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肩の理学療法①挙上。【評価・治療】


月1本投稿を目標にしてますが、8月〜9月初旬は職場が変わって引っ越しや手続きなど忙しくて8月の投稿ができませんでした、すみません。
また、重ねて、評価の動画1つ、治療の動画が3つ程撮れていないものがありました、こちらに関しては近日公開とさせていただきます。すみません。
→投稿しました!
では話に入っていきます。

(4)評価

1)各肢位の伸長組織

具体的な評価に入る前に、肩のポジションでよく出てくる1st、2nd、3rdのポジションでそれぞれどの組織が伸長されるかということに触れておきたいと思います。

「肩関節包は、上腕骨長軸に対し約40~45°の角度を持って付着しています。なので、肩甲骨面で約45°外転した肢位では、上方の関節包と下方の関節包の伸長度が一定になり、肩関節はニュートラルな内圧状態になります。
ここから上肢を外転すると、上方の関節包は弛緩、下方の関節包は伸長し緊張が高まります。この関節包の緊張に伴う反作用(伸ばされた時に戻ろうとする力)が求心力となり、関節を安定させる」。静的支持機構の役割ですね。
 「逆に下垂すると、上方の関節包が伸長し、下方の関節包は弛緩することになります。なので下垂位では上方関節包の緊張が骨頭の安定化に作用します。
→このように、外転45°を基準に上肢の肢位を検討すれば、関節包の緊張を考えられます」。

林典雄の運動器疾患の機能解剖学に基づく評価と解釈 上肢編 2017 p.33,34

ということで、各肢位の伸長組織を以下で述べていきます。
1st外旋→前方・前上方組織の伸長(肩甲下筋の上部繊維、前上方関節包)
1st内旋→後方・後上方組織の伸長(棘下筋の上部繊維、後上方関節包)
2nd外旋→前方・前下方組織の伸長(肩甲下筋の下部繊維、前下方関節包)
2nd内旋→後方・後下方組織の伸長(棘下筋の下部繊維、後下方関節包)
3rd外旋→大円筋の伸長
3rd内旋→後下方組織のさらなる伸長(小円筋、後下方の関節包)
イメージをつけやすいように以下にシンプルにまとめた画像を添付します!

参考可動域(赤羽根,2019,五十肩の評価と運動療法p 56~61pより)
1st 外旋:60°
   内旋:屈曲30°の肢位で90°まで内旋できるか(屈曲0°では腹壁に当たるため
     軽度屈曲位で実施)
2nd外旋:90°
   内旋:30°
3rd   外旋:80°
      内旋:30°

弛緩した肢位(Loose pack positionと、1st,2ndの回旋)
3rdの回旋

2)制限因子の見つけ方。

で、要因を探っていく上で、原因を大きく3つに分けて考えるとわかりやすいと思います。
 原因は①GHjtなのか、②肩甲胸郭関節なのか、③脊柱なのか。これらを評価してGHjtに原因があると判断できればGHjtの治療に入ります。
 大抵の場合、姿勢アライメントが悪い、もしくわ姿勢は綺麗に見えるけど実際筋肉は働いておらず、体の筋バランスが悪い(マッスルインバランス)です。本来、徒手で肩の筋肉の状態を良くしつつ、必ずマッスルインバランスにアプローチする必要があります。なぜなら、組織が固くなる理由がマッスルインバランスから来ていることが非常に多いからです。
しかし、今日はまず、肩の徒手療法についての話をしたいと思います。
じゃあどうやって制限因子を見つけていくか。
【具体的な評価について】
 本来、姿勢の確認、脊椎・骨盤の柔軟性、肩甲骨の位置を確認してから局所のGhjtの評価に入りますが、全て話しきれないので、これらは問題ないこととして局所のGHjtのお話をしたいと思います。
 上記3つに問題があったとしても、局所のアプローチで多少戦えはします。決して時間の無駄にはならないのでご参考にしていただければ幸いです。

3)可動域改善の考え方概論、GHjtか、肩甲骨か。

1)座位での挙上で、今の角度を確認する。この時肩甲骨の動きも評価します(腋
  窩外側のラインまで肩甲骨の下角が出てきているか等々)。

 →現在の肩関節の挙上角度把握、さらに肩甲骨が腋窩外側まで来てるか確認する
  ことで肩甲骨の可動性を把握できます。
2)HFTを行い、Ghjt、肩甲骨の可動性を評価します。 
 このテストは、肩甲骨を固定し、GHjtのみで120°の可動域があるかを見ます。
 scapula humeral rismeの関係で、肩甲骨は60°、Ghjtが120°動けばいいので、
 120°あればGhjtは問題なしで、肩甲骨に問題あり。
 120°動かなければGHjtの可動域制限がある。
 と判断できます。
→ダメ押しで背臥位での挙上で肩甲骨の下に手を入れて、肩甲骨を外転・上方回旋させて挙上角度が上がれば上方回旋の動きを出すことは角度をあげることにつながると判断できます。
 それでも角度は変わらない、もしくわ変わる量が少ない、原因はGHjtだと判断。こうなればGhjtにアプローチをかけていきます。

 さあここからGHjtの評価の話に入っていきます。

3)GHjtだった場合の組織同定

①1st、2nd、3rdで回旋可動域を確認します。
 →冒頭でお話しした通り、この評価は肩関節を包んでる組織のどこが硬いかを把握できます。
再度添付しときます。

1st外旋→前方・前上方組織の伸長(肩甲下筋の上部繊維、前上方関節包)
1st内旋→後方・後上方組織の伸長(棘下筋の上部繊維、後上方関節包)
2nd外旋→前方・前下方組織の伸長(肩甲下筋の下部繊維、前下方関節包)
2nd内旋→後方・後下方組織の伸長(棘下筋の下部繊維、後下方関節包)
3rd外旋→大円筋の伸長
3rd内旋→後下方組織のさらなる伸長(小円筋、後下方の関節包)
【参考可動域】
1st 外旋:60°
   内旋:屈曲30°の肢位で90°まで内旋できるか(屈曲0°では腹壁に当たるため
     軽度屈曲位で実施)
2nd外旋:90°
   内旋:30°
3rd   外旋:80°
      内旋:30°


②CATを確認します。
 後下方組織を確認します。
 回旋もチェックしてるのにしつこいな、と思うかもしれませんが、情報が多いほど確信を持てるので確認します。

③さらに、水平外転+外旋の可動域を見ます。
 →前方・前下方(大胸筋・烏口腕筋も考慮)の組織の硬さをざっくり確認します。

④伸展可動域を見ます。
→前方と前上方(三角筋、烏口腕筋)の組織の硬さを確認します。
 これらを見ることで、どの組織が硬いかに加えて、挙上時に求心位を取れているのか、どの組織が原因で求心位を取れていないかも把握できます。

⑤肩関節の内転可動域を確認します。
→棘上筋の短縮を確認します。

(ここまでの一連の流れを動画で撮る→撮れてませんでした、すみません)

 肩関節に固い組織があると、挙上時に軸ずれを生じやすくなります。
軸ズレとは、骨頭が関節窩の中心からズレてしまうことと解釈するとわかりやすいです。
 肩を屈曲していくと腋窩が伸びていきますから、挙上時に問題になりやすいのは下方・後下方の組織(cuff、関節包)の柔軟性低下です。これにより前上方に骨頭がずれてしまい、インピンジして痛みを出す、or上腕骨がそれ以上回転できず、止まってしまい、可動域制限になるというケースは非常に多いです。

村木、他、2018、肩関節痛・頚部痛のリハビリテーション

 また、肩関節は関節唇を持つ関節です。関節唇にはメカノレセプターが存在し、感覚が豊富なため、軸ずれのセンサーとなっています。骨頭がずれて求心位を逸脱すると、筋肉を収縮して脱臼しないような反応を出します。下の絵を見ると、骨頭がずれたらすぐ当たってしまいそうですよね?
なので骨頭を求心位に保つのが大事なんです!ぶつかると痛みの原因にもなってしまいますし!👍

赤羽根、2019、五十肩の評価と運動療法、p19

 五十肩の患者様は肩周りの緊張が高いことが多く、この防御反応も緊張が高くなってしまう1つの要因だと考えています。

 今回の議題である局所のGHjtのお話では、挙上時に可動域制限の要因になる筋肉は、主に腋窩に位置する筋肉になります。
・大円筋、小円筋、棘下筋、肩甲下筋、上腕三頭筋、大胸筋、小胸筋、烏口腕筋、
 辺りになります。

http://blog.livedoor.jp/mid23/archives/52097115.htmlより引用させていただきました。
・さらに棘上筋も問題になります。 棘上筋が短縮すると肩甲骨が下方回旋してし
 まいます。
→棘上筋は肩甲骨から、上腕骨のてっぺんに付着しています。短縮すると起始と停止が近づきますが、上肢と肩甲骨の重さを比べた時、上肢は体重の約8%もありますので、肩甲骨の方が軽くなります。なので、肩甲骨が上腕骨の方に引っ張られることで下方回旋位となってしまいます。 

(左図)赤羽部、2019、五十肩の評価と運動療法、p15

 そうすると、肩甲骨は、中間位ではなく、下方回旋位から上方回旋をします。中間位からスタートした上方回旋と下方回旋位からスタートした上方回旋では、同じ角度上方回旋した時、下方回旋位からスタートした方が最終的な上方回旋角度は小さくなります。 
 また、肩甲下筋・棘下筋は伸長され、滑走量が低下しますので、筋収縮が発揮しにくくもなります。すると骨頭求心位を保つ力も低下しますので、挙上角度が下がる原因にもなります。

⑥背臥位で挙上してもらい、腋窩を触診します。
 どの組織が最も硬くなってるかを確認することで、現段階、それが最も挙上制限に関与していることが想像できます。この触診と、今までやってきた動作でどの組織が硬いんだなと検討をつけたらアプローチを開始します。

⑦アプローチを行い、再評価を行う。
→ある程度検討をつけ、アプローチをして挙上角度が上がれば仮説はあっていたことになります。再度挙上時の腋窩を触診し、緊張が最も高い組織を探し、アプローチを行う。これを繰り返していきます。

例えば、挙上してもらい、大円筋が最も硬かった。
大円筋が最も伸長する肢位の3rd外旋を確認し、可動域制限があった。やはり大円筋の短縮がありそう。
→大円筋に対してアプローチをし、再評価を行う。3rd外旋を再評価、角度向上→挙上角度も評価、向上した。
→再度腋窩を触診。小円筋が硬かった。小円筋が最も伸長する3rd内旋を確認し、可動域制限があった。やはり小円筋の短縮がありそう。アプローチし再評価。
という流れです。
今回紹介するアプローチは末梢神経と、疎性結合組織(脂肪体)に対するアプローチです。
末梢神経に障害があるとすると、筋出力低下、スパズムが起こっているはずです。加えて、スパズムが起こることによって可動域制限が出ます。
なので評価としては、支配筋の圧痛、筋出力、可動域を見ることになります。支配筋を伸長肢位に持っていって、可動域制限を確認します。さらに筋肉の圧痛を取ります。最後に筋出力を検査し、筋出力低下があれば末梢神経由来で可動域制限が起こっている可能性が高いと判断します。
 また、疎性結合組織にアプローチするのはどういうことか。膝蓋下脂肪体が正常膝の屈伸時、繊維化することで出たり入ったり出来なくなると可動域制限になるように、肩関節周囲の脂肪体が硬くなっても同様の現象が起こると考えます。なので肩関節でも疎性結合組織の柔軟性は必須になります。

(5)治療アプローチ

【棘上筋】

 評価は、背臥位、外転45°から肩甲骨を上方回旋で固定し、内転0°まで内転できるか確かめます。前部繊維は外旋30°から内転して0°までいくか見ます。後部繊維は内旋30°から行います(赤羽根、2019、五十肩の評価と運動療法、p 57)。これができなければ棘上筋に伸長性低下を疑います。
 解剖の章でもお話しした通り、棘上筋を支配する肩甲上神経の絞扼ポイントは肩甲横靭帯の部分と肩甲上切根の部分です。
棘上筋に関しては、肩甲上神経が鎖骨の下を抜けてすぐ棘上筋の筋枝が出るので、その部分を狙って柔軟性向上を図ります。
 具体的には、鎖骨の中央の後方で、棘上筋と鎖骨の間、鎖骨のすぐ後ろと言ってもいいでしょう、ここに指を入れていき、肩甲上神経周囲の動きを促していきます。
 これらをすることで、肩甲上神経周囲の血流動態、滑走を改善します。また、棘上筋の深層には脂肪体がありますので、棘上筋後方から肩峰の方に向かって指を突っ込んでいき、脂肪体の柔軟性を向上させるのも有効と考えます。
 介入後、棘上筋伸長テストを確認し、棘上筋の柔軟性が向上したかを確認しましょう。内転角度が向上すれば効果ありです。(棘下筋のとこで合わせて動画にしてます)

【棘下筋】

 評価は、1st内旋で90°を満たしていなければ上部繊維、2nd内旋で30°を満たせなければ下部繊維の伸長性低下を疑います(赤羽根、2019、五十肩の評価と運動療法、p56)。
 棘下筋に関してのアプローチは、肩甲切根あたりで筋枝が出ます。ここにはSub acrominal fat padと呼ばれる脂肪体が存在します。

M Vahlensieck,E wiggert,U Wagner, Subacromial fat pad,Surgical and Radiologic Anatomy,1996

この脂肪体が硬くなると神経を絞扼し、筋肉の緊張を亢進させたり、それが可動域制限、圧痛につながります。
 なのでまず、徒手でこの部分にアプローチすることで表層を動かします。
さらにこの脂肪体は外旋で下方に移動、内旋で上方に移動するという特性があります。なので筋収縮を用いながら徒手でその動きを誘導することで、この脂肪体の動きを獲得できます。
 具体的には、側臥位、1stの肢位で外旋してもらい、PTは肩甲切根の上から下方に向かい圧迫します。内旋する時には下方から上方へ圧迫をかけます(これは動画になってません、、)。
介入後は1st・2nd内旋の可動域が向上したかを確認し、外旋筋のテストを行い出力が向上しているかを確認します。
以下、動画を載せます。

【小円筋】

評価としては、3rd内旋で30°を満たしていなければ小円筋の伸長性低下を疑います(赤羽根、2019、五十肩の評価と運動療法、p68)。
 小円筋は、腋窩神経後枝の支配なので、QLS部分を狙ったアプローチになります。
 上腕三頭筋・大円筋の深層には脂肪体が存在します。この部分を、大円筋と上腕三頭筋間から指を突っ込み、まず徒手で動かしに行きます。その後、この脂肪体は内旋で上腕三頭筋の下に集まってくる動きをするので、内旋しながら徒手でこの動きを誘導します。
また、少し近位のポイントで、

大円筋の前方を関節窩に向かって圧迫すると、深層に肩甲下筋が触れられる。この部位の結合組織を圧迫し、大円筋と肩甲下筋の間に指を挿入し、肩内旋に伴い、大円筋を外側後方に圧迫し、肩甲下筋との筋間を広げるように操作する。この操作により、腋窩神経と後上腕回旋動脈・静脈の周いの結合組織が可動すると、挙上位での内旋/外旋可動域が増加する。

工藤慎太郎 関節機能障害を治す!理学療法のトリセツp.39 2023

ということも行います。
これらをすることで、腋窩神経周囲の血流動態、滑走性を改善します。
最初のポイントで変化が出なければ、後者のポイントでアプローチすると変化が出るかもしれません。
その後、3rd内旋の可動域を確認し、小円筋の柔軟性が向上しているか、3rd外旋の出力が向上しているかを確認します。

【上腕三頭筋】

評価は、背臥位、肩は下垂位、肘最大屈曲位から肩を屈曲させていき、80°を満たさない場合、上腕三頭筋長頭の伸長性低下を疑う(赤羽根、2019、五十肩の評価と運動療法、p76)。ただ、私の感想ですが、これに関しては五十肩の例でもこの角度を優に超えてくることが多いので、必ず左右差を確認し、患側が健側に対し可動域低下がないかを確認しています。
 上腕三頭筋も近位部は2割の人は、腋窩神経が支配していると報告があるので、上記のアプローチを行なって柔軟性が向上する場合もあります。
 また、上腕三頭筋を支配する橈骨神経が三角間隙を通過しますが、ここで絞扼される場合があります。ここを徒手でリリースし、橈骨神経周囲の血流動態、滑走性を改善します。
また、筋同士の滑走を出すアプローチとして、筋間の滑走性を改善します。大円筋・上腕三頭筋間は先ほどのアプローチで大丈夫なので、あとは小円筋と上腕三頭筋間に指を突っ込み、筋間の滑走性改善を図ります。上腕三頭筋の柔軟性が向上したか、出力が向上したかを確認します。

【肩甲下筋】

 評価は、1st外旋60°以下で上部繊維、2nd外旋で90°を満たせない場合下部繊維の伸長性低下を疑います(赤羽根、2019、五十肩の評価と運動療法、p 60)
 肩甲下筋は、肩甲下筋の上に肩甲下神経が走行していますので、肋骨に張り付いている前鋸筋肩甲下筋の間に指を突っ込んでリリースしていきます。
また、安静時では奥の方までは触れないので、肩甲帯の前突をしながら同部位に指を突っ込んでいきます。これで浅い部分、深い部分のアプローチになります。
これらは、肩甲下筋のリリースと同時に、前鋸筋・肩甲下筋間が癒着しやすいことに対し、筋間の滑走を促すアプローチにもなります。
介入後は、1st、2ndの外旋の可動域が向上しているか、肩甲下筋の筋出力テストで筋出力が向上しているかを確認します。

【大円筋】

評価は、3rd外旋の80°を満たしていなければ伸長性低下を疑います(赤羽根、2019、五十肩の評価と運動療法、p61)。
解剖の章で大円筋の神経の話をしてなかったので、最初に紹介します。

86.6%の肩で肩甲下神経(LSN)がTMを支配していた。13.3%では胸背神経(TDN)がTMを支配していた。神経血管の入り口は筋のほぼ中央部に位置していた。

The neuromuscular anatomy of the trees major muscle.Malte D,Saimon L,Erich B.2014

いずれの支配神経も、筋の中央部から挿入していたとあるので、筋の中央部を狙ってリリースをかけていきます。

また、支配神経が肩甲下筋なので、ここで効果が出ない、まだ伸長性が足りないとなれば、肩甲下筋部で肩甲下神経に対しアプローチを行うのも全然ありと考えます。

【大胸筋】

評価としては、鎖骨部繊維が、背臥位、胸椎伸展位とし、頚椎の過度な屈曲がないようにします。肩40°外転位で伸展20°を満たせなければ伸長性低下を疑う。
 胸肋部繊維は、肩外転90°、内外旋中間位で水平外転させ、20°を満たせなければ伸長性低下を疑います(赤羽根、2019、五十肩の評価と運動療法、p50)。
 大胸筋は、大胸筋と小胸筋の間に内側胸筋神経が走行し、小胸筋の深層に外側胸筋神経が走行します。なのでこの筋間に指を突っ込み、この神経周囲の血流動態、滑走性を改善します。肢位は側臥位がやりやすいので側臥位で行なっています。
これらの神経は小胸筋も同時に支配しているので、このアプローチで小胸筋の柔軟性向上も図れます。
このアプローチ後は、外転や、水平外転や、外転・外旋の可動域を確認します。

https://youtu.be/xQykxbNeBKE

【烏口腕筋】

評価は、背臥位、肩外転80°、内旋45°で、水平伸展させて30°を満たせず、烏口腕筋に伸長痛を認めたら烏口腕筋の伸長性低下を疑う(赤羽根、2019、五十肩の評価と運動療法、p75)。

烏口腕筋と上腕二頭筋短頭の腱の表層には大胸筋と三角筋前部筋束、深層には肩甲下筋が位置する。大胸筋や三角筋、肩甲下筋は何も肩内旋に作用するが、烏口腕筋と上腕二頭筋短頭は内旋/外旋に関与しない。そのため、肩内旋/外旋運動時には烏口腕筋と上腕二頭筋短頭を境に大胸筋・三角筋前部と肩甲下筋が内側・外側に滑走する。

工藤慎太郎 関節機能障害を治す!理学療法のトリセツp.36 2023

なので、これらの間に指を突っ込みながら内外旋運動をすることで、筋間のアプローチになります。

また、支配神経の筋皮神経が烏口腕筋を貫通しますが、この貫通する部分や筋内にある部分で絞扼が起こりやすいので、ここに対し、圧変動操作を行うことでここの血流動態や滑走性改善を促します。

以上になります!何かご質問があればなんでもお待ちしております!!

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