猫を描き続けた男
今日は学園祭準備の日でした。
とはいっても、うちはユル部なので、皆で持ち寄った漫画を見ながらおしゃべりしたり、学生の味方サイゼにご飯食べに行ったりと、そんな感じでしたね。
文芸部なので、一応部誌は販売するのですが、メインは「漫画・小説読み放題」になるんじゃないかと予想。部長さんが大量に漫画を持ってきてくれたので、ずらっと背表紙が並ぶ様子はなかなか圧巻です。
時間がたっぷりあったので、会場のホワイトボードにお絵描きをしました。一年生の間で、「猫を描こう!」ということになったので、一年全員(と言っても3人)で猫を描きました。なかなか個性的な猫ちゃんが集まりました。
猫のイラストと言えば・・・。ルイス・ウェインですね。
ルイス・ウェインとは、1860年生まれのイギリスのイラストレーターです。猫のイラストをたくさん残しています。
彼の特徴は、なんといっても時代とともに変化するその画風です。
本当に初期のころは、飼い猫の模写をしており、非常に写実性の高い作品を残していました。
しかし、1886年、猫を擬人化して描いた作品を発表します。『猫達のクリスマス』という名前が付けられています。擬人化とはいえ、人間っぽい行動をしているだけで、四つ足で歩いているし、服は着ていません。
時代が経つにつれ、より人間っぽさが増していきます。後ろ足で歩き、当時の流行の服を着て、人間と同じように笑い、紅茶を飲み、楽器を演奏したりします。
うっっ、服飾オタクなもんで、もっとたくさんドレス紹介したいのですが、それはまた別の機会に。
人間みたいな猫を通して、ウェインは人間を皮肉ったりしてたみたい。風刺画ってことですね。流行ばっかりにしがみついて、ダセ~って思ってたんでしょうかね・・・笑
余談ですが、ヴィクトリア朝では動物を擬人化した絵が流行していたようで
こんなのも見つけました。熊のおばあちゃま。
絵を描く一方で、動物愛護のチャリティーにも参加していたウェイン。「全国猫クラブ」の議長でもあったみたい。本当に猫好きだったんだね。
心穏やかで、チャーミングな性格だったといわれていますが、彼は心の病を抱えていました。
絵は売れ行き好調なものの、商売に関してはあんまり才能がなかったみたい。お人よしなので、騙されたり、作品を安く買いたたかれたりなんてことがあったみたい。さらに権利関係の話は取引相手に完全にお任せしていたようで、相手の良いように使われていた可能性がありますね。
絵を描いても描いても、生活が楽になることはありません。次第に、精神病が彼をむしばんでいきます。
1924年には、精神病院に収容されてしまいます。このころには、家族に対する暴力もひどくなっていたようです。その後何度か病院を転々とし、ナプスバリー病院で亡くなるまでの9年間を過ごすことになります。
ここでは、心穏やかに猫の絵を描くことができたようですが、以前のように愛らしくコミカルな猫達はいませんでした。
なんだか、ちょっと不気味な感じがするよね。個人的には、左下のが一番怖い。夜道にこの絵が浮かんでたら、発狂する気しかしない。
怖いんだけど、目が離せない。怖いもの見たさ、っていうんですかね。
絵の才能に恵まれて、大好きな猫の絵を一生涯描き続けたウェイン。でも、生きていくには絵を描けるだけじゃあ駄目だったんだね。ある程度のビジネス力がないと、騙されちゃうことだってある。
私の予想だけど、彼はきっと、心優しくて、でも優しすぎるがゆえに、人に騙されてしまったんだと思うなあ。誰か、彼の生活を支えてくれる人がいたらよかったんだけど。妻が早くになくなってしまったことと、母と妹の生活費を稼がなきゃ!っていうプレッシャーも原因の一つなんじゃないかな、と思ってしまった。
う~ん、人の一生って難しいねえ。
とりあえず、古今東西、猫好きは猫に対する情熱がすごいんだな、とわかったよ。
それでは、この辺で、さようなら。