【話題の新作】原作未読勢が映画『キングダム 大将軍の帰還』を観たら
皆さんこんにちは、リモコンRです。
今回は邦画実写化歴代NO.1の大ヒットを記録しているあの話題作『キングダム 大将軍の帰還』を劇場で鑑賞してきたので、その感想を文章に起こしてみようと思います。
といっても私は漫画「キングダム」を読んでいないいわゆる未読勢であり、作品の知識は前3作を観たぶんだけです。そんな特別ファンというわけでもない私が、初めて劇場で本シリーズを鑑賞し感じた素直な感想になります。ファンの方々、どうかご容赦を。
本文では今作の内容にも触れていきますので、まだ未鑑賞の方はネタバレ注意です。では始めていきます。
『キングダム 大将軍の帰還』の見どころ
本映画シリーズは原作漫画「キングダム」の展開に則り物語が進行おり、その中でも特に重要な場面をピックアップしたものが映画化されているらしいです。そして今作は3作目で勃発した秦と趙という国同士の戦いの続きが描かれており、秦の6大将軍の一人であり作中屈指の人気を誇るという王騎をメインに据えた映画となっています。実写では王騎演じる大沢たかおのパンプアップした姿や特徴的な喋り方が話題になっていましたね。
大将軍大沢たかお
本来ならばまず映画全体を通しての感想から入りたかったのですが、まずこれを言わなければならないと思います。メインキャラである王騎を演じた大沢たかおが抜群に良かった。特に感情の緩急がすごい。今回は王騎の過去が語られ、結婚を約束した相手が殺されたこと、その仇が相手軍の総大将として登場していることが明かされます。その仇を前にした王騎の表情や喋り方には怒気が混ざっていたのですが、この演じ分けが素晴らしかったです。観ていただけなのに自然と背筋が伸びてしまいました。
今までは飄々とした姿がほとんどだった王騎ですが、今までに見たことのないキャラクターまでものの見事に演じきっていたのはさすがの一言に尽きます。もう主人公が完全に霞んでしまうくらいにはインパクトを残しており、公式曰く今作はシリーズ最終章とのことなので、本映画シリーズはこの大沢たかお演じる王騎のための映画だったのではないかとも思いました。おそらく漫画でも同じ最期を迎えるのだろうと思いますが、人気の高さも納得です。
先の読める展開、なのに面白い
今作の映画ストーリーですが、未読勢でもある程度先が予想できる展開が続きます。王騎の死や蒙武の暴走しかり、物語内でしっかり匂わせたことが素直に起こります。まあ変に趣向を凝らしすぎてまるで意味のわからない作品よりはマシですが、意外性がない分面白みに欠けるのでは?と思っていました。
でもこの作品は見どころに溢れ、作品の評価も高い。この理由はどこにあるのかと言えば、圧倒的な予算と技術力でねじ伏せているからだと思います。まず出演者が豪華です。本シリーズは登場人物が非常に多く、それに比例して演者の数も増えるのですが、その一人一人がどれもビッグネームです。ついに草刈正雄や小栗旬まで登場してきて、裏まで含めすごい人数が動いているんだろうなと感じました。また撮影地も海外のモンゴルらしいと聞きます。あの人数を海外に回して撮影というのは、歴代邦画でもトップクラスの規模ではないかと思います。予算の額なんて想像もできません。そして演出の面ですが、アクションシーンの躍動感あふれるカメラワークや人と馬の足音の響き渡る重厚感も組み合わさって見ごたえのある映像表現が楽しめる作品でした。
こうした映像美を楽しむためにはシンプルなストーリー構成はほかのことを考えさせる必要が無いため相性がいいのかもしれません。映画としての楽しみ方は『アバター』に近いのではないかなと思いました。
龐煖のバトルシーン
趙の三大天の一人である龐煖が登場しました。武神と呼ばれた彼のバトルシーンが今作では2回登場しますが、このバトルシーンの迫力はシリーズ屈指の見ごたえがあったといっていいでしょう。龐煖の武器が大きな鎌なんですが、これを大きく素早く振り回し、武器同士がぶつかった際には重い金属音がする。実写映画『るろうに剣心』のラストバトル並みの迫力が今作では開幕冒頭から味わえるので、始めのうちから一気に作品の世界に没入することができます。また王騎との一騎打ちでは、互いに大きな体大きな武器を存分に見せながらの戦いが繰り広げられるのでこちらもまた手に汗握るシーンとなっています。王騎を討ち取ったあとに軍からは離れることを示唆していましたが、今後どういった感じに登場するのかが楽しみです。
キャラクター退場のタイミング
秦側のメインキャラクターから今作は2人が死んで退場となっています。1人目が王騎、そして2人目が尾到です。この尾到の退場について少し思ったのですが、正直あまり愛着が無かったので死んでからの作中の雰囲気と自分の気持ちとでズレを感じてしまいました。原作ではどのくらい出番があるのかわからないのですが、結構愛着を持たれていたキャラクターなんでしょうか?作中の最後で王騎が盛大に死ぬシーンがあるのですが、それで塗り替えられてしまうくらいには印象のつき方に差があるように感じました。あそこはどのくらい感動すべき場面だったのでしょうか?
ただ、飛信隊のメンバーがほぼ生存していてあまりにも優秀すぎるように感じていたので、そういった意味で彼の死というのは物語に緊張感を持たせるために必要だったのかなと思います。ただタイミングが悪く王騎の陰に隠れてしまっていたので、その点原作と比べてどうなんだろうかと感じました。
ツッコミどころも多い
ツッコミどころはシリーズ通してですが変わらず多いです。まずなぜかたくなに弓を使わないのか。展開を面白くするために…というのはもちろんその通りなのですが、その割には過去の龐煖が討たれるシーンや紫夏が殺されるシーン、最後の王騎を討ち取ろうと相手が狙うシーン出てくるのでどうしても(使えばいいのに…)と思ってしまいます。
また河了貂らが軍師の勉強会を3作目から行っているのですが、自国が攻め込まれているのにずいぶん余裕だなと内心ツッコんでしまいました。戦況の説明役を担っており、観客が内容を都度理解するために必要なのはもちろんですが、あの光景はなかなかシュールでした。あとからやってきた得体の知れない李牧らと当たり前のように会話していたりと危機感があまりにも感じられなかったりと他にもいくつかあるのですが、そこら辺をツッコむのは無粋ですね。やはりこの映画は考えず観て聴いて楽しむものなのでしょう。実際それで楽しいからこそのこの人気っぷりなのだと思います。
まとめ
いかがでしたでしょうか。映画を観て感じたことを素直に書いてしまったので緩い雰囲気になってしまいました。ほかにも観るべきポイントや間違った解釈もそれなりにあるとは思いますが、私は未読勢なりにそれなりに楽しめました。近年の邦画ではトップクラスの撮影規模を誇っており、評判も上々というところですが、個人的には「名作」というより「大作」と呼ぶべき作品かなと思います。原作のファンの方々はこの映画シリーズをどのように観ているのかも気になるところです。興行収益もかなりのハイペースとのことなのでロングラン上映になりそうな雰囲気もあります。よって続編も期待できるのかなと思いますし、もし続編が決まればまた観に行きたいと思えるような映画でした。