新刊ネタバレ解説+罪を告白するサークル名の意味
こんにちは、羽落(うらく)です。
このnoteはISF10にて頒布した新刊「Make a wish!」のネタバレ解説になります。内容に赤裸々に触れるので、読んで頂けた方のみに見てほしいです!よろしくです!
今までで一番「罪」を感じた本でした。
あと10日で描いたのであまり突き詰められていない部分があるのはすみません。でも同人誌だからね!
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■テーマ設定とプロット
今回はとにもかくにも「間に合うこと」が第一優先事項でした。
元々出そうとしていた100P越えの本がMCと就活によって潰れたので、とにもかくにも「新刊をどうにかこうにか…出すぞー!」と気合いだけで書きました。
10日で終わった時は流石に己が恐ろしくなりましたが、無事30Pの本ができてよかったです。
【テーマ設定】
今回は「明るい話」「姫がオーディションに来た日の話」だけ決めてネームを描きました。
正直サンプルに出した冒頭8pくらいのシーンがパッと浮かんで、それを描きたい!と発車した列車がたまたま30Pに着地してくれただけです。ほとんど何も考えていませんでした!すみません!
(⇩描きたかった部分)
ポエムみたいな本になるだろうな〜とは思ってたのですが、本気のポエムを見せつけてしまってすみませんでした。
実は似たような話で58Pネームを作ったのですが、流石に間に合わない…ということで新刊の案が採用されました。やった〜
そしていつも「人に伝えたいテーマ」を設定するのですが、今回は「オーディションを受けるということの重み」「"姫になる"ことの難しさ」「19歳の"徳川まつりさん"とは」等をテーマにしました。
伝わってたらいいな。
【プロット/ストーリー】
特に何も考えていません。
最初に盛り上がりがあって、あとは淡々と、徳川まつりさんを覗き見る、それだけでした。
というかもっと盛り上がらせようとすると50P超えるので無理がありました!
ネームを3時間くらいでワ〜〜と描いて「まあいいでしょ!」とペン入れに入った記憶があります。
先に幻蝶ツングースカという過去捏造大妄想本を描いていたので、そこでした妄想要素が多分に含まれていたかと思います。同じ世界線かも。
「オーディションに来た日のまつりさんは何を感じたんだろう」
「ミリシタのPはオーディションの姫を見てびっくりしてたけど、書類審査とかどうだったんだろう?」
「姫はあんな風に合格を告げられて、どんな気持ちだったんだろう?」
といった自分の疑問にゴテゴテの妄想と修飾を多大につけて回答を出したIFルートのような本になりました。
「過去」「心情」を描くものは、こと徳川まつりさんにおいては「過大妄想」にしかなりえないと思います。
自分の気持ちをあまり語らないタイプですし、意識的に過去を秘匿しています。そして「姫」でいることを望んでいるので。すごく深掘り的な二次創作が難しい女の子ですよね。
普段は己に都合のいい妄想を解釈だなんて呼んでいますが、今回は本当に巨大妄想と断言するしかない内容でした。「これが徳川まつりさんの心情だ!」とは描いた私自身もまったく思っていないので、「妄想本」がこの本を表するのに最も適した言葉です。
■描写
本文描写の解説に移ります。
今回はいつもよりラフな感じを目指しました。以前姫の生誕祭漫画で描いた鉛筆っぽいラフな雰囲気が気に入ってたので、同人誌でもできるかな?とトライしてみました。(単純に原稿期間が短すぎて簡略化するしかなかった箇所もあります)
まずオーディションの場面です。
今回は、「姫に憧れ、姫でいる経験もあったけれど、磨き上げ知らぬ人前で披露するのは初」という設定にしました。いろんなルートがあり得ると思うのですが、今回はひとまずそれを選んで描いた感じです。
基本的にセリフはミリシタのメモリアルコミュ1をなぞっています。
「まつり姫」を受け入れてもらえなければ、「みんなの姫」になれないというまつりさんにとって緊張の一幕だと思っています。なので
なんとしても「姫」を貫き通す、突飛でもいいからとにかく印象を残す、765に落ちたらまた考える、けど今は精一杯「憧れた自分でいる」という場面にしました。
Pの「合格だ!」までがミリシタ準拠だと短すぎるので難しかったです。
ミリシタだと「合格だ!これからよろしくな!」に対して表情を変えることなく「はいほー!」と続けてるんですけど、もっとすごく感じることがあっただろうな、と思ってこういうコマを入れました。
どれだけ嬉しいだろうな、と思います。
仮にSFYの遊園地が小学校2.3年生くらいだとして、約10年はそこから憧れを続け、「まつり姫」を体現するに至ってるんですよ。しかもメモリアルコミュ2の宣材写真を撮るときも、彼女は完璧なポージングや「まつり姫」を(ミリシタ時空では)披露しているんですね。それだけ願って、準備していたことだとして。
それが叶うこと、選ばれること、受け止められること、どれだけ…
それで描きたかったのがこのシーンなんですが
今までで最も罪を感じながら、すごく描いてて楽しかったです。重罪を犯した感覚がものすごかったんですが。
そんなこんなで浮かれてるまつりさんや、照れてるまつりさんや、慌ててるまつりさんを描いて、罪をたくさん犯しました。なんらかの刑法に違反してる気がしています。
一応パウダールーム(化粧とかをするための部屋、ミラーデスクみたいなのがあったりする。765プロならあるでしょう)のつもりです。他に人がいないか確認してからp8の様相です。
あと今回少し鏡モチーフを使いたかったのでここにも入れました。
そしてしばらく経ってからシアターを出て、メールを受け取り、ハレの日はお花とケーキを買っててほしいな~という私の願望でお買い物に出かけます。
シアターで面接してるのは舞台設定としての華やかさからです。39プロジェクトの面接ってどっちでしてるのかな。(765プロのテープを背景に張ったのにシアターとはどういうことだろう、気にしないでください)
設定としては2013年2月27日、つまりミリオンライブグリー版の開始日にメモリアルコミュ1(オーディション)があった、というテイです。
でも今回の描写としてはあまり気にせずに描きました。インスタとかが出てくるのもそうです。
10年前との交錯として履歴書のみその日付にしてあります。
まつりさんの誕生日が2月4日なので、「誕生日も絡めたい!」と思い最後の描写に入れました。満19歳だとして直前まで18歳だったわけで、大学1年生ですね。
大学や高校、資格や住所、すごい考えました。ここが一番時間かかってます。名古屋に詳しい方、古い家の歴史に詳しい方、アイドル応募に詳しい方にたくさん話を聞いて決めました。でも全部幻覚なので気にしないでください。
今回出て来た小物の紹介コーナーです!
「苺のショートケーキ下さい」
「あとジンジャークッキーも」(受験関連で2月なら妹ちゃんが東京に来る機会がありそうなので、その分)
「🍫プレートやろうそくもお付けしますか?」
「じゃあ、ろうそく1本だけ下さい」
このあたりは日常を覗き見る感じで、モノローグもセリフも入れませんでした。前半の情報量が多かったのもあり、緩急をつけたかったのですがそうなっているのかは闇の中です。あはは
お花だけ買って帰る…でもよかったのですが、デビューを前にして「一緒に育つ」ものを選んでもいいな、と思って観葉植物を入れました。
モチーフはヒメモンステラです。モンステラのミニバージョンですね。どの植物にするかとても悩んだのですが、名前もそうですし花言葉がぴったりだな~と思ってこの子にしました。
そしてこのシーンですが、
「まつり姫」は徹底的な秘匿主義アイドルです。「姫」じゃないところ、過去の話、つらいこと、徹底的に語るまいとします。きっとSNSアカウントも「まつり姫」しかないと思います。
他のアカウントも19歳なりにあったとして、いつ消したんだろう、きっとこの日かな、と思ってこういう描写を入れました。
「徳川まつり」として生きてきた19年間、それに付随する思い出、記録、そういうものをベールで覆い隠す日がこの日だったなら、すごく「彼女らしい」なと思いました。
やっぱり少し緊張するし、少し怖いし、でもこの瞬間やっぱり嬉しさでいっぱいで、そういう気持ちになるだろうなと思ってこういうシーンを入れました。
そしてこの日、2月27日に「まつり姫」が名実ともに生まれたのなら誕生日だよね~と思いお祝いをする描写を入れました。
徳川まつりさんの誕生日は2月4日ですが、「姫」はまた彼女の1つであり、もう一人の自分であり、理想であり、子どものようだろうな、というイメージです。
タイトルの「Make a wish!」も誕生日とかにケーキのろうそくを吹き消す時にする「お願い事をして(そして吹き消して!)」という言葉から取りました。
この日買ったヒメモンステラ=まつり姫の代理として、
「誕生日をくれてありがとう(生まれさせてくれてありがとう)」
「今まで二人きりだったけど、これからはみんなと出会えるね」
というニュアンスポエムを差し込みました。
ここがすごく描きたかったので、描けてよかったです。
伝わってるのかな、このポエム。でも同人誌ってそういうものです。
■おまけに関して
ここに関しては皆さんの解釈に任せます。
なぜかというと、自分でもあのページをうまく説明できないからです。
お好きに読み取ってください。
植物が増えてるのは、その分「まつり姫」としてのお祝いごとがあったという設定です。
徳川まつりさんにとって姫である自分が、「まつり姫」がどんな存在なのかはベールに覆い隠されていて私たちには分かりません。
こんな感じだったらいいな、で描きました。
本編もそんな感じでたくさんニュアンスで描きました。NOTEを書いてるこの本人が一番この本のことよくわかってないです。
とにもかくにも、「オーデションの日」が描きたくてこうなりました。
私はアイドルになれなかった側の人間なので、やはり「アイドルである」ことに執着しがちです。徳川まつりさんに身勝手な理想を押し付けているだろうし、憧れへの残心で彼女のことを見ているだろうと思います。
それに、彼女のことを100%理解はできません。
だから真に彼女は、私にとっての崇拝偶像です。
でも彼女なら、そんな期待に応えてくれるのかもしれない、とも思っています。あなたなら。
普段描く内容が「つよいひめ」なのはそこにあるのかもしれません。
だから本当に「人間」の面にこんなにフォーカスするのは今回きりだと思います。装丁もぺかぺかにできて満足です!
ISFお疲れさまでした。新刊お手に取って下さって、このNOTEまで読んでくださってる方、本当にありがとうございます。
また出たいですね。
■サークル名の由来/余談
ところで私はサークル名を「告解室」にしています。
告解室、と言う場所は、懺悔室というと伝わりやすいでしょうか?
教会にある罪を告白する場所です。相手の顔は見えず声しか聞こえません。(ブラックラグーンを見たことある方はわかるかも。教会のシスターが電話してるとこです。)
なぜそんな仰々しい名前にしているかというと、「罪を自覚していたいから」です。
だってこの本、大罪すぎます。
まつり姫にとって徳川の苗字や「姫以外」の部分は「わざわざ暴かなくていいもの」「秘密は秘密のままの方が綺麗な物」「安心できる作りこまれた世界」なわけです。それをこんな、こんな大妄想して、同人誌にまでして、、己の幼稚な脳をパカンと割って出してきただけのストーリーと演出で彼女の尊い部分をポエム漫画にして、高潔な生き様を矮小なオタクがキャハキャハ「かわいい女の子」の枠に引きずり降ろして………………彼女が秘匿している部分をわざわざ漫画なんてものにしてつまびらかにして、、、、、、、、
しかもプロデューサーを名乗ってる人間が…………、、、、彼女の意思を尊ぶことを第一にしようと志している人間が、、、、、、、、、、、
こんな本………………、、、、、、、
罪にもほどがあるでしょうが!!!!!!!!!
そんな感じで過去最大の罪を感じながら描いた本でした。涙させるより照れさせたり戸惑わせたりする描写の方が私にとっては拷問のようでした。「ハァッこんなの許されざる、、、許されざるよ~~~!!」「助けて!!!地獄に落ちる!!!!!!!」と叫びながら作業してました。
でも描きたくって……担当少女のエピソード・ゼロを。。。。。。
そんな気持ちの時便利なのがこのサークル名です!!
なんと!罪を認め罪を告白することって贖いの一歩なんです!自らの犯した罪を罪に値するものとして自覚し、神に告白することが贖罪のはじまりなんです!!罪を犯しても人はやり直せるんです!!!
つまり罪を罪だと認識して告解すれば罪は許されるんです!!!!
だから私は告解室!!!!!!!!!!!!!
みなさんも是非自分の罪を自覚しながら同人贖罪の道を歩みませんか?
羽落でした。
おわり。