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知っておきたい予防接種が「任意」になった理由と現状
予防接種は、その歴史や背景について詳しく知る機会は多くありません。特に、日本で予防接種が「任意」になった経緯や、公費負担と自己負担のワクチンの違いについて正確に理解することは、適切な選択をするために欠かせないと考えます。
予防接種が「強制」から「任意」になった歴史
1947年:強制接種の開始
戦後の日本では、GHQ(連合国軍総司令部)の指導により「予防接種法」が制定され、接種が強制化されました。この制度では、接種による健康被害が発生しても国が補償しない仕組みでした。その結果、多くの被害者が救済されないまま、社会問題化しました。
1970年:救済制度の誕生
ジフテリア予防接種被害をはじめとする健康被害の増加を受け、1970年にようやく接種事故の救済制度が設けられました。しかし、この制度は十分に機能せず、改善が求められていました。
1994年:予防接種法改正による「任意化」
大きな転換点となったのが1994年の予防接種法の改正です。この背景には、大規模な疫学データ(前橋スタディなど)の登場や、予防接種を巡る裁判の結果がありました。この改正により、次の3つが明記されることとなりました。
個別接種の推奨:集団接種から個別接種へ移行。
情報提供の充実:ワクチンに関する正確な情報提供を義務化。
迅速な救済措置:健康被害に対する救済制度の強化。
これにより、予防接種は「任意」となり、受けるかどうかは個人の判断に委ねられるようになりました。
公費負担と自己負担のワクチン
予防接種には、大きく分けて「公費負担」と「自己負担(任意接種)」の2種類があります。それぞれの特徴を以下にまとめます。
1.公費負担(定期接種)
公費負担のワクチンは、予防接種法で接種期間が定められ、国や自治体が費用を負担します。これらの接種も法律上は「任意」であり、強制ではありませんが、多くの場合、推奨されるものです。
主な公費負担のワクチン
ポリオ
麻疹(はしか)
風疹
MR(麻疹風疹混合ワクチン)
日本脳炎
BCG(結核予防)
これらのワクチンは、集団感染や重篤な疾患を防ぐことを目的としています。
2. 自己負担(任意接種)
任意接種は、法律で定められた公費負担の対象外であり、費用は個人で負担します。ただし、一部のワクチンについては、特定の状況で公費負担が適用される場合もあります。
主な自己負担のワクチン
おたふくかぜ(ムンプス)
水ぼうそう(帯状疱疹ウイルス)
B型肝炎
インフルエンザ
ヒブ(インフルエンザ菌b型)
肺炎球菌
子宮頸がんワクチン(HPVワクチン)
これらのワクチンは、特定の感染症や個別のニーズに応じて接種されるものであり、受けるかどうかは個人の選択に委ねられます。
広く知識を持つことの重要性
接種に伴うリスクや歴史的な背景を正しく知ることが重要です。
公費負担と自己負担の違いを理解することは、自分や家族にとって最適な選択をするために非常に重要です。
予防接種に関する情報だけでありません。
すべてに於いて多角的な視点で知識を広め検討することが必要と考えます。