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「服用中の薬について知っておこう~添付文書~(1)」

今回は添付文書に記載してある内容についてです。その内容を一度にお話しすると,かなり長くなるので3回に分けます。なお,添付文書の内容に関する記事を読んでいただくに際し,前回の記事「服用中の薬について知っておこう~添付文書~」も是非お読みください。
医療用医薬品の添付文書の内容を説明する前に,添付文書の現状についてお話しておきます。添付文書は,2019年から記載様式を改訂する作業が進んでいて,2024年3月末日までにはすべての添付文書が新しいタイプのものになる予定です。とは言え,内容が大きく変わるのではなく,今までの内容を細分化して,あるいは統合して,読みやすく,わかりやすい構成にするということのようです。そこで今回は,新しいタイプの添付文書を例にとって説明します。また,前回お話したように,PMDAのホームページから入手できる添付文書は,そのフォーマットによってPDF版,HTML版,XML版,あるいはSGML版がありますので,ここではPDF版を想定して解説します。もし知りたい薬があれば,その添付文書のPDF版をダウンロードして,それを見ながら記事を読むほうがわかりやすいかもしれません。
新しい添付文書の各見出しには数字を振ることになっていて1から26まであります。よって,その番号順に,今回から3回に分けて解説します。なお,これらの見出しがすべての薬に共通しているということではないので,薬によっては,該当しない見出しは記載せず,その番号も抜けていることがあります。
添付文書(PDF版)の1ページ目は,その最上段に,その薬の名称(一般名と販売名),主成分名,薬の分類名,保存方法(貯法),有効期限などが表示してあり,横線を設けて以下の本文と区切っています。本文は数ページにわたり,見出しごとに薬の使い方,注意事項,および特徴についての情報が載っています。それでは本文の説明に入りましょう。
まず,見出し「1. 警告」です。ここは赤色の文字で,絶対に守るべきことについて記載して赤枠で囲ってあります。ここの内容は致命的な副作用が起こるなど極めて重大な結果を生じる可能性があるといった最重要事項です。よって,この記載がある添付文書は,そのページ(1ページ目)の右上角が赤色になっていて,とにかく目立つように工夫しています。警告を必要としない薬は,このような記載はなく,つぎの「2. 禁忌」から始まります。
「2. 禁忌」は,この薬を使うと病気が却って悪化してしまうことがある人をリストして赤枠で囲ってあります。よって,ここに載っている事項に該当する人は,この薬を使えないということになります。万が一,ご自分の状態がここにリストしてあるものと一致するようであれば,薬を使用する前に,処方箋を出した担当医師に急いで問い合わなければなりません。
「3. 組成・性状」では,薬の有効成分と添加物など,および性状や見た目などの形状が表にまとまっています。ここの情報は薬の誤用を避ける助けになります。
「4. 効能又は効果」には,薬が効く病気または症状が載っていますので,自分の病気や症状に効く薬かどうかを確認できます。
「5. 効能又は効果に関連する注意」には「4. 効能又は効果」に載っている病気や症状であっても,人によって効かないことや効き過ぎることがあれば,それに対する対策や注意事項などを記載しています。よって,そのような注意が不要な薬は,ここの項目は載っていないので「4. 効能又は効果」の次は「6. 用法及び用量」になります。
「6. 用法及び用量」には,1回に使用する薬の量と,それを1日に何回使用するか,また何日間使用できるか,そして空腹時が良いか食後が良いかなど,基本的な使い方(飲み方)を記載しています。ここに載っている薬の量と使用回数は必ず守りましょう。量や回数を増やすと副作用が強く出たり,思わぬ体調の悪化につながります。また,量や回数を勝手に減らすと薬が効かなくなり,使うだけ無駄になってしまいます。
「7. 用法及び用量に関連する注意」には「6. 用法及び用量」に記載した基本的な使い方の範囲内で量や回数を変更しても良い場合に,その条件や具体的な注意点などを記載しています。
今回はここまでです。続きは「服用中の薬について知っておこう~添付文書~(2)」をご覧ください。

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