ドラクエじゃなくても伝えられるチープなメッセージ。『ドラゴンクエスト ユア・ストーリー』
※この記事は、映画のネタバレを含んでいます。
『ドラゴンクエスト ユア・ストーリー』を観てきた。
原作ファンを満足させる内容ではなく、原作を知らない人には説明不足の切り貼り展開。どんでん返しの内容もいまどきこれ? の陳腐で古びた表現。この映画はどこに向けて作られた映画なんだろうか?
とまぁ、そういうことを考える映画だった。夏休み公開で人気ゲームの知名度を使った作品として、今までファミリー層やマス層向けにヒット作を飛ばしている監督を据えて、テレビ局が制作幹事を担い、声優は人気俳優で固める。
『ドラクエV』をそのまま映画にしても確かに、ありきたりな冒険劇で原作ファン以外を巻き込んで感動や評価を受ける作品にするのは難しいと思う。ゲームプレイだと、そのありきたりな冒険劇でも、緩急をつけながら、謎解きやレベリング、出会いと別れなど30時間以上どっぷりその世界に浸ってその世界を救うカタルシスがある。
そのゲームの世界をどう2時間ほどの映画落とし込むのか? それを期待していたゲーム原作ファンの期待に、この映画は全く応えることはなかった。
マス層相手の作品だから、ドラクエを知らないさほどゲームが好きでもない層に対して、「ゲームにハマる」ということはどういう風に世間から思われているのか? ということを非ゲーマーな監督が考察、シナリオに落とし込んで、マス層に共感を得られる、そしてゲームってのも今じゃそんなに子供の遊びって訳じゃないんだよ。と映画を通じてメッセージを発する作品となっていた。
ここまで大きくなった『ドラクエ』というブランドを使ってやることじゃないよな〜っていう誰得? という作品だった。
それでも、3DCGで描かれるドラクエの世界や、おなじみのBGMがスクリーンから流れてくると、観ていて私は楽しかったので、ネットでの感想で言われているほど、ひどい映画とは思わなかった。
説明不足なエピソードに駆け足だな〜と感じる内容。主人公の顔、佐藤健に寄せすぎだろ〜とか、佐藤健が一番声の演技下手なのつらいな…サンチョはケンドーコバヤシをドリフの西遊記でカトちゃんをそのまま出した様に、ケンドーを3DCGで出していいんじゃん(笑)とか思いながら観ていて、最後のどんでん返しはいらんだろ。と思ったぐらいで。
原作モノをマス層向けにアレンジして、そのアレンジが全然響かない内容だったので映画を観てなにか人生の足しになったのか、腹いっぱい笑ったのか、泣いたのか、感情を揺さぶられたのか? となると何もなかった映画だった。CGキレイっすね、あ、白組っすか、ぐらい。
とにかく、自分はこの映画の対象としている人じゃないんだろうな〜と。
この映画を観て、ゲームって子供の遊びで、ハマっているひとって子供っぽいと思ってたけどそれは違うんだよね。というメッセージを受け取って感心する層がどれだけいるんだろうか? と、映画を見終わったあと、映画館のあるイオンモールで、一緒に映画を観た家族とランチをしながら思ったのであった。
追記:あのラストのメタ展開なくして、ベタでいいのでミルドラースとの対決、勝利、ハッピーエンドをあのクオリティで作って、映像ソフトの特典にでもしてくれないっすかね…かなり本気で思ってるんですけど。