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ペットホーム(老犬老猫ホーム)開業に必要な手続き


ペットでも「老老介護」が問題に

老老介護とは、高齢者が高齢者を介護することを指します。これまでの介護では、若い世代が高齢者を介護することが一般的でしたが、主に65歳以上の高齢の夫婦や親子、兄弟などのどちらかが介護者であり、もう一方が介護される側となるケースを指します。
人間の平均寿命が延びているのと同様に、ペットの平均寿命もここ30年の間に約10歳も延びているというデータもあり、ペットの最期の時まで飼育する終生飼養の問題やペットの老老介護の問題が懸念されています。
一般社団法人ペットフード協会によると「全国犬猫飼育実態調査」結果では、犬の平均寿命は14.76歳、猫で15.62歳との結果が出ています。

一般社団法人ペットフード協会 全国犬猫飼育実態調査(2022年)

ちなみにペットでも「認認介護」が問題になってきているそうです。「認認介護」とは、高齢の認知症患者の介護を認知症である高齢の家族が行うことですが、ペットの認認介護は飼い主である高齢の認知症患者が認知症の高齢のペットのお世話をすることです。実はペットでも認知症があるって、ご存じでしたか?
【犬の認知症の症状】
□徘徊、旋回:ぐるぐる歩き回る、目的もなくひたすら前に進もうとする。
□夜鳴き:自分の身体が思うように動かないときや寂しいときなど吠え続ける。
□異常な食欲:与えるだけ食べるようになる。
□昼夜の逆転:昼間は寝てばかり、夜になると起き続けて眠れない。
□しつけ行動ができなくなる:今までできていたことができなくなる。トイレの失敗など。
□無気力、無関心:呼びかけに反応しない、どこか一点を見つめているなど。
□感情の起伏が激しい:突然怒って噛み付いたり、攻撃的になる。

セカンドライフの充実のためにペットを飼い始める

一般社団法人ペットフード協会によると「全国犬猫飼育実態調査」結果では、ペットを飼うきっかけの理由も「年齢的に飼い始める最後のチャンスだから」(60代 18.3%、70代 22.8%」「過去に飼育経験があり、また飼いたくなったから」(60代 34.7%、70代 40.5%)と子育てがひと段落して、セカンドライフでペットを飼い始める高齢者も多くなってきていることが分かります。

一般社団法人ペットフード協会 全国犬猫飼育実態調査(2022年)

ペットホーム(老犬老猫ホーム)が注目を集めている理由

ペットの飼育は犬の場合は散歩などの適度な運動やペットの食事などのお世話で老化予防に役立つと言われていますし、子どもが巣立った後の親世帯にとってこの上ない癒しとなりますが、一方で飼い主が病気や老いで亡くなってしまった場合や飼い主が施設に入らないといけなくなった場合、ペットが認知症になって、夜鳴きや失禁するなど、飼い主自身も高齢でペットの世話が難しくなることが懸念されています。そのような事情もあり、ペットホーム(老犬老猫ホーム)の注目を集めています。

ペットホーム(老犬老猫ホーム)とは?

ペットホーム(老犬老猫ホーム)は、第一種動物取扱業の「譲受飼養(ゆずりうけしよう)※」に該当します。第一種動物取扱業の詳しい内容はこちらの記事をご覧ください。なお、譲受飼養とは動物を譲り渡した者が、飼養に要する費用の全部または一部を負担することを指します。ちなみに、ペットホテルのように短期で預かる場合、第一種動物取扱業の「保管」に該当します。ペットホテル業の開業についてはこちらの記事をご覧ください。

■ペットホテル         →第一種動物取扱業「保管」
■ペットホーム(老犬老猫ホーム)→第一種動物取扱業「譲受飼養」

他の動物取扱業(ペットサロン、ペットホテル、ペットカフェなど)と同様に第一種動物取扱業の登録と動物取扱責任者が必要になります。具体的な手続きは以下の通りです。

1.ペットホーム(老犬老猫ホーム)開業に必要な資格や許可

ペットホーム(老犬老猫ホーム)を開業するには第一種動物取扱業への各都道府県への登録(許可)が必要です。第一種動物取扱業は次の7つの業種に分かれております。ペットホームは「⑦譲受飼養」の登録(許可)が必要です。

■第一種動物取扱業
①販売:ペットショップ
②保管:ペットホテル、ペットシッター
③貸出:ペットレンタル、撮影モデル派遣
④訓練:動物訓練、調教業者
⑤展示:動物園・水族館、乗馬施設、アニマルセラピー
⑥せり、あっせん:動物オークション
⑦譲受飼養業:老犬老猫ホームなど

例えば、第一種動物取扱業(例:ペットホテルとペットホーム)を開業する場合、その業態に合わせて営業開始前に動物愛護センター(東京都だと東京都保険医療局 東京都動物愛護相談センター)にペットホテル「②保管」とペットホテル(老犬老猫ホーム)「⑦譲受飼養」の2つの登録を受ける必要があります。

2.都市計画法・建築基準法関連の確認

動物愛護相談センターの登録申請の前に店舗を構える地域の各市町村の担当課(都市計画課、建築指導課など)に事業内容を説明し、第一種動物取扱業を営むことができるかどうかの確認が必要になります。具体的にはペットホーム(老犬老猫ホーム)を開業しようと思っている地域にお店を開いて良い地域なのか、用途地域の確認が必要です。用途地域の確認は各自治体のホームページで調べることができますが、個別に地域開発の制限を設けている自治体もありますので注意が必要です。

3.動物取扱責任者の選任

第一種動物取扱業の登録申請する際に、事業所ごとに常勤の職員の中から動物取扱責任者を選任する必要があります(動物取扱責任者の詳しい内容はこちらの記事をご参照ください)

4.第一種動物取扱業の登録申請

ペットホーム(老犬老猫ホーム)は「⑦譲受飼養」にあたるため、以下の書類が必要になります。
①第一種動物取扱業登録申請書
②第一種動物取扱業の実施の方法
③「動物の愛護及び管理に関する法律」第12条第1項第1号から第6号までに該当しないことを示す書類
④飼養施設の平面図及び飼養施設の付近の見取図
⑤( 申請者が法人の場合 )登記事項証明書、役員の氏名及び住所
⑥事業所及び飼養施設の土地及び建物について事業の実施に必要な権原を有することを示す書類
⑦動物取扱責任者研修の修了証の写し
⑧犬猫等健康安全計画(犬猫等販売業者に限る)
⑨ケージ等の規模を示す平面図・立面図(犬猫を取り扱う事業者に限る)

東京都動物愛護相談センターHP

5.飼養(保管)に従事する従業員の員数の基準

犬又は猫の飼養施設においては、飼養又は保管に従事する職員が飼養又は保管をする頭数の上限は、1人当たり  犬については20頭(うち繁殖犬は15頭)、1人当たり猫については30頭(うち繁殖猫は25頭)とする。

環境省HPより

6.第一種動物取扱業の申請手数料(東京都の場合)

手数料は1種別につき15,000円です。ただし、同時に申請する場合の手数料は以下のとおりです。
・ 2種別同時申請 計25,000円
・ 3種別同時申請 計35,000円
・ 4種別同時申請 計45,000円
・ 5種別同時申請 計55,000円

例えば、ペットホテル「②保管」とペットホテル(老犬老猫ホーム)「⑦譲受飼養」を同時に登録申請する場合は25,000円(ばらばらに申請するよりも▲10,000円)となります。

7.第一種動物取扱業の申請は窓口申請のみ

動物愛護相談センター本所( 世田谷区 )及び多摩支所( 日野市 )の窓口でのみ受け付けています。郵送など他の方法では登録申請を受け付けることができませんので、ご注意ください。

8.施設検査

都道府県の職員が営業施設に立ち入り、施設の構造及び動物の管理の方法について検査します。
(1)飼養施設等の構造や規模等(動物に適切な広さ、空間の有無)
(2)飼養施設等の維持管理等(1日1回以上の清掃、動物の逸走防止)
(3)動物の管理方法等(幼齢動物の販売、購入者への現物確認、対面説明)
(4)全般的事項(標識や名札、動物取扱責任者の配置)
(5)犬猫等販売業に関する上乗せ基準
 ・犬猫等健康安全計画の策定と遵守
 ・獣医師との連携の確保
 ・販売困難な犬猫についての終生飼養の確保
 ・56日齢以下の販売制限

9.登録証交付

施設検査が終われば、登録証が交付されます。
・登録後、動物取扱責任者の氏名等申請事項に変更が生じた場合には、届出が必要です。
・第一種動物取扱業の廃止等の場合には、廃業等の届出が必要です。
・登録は、5年ごとに更新しなければなりません。

10.登録申請から次回更新までの流れ

東京都動物愛護相談センターHP


最後までお読みいただき、ありがとうございました。



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