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コミュニティFMの売上分析と経営

営業の話をしておりましたが今回は運営面の売上と戦略の話しをいたします。
私だけかもしれませんが、コミュニティ放送局同士で成功事例の共有が薄い感じがします。

この業界に入った時は
どうやれば売上がアップするか?
どうやって運営しているのか?
このやり方であっているのか?

全ての局が微妙に遠く、聞きづらい感じがありました。

それがnoteを始めたきっかけでもあります。

しかし私の書いている事がすべてではない事は私も理解しております。
皆さん あたたかく 「へー」という感じで読んで頂ければと願います。

コミュニティFMとしてどのくらいの売上や収益がればよいのか?

「黒字が継続して出てれば良い」が答えかもしれませんが

普通の企業として安定した収入や環境を整えた上で黒字が出ている事が大切ですよね。中小企業すべてにあたる事柄ですが。

というわけで コミュニティFMの売上や利益はどれだけ出ているのかを調べたので簡単に記載します。

私の局も加盟している一般社団法人日本コミュニティ放送協会がHP上で公表しているコミュニティ放送の現状2023という資料がPDFでアップされております。

その資料を基にコミュニティFMの売上や損益の平均値を計算したいと思います。

コミュニティFMの売上損益 年間平均値

経営状況2023の調査対象局が323局なので合計数値から割っていけば、おおよその平均値がわかります。

ただし決算月が各局違うので 若干ズレが生じるかもしれませんが、想定基準値として出す事ができるかと思います。

コミュニティFMの 年間売上損益 平均値
売上   約4669万
営業費用 約4720万
営業損益 約▲51万
経常損益  約68万
当期損益  約14万

というおおよその数値が出てまいりました。

本業の利益を指す営業損益はマイナスとなっています。
あくまでも平均値ですので、むろん黒字の局もありますが、平均値を思慮すると営業損益は赤字の局の方が多くある可能性が高いかと考えられますね。

2023年末の時点の公表なので、2022年度の決算数値を反映した局が多いと思われます。

よって営業損益がマイナスなのに経常損益の平均値が黒字になっているのはコロナ関連の補助金や助成金がまだ少し入っていた事も考えられます。
もちろん本業以外の副業収入もあった局も多くあったのかもしれません。

各局で売上の内訳がどうなっているかですが。気になりますよね。
あくまでも私の推測もふくみますのでご理解いただき読んでいただけますと助かります。

上記の平均値より売上が下の局はラジオ放送中心に運営されているのが多いいのではないでしょうか。そういう局の売上内訳は放送収入90%放送外収入10%の割合と推測されます
 

放送収入だけで利益がでるのか?
とギモンですが、1日あたりの自社放送時間を少なくし少数精鋭で運営を行えば何とかやってけるかと思います。
 
しかし自社放送時間を少なくした場合、地元へのメディア影響力が薄くなるので営業活動がうまく行かず売上がなかなか伸びない傾向があるかと思います。
「ラジオ広告が売れないから面白い生番組を作ってスポンサー取りたいけど時間とコストをかけれない」とジレンマにおちいるケースも多いいと感じます。
 
ローカルメディアとしてコミュニティFMが地元に影響力を強めようとすれば、放送枠は、ある程度確保し番組クオリティを追求していかなければなりません。

フリーペーパー事業やイベント事業


売上が平均値より高いコミュニティFMはラジオ放送だけではなくフリーペーパー事業も一緒に運営している局も一定数あるかと思います。地方では10年前までは、まだ紙媒体は好調でした。
ラジオとセット販売し売上単価も上がり黒字収益の柱になった局も沢山あったのではないでしょうか。
 
しかし現在は、フリーペーパー淘汰の時代で売上の減少や廃刊が全国で相次いでいます。
 
また紙価格の高騰で数万単位の部数で発行しているフリーペーパーは原価高をもろに受けております。
その原価高を広告費に転嫁できない状況になっている企業の話も良く聞きます。
フリーペーパーは無くなる事はありませんが市場規模は減っていくかと感じます。
 
売上が平均値より高い局の中でイベント事業を併用してイベント運営・公開生放送・音響・オペレーターなどをセット価格で自治体やショッピングモールなどに営業し売上を作っている局も多くあります。
 
こういう局はビジネス経験値がアップし、イベント企画も出来るようになりますので新規事業領域にイベントが事業売上としてプラスされます。
 
イベント事業は収益性が高くイベントを受注する事により自社広告(ラジオ・紙媒体)もセット販売ができるので売上単価が上がり局に利益をもたらします。
しかしコロナ禍が襲った2020年にイベントと言われる売上は、その年から全て吹き飛びました。
 
いくつかのイベント会社さんは、縮小または淘汰されるか業種変更を余儀なくされた所もありました。
こんな事が起きるとは…。ですね。
 
現在はイベントも復調ぎみですが。そもそも毎年同じイベントをつづけて受注できる事はありません。

大きなイベント案件が突然無くなった場合は無くなった売上をほてんするため新規イベントの企画や受注にも追われます。
継続性のあるイベントを毎年行えるようにするには地元でオンリーワンのイベント企画を行って実施する事が必要となります。イベント企画や運営のお話はまたどこかで行いますね。

地域情報ポータルサイト


イベント以外でも地域情報ポータルサイトを事業の一つとして運営している局も少しずつですが、増えてまいりました。
 
もし局がある対象地域で地域情報ポータルサイトが無い場合は新規事業としてのチャンスがあるかと思います。地域人口規模によりますが、もし2番手や3番手だと、売上確保にけっこう苦労をするかと推測します。
 
なぜかといいますと、後発組が先発組に挑戦し勝つためのセオリー戦略は価格競争と高クオリティとなります。先発組より安くクオリティが高くないとお客さまに支持されません。
またポータルサイトを運営するにあたって人的余力と資金があるかないかいも問題です。
 
しかしラジオとセット販売し競合と差別化をはかり、戦略的に営業をおこなうと付加価値を生み強みととなります。
特に地域情報ポータルサイトはラジオと共通性が強いリアルタイムメディアとして運用が可能です。
運営時間内に限りますが今地元で起こっているニュースをラジオやポータルサイトに情報として放送・公開が可能だからです。

業態・売上の依存はリスク


社会的意義があるコミュニティFMという業種が無くなる事は、ない前提に依存についてお話します。
 
売上や業態の依存度がかたよっていると企業運営的にはリスクを伴います。
 
私もイベント売上が突然無くなるなんてコロナ禍が襲う前の2019年には考えたことも無かったです。
下記の大きく2つの依存があると企業体質として良くありません。
 
➀紙媒体売上・イベント売上などの「業態依存」

➁一部の自治体や企業の「取引先依存」

 
➀は、デジタル化やコロナ禍により世の中のニーズや環境が劇的に変化した時に影響を受ける業態に依存している企業は非常に脆弱です。
リアルな変化がこの数年間で進行しました。世の経済問題として皆さんも良くご存じなので詳しい説明はいたしませんね。
 
➁一部の自治体や企業の売上先依存を掘り下げて説明します。
売上げ先の依存度が高く取引件数が少ないコミュニティFMは運営体質的に非常にリスキーです。
 
もし売上規模が年間5,000万のコミュニティFMがあったとします。その売上の30%が特定の団体・企業だったとした場合の売上依存は1,500万です。
 
その売上依存していた取引先である団体・企業に財務悪化や経営危機が来た時です。
改善の一環として広告費を1,500万削減されてしまった場合、年間の売上が3,500万になってしまいます。
 
冒頭で記載したコミュニティFMの売上を生み出すための運営コストの営業費用は売上とほぼ同額の平均値ですからイッキに1,500万の赤字に陥ります。

減少分の売上をとりもどすには、50万単価の売上を30件獲得しなければなりません。いきなりは難しいですよね。

5,000万規模のコミュニティFMの健全な取引件数は、広告単価により少し前後しると思いますが100件~150件ほどは必要かと考えます。取引先が増加するほど依存度は低下するのでリスク回避につながります。
 
その取引先を増加させるには以前お話しした「提案力・企画力」が必要となります。
 
その提案企画はコミュニティFMだからこそ出来る事が多くあります。


コミュニティFMはコミュニティFMを運営している事 そのものが強み


 
コミュニティFMは、地域色を生かした市民参加型の番組や、地域情報の発信拠点として地域振興や観光資源の活用、公共の福利の増進などに寄与するためにある地域ラジオ放送局です。
そうです。
コミュニティFMの1番の強みはコミュニティFMを運営している事です。
 
そのコミュニティFMの特性を生かし親和性のある広告商材とラジオ広告をガッチャンコさせ複合的メディアとして地元競合が出来ないローカルメディアとしての差別化をする事が出来ます。
 
中には全く違う業態でフランチャイズチェーンの店舗運営しているコミュニティも存在します。
資金さえ用意出来ればノウハウを買取りまったく違う業態にもチャレンジし乗り出す事もできますよね。
 
あくまでも私の考えですが、財務の弱いコミュニティFMは業態や取引先に依存しない運営のために、地元でオンリーワンのローカルクロスメディア
を目指す事が収益をアップにつながるのでは、と考えます。
 
またの乱文なりましたが最後までお読み頂きありがとうございました。


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