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【まさかの衝撃展開】『それいけ!アンパンマン ゴミラの星』って映画知ってる?

皆さんこんにちは。リモコンRです。

 先日実家にて、子供の頃によく見ていたというアンパンマンの映画のDVDを発見しました。それが2001年公開の『それいけ!アンパンマン ゴミラの星』という映画なんですけど、もうしばらく観てないので内容がいまいち思い出せず、暇なのもあって観てみたらこれがなかなか凄い映画でして。せっかくなのでご紹介しようと思います。

先にお伝えしておくと、ネタバレ注意です。

それいけ!アンパンマン ゴミラの星

あらすじ

 アンパンマンたちが暮らす街に、ある日突然一基の宇宙船が落ちてきます。その船から出てきた人物は自らをヤーダ姫と名乗り、宇宙中のゴミを処理するヤーダ星というところから来たといいます。実はそのヤーダ星に不具合が生じゴミの処理ができず溢れかえってしまっているらしく、困った末アンパンマンに助けを求めに来たというのです。助けを求めるヤーダ姫を助けるために、アンパンマン一行はゴミを食べることのできるゴミラを助っ人に加え、ヤーダ星に向かいます。


見どころ①ヤーダ姫とゴミラの友情

 ところで皆さんはゴミラってキャラクター知ってますか?一応作品内では既存のキャラクターらしいんですけど、あまり知名度はないように思います。私もあまり詳しくないですが、軽くご紹介しますね。

 ゴミラは紫色のカモノハシのような見た目をしていて、ゴミをバクバク食べれるという能力を持っています。心優しい性格ですが、ゴミを食べたぶん体が大きくなってしまい、それが周りの迷惑になってしまうからと人里離れて一人ぼっちで生活している、という設定らしいです。なんとも悲しい。
今作では、ゴミ処理の助っ人としてアンパンマンに声をかけられ力を貸すことになります。

 そしてヒロインとして登場するオリジナルキャラクターのヤーダ姫ですが、彼女はヤーダ星ただ1人の住人であり、こちらもまた一人ぼっちで暮らしていました。だから遠路はるばるアンパンマンのところまで助けを求めにきたわけですね。この互いに一人ぼっちだった2人がアンパンマンを通じてマッチング、友情を深めていくという展開が本作の見どころの1つです。見ていて清々しいほどの純度100%の友情。アンパンマンはこうでなくては。
 
 2人が頬を赤らめるシーンなどもあり、関係値が友情なのか恋愛なのかは受け手によって様々な解釈があるものとも思います。大事なのはお互いが感じていた孤独を埋め合う仲であることです。特に、今まで自分の能力が迷惑なものだと感じ自ら孤独を選んでいたゴミラが初めて人の役に立てると舞い上がっている様子がなんとも可愛らしい。

見どころ②迫力ある戦闘シーン

 今作ももちろん悪役はバイキンマン一行です。わざわざヤーダ星まで着いてきて、アンパンマンたちと戦います。今回バイキンマンが用意したのは、埋まっているゴミで構成される巨大ロボットです。しかも破壊されても周りにゴミがある限り何度でも修復できるという回復力を持っています。相変わらずすごい技術力ですね。これがアンパンマンたちを苦しめることになります。

 パンヒーローたちvsバイキンマンロボの戦闘シーンですが、かなり作画描写に気合が入っています。特に力を結集したパンチがロボの腹部を貫くシーン。ロボが反動で一度前傾になってから爆発する様子が躍動感たっぷりに描かれており、とても子供向け作品とは思えないくらいのハイクオリティで驚きでした。

 その後、修復した後にロボに搭載されていた泥爆弾攻撃で反撃し、アンパンマンたちが泥人形になり無力化、ただ一人動けるゴミラがロボを食べて巨大化し戦闘に参加するという一連の流れも非常にテンポが良くて見ごたえがありました。アンパンマンの映画は対象年齢を子供に設定しているため50分後半から60分前半という短い尺にまとめられており、ストーリーに寄り道がなくシンプルでテンポ感がいいというのも見どころだと思います。


見どころ③後半の衝撃描写2連撃

 この作品では、おおよそ子供向けとは思えない衝撃描写が2つ登場します。これが本作最大の特徴です。

 1つ目はアンパンマン一行の泥人形化です。先述した通り泥爆弾攻撃で全員が泥人形となり戦闘不能に陥ります。そこからゴミラが戦っている間にアンパンマンを復活させようと新しい顔を作り始めるのですが、泥人形のみんなが火のついた窯の傍で作業していくなか乾いて固まっていきます。アンパンマンの顔のためにみんなで力を尽くしながら、次第に固まり動けなくなっていくキャラクターたちに少し恐怖感を感じました。ちなみに余談ですが、この一連の流れにドキンちゃんが参加しているのが印象的でした。食パンマンに恋焦がれる彼女の身を犠牲にしてでも役に立ちたいという一途な姿勢と、その気持ちを利用しているように見える食パンマンといった構図が出来上がっていたのもなかなか衝撃的といえるかもしれません。

 2つ目は終盤のシーンです。バイキンマンを打ち破ったアンパンマンたちはヤーダ星の異変の原因がゴミ処理を行う火山にあると突き止めます。問題はそれをどう解決するのか、というところですが、その方法はゴミラが火口に直接飛び込んで火山の内部から修正するというもの。ん?ゴミラ死ぬ?

そして友達1人にすべてを背負い込ませたくないとヤーダ姫も同行するといい始めます。え?メインキャラ2人死ぬの?

まさかの展開に思わず固まってしまいました。友達と一緒なら怖くないというセリフから、短期間でありながら紡がれた2人の絆の固さがうかがえますが、死ぬ覚悟まで共有するほどとは。

しかし飛び込む最中、ゴミラはヤーダ姫を引き離し1人で火口の中へ。なんという自己犠牲の塊。そしてゴミラは火山の異変を解決するも黒焦げとなった姿で吐き出されます。黒焦げになったゴミラの亡骸を前に涙するヤーダ姫とアンパンマン一行。そしてヤーダ姫は弔いの歌を歌い始めます。この歌の間も黒焦げになった亡骸ははっきり描かれているという到底子供向けとは思えない衝撃映像。ヤーダ姫との友情物語、カッコいい戦闘シーンと見せ場を散々描いた後にこの描写ですよ。これもうすごい映画を観てしまったなと思いました。もうマーベル映画じゃんこれ。

 もともとアンパンマンという作品は顔のアンパンを人に分け与えるという自己犠牲の精神が強く反映されたヒーロー像をテーマにして描かれています。今回の2つの衝撃映像に共通するのも自己犠牲精神がたっぷりと描かれていますが、ここまではっきりと描写しているところが今作の特徴でしょう。まさかここまで見せるとは思いませんでした。

 ちなみに安心してください。死んでしまったゴミラですが、生命の星というものに命を宿す奇跡の力によって復活します。そしてヤーダ姫と二人で星に残ることを決め、無事ハッピーエンドを迎えます。二人の友情はきっと今でも続いているんでしょうね。


最後に

 いかがでしたでしょうか。アンパンマンという主役を完全に食ってしまうほどのインパクトを見せつけるシーンの数々が登場するこの映画ですが、子供はこの作品からなにを感じ取るのだろうか、と気になりました。大人になった今見ると、この自分の居場所を見つけることのできたゴミラの幸せそうな様子に何かグッとくるものがありました。展開のインパクトが強いですが、作品のテーマが一貫しており短い時間ながら綺麗にまとまっていた今作は、映画としてのクオリティが高い良作でした。ぜひ機会があれば見ていただきたいなと思います。


 
 



 


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