きわきわの話(後編)
私は令和4年度の行政書士試験に合格して、会社員をやりながら副業で行政書士をしています。「きわきわの話(前編)」が意外と好評だったとかそういう話は全くありませんが(笑)、「きわきわの話(後編)」を書いてみようと思います。他の士業の漫画も秀逸だからです。なお、きわきわの話とは士業間の業務の境目の話、いわゆる業際(ぎょうさい)の話のことです。
業際(ぎょうさい)の話とは?
業際ってなに?聞いたこともないし、書いたことも使ったこともない方がほとんどだと思います。私も行政書士に登録するまでは全く知りませんでしたし、聞いたこともありませんでした。業際の話とは独占業務をしている士業間の業務の境目の問題でして、士業の既得権益の争い、士業同士の仁義なき戦いとも言える話です。独占業務や弁護士、司法書士等との戦いの話は「きわきわの話(其の壱)」をご覧ください。
社会保険労務士(社労士)との仁義ない戦い
労務関係の士業の社会保険労務士との戦いです。行政書士の業務には官庁署に対する書類作成ですが、この官公署が労働社会保険関係の官公署に提出すると、社会保険労務士とのきわきわの話が出てきます。どのような書類かというと、健康保険、厚生年金保険の適用届がそれに該当します。他には、行政書士の業務に補助金や助成金の申請がありますが、労働保険の保険証の徴収等に関する法律や雇用保険法に基づく助成金の申請は社会保険労務士の独占業務となります。
弁理士との仁義ない戦い
弁理士は特許法等を代表とする「知的財産法」を取り扱う法律家です。
また、知的財産などから生み出されるアイデア等の取扱いには高度な専門性が求められ、特許法、実用新案法、意匠法、商標法に基づく、産業財産権の取得やその紛争解決を行う唯一の士業です。提出書類を提出する官公署が特許庁や経済産業省になるときに、弁理士とのきわきわの話がでてくるかもしれません(レアケースだと思いますが)。
海事代理士との仁義ない戦い
海事代理士とは、海に関係した法律・法的手続きのプロで船舶や海運関係の登記や登録、申請、届出などの書類作成や手続きを代行することを業としています。実際に行政書士と海事代理士の業際の話ってほとんど話題にならないマニアックな戦いなのかもしれませんが、船に関する登録と言えば「海事代理士」なのですが、小型船舶の登録だけは行政書士でもできるので、もしかしたら、小型船舶の登録業務が業際問題になるのかもしれませんね。
なお、「小型船舶」は総トン数20トン未満の船舶ですが、総トン数20トン以上でも、①一人で操縦を行う構造、②24メートル未満の船長、③スポーツやレクリエーション用途(漁船、旅客船舶としては利用しない)という条件を満たすと「小型船舶」に含まれるそうです。なお、小型船舶の登録などは「小型船舶の登録に関する法律」に定められていますが、この法律は海事代理士法には記載されていないので、行政書士でも業務を行うことができるようです。
おまけ
カバチタレの作者でもある田島隆先生は行政書士と海事代理士の資格をお持ちです。いつかお会いできるといいなあと思っています。なお、「カバチタレ!」 とは広島弁で文句や屁理屈を言う人のことだそうです。 法律を知れば、今まで泣き寝入りしていた者も、カバチをタレて自分たちの生活を守ることができるのだ、ということなのだそうです。私もカバチをタレて色々な人をサポートできるような行政書士になりたいです。
前編はこちら↓です。
最後までお読みいただき、ありがとうございました!