続並びにこの憲法を施行するために必要な準備手続は、前項の期日よりも前に、これを行ふことができる。
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@くどいですが新たな戦前の始まりました。
「君が言う通りだとしても風間刑事とか言う人も、葉類親娘もこの世にはもう存在しない、なぜなら2年前に日本が仕掛けた戦争が激化してつい最近、北九州市、大阪市、名古屋市に数十メガトン級の水爆が投下されて彼らの住んでいたであろう小中井田井市も蒸発して無くなったって話だ、これは逆に言うと君が10年前から来たというなら説明がつくかもしれないな、歴史の変革が生じたとするなら、君は10年前よりもさらに昔に飛んでいた可能性が高い」
なんか大人になったなぁ、凛。
でも・・・それより気になることが。
「ちょっと待ってよ、なんで日本が戦争仕掛けるの?軍隊を持たない日本がそんなことするなんてありえないでしょ」
私は思わず口を挟んだ、いくらなんでも突飛すぎるし、にわかには信じられなかった。
「仕方がないですね、ここは元総理の山崎秋子が責任をもって説明します」
この人が元総理だというのも信じられないけど少しでも情報が得られればということで取りあえず話を聞くことにした。
「10年くらい前にあたしとここにいる倶名尚愛は選挙法改正直後に行われた衆議院議員の選挙で立候補して当選した、その頃はもうすでに二人が所属していたそれぞれの政党は以前からヤバイ党だとは言われてはいた、けれどそれは『近隣の大国に侵入されるのを防ぐにはある程度の軍事力が必要だ』という程度のものだった」
秋子はそこで一息をついて私を見る。そしてなぜか小さく微笑むと続けた。
そんなある日、国民投票法が改正されて一気に改憲の機運が高まった、その時はマスコミをはじめ国民の多くが気がついていなかったけどこの改正案の大きな問題点は二つ」
頭上に挙げた右手をこぶしにしてみんなの目の前に差し出して人差し指を立てた。
「まずは有効投票者数がどんなに少なくても、その場合わずかな僅差だとしても『改憲賛成票』が上回れば改憲が可能になってしまうということ、敦子何か床に書けるものを出して」
そう言ったらすぐそばにいた敦子なる女は黒の油性極太マジックペンを取り出して秋子に手渡した。
「まずここに円グラフを描くとする、そして投票の結果、わずかに『改憲反対票』を『改憲賛成票』が上回りました、結果として憲法改正をこ会で審議することが可能になりました、この場合、亜希さん?どう思いますか?」
この問いかけは他の三人ではなくて明らかに私に向けてのものだった。答えはもちろん・・・
「国民が出した答えなんだからそれはそれで良いんじゃないかな?」
私がそう言うと秋子はやっぱり少し微笑んだ気がした。
少々子供扱いされているような気がした。
だが彼女はもう一つ円グラフと描いた。
そしてその円の分割比は1/3と2/3、そして面積の狭い方に『有効票』と書き、広い方に『無効票』と書いた。
「この場合はどうかしら?わかりにくかったらもう一つ円グラフを書きますよ?」
私は小さく「あっ」っと叫んでしまった。
バカな私でもこれはよく分かる事だ。
仮に賛成票が60%あったとしても全体の中のわずかに20%に過ぎない。これを多数決と言い張るには少々乱暴すぎる。
「亜希さんが言いたいことはわかる、でもこれをもって投票結果を無効とする事は出来ないのよね、例えば『投票に参加しなかった人達が全員反対だった訳じゃない』とか、『むしろ賛成の方が多かったけど投票に行けなかっただけのことだ』とか、挙げ句の果てには『無効票を書くような奴はふざけた記入をする輩ばかりだからそんなのは無視するべき』だとか、最低有効投票率を設定してそれを満たさなければ投票自体を無効にするなどときっちりとした方の線引きがないとこうなりますという話です」
なんとなくわかった気がするでもそれだけじゃ。
「今、亜希さんはそれだけじゃって思っていたでしょ?でも二つ目が大問題なの」
心を見抜かれているような気がした、目の前の秋子さんはさらに中指も立てる。
2本目だ。
「広告に関する制約を決めなかったことと国民に対してその改憲に関する内容を事細かくはっきりと告示しなくても良いということ、はっきり言って後でちょちょいと書き換えることも可能ですからね、それがなされた場合の『国民投票結果を無効、つまり廃棄する』ことさえ出来ない」
まあ確かに・・・でも
「どうせネットとかで改憲案の詳細がバラされちゃうんじゃない?国民だってバカじゃないし」
一応反論してみた。
「簡単に説明するけどわざとそれらを難解な文章にしてわかりづらくすることも可能なんですよ、そしてその表(おもて)ではすごくわかり易いイメージ戦略を図ることも可能なの、例えば『一生懸命頑張っている自衛隊の人達が可哀想』だとか『隣国が攻めてくるのがわかっているのに攻撃されて多くの国民が殺されるまで手も足も出せないのか?』とか言いだすんだけど、それでもテレビやネットの広告では『自衛隊にどれほどの権限を与えても良いことになっているのか?』、とか『どんな状態での先制攻撃が許されるのか?、どれほどの対外攻撃兵器を所有しても良いか?』、さらに『緊急時にどれくらい国民の行動に制約をかけて良いか?』それらさえ説明しなくても良いの、わかるかな?このヤバさ」
正直今の私にはちょっとピンとこなかった。
「じゃあ例えば、亜希さん、あなたがテレビをつけたとして他のバラエティとかで見ているタレントさんや博識がありそうな学者さんがあちらこちらで先ほど例に挙げたわかり易いキャッチコピーで憲法改正の必要性を訴えるわけ、でものそれに対する反対派はというと『自衛隊は違憲じゃないけど武装してはいけない』とか『先に攻撃できるような兵器を持っちゃいけないとかどうしても歯切れの悪いものになりやすい、そしてそれらをきちんと説明しようとするとさっき言ったようなしちめんどくさい話になって国民の頭を混乱させるし、政権側にとっても『そんなことは言ってはいない』とが『デマを流すな』という反撃の材料にもされやすい」
そうかなぁ、でも・・・
「国民はそんなにバカじゃないと思いますよ?」
そう言った私に対して秋子さんは落ち着きなさいと言いたげなポーズを取った。
「そもそも資金力に圧倒的な差があるの、弱小野党や平和団体がテレビ局や新聞社に出せる広告の量なんてたかが知れている、けどね、賛成派にとってはほとんど無限と言っていいほどの資金源があるの、日本の政治に古くから大きな影響力を持ってきたと言われている大手広告代理店や人材派遣会社の経営者であり尚且つ政権顧問でもある大学の名誉教授とか、彼らが『改憲は絶対に必要だと言ったら?さっき言ったタレントや学者や運動家も雇い放題だよ?それに対して奴らは『反対派』をでも締め出すことができる、それがたとえ『SNS上』であったとしてもね」
なんか悔しい気持ちがこみ上げてきた。
それでも。
「それでも、それでも私は諦めない!」
強く宣言してしまった、顔が真っ赤になって他の人たちに顔向けができない。
「ごめんね、ムキにさせる気はないの、それは私たちが若かった頃にも思っていたことだから、むしろ羨ましい」
なんか急に済まなそうに秋子さんは言う。
こっちも申し訳ない気分になってきた。
「まあそんなわけで正直言って当時与党の側にいた、あたしたちだったんだけど流石に『やばいな』と感じ始めていて、こっそり野党の人たちと内密に連絡を取り合っていて新党の結成を模索していたの」
そういうと彼女は大きさの違う円を描きその中に党の名前を記入した。
「でも野党に人たちって全てが全て護憲派とは限らないのよね、むしろ多様性があった、それに対して愛の党やあたしの党は党則が厳しくて反抗的な事もできなかったんだけど『さすがにこれはマズイ』と感じ始めていた同士が多くて割とトントンと話がまとまってある日、作戦を決行した」
秋子さんが熱心に話をしているすぐ隣で愛が退屈そうに大きなあくびをしている。
見かけは大人になった気はするが精神年齢は私の知っている愛そのものだった。
「突然、内閣不信任案を提出されて政権は驚いたでしょうけどそれはある程度は想定内だった筈、でもそれは圧倒的数の差で否決されると思っていたでしょうね、けどそれが通ってしまった、というか通した、私たちがね」
「そんなことしようものなら除名どころか契約違反で訴えられかねないもんな」
楓凛が口を挟んだ。
しかしそんなことなど御構い無しに秋子さんは続ける。
「もちろんそんなことは計算済み、会議に入る前に弁護士立会いのもと離党届を出しているからね、そして内閣はそれを拒否して衆議院を解散選挙をすることになった、その時もあたしたちと野党がグルになっていることなんて内閣の連中も気づいてはいなかったでしょうけど」
そう言ってから秋子さんは愛を見た。
なんか知らんけどヤバいことを始めている。
敦子に次々と娘たちのサイズに合いそうな下着や服を召喚させて着せ始めていたがその傾向が極端に偏っているような気がする。
ゴスロリ?ボクっ娘?ロリアイドル?もうわかりません。
「それで愛の*注『願望達成能力』もあって選挙は大勝した、それで私、秋子が総理で愛が副総理、愛理さんが官房長官というわけで新政権は順調にスタートしたんだけど」
愛が着せ替えの手を動かしながら私達をみている。
「そんな布陣でよく野党の人たちは文句言わなかったね?」
と私。
注:現実を捻じ曲げて自分の願望を叶えてしなう恐ろしい超能力
「今だから言えるけどその当時CIAやKCIA、旧内閣調査室などによるクーデターとか暗殺の噂もあって普通の人間じゃダメだったの」
秋子さん、それに続けて何故か愛が続けた。
「うん、それでも一年くらいは順調だったね、あの日までは」
あの日までは、が気になった。
「国民の生活に直結しそうな法案をある程度通して一息ついた頃、あの忌まわしき巨大地震が関東平野を襲った」
そう言われれば来る途中で見た気がした。
最もここ、栃木にまでは大きな被害は及ばなかったみたいだけど。
「その地震で東京都が全て崩壊した、国の中枢機能も、そしてその騒ぎが収束した頃にはあたしたちの党の議員らのほとんどが命を落としていた」
その意味はすぐに自分の頭に入ってきた。
「そして元与党だった議員のほとんどが生存していた、まるであらかじめ巨大な地震が来ることを知っていたかのように安全な場所、つまりシェルターの中にいて助かっていた」
私が言うとみんなは一様に驚いた顔をした。
そして声を揃えて言う、「それはなぜ?」
聞かれるまでもないことだ。
いや他にはありえないこと。
地震をあらかじめ予知していたと言う事なら考えられなくもない。
しかしそれならいくつかの問題点が生じる、彼らとて国会議員である以上、議会に出る必要もある。
それにずっとシェルターに篭っているわけにはいかない。
そして地震予測はそれほど正確なものでもなければ、何月何日に来ます。
というところまでは特定できない。
良くて何月から何月までの数ヶ月、それが精一杯じゃないのか?
そうなれば答えはただ一つ。
「人工地震」
私がそういうと娘たちの着せ付けを終えた愛がこっちを見て満面の微笑みで言った。
「亜希、やっぱり亜希だったんだね、知らないふりをしてごめん」
え?何故そのような真似を?
疑問が湧いた。
「おう、お前のニセモンがなんども俺たちの命を狙いやがってよ、まあ大抵のやつは撃退できるんだけど、そんなやつらに俺らの情報を漏らしたくなかったからな」
はい?そんなやついるんですか?
「あっちゃんのこと忘れられていると思っていたわ」
えーと、お笑いの人?
「本人確認が取れたところで話を進めますね」
何故?愛の正体を隠していた?
「実はほとんどの議員は震災でお亡くなりになったというわけではなく、何者かに殺害されていたと」
ここまでくれば言われなくとも先は読める気がする。
「はい、そしてあたしと愛はテロリストとして指名手配されることになりました」
そして問題はここからだ。
当然国会は欠員が多すぎで補欠選挙をしなければならないはずだった。
しかしそうはならなかった。
「第一野党が、それに追従するいくつかの党の党員が集結して緊急事態宣言を発動してあなたたちの党に取って代わり政権を奪回した」
私は言いながら愛に視線を向けた。
なんとも愛くるしい笑顔だが彼女がこの中で一番辛い思いをしてきた事は理解できた。
私は愛と向かい合い彼女の両手をとった。
緩徐の深層に眠る記憶が伝わってきた。
マスコミのニュースでは前田夫婦は私によく似た女性に呼び出されて二人とも鉄球で胸を貫かれて死んだ。そしてリナも・・・しかし事実は。
「前田夫妻を襲ったのは良く統制の取れた暗殺工作部隊でした。100メートル以上離れた場所から拳銃やボーガンで心臓を打ち抜かれて死亡しました」
秋子は静かに言う。
「それからあたしたちの逃亡生活が始まりました、かつての政権はその時もまだ検察や警察、そしてマスコミに対する強い支配力を持ち続けていました、白を黒にすることなんて容易いことだったんです」
「旧政権は私たちの党に取って代わり政権を握ると同時に憲法改正の是非を問う国民投票をしました、補充選挙はしないのに国民投票するとは何事かとの声もありましたが、簡単に黙殺されました」
「そしてある日逃亡最中に夜襲を仕掛けられてリナも奴の餌食になり俺たちはリーダーである頭脳を失った」
「問題はリナを拳大の鉄球で殺したのがあなた、亜希によく似た少女だったということです」
苦虫を潰したように秋子は言った。
「国はもうあたしたちに逆襲を仕掛ける力はないとみなして放置するようになった、そして軍事政策をとるようになり日本は世界でも有数の極右政権を持つ国となりました」
それで流浪の旅を続けていたのか。
ーーーーーーーーー
今度は私が彼らに今まで体験してきた事を説明していた。
記憶がかなり曖昧な部分もあったがだいたい説明がつくように話せたと思う。
「いや全然ついていねえよ」
いきなり凛がツッコミを入れてきた。
どこが説明がつかないと言うのだろうか?
「お前はあの事件があってから10年後に来ただけと思っているようだがそれは違うぞ、その褐色の美少女とやらは誰だ?だいいち俺は10年前どころか一度もその施設に入った記憶はないんだが」
あれ?私の記憶はどうなっている?
時系列をまとめてみるとしようか。
現時点から10年前、私は小中井田井署をクビになり栃木の施設送りとなった。
その護送車の中で髪の短い褐色色の美少女とふわっとした髪型の可愛いメガネっ娘と一緒になり楽しくおしゃべりをした記憶がある。しかし施設に到着をして目を覚ました時(というか叩き起こされたのだけど)すでに彼女らの姿はなく、私はそこで草薙敦子という少女に出会った。
「思い出した、あなた敦子ね」
私は今更のように言った、そして葉類警部の力と依頼を受けてお忍びで潜入取材をしていた凛と会う。
「やぱり会っているじゃない!」
私は思わず楓凛に対して叫んでしまった。
「いやだからそんなところ行っていない」
やっぱり全力否定する楓凛、しかも・・・
「私もそんなところに行ってませんよ?」
と敦子も絶賛大否定。
秋子が私を見て『やれやれ』と呟くと油性マジックを手に取り何やら床に書き始めていた。
はじめに横長の楕円を描きその中に『なごや』と記入した。
その少し離れた右に楕円を描きその中には『ふじかわ』と記入、それらを直線で繋げた。
もしかしたら漢字がかけないのか?
それは日本の総理大臣の伝統芸なのか?
「この左の楕円が亜希が署をクビになって護送車に乗せられたところ、そして右が富士川サービスエリアでの謎の少女二人とトイレ休憩、まずここで一つ、秋、あなたは本当に護送車の運転手に『新東名高速道路なんてまだない』みたいなことを言われましたか?」
『言われた』
と私は答えた。そして・・・
「でもそれは夢だったかもしれない、それに栃木の施設について叩き起こされたとき彼女らはいなかったしトイレ休憩もなかったと聞いた」
私がそう言うと秋子は右の『ふじかわ』と記入した楕円のななめ右下に楕円を描きその中に『さぬきがわ』と記入した。
そしてその下に同様な楕円を描き、その中に『学習ルーム』と記入して慌てて横線で隠してその下に『いむしつ』と記入した。
「ごめんなさい『医務室』でした、そこで亜希さんは自称凛とエッチをして教職員を刺激、拉致させて二人ともここで無理やり交尾をさせられる」
『医務室』の下に再び楕円を描きその中に『学習ルーム』と記入したが慌てて横線で隠して『なぞのへや』と記入した。
ワザとやっているのか?いや絶対にワザとだろう。
『ふじかわ』と記入した楕円の左斜め下にももう一つ楕円を描き『さぬきがわ?』と記入した。
なんで『?』マークがつくかは知らんけど。
そしてそのすぐ下にも楕円を描き『学習ルーム』と記入して慌てて横線で隠す。
そして『実験室』と記入。
「あの、もしかして『学習ルーム』というワードを『犯行現場』という意味で使おうとしていませんか?」
私は聞いてみた・・・、返事はなかった。
そして『謎の部屋』と『実験室』を線でつなぐ、そして実験室から下に線を伸ばして楕円を描きその中に『なう』って秋子さん、あなたどこの整形病院のご老人ですか?
「そこで亜希はこの実験室に移動、もしくはそこで起きた出来事の夢を見る、そして今に至る」
ここで秋子さんはさらに『実験室』の左斜め下に楕円を描き『実験室2』と記入した。
そこからも下の『なう』に下ろす。
あれ?これだと線が二本にならなくね?
「二本だけじゃないですよあたしたちの分も書いてないですからね、ちなみにこれは亜希が言うところの褐色肌美少女視線の時系列ですね、うえの『さぬきがわ?』、ここで施設に送られた二人のうち、一人、つまり眼鏡っ娘が射殺されたようですね、そして『実験室』へと繋がるわけですがここから先は別ルートになる可能性もあります」
そして『実験室2』の楕円に向かう矢印を描き『?』を記入した。
「ここで『褐色肌の美少女』としての亜希に聞きます、あなたを吸収したのは豪速球を投げられる亜希ですか?」
私はしばらく首を傾げて考えたがどうしてもわからない。
秋子さんは今度は『なごや』と記入してある楕円の左側にもう一つ楕円を描き『とうきょう』と記入した。
その下にも楕円を描き『あたしがそうり』と記入した。
その下にも楕円と描き『おおぢしん』と記入しする。
さらにその下にも楕円お描き、それを繰り返して
『くうでたあ』
『はめられる』
『けんぽうかいせい』
『ぐんじたいこくか』
『けんかうる』
『みずもとばくだん』
と立て続けに記入してそこからななめ右下に線を引こうとして「あれ?」と言って首を傾げた。
記入しすぎですよ?秋子さん。
あなたがつなぎたい『なう』の楕円は右側斜めの遥か上です。
「まあこういうこともあるわけで・・・」
彼女は言い訳をすることもなく『みずもとばくだん』から思いっきり斜め上の『なう』に線を繋いだ。
「秋子、それ多分水素爆弾・・・」
と敦子、よかった突っ込んでくれる人がいて。
「ここで問題です、あたしたち左回りルートのメンバーが知っている亜希はどの亜希でしょうか?」
そう言って秋子さんはもう一本、『謎の部屋』の楕円から『なう』に線をひく。
「まず一番右の線、これはあり得ない、凛も敦子もこの施設には行っていない」
一番右の『なう』につながる線にやたらと大きな『×』をつけた。
「ところで目の前で眠っている女の子たちは何才くらいに見えますか?」
皆んな一様に考え込む、どう見ても10才前後にしか見えない。
あれ?
「俺の記憶が正しければこの娘たちは20代半ばじゃないと計算が合わないんじゃないかな?」
凛が突っ込んできた。確かに10+15=25だ、そこは間違ってはいない、ではどこが違う?
「疑うべきはこの『実験室』と『実験室2』の年代ですね、本当に今から25年前だったのか疑問です」
「その辺の記憶が定かじゃないんだ」
と私。
自分が主体で他人に見られている記憶がある。
しかし私自身を他人の目から見ているかのような記憶もある。
結局どれが本当の自分なのかわからない。
「自分自身が主体で膝を抱えた女の子から見られている私の記憶は十代半ばくらいの体格だった、私自身を他人の目で見つめていた私の記憶の中の褐色の美少女は10代前半だった」
娘の一人が目を覚ました。
そんな彼女を見て愛は喜び抱きしめる。
そして敦子にお人形さんを出してもらい二人で遊び始めた。
私はそんな彼女に強い違和感を感じ始めていた。
何故か彼女らしくないと思った。
「もう一つ、気になるワードですけど『手足がもげた遺体』、これが何を意味するのかわからないんですけど思い当たることはありませんか?」
それは多分『実験室2』ではなく『実験室』だろうとは思うのだけどその『手足がもげた遺体』というものを見てはいないのでなんとも言えなかった。
「多分『実験室2』ではそのようなことはなかったと思います」
秋子さんは言う。
愛は次に目が覚めた娘も加えて遊びだした。
三人揃ったおままごと遊びだ。
しかし彼女にはあるべき20代女性の知性は全く感じられなかった。
「今思い返せば『実験室2』ルートの自分はもっと大人だったかもしれません、二十歳をとうに過ぎた20代半ばくらいの、その場合でもそこまでが失われた十数年ということになってしまいますけどね」
私がそう言うと秋子さんは少し納得したような表情になった。
「それならば確かに話があう、というよりもあたしはそれよりも気になっていることがあるんだけど亜希の方こそもっと気になっている事があるんじゃないのですか?さっきから愛ばかりを見ているような気がするのですが」
見抜かれていたのかもしれない、確かに愛ばかりを見ていた。
「人格崩壊ですか?」
私は呟くように言った。
凛や敦子、そして相自信にも聞こえないほど小さな声で言ったつもりだったがそれは全員に聞こえていて、全員が私を見た。
だがその後の動作がただ一人、愛だけが異なっていた。
会った時からガキっぽい娘だとは思ってはいたけど私の目の前にいる愛はかなり異常なまでに別人だった。
「そうなるとこの図は最初から描き直さないといけませんね」
秋子さんは頭をポリポリ掻きむしりながら言った。
「リナが死ぬ間際に言っていたんです、その意味をようやく理解しました、『魂を回収して回っている迷惑な奴がいる』みたいなことを」
そして一呼吸を置いて続けた言葉はさらに衝撃的だった。
「リナを失ってから愛は魂を失った動く人形です」
そして秋子さんの瞳は言っていた。
『その迷惑なやつとははお前の事だ』と。
ーーーーーーーーーー
混乱した頭で一晩を過ごした。
わかってきたことをまとめるとこうだ。
1、『死にかけた人の魂を回収して回っている迷惑な奴』とはほぼ私のことだろう。
2、この世界では前田新作、前田愛理、前田リナ、そして葉類智恵や風間刑事、そして私、葉類亜希らはもうこの世界では生存していないらしい。
3、前田愛理、前田リナに続いて私を失ったことで倶名尚愛は人格崩壊を招き持っていた能力を全て失い幼児レベルの知能しか持たなくなってしまった。
4、4人の持っている能力の中で戦闘能力と言えるのは草薙敦子の召喚能力と楓凛の『馬鹿力』のみ、秋子は触れた相手の神経を刺激してコントロールができなくすることくらい、全く戦いには向かない(ハニートラップとかならありかもだけど)
しかし愛と自分の娘たち(とは言っても連中、『ここは仮に侵略者と言っておくが』との間にできた子供達ばかりだったが)が遊んでいる光景を見るのはかなり複雑な気持ちだ。
どう見ても10才以上は歳の離れた女性と幼児的な遊びを楽しんでいる10歳前後の娘達を見るのはやはり精神的にキツイものがある。
「これからどうする?」
と後ろから楓凛さん。
10歳以上年が離れているのがわかってもなお最初のうちは『楓凛』と呼び捨てにしていたが流石に自分が知っている彼女とは違うことに気がつくとそれはできなくなった。
「このメンバーで、六人のコブ付きでこれから先、生き延びていけますか?」
流石に不安だった。
政権側が崩壊寸前でそれどころじゃないかもしれないが侵略者の動向が気になるところだ。
政権との繋がりがイマイチなとこも気になるところ。
「まあなんとかなるんじゃないですか」
敦子の声、フワッフワの髪の毛をポンポン弾ませながら言う。
「まずはご自身の問題を解決してから考えた方が良いのではないのでしょうか?」
と秋子さん。
それは確かにそうだけれど、流石にこの9人を置いて行くのは後ろ髪を引かれる。
「いや、お前を安心させるためにいうわけじゃないんだがああ見えて愛は俺たちの守り神なんだぜ、確かに戦闘能力は失せてしまったけど幸運だけは力強く引き寄せるようになった、これってある意味最強なんじゃないのか?」
「みんなでゴロゴロしよう」
愛がみんなに呼びかけると一斉に横になった、娘たちに至っては本当にゴロゴロしている、その上を数十発の弾丸が通過してゆく、
「あっちゃん、いつものやってみて」
とニコニコ笑いながら言うと左手で何もない筈の方向を指さした。
「召喚、いつもの!」
敦子が叫ぶと彼女の腕にはホーガンが握られていた。
「やっぱり無理!」
敦子はそう言うと凛にパスをした。
「ってお前もう打てる状態じゃねえか」
そう言うと凛はホーガンの引き金を引いた。数メートル先の何もない空間でホーガンの矢が止まりその直後矢に胸を貫かれた男の姿が浮かび上がってきた。
口から血を流してその場に倒れる。
その側には自動小銃が転がり落ちていた、全弾を撃ち尽くしたから捨てたのだろうか?
「えーと、これって愛は何を出して欲しいなんて指定していませんよね?」
この流れでホーガンが出てきたのか理解不能だった。
「なんとなくそうなのかな、ってのを出しただけですよ?」
「はい?」
というのが精一杯だった。
どうやら愛からの指示があってそれを出したわけではなさそうだ。
「こいつの腹回り見てみろ」
凛に言われてそいつのお腹周りを見たら・・・プラスチック爆弾?ってか羊羹巻きすぎでしょ?
「もしもこんな奴に銃弾や砲弾を撃ち込んだらどうなる?ここら一帯どころか建物自体が吹っ飛ぶかもな」
「まず愛が『ゴロゴロしよう』と言い出したのは単なるこいつらとの遊びの一部としてだ、決して自動小銃の弾丸が飛んでくるのを予想していたわけじゃない」
楓凛が言っていることはわかるけど実は白状させてもらうなら私の感知能力には全く引っかからなかった。
「そして敦子がホーガンを選んだのも単なる偶然だ」
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@そして話はこちらの世界に
「そういえば亜希さんや愛さん、秋子さん、楓凛さん達はどうしていますか?」
唐突ではあったけどボクは話題を切り替えた。
彼女達が協力してくれなければ今日のボクと有希は存在しない。多分栄か矢場町か大須あたりで地縛霊でもやっていたかもしれない。
「栄で地縛霊は変な奴らに絡まれるからやめた方がいいと思うけど」
リナは変な前置きをして続けた。
「まず愛は明日の中央新幹線始発で名古屋に来るらしいんだけど目当てがやばい豚らしいからここに来るかは不明」
「やばい豚?ああ、みそかつのみせね」
有希がその店をスマホで検索しながら言った。
「秋子は援交にかこつけてなんか調査みたいなことしているらしいんだけど今はどこにいるか不明」
自由気ままにほとんどどことも連絡を取らずに行動するので居場所が全く掴めないらしい。
「楓凛は貴方達と関係がありそうな人物、芸能関係を探っているらしいんだけどこっちも連絡なし」
「じゃあ亜希さんは?」
ボクが問いかけるとリナに逆に驚いた表情をされた。
「亜希に関してはむしろあなたたちの方がよく知っていると思うけど?」
彼女はそう言うとボソリと『ユーキ』とだけ呟いた。
いや、それ誰の名前かよくわからないんだけど?
もしかしてフィギュアスケートアニメに出てくるBLなイケメン?
「別世界での由紀と有希のあだ名みたいなものよ、正確には『ユーキ』と『G』と言う人格があなたたち2人が亜希の胎の中で再生された時点で組み込まれている」
いやいや、勝手に組み込まないでほしいよ、ボク達は精神的サイボーグか何かか?
「あはは、その辺を細かく説明しだすと少し面倒なことになるんだけど亜希自体が複数の精神の複合体で出来ているからちょっとやそっとのことではくたばらないんだけどなんて言ったらいいのかな?」
いやわからないなら無理して説明しなくても。
「理解するな!感じろ!ってやつ?」
突然口を挟んできた有希。
「それならボクもなんとなくわかるんだけど、何で静岡のおおい川で上司の風間っておっさんと釣りをしているのか状態がわからないんだ」
何やら川幅自体は結構広いのだけど流れている水量がやたらと少なくて水深もくるぶしにかかるかかからない程度で魚なんているのかって感じ。
すると机のスマホに着信がありボクはすぐにそれに応答した。
「今私の噂していたでしょ?」
半ば決めつけるような亜希の声、テレパシーか何かでも感じたのだろうか?
「ついさっき盛大なくしゃみを2回続けてしちゃったからね、どうせロクでもない悪口言っていたでしょ」
思いっきりアナログな理由で電話をかけて来た。
「そこに今リナさんがいるでしょ」
疑問形でなく本当にすぐそこにリナが確信しているかのように言って来た。
しかしなんで10歳以上年下のはずのリナに対してさん付け?
「そりゃあ何千年生きて来たか判らないようなロリババァに呼び捨てはできないじゃない」
尊敬しているかと思いきやまさかいきなりデスリ始めるとは思わなかった。
「私は今、葉類知恵ってとんでもなく人使いの荒い上司の命令で『おおい川』の調査に来ているんだけど」
「あ、そうなんだ」
リナの対応は粗塩の山盛りだった。彼女にとって亜希は厄害なんだろうか?
「正直言ってここまでとは思わなかったけど南アルプストンネルの工事が終わってもう開通営業が始まっているというのに水の流れはほとんど戻って来てはいないのね」
と亜希。
「それは南アルプスのトンネル工事が始まった当初からら言われていた事で確か鉄道会社と工事業者が専用水路に電動ポンプを設置して水の流れを戻すとか言っていたような気がする、それに工事が終われば流れも元に戻るって話は聞いていたけど、ママ、いや当時は私自身か、もそれを責任者に迫っていたはずだし」
亜希の言い分を否定するかのようなリナのセリフ。
「その筈なんだけどさ、実際目で確認したわけじゃないけど最近はその電動ポンプが作動していないようだし」
「え“?」っとボクは思わず小さく叫んでしまった。
目で見たわけじゃないのにどうして亜希は見て来たかのように確信出来るんだろうか?
「それが彼女ののスキルというか能力の一つでね目に見えない霊的というか精神エネルギー的な触手のようなものを無数に持っていてそれで感知できるらしいの」
リナはそう説明してくれたがボクには『なんなの?そのチート能力は?』としか思えなかった。
「それよりこの関東から中部地方を通って関西にかけるプレートの機嫌が悪くってさ、特に辺一帯の地層の歪みが酷くてさ、葉類知恵警部を通じて国の偉いさんに早いところ連絡して中央新幹線を一刻も早く全ての車両を地上部で止めてほしいんだけど、電話もラインもメールも応答なくってさ」
何故か亜希はかなりイラついた口調になり始めていた。
『いやじゃあなんでこの電話は通じているの?』
ボクの疑問に対して変な返しが来た。
『それはそのスマホとあんた達の本体同士が見えないへその緒みたいなので繋がっているから、とにかくいつでも私の胎に戻れるように準備しておいて』
なんなのその意味不明な返しは?と思った途端、通話が切れていた。
「それはまさか・・・地磁気嵐による電波障害?」
リナは絶句した、そんな彼女に亜希のセリフが追い討ちをかける。
「来るんだよ、数時間か数日かはわからないけど南海トラフのでっかいやつが」
亜希の声が何か意識の遠いところで響いていた、なんなの?その非現実的な報告は?
「南海キャンディーズ?」
と有希。もちろん違う。
「南海三大怪獣大決戦」
いやいや、それ昔の映画だし、有希、あんたいつの人間だよ。
「南海ドラフト生ビール」
そんなのねーよ。わざとか?有希。
「南海トラフって言っても何処からどのあたり?」
だからもういいっつうの、おふざけは・・・、あれ?
「南海トラフの範囲、って調べてみたら結構広いんですね?」
あれ、マジだったのか?ボクは有希が検索して拾い出してスマホに表示されたいくつかの地図画像を見て軽い衝撃を覚えた。
あれ?こっちはネットも使えている?
「えーと、おおい川のフォッサマグナあたりから九州の宮崎南部あたりまでの太平洋側一帯って、広すぎでしょ?」
そこ全部激しく揺れたら日本は壊滅だよ?
「そんなことには多分ならないと思う」
とリナ。
でも言い切る自信がないのかさらに
「多分だけど」
と付け加えた。
「何処からどう歪みが溜まっているのか私たち素人には全くわからないし、仮にその地震の起点、震源地となりうる場所が何箇所もあったとしても同時に全部が揺れだすとは限らないし、一箇所だで済むかもしれない」
ボクと有希は一瞬ではあったけど安堵の表情を浮かべたと思う。
「での逆にその一箇所の揺れが激しかった場合それがトリガーになって複数の震源地が同時に発生する可能性だってあるの、実際にかつての東日本大地震がそうであったようにね」
リナのその一言がボクと有希の身体を凍させた。
「ねえ、それってやっぱり静岡から宮崎までの超広い範囲で激しく揺れるってこと?」
不安げに有希。
「さあ、それは断言できないけれどそこまではいかないと思うわ」
少し表現を濁らせながらも言うリナを見て一同はホッと息をついたが
「まあそれでもおおい川から紀州熊野灘辺りまでは激震区になるかも」
リナは完全に他人事のように言った。ここ、愛知小田井付近もやばいやつじゃん!
「神様に祈りましょう」
うおおい、リナ!神様なんてものがいたらこの国はこんな悲惨な状態にはなっていないよ。
「それよりも心配しなくちゃいけないのはそれに刺激されて富士山とかが大噴火を起こすかもしれないってことね?」
「まっさかぁ」
有希は笑い飛ばしていたけどその目は泳いでいた。
「どうしてもフォッサマグナを刺激することになるからね、あり得ない話じゃぁないんだよ」
まっまさかね?ボクは心の中で否定した。確か富士山が大噴火となれば関東から藤枝付近にある浜岡原発も火砕流でやばいって聞いた覚えが。
「ねえ、確かあそこってリニア中央新幹線を動かすのに絶対に必要だからって国のお偉いさんと中部地方の大電力会社のゴリ押しで住民の大反対を押し切って再稼働しちゃっているよね?」
とボク、ボク自身や友人たちもSNSなどで再稼働大反対キャンペーンを展開したんだけどリニア信者達から「非国民」だの「日本の優れた技術を信じられないようなクズどもは日本から出て行け!」とか叩かれまくった挙句大人しく反論していた僕たちの方が何人かアカウント剥奪されて何故か口汚くボク達を罵っていた奴らの方が野放しになって。
「結局、国会での審議もろくにされずに閣議決定と強行採決で再稼働始まっちゃっているよね」
有希も同様な考えのようだ、まあ元といえば同一人物だったのだから当然だと言えるけど。
「安全基準は十二分に満たされている」とかカルデラ噴火でも起こさない限り浜岡まで火砕流は流れてくることは考えられないなんて言うのが理由だったと覚えている。
しかもそれを実証する根拠というのはほとんど示されていなかった気がする。
「富士山がカルデラ噴火でも起こしたらそれこそ数千万人単位で焼け死ぬから原発事故なんて些細なことは気にしなくてもいいなんて原子力規制委員会の偉いさんも言っていたしね」
「あり得ない話なんかじゃないですよ?」
とリナ。
この数百年、いや数千年間精神の引き継ぎで生きて来たかどうかわからないロリババアでさえ富士山のカルデラ噴火は経験したことがないからだと言う。
そりゃあそうだ、富士山は未だにカルデラ噴火なる大噴火は一度も起こしたことがないはず、多分、起こしていたらあんな美しい形を維持できていない。
ただあの高さまで円錐状に盛り上がったという事は地殻の押し寄せによ流しわ寄せによって盛り上がった、通常の山脈とは異なりマグマだまりの噴き上げによる圧力により形成されたと見るべきだろう。
今は大人しく変形もしていないようだけど原因不明のひび割れや山頂付近の落石には注意すべきかもしれない。
ー『これは一体誰の知識だ?』ー
ボクの脳裏に疑問が湧いた。
「カルデラ噴火は今までやったことがないからってこの先起きないって保証は何処にもないんですよ」
ボソリとリナはつぶやいた。
「いや、むしろやってない高い火山ほど将来的に起きる可能性が高いと言えるんです、阿蘇山だって最初のカルデラ噴火をする前は富士山と同等、いや富士山よりもかなり高い山だった可能性はありますからね」
落ち着いて喋っているかのように見えていたリナの全身はこの部屋の中が寒くはないはずなのに激しく震えていた。
「もし富士山がカルデラ噴火を起こしたら藤枝の、浜岡原発はどうなりますか?」
ボクは恐る恐る尋ねた。
「火砕流が原発の原子炉建屋に到達して原子炉本体を、溶かす可能性があるのはもちろんだけど、高速で飛来して来る火山弾が原子炉の建屋の屋根を軽々と突き破って原子炉そのものを粉砕する可能性も考えなくっちゃね」
「そうなると中の燃料棒はどうなるの?」
有希が、いやボク地震も恐る恐る訊いた。
「まあほぼ間違いなくメルトダウン、最悪近畿から関東までは居住不可能になるかしらね」
「マヂかよ」
それが僕の正直な感想だ。
東日本大震災の津波で非常電源が止まってメルトダウンしかけた時の大事故でさえ笑い話でしか思えなくなるほどの大惨事になるのは免れない。
下手をすれば近畿から東北までのエリアで通常火力電源も従業員などの避難のために使えなくなりストップすることになる。
それで話が済めば良いが問題は原発銀座と言われている原子力発電所が若狭湾周辺に密集している一帯の原子炉を誰が面倒を見るのか?という問題だろう。
「当然避難命令は出るだろうね」
リナはあっけらかんというがボク達としてはそれじゃあ困るわけで。
「きっと総理大臣が先導して原子炉を停めて非常電源などとか、冷却水がないなら海水を導入してでも解決してくれるよね?」
ボクは微かな期待を込めてリナに言った。
「ゆきりん、あの時の総理は誰だったと思う?」
その時の頃のボクは幼すぎてよく知らない。
けれどその当時野党だった今の政権の、その後総理になった男がその当時の総理に関するとんでもないデマを流して自分が津波対策を怠っていたのを誤魔化したばかりか責任転嫁さえやってのけた話は聞いている。
「でも今はその人では無いからちゃんと対応してくれるのでは?」
と有希の希望的観測。
「いい?ちゃんと私の話を聞いて」
リナは真剣な眼差しでボクと有希を見つめていった。
「あの当時の総理は理系大学の出身者だった、だから専門的とまでは行かなくても原子力発電というものがどういったものかある程度は理解できていたしだからこそ現地に乗り込んで適切な指示を出せた、だから最悪の事態は免れたの」
あれ?でもそこはボクが聞いた話とは少し違ったような
「あの時の総理大臣が海水を冷却数位に導入したから事態が悪化したって話でしょ?」
リナはそういうと深くため息をついた。
「それデマだから」
実際海水導入の検討もしたらしいけれど結果的にはそれをやらずに済んだから。
それに真水が使えなければ海水を使うのは危険だからといって何もしないのはもっと間違った選択だから」
そういうとリナは右手の拳でボクの机の天板を思いっきり強く叩いた。
「原因は原子炉を直接冷やす一次冷却水を流す配管がいたる場所で破断されてそこから大量の一次冷却水が漏れていた。
そのせいで一次冷却水が不足したせいなんだけど、真水が足りなくなければリスク覚悟で海水使うしか他に手段がなかったっほど追い込まれてたの。
それをどうこういううこと事態が最悪の悪手だって気がつかないほどのアホだった、というのはいつぞやの布マスク大量発注とか、未曾有の大雨による大水害で国民が苦しんでいたっていうのに、赤坂亭でどんちゃん騒ぎしていたことからもわかるでしょ」
確かにそんなこともあったかもしれないそれでも、そこまで酷い対応はしないと思っていた。
「あなた達国民は知らないでしょうけれど、いいえ、野党のほとんどの議員さん達も知らないでしょうけれどあの時、その時、現場にいた私だから言えることがあるの、あの党はやっぱり根本から腐っていたって」
リナはスマホに大雑把な原子炉の図を表示した。
「原子力発電所というのはね、発電所という名前を持ちながら外部電源がないとその制御や冷却さえできないものなの」
それは聞いたことがある、でもだからと言ってそう簡単に外部電源が喪失する事態なんてあり得るだろうか?
「もしも全ての原子炉がプルサーマルで稼働している浜岡原子力発電所が全て臨界爆発を起こしたら半径300キロメートル以上が立入禁止区域になる、名古屋港や三重県の津市などにある火力発電、無人で一体誰が動かすんでしょうね?」
リナはそう言ってスマホを指差した。
そこはついさっき南海トラフ地震で壊滅状態になることが予想される地域だった。
「人がいても発電できなくなる状態も想定しておかないとね」
リナはそういうとさらに続けた。
「今のうちの党には残念だけど理論的な政策を取れる政治家なんてほとんどいないわ」
どうしてそう言い切れるのか疑問に思ったがリナは続けた。
「感情的にしか発想することしかできない連中ばかりなの、それは前回の世界規模で起きたウイルス伝染病対策でもあなた達学生だって子供の頃に嫌というほど痛感しているはずなんだけど」
確かにザルだって気を悪くするんじゃ無いかってスカスカな検閲体制にただ単に飲食業者イジメをして楽しんでいるかのようにしか見えない経済支援の足りない規制。
「断言できるのはあの党からは、いえその取り巻きの党からも命を張って現地に向かい仕事をする議員はいないだろうってこと」
リナはそう言ったが原子力発電に関してど素人の議員たちが行ったところで何もすることがない、かえって邪魔になるのがオチでは無いかって思う。
「これは愛や秋子、彼女達と同期の学生議員らと話し合ったことがあるんだけどさ、やることがない、とか完全に邪魔になるだけっていうのは単に危険な現場に行きたく無いための言い訳に過ぎないのよね」
リナはそういうと今度は机から離れて腕組みをしながら話し始めた。
「例えば現場の技術者が資材とか専門の技術者がいないために始めたい作業もできずに困っていたりしたらどうする?」
そんなことは電話か何かで反射と連絡を取って取り寄せて貰えば。
「もしも関西の電力会社本社や中部圏の電力会社でも入手が不可能な品物だったら?国の許可なくして持ち出せないものだったら?」
確かにそう言った事例は存在するかもしれない、でも。
「それこそ携帯電話なり固定電話で通話して要求すれば済むことじゃ?」
少し怖い表情になって来たリナに怯えながらボクは言ってみた。
「国から見たら電力会社の一従業員の言うことなんて単なる戯言よ、まともに相手をしてもらえるとでも思っているのかしら?」
「じゃあ電力会社の上司や社長を通じて」
ボクの声は多少震えていたかもしれない、だってリナがあまりにも凄まじい形相でボク達を睨みつけていたから。
「だからそれも諦めた方が健康にいいわよ、誰だって国や上司と作業員の板挟みになるのは嫌だからね」
返す言葉もなかった。
「愛が言うにはそんな時だからこそ自分達国会議員が出向いて党本部との中継をになうべきじゃないかって」
リナはそう言ったが愛も秋子も所詮は駆け出しのアイドル議員、やれることは変わりがないんじゃ無いかって思う。
「そうやってすぐに諦めるの君たち若者の悪い癖だよ」
リナはそう言ったが愛だって秋子だってボクと差して歳が離れていない若造じゃないか?って思った。
「本気でそう思っている?」
リナは真剣な顔でボクを睨み返して来た。
「あいつらいつもふしだらなギャルのふりしているけどさ、あんたと同じ中坊だった頃ガチで総理や関西地方を牛耳っていた市長に喧嘩を挑んだ事がある娘っ子達だからね」
正直それは初耳だと思っていた。
でも。
「通信手段はどうする気ですか基地局がやられていたら公衆電話もスマホも使えませんよ」
ボクの反論にリナはすかさず天井を指差した。
それが何を意味するのかわからないままでいると彼女は再び喋り始めた。
「地上にある基地じゃなくて人工衛星を基地局にする電話、衛星電話があるじゃ無い」
リナはそう言ったけどそんなもの誰にでも使えるわけじゃない。
ボクがそう言うとリナにあっさりと「バカね」と返されてしまった。
「だからこそ国会議員権限で使える衛星電話なのよ」
「なるほど、だからあの2人はあんなにもタカピーなのか?」
有希が突然に見当はずれなことをいいだした。
それを聞いてリナは不意に『プププ』と吹き出し始めた。
「そうじゃなきゃ総理とか党主とか相手にケンカを売ったりしないしね」
そう言うと彼女はさらに付け加えた。
「そう言う時こそ政治を自由に動かせる総理が現地に赴くべきなんですけどね」
その時ボクの脳裏に閃いたことを思わず口にしてしまった。
「もしかして彼女達の最終目的地は総理の椅子」
リナはそれを聞いた途端に思いもかけず至高の笑みを浮かべて言った。
「御名答」
と。
そして付け加えた。
「だからこそ私たちの休息時間もおわりよ」
次の瞬間ボクたち3人は懐かしい海の中を泳いでいた。
さとみん「ねえ、私の出番はいつになったら来るのよ?」
#20才未満閲覧注意
#SFっぽく
#ハタチ未満はご遠慮ください
#ハルサメとナッツシリーズ
#過激な描写あります
#エログロ注意
#波瑠沙芽とナッツ
#小説
アダルト版カレンダーガー109 クソガキの反抗期2
終わり
アダルト版カレンダーガール11 未定
にちゅぢゅく!
風間達也「なんか引用多すぎじゃないか?」
亜希「こっちの方はサニーもパジェロも空飛ばないかも」
愛「無責任なやつだな」
さとみ「あなたがでしょが」
花奈「次はおまちかねジェラート地獄なんだお」
加世「あ!偽物だw」
あつし「まさかの氷河期?」
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