Catcher in its right place
あれは先週の事だったかな。
ドライブに出掛けたんだ。
そこで僕は「夏のドライブに最適!」なんていうプレイリストをかけた。
大体は人気のjpopで、ちっとも面白くなかったな。
でも一曲だけ気になった曲があってね。
それはWurtSってアーティストの「Talking box」って曲なんだ。
なんだかとてもオルタナティブな曲で、若い感性を感じたよ。
僕は家に帰ってWurtsについて調べてみると、奴さん研究者×音楽家だってさ。
たいそうな御身分じゃあないか。
まあ良いんだ。
僕は奴さんには才能を感じてるしね。
どうして研究者なんてものを名乗ってるかと言うとだよ、奴さん現代の音楽史シーンを分析してニーズに合わせた音楽を作りそれを配信してるらしいんだ。
ご立派なこったよ。
努力の甲斐もあって、曲はtictocでバズリまくり。
僕はね、実を言うと嫉妬してるんだよ。
なんでって、僕は「マーケティング」なんて器用な真似できやしないからね。
できないし、できたところでバズるかなんてわからない。
僕はpopミュージックには疎いんだよ。
仕方がないだろ?
僕だって好きでこうなった訳じゃないさ。
でも僕は流行りのアーティストを聴いてさ、次の日の学校で「あの曲ほんといいよね!」なんてインチキじみた会話は絶対にしたくないんだ。
それに、僕は自分が作った大事な音楽をtictocの連中なんかには消費されたくないんだ。
そうなるくらいだったら、僕は音楽を肥溜めにでも捨てるよ。
あとさ、tictocってのはダンスが主体の文化だろ?
勿論それ以外にも動画がたくさんある事は知ってるけど、こと音楽において、人気が出る音楽っていうのは基本的にダンスミュージックやビートミュージックなんだ。
僕はこの潮流にも反対だね。
別にいんだけどさ、日本の音楽ってのはメロディーミュージックだろ?
日本人ってのはずっと歌謡曲を歌ってきてさ、つまりメロディが大好きなんだよ。
いやなんだかね、今の音楽を聴いてると海外の猿真似じゃないけど、いやそんな事とはずっと前からしてるんだけど、僕が言いたいのはだな。
日本人はhip hopっぽい音楽をやるべきでは無いと思うんだ。
僕にだって好きなラッパーはたくさんいるよ。
例えば不可思議wonderboy、Gadoro、志人とかね。
でも彼らはさ、自分の言いたい事が言える形がラップだっただけだと思うんだ。
つまりね、hiphopをやろうとはしてないんだよ。(gadoroはちょっとしてるかもだけど)
僕はダンスミュージックも好きだし、J-POPも嫌いじゃないよ、ただエセhiphopみたいなのは許せないんだ。
なんにせよ、もう僕はtictocの音楽は聴きたくない。
だからホールデン、君は「耳と目を閉じ口を噤んだ人間になろう」と言っていたね。
代わりに僕は、「Kid A」を聴くよ。
Kid Aで耳を塞ぐんだ。
何も考えずに済むように。
もう傷つかなくて済むように。
ホールデン・コールフィールドに告ぐ
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