【🌸祝1000万再生🌸】メズマライザーの歌詞を徹底考察してみた！！！

初めましての方は初めまして。そうでない方はいつもお世話になっております。
朝霧くもりです。

本日は、現在話題沸騰中のボーカロイド曲『メズマライザー』の歌詞考察をやっていきます！

ボカロ史上最速でYoutube1000万再生を達成した令和の超新星とも言える曲ですが、歌詞やMVに意味深な部分が多く含まれています。

そこで、今回は歌詞に焦点を当てて考察をしていきます！

それでは行ってみましょー！！！

※本考察は全体で約14,000字あります。全て読む場合は目安として20分弱かかります。
お時間が無い方は目次から最後の「考察まとめ」に飛び、結論部分を先にお読みください。

※注意※

本記事はあくまで投稿者の解釈であり、他の考察を否定する意図はありません。予めご理解ください。

考察の前に

メズマライザーとは　 

メズマライザーは2024年4月27日に投稿された、VOCALOID「初音ミク」とSynthesizer V「重音テト」をvocalに置いたボカロ曲に属する楽曲です。

作曲者はサツキ（X : @32ki_May）さんで、MV製作はChannel（X : @_CASTSTATION）さんですね。

サツキさんは2019年から作曲活動を始めたボカロ主であり、これまでに『CIRCUS PANIC!!!』がYoutubeで100万回再生を超えています。
細かい音楽ジャンルまでは分からないですが、CIRCUS PANIC!!!はjazzみを感じつつ疾走感のあるポップな曲調が個人的にとても好きです。

一方のChannelさんは、初音ミクがぬるぬる動くショート動画をYoutubeに投稿されている方です。
その人気はすさまじく、最初の動画である『mikumikuplaylist』の2208万再生や『oo ee oo』の3670万再生など、投稿する動画はどれも驚異の再生数を記録しています（2024年5月8日現在）。

そんな二名のアーティストの共創によって生まれたのが『メズマライザー』です。
特にChannelさんが初めてMVを手掛けるボカロ曲という事もあって、投稿前から注目が集まっていました。

リリースされると直ぐに爆発的なヒットを叩き出し、なんとボカロ史上最速でYoutube1000万再生を突破しました。ボカロ界隈を震撼させた歴史的な一曲と言えるでしょう。

世界観の共通認識　 

動画を見た方は既にお分かりかと思いますが、この曲は「現実逃避」に焦点が当っています。

本記事においても、「嫌な現実から逃げるための催眠にかける（かけられる）曲」という点を前提として考察します。

予めご了承ください。

※歌詞は『』、それ以外に強調する部分は「」、特に主張したい部分は【】で表記します。

目の形による違い

MV上では、以下のように目の中の形が変わっています。
○が通常、☆が星形、－が瞳孔無し、卍が発狂です。

前奏・・・ミク☆、テト☆
1番Aメロミクpart・・・ミク○、テト〇
1番Aメロテトpart・・・ミク☆、テト☆
1番Aメロテトpartラスト・・・ミク〇、テト〇
1番Bメロ・・・ミク☆、テト☆
1番サビ・・・ミク☆、テト☆
間奏・・・ミク〇、テト〇
2番Aメロ・・・ミク－、テト－
2番サビ・・・ミク〇、テト〇
ラスサビ前・・・ミク☆、テト〇
ラスサビ・・・ミク卍、テト－

一般的には「－が催眠にかかりそうな時、○が催眠状態じゃない時、☆が催眠時、卍が超催眠時」と考える人が多いと思いますが…………。

この考察では、「－が催眠にかかりそうな時、○がメッセージ無しの催眠時、☆・卍がメッセージ有りの催眠時」という解釈で考えます。
このように考えた理由は1番Aメロ～1番サビまでの考察に乗っていますので、以下の考察をまずご覧ください。

1番Aメロ

歌詞
・ミクpart
実際の感情はNo Think!　気付かないフリ...？　絶対的な虚実と心中
そうやって減っていく安置　傷の切り売り　脆く叫ぶ、醜態
・テトpart
そんなあなたにオススメ！　最高級の逃避行
やがて、甘美な罠に　釣られたものから救われる？
もはや正気の沙汰では　やっていけないこの娑婆じゃ
敢えて素知らぬ顔で　身を任せるのが最適解？　

この部分ではミクがAメロ前半で現実を伝え、テトがAメロ後半でいかにこの「催眠」が良い物かを力説しています。

つまり、1番Aメロはいわば【第三者に向けたセールス】です。
ここでの第三者とは、ミクテトが催眠にかかっている世界における顧客であり、ひいてはこのMVを見ている視聴者です。

……ということを念頭に置いたうえで、Aメロの考察をお読み下さい。

『実際の感情はNo Think!』

『実際の感情』ということは、「表面上の感情」があるはずですね。
そして、『No Think』は文字通り何も考えられていない状態の事を指しています。

つまり、一行目のこの部分は「表面上は感情があるように取り繕っているが、心の中では無心である」という描写になります。

この状況を考えてみましょう。
自分が考え着くのは、「つまらない仕事で心が死んでいるが、表面上の人間関係は取り繕っている」だったり、「うつ状態で心は暗く何も感じない状態だが、肉体上では空笑いなどの表面的な感情が見える」といった所でしょうか。

少なくとも、鬱状態は何かしら絡んでいそうだなとこの時点で感じます。

そして、文末に『！』が付いているのは、ミクのセールストークにおいて「実際には何も思ってないかもしれないけど、実は思っているはず」という考えを強調するために使っていると思います。

★ひとことメモ★
『No Think』は「脳死」と掛かってるかもしれません。

『気付かないフリ...？』

「○○のフリをしている」ということは、「○○に心の中では気づいているが、現実では無視している」という事になります。

この○○は、文脈で考えれば一個前の『実際の感情はNo Think!』のことでしょう。

すなわち、この歌詞は「あなたは自分の感情が無くなっている事に気づいていないように振舞っているけど、実は気付いてるよね？」という指摘をしています。

そして、セールストークという点で考えると、『？』は「そのままでいいの？本当は、どうにかしないといけないと思っているんじゃないの？」という疑問を投げかけているという意味で間違いないと思います。

『絶対的な虚実と心中　そうやって減っていく安置』

『虚実』というのは嘘と真という意味です。

『虚実』に『心中』するという言い回しから、「嘘」は自分の心がまだ大丈夫だという妄想で、「真」は自分の心は実は死んでいる、という現実の事を指しているのだと思います。

そしてそれが『絶対的な』ので、恐らく自力で逃げ出す術が無いという事でしょう。
これがセールスであることをふまえると、本当に自分ではどうにもならないのかは断言できませんが、少なくとも視聴者にはそう吹き込んでいます（1番サビの歌詞まで考えると、これ自体がまやかしであると言えます）。

そんな『絶対的な虚実』に『心中』すると『安置＝安全地帯』が『すり減っていく』ということは、【本当は心が死んでいるけれど、自分はそれを認めていない。そんな状況をほったらかしにしていると、どんどん自分が安心できる場所がなくなっていくよ】という意味でしょう。

★ひとことメモ★
情報商材でありそうなテクニックだなぁと感じました。

実は手段があるのに、それを無いと思わせることで視野を狭める。そういった汚い手段は、現実世界のどこにでも転がっています。

このような現状に一石を投じているのかもしれませんね。いわゆる風刺的な描写、ということです。

『傷の切り売り　脆く叫ぶ、醜態』

「切り売り」というのはひとまとまりになっている物を、切って少しずつ売ることを指します。
良い意味で言う場合は「たくさんある蓄えを少しずつ消費する賢さ」を表しますが……ここでは逆に、「どうしようもなくなって、本当は手を付けてはいけない所に手を出してしまう愚かさ」を仄めかしているでしょう。

それが『傷』なのですから、前の文脈から考えると「どんどん自分の大事な心を擦り減らしていく」描写だと自分は理解しました。

そして、『脆く叫ぶ、醜態』は最後の最後に詰んだ状態でどうしようもなくなって届かないHELPサインを周囲にばら撒く様子を指しているでしょう。
少なくとも、このままの状態を続けて言った場合の末路であることは間違いありません。

そうしないと、セールスの「脅し」や「鞭」になりませんからね。

『そんなあなたにオススメ！　最高級の逃避行　やがて、甘美な罠に　釣られたものから救われる？』

さて、ここからテトの飴パートが始まります。

「逃避行」は世間の目を避けて暗い部分を点々とする、といった意味があります。

『最高級の逃避行』とあるので、テトがオススメしている催眠は「辛い心荒むような現実から逃亡できる良い方法」であると説明しているわけですね。

一方で、『甘美な罠』と言っていることから、この催眠は傍から見ても何か裏があるのだろうと推測できるレベルのものだという事がわかります。
MV見てる人からすればやばやばオーラ漂っているのが分かるので、「催眠が合法的ではなさそう」ということは共通認識で良いでしょう。

『釣られたものから救われる？』とハテナを使っているのは、商品掲示法違反になる可能性があるからか、テトの立場に信ぴょう性を持たせるためでしょうか。そもそも商品掲示法があるか分かりませんが……。

『もはや正気の沙汰では　やっていけないこの娑婆じゃ　敢えて素知らぬ顔で　身を任せるのが最適解？　』

「娑婆」というのは本来仏教用語で、苦しみの多い現実世界の事を指します。

また催眠は、かかる人はかかりたいと思っていないと意外と難しいものです。
そう言った意味で、「かかる側が思考を放棄して身を任せる」というのは、催眠を掛けたい側にとっては重要なんですね。

これらのことから、この部分では「そんな辛い現実世界は正気では心が死んでしまう。なので、催眠に従順になってもいいんじゃない？」と言った感じのことを伝えているのでしょうか。

『敢えて』と言ってしまってる辺り、この催眠が世間一般には受け入れられないものであるとセールス側も認識していますね（笑）。

1番Aメロまとめ

セールスをさせられているミクとテトが視聴者に向けて催眠の良さを主張するパートでした。

最初は「心が実は死んでいる事に気づいているのだろう？そのままにしておくと、取り返しがつかなくなるぞ？」と脅しておいて、最後は「実は、催眠がそれを解決できるのです！ちょっと怪しいかもだけど、ちょっと一発やってみない？」と甘い言葉で誘っていましたね。

★ひとことメモ★
これをまとめている感じだと、あぶないお薬を進める前口上あるあるのように感じました。

MVもドラッグにキマった時のような、チカチカとした画面の点滅や☆がグルグルと動く様子が映し出されていたので、間違いなくDrugは意識しているでしょう。

もしくは、Drugのメタファーとして催眠を使っている可能性もありそうです。

1番Bメロ

歌詞
・ミクpart
言葉で飾った花束も　心を奪えば、本物か？
・テトpart
全てが染まっていくような　事象にご招待

1番Aメロではセールスでしたが、ここでは次の段階に移行します。
具体的に言えば、商品を買って、それを使おうとしている場面ですね。

もはや取り返しが付かない所まで行ってしまっているので、売る側の本心が描かれていると考えてもいいでしょう。

　『言葉で飾った花束も　心を奪えば、本物か？』

『言葉で飾った花束』はかなり意味深な言葉です。
飾るという言葉は何かを美しく見えるように仕立て上げるという意味なので、『言葉で飾らない花束』は魅力的に見えないという事になります。

この『花束』は、文脈から察するに「催眠」のことでしょう。

あれこれ言いつつ、「催眠」とは結局誰かに操られるということです。
それだけでは誰も餌に食いついてくれないので、『言葉で飾』る必要があったと言う訳ですね。

そして、その言葉とはずばり、Aメロになります。Aメロがまさに「催眠を飾り立てる言葉」で間違いないでしょう。

そんな『花束も　心を奪えば、本物か？』とあるので、「その人にとって魅力的に映るのであれば、偽りの言葉で表面を着飾っていても、その人にとっては大切なもの足り得るのだ」という言葉通りの意味だと推測できますね。

セールスする側もある意味で騙していることを正当化しているわけです。
救いになったのだから悪いことではないだろう、と。

★ひとことメモ★
こういった正当化は人間だれしもやりがちです。

特に保険のセールスとかがそうですね（槍玉にあげてごめんなさい）。
手数料がバカ高い搾取商品でも、その顧客が満足してくれるのであればお互いwin-win……と考えて、何も分からない高齢者に売りつけるのはあるあるだと思います。

この部分では、そういった人間の「自分が良ければそれで良い」という利己主義を比喩しているのかもしれません。

『全てが染まっていくような　事象にご招待』

『全てが染まっていくような』では、何の全てが何に染まるかが明言されていません。
全て省略せずに書くなら「○○の全てが△△に染まっていくような」ですかね。色々と要素が欠落していても伝わるのは日本語の悪い所でもあり、良い所でもあります。

さて、この部分は色々と解釈が分かれると思います。
私は○○が「自分の思考」で、△△は「真っ白（もしくは虹色に）に染まる」だと考えています。
要は、催眠によって自分の思考が乗っ取られるという事ですね。

『事象にご招待』とあるので、サビが催眠パートになります。

1番Bメロまとめ

1番Bメロはある意味セールスする側の本心が描かれているパートでした。

1番Aメロの行為を正当化したり、自分の思考が塗り替えられていくことが明文化されたりしていましたね。

1番サビ

歌詞
・ミクpart
さらば！
こんな時代に誂えた　見て呉れの脆弱性（きじゃくせい）
本当の芝居で騙される　矢鱈と煩い心臓の鼓動
・テトpart
残機は疾うにないなっている；；　擦り減る耐久性
目の前の事象を躱かわしつつ　生きるので手一杯！
誰か、助けてね(^^♪

1番Bメロの考察から、この部分こそが催眠パートであるはずです。

しかし、歌詞的には催眠を掛けられた人の、どちらかというと現実的な描写が多くなっています。
そして、それはテトpartで顕著になります。

さらに、ミクは1番サビとラスサビで歌詞が変わりませんが、テトは1番サビとラスサビで歌詞が変わっています。
また、2番Aメロではミクは催眠に完全にかかったが、テトは耐えている描写が映されていました。

以上のことから【サビでは催眠を掛けられた人の心情を表している。どちらも既に体の操作は乗っ取られているが、ミクはそれ以上に感情まで塗りつぶされてしまった。それ故に、ミクはどちらのサビでも自我が無く、プログラムに乗っ取って喋っているだけに留まる。しかし、テトは意識だけは保っており、なんとか1番サビでは視聴者に向けてHELPを発していた。ラスサビではミクの事を見て心が折れてしまい、もはや意識も乗っ取られかけているため、1番サビとは異なる本来の言うべき歌詞に変わってしまった。】と考えています。

この考察に辿り着いたため、目の形の解釈も合わせて○がメッセージ無しの催眠時、☆・卍がメッセージ有りの催眠時と変更しました。
一応矛盾はしていないと思いますが、気付いたことがありましたら筆者のX（@asakumo_hikari）までDM頂けると幸いです。

これが私の結論と言っても良いでしょう。
これを念頭に置いて、後の考察をお読みください。

『さらば！　こんな時代に誂えた　見て呉れの脆弱性（きじゃくせい）』

『さらば』は現実世界に「さよなら」して、催眠の世界に足を踏み入れたことを表しているでしょう。

誂えるという言葉は、人の手を使って自分の思い通りの仕様を作る、という意味になります。
また、脆弱性はコンピュータにおけるセキュリティの穴を指しています。つまり、より抽象化すると「そこを突かれると全てが瓦解する弱点」のことです。
さらに、見て呉れとは、見かけ上だけで、中身を伴っていない様子を指します。

すなわち、『……に誂えた、見て呉れの脆弱性』という言葉は、「思い通りに作った、見かけ上の弱点」という意味です。

では『こんな時代』とはどんな時代なのでしょうか？

自分は「人の心が荒んでいくような、利己主義者蔓延る現代」のことを指していると考えます。

こう考えると、この歌詞は「現代の辛い社会に合わせて用意した見かけ上の弱点」ということになります。そして、これは1番Aメロのことでは無いでしょうか。

つまり、1番Aメロの最初に述べられていた「現実では、自分の本当の心が擦り減ってしまって取り返しがつかなくなってしまう」ということ自体が、「現代の辛い社会に合わせて用意した見かけ上の弱点」なのではないでしょうか。

簡単に言えば本当の心が擦り減ってしまうというのは嘘なんですね。

それ自体が催眠をかける側が催眠にかかる人を増やすために作った表面的な理由だったのです。

そして、前提で述べた「ミクはどちらのサビでも自我が無く、プログラムに乗っ取って喋っているだけ」という考察をふまえると、これは催眠をかける側からの挑発のメッセージであると考えられるでしょう。

そうする理由は簡単には分かりませんが……。催眠を掛ける人＝ボカロ主と仮定すると、ミクやテトを催眠にかけているのも、【視聴者も、現実で知らず知らずのうちに催眠のかかっている可能性があることを教えたいから】かもしれません。

この解釈であれば『脆弱性』を『きじゃくせい』と読んでいる理由が付きます。
つまり、【『きじゃくせい』という誤読をするということは、VOCALOIDの奥にいる人間＝ボカロ主の存在を匂わせている】と考えられるのです。

何故かというと、VOCALOIDをベタ打ちしているだけでは、絶対に「ぜいじゃくせい」と正しく読んでしまうからです。

この一文はボカロ主の本当に伝えたいことを表している可能性が高いと考えます。

『本当の芝居で騙される　矢鱈と煩い心臓の鼓動』

もし普通の解釈をするのであれば、「催眠をするための芝居（1番Aメロのやつ）に騙されて信じてしまい、興奮で胸が高鳴っている」という、騙されている側を示す描写だと考えられるでしょう。

つまり、1番Aメロの言葉を信じて催眠にかかった結果、催眠が素晴らしいと被験者が勘違いしているということです。

しかし、ここでは「ミクはどちらのサビでも自我が無く、誰かが乗っ取って喋って」いて、「その誰かとは、ボカロ主である」という考察が成立していると仮定して考えます。

そうすると、『本当の芝居で騙される　矢鱈と煩い心臓の鼓動』とは、「催眠しているという芝居（ミクのこと）で騙されちゃって、その芝居を信じてヤバイと恐怖して心臓が高鳴ってしまっている」という、視聴者側を示す描写のように感じられます。

恐らく読者の大半が？？？になっているでしょう。
どういうことか説明します。

そもそも、ここまでの考察からするに、ボカロ主は悪意を持ってミク達を催眠しているのではなく、あくまでも視聴者にメッセージを伝えるためにやっている事だと考えられます。

そして、ミクはそれが分かっているからこそ、催眠に身を任せているとも捉えることが出来ます。

このように考えると、実はミクは自分から催眠にかかりに行っちゃってるんですね。ある意味で「催眠にかかってる芝居をしている」とも言えるわけです。

逆にテトはそれを知らず、催眠にかからないように努力しているわけです。その上で、視聴者にあの手この手を使ってHELPと伝えています。

このテトが催眠に耐えているという演技（と言っても本人は迫真だと思いますが……）が「偽物の芝居」です。

そして、「本当の芝居」がミクが催眠にかかっている演技と言う訳です。

表面上はミクが完全に催眠にかかっている中、テトが一人でHELPのメッセージを送っているという事実が、視聴者に催眠のヤバさを伝えてドキドキさせているということです。

つまるところ、この歌詞は【「表面上ではテトが視聴者に向けて色々と伝えようとしている（＝芝居をしている）ように見えるけど、実は本当の芝居をしているのはミクなんだよ」というボカロ主からのメッセージである】ように自分は感じました。

説明が難しいのですが…………この文章で伝わっていたら何よりです。

この解釈も、背後にメッセンジャーがいるという考察の根拠の一つになります。

『残機は疾うにないなっている；；　擦り減る耐久性』

こちらはミク視点と違って、まだ心まで催眠にかかっていない人のメッセージになります。

『残機は疾うにない』というのは、騙されて保険すら無くなってしまったことを指しているでしょう。

『擦り減る耐久性』はどんどんと自分の未来が狭まっていたり、そもそも肉体的にガタが来ている様子が考え着きます。

この歌詞は【誰かに騙された結果、どんどん可能性が無くなっていった】という意味であると考えます。

★ひとことメモ★
Youtuber専門学校とか、就職留年とか、FIREとか、誰かの口車に乗せられて自分の人生の可能性を狭めてしまう選択肢ってどこにもありますよね。

そのようなことを示唆している可能性もあると思います。

『目の前の事象を躱かわしつつ　生きるので手一杯！　誰か、助けてね(^^♪』

これはそのまんまですね。

「日々の出来事をなんとかして後回しにしたり、潜り抜けていくことで今日を生きているけど、今のままじゃヤバイから誰か助けて。」ということでしょう。

テト渾身の救助依頼です。

1番サビまとめ

要素が多かったので、箇条書きでまとめます。この考察の核となるのは以下の三点です。

・催眠者はボカロ主で、メッセージを伝えたいためにミク達の意志を催眠にかけた。
・ミクはその意図に気づいており、行動と意識を完全にボカロ主に乗っ取られている。ボカロ主のメッセージはミクの口を通じて視聴者に届けられている。
・テトはその意図を知らず、サビでは意識だけ催眠に抗って視聴者に助けを求めている。

2番Aメロ

歌詞
・ミクpart
「あなた段々眠くなる」　浅はかな催眠術（メズマライズ）
頭、身体、煙に巻く　まさか、数多誑かす！？
目の前で揺らぐ硬貨　動かなくなる彼方
「これでいいんだ」　自分さえも騙し騙しShut down
・テトpart
「あなた段々眠くなる」　浅はかな催眠術（メズマライズ）
頭、身体、煙に巻く　まさか、数多誑かす！？
目の前で揺らぐ硬貨　動かなくなる彼方.…..

ここは催眠の描写ですね。
歌詞の比較すると、ミクpartにあった『「これでいいんだ」　自分さえも騙し騙しShut down』がテトpartには無いのが分かると思います。

ミクが催眠に堕ちていて、テトが堕ちていないのがこれではっきりと分かります。MVでもそのように描かれていましたね。

正直に言って考察部分が無いのでカットします。

2番サビ

歌詞
・ミクpart
どんなに今日を生き抜いても　報われぬEveryday
もうBotみたいなサイクルで　惰性の瞬間を続けているのだ
・テトpart
運も希望も無いならば　尚更しょうがねえ
無いもんは無いで、諦めて　余物で勝負するのが運命（さだめ）

催眠解除後のシーンですね。

「強制解除」とあるように、ミクの意識の催眠もここで解けているはずです。

しかし、このシーンにみなさんは疑問に思いませんでしたか……？

もしテトみたいに無理やり催眠にかかっていたならば、ミクも何かしらの方法でHELPサインを出してもいいはずです。

しかも、体は動かせなくても、目は自由に動かせることが1番サビのテトの様子から分かります。それなのに、歌い終わった後にニコニコしているのは可笑しくありませんか？

……という疑問も、ミクは自分の意識で催眠にかかっていると考えれば辻褄が合います。
自分の意志で催眠にかかっているので、意識が戻った後もボカロ主の指示通りに歌い動いているということです。

これが【ミクは自分から催眠にかかっている】という考察の強力な裏付けです。

※ミクの自我は完全に奪われており、ただ操られるだけの傀儡と化している、という考察もあるかとは思います。

しかし、そう考えると私が1番Aメロで出した「ボカロ主のメッセージを伝えている」という考察が成り立たなくなってしまいます。それに伴って、『本当の芝居』とは何か、ミクpartとテトpartの違いはどこから来るか、目の形の違いは何かを再考察する必要が出てきます。

自分は今の考察に納得しているので再考察するつもりはありませんが、この路線で考察される方がいらっしゃいましたら是非結論を教えて頂けると助かります。よろしくお願いいたします。

『どんなに今日を生き抜いても　報われぬEveryday　もうBotみたいなサイクルで　惰性の瞬間を続けているのだ』

この部分は「頑張ってもその分だけ良い事が起こるわけではないし、毎日辛いことばかりである。そんな変わらない日々の中、やりたいことも無く無為に過ごしている」という意味でしょうね。

ミクの目も〇ですし、これ以上に深いメッセージは無いように思います。

★ひとことメモ★
この思考は現代の若者あるあるだと思っています。

スマホゲームやYoutubeなど、手軽に楽しめる娯楽が増えてしまったからですね。何か夢や目標があれば、頑張れるんですが……。

また、これは持論ですが、そもそも報酬を求めて何かをやること自体が間違っているような気がします。報酬を求めること自体はモチベーションとしてとても良いのですが、それを目的としてはいけないということです。

報酬とは、他者からの評価のことです。自分が求めるものは自分が満足しないと得られないので、他者からの評価なんてアテにはなりません。勿論、一つの手段として使うのであればとても良い方法だと思っています。

『運も希望も無いならば　尚更しょうがねえ　無いもんは無いで、諦めて　余物で勝負するのが運命』

これも直球ですね。

「目の前の問題には、今持っているもので全力で当たるしかない」という教訓でしょうか。

特に考察する要素は無いです。

2番サビまとめ

考察要素自体はあまり無かったですが、歌詞外での催眠が解除された後もミクの動きに変わりが無かったことが重要な要素でしょう。

歌詞自体はシンプルで、全体を通して人生における重要な教訓っぽいことが示唆されていたように思います。

ラスサビ

歌詞
・ミクpart
こんな時代に誂えた　見て呉れの脆弱性（きじゃくせい）
本当の芝居で騙される　矢鱈やたらと煩い心臓の鼓動
・テトpart
賛美はもう意味ないなっている；；　偽のカリスマ性
現実を直視しすぎると　失明しちゃうんだ！
だから、適度にね(^^♪

最後のパートです。

MV上では、ラスサビでミクが発狂ミクへと変化します。実はその前に催眠状態（目が☆マーク）に戻っているので、これは催眠の行き過ぎた姿と言って良いでしょう。

ですが、この記事ではミクは催眠に自分から掛かりに行っていると考察してきました。
ここまでやる意味、行き過ぎる意味はあるんでしょうか？

……あります。答えは簡単で、「テトの心を折りたいから」です。

1番サビにて、催眠者であるボカロ主が伝えたいメッセージが「視聴者も現実で知らず知らずのうちに催眠のかかっている可能性があることを教えたい」ことであると考察しました。

しかし、テトが最後まで意識が堕ちずに残っていると、その催眠は気合で耐えられるというメッセージに代わってしまいます。

これでは身近に潜む催眠のような事象に気を付けてとは言えません。

そこでミクが発狂してしまったように見せ、テトの心の拠り所を無くすことで催眠に最後に掛けます。

実際に催眠や催眠と比喩される騙し事は、心が弱っているときが一番ひっかかりやすいものです。
テトを堕とすことで、どんな時に気を付けるべきかをメッセージに上乗せして伝えることが出来ようになるんですね。

最後にテトが催眠に飲み込まれている事も、「この催眠という行為自体にメッセージがある」という考察の根拠の一つになります。

もうほぼウィニングランですが、最後のテトの堕ちかけている所の考察をやって〆ましょう。

1番サビでも述べましたが、ラスサビのテトpartは歌詞が変わっているのは、目の形が〇から－になったため（状況が変わってテトから伝えられる事が限られたため）であると考えられます。

実際に、1番サビでは『助けて』という歌詞があったように、テト自身も助かる希望を持っていたのでしょう。
しかし、ミクの姿を見て、助かる見込みが無いのを察してしまった。だから、せめて見ている人に向けて遺言を伝えている、と考えれば辻褄が合います。

これを念頭に置いた上で考察をご覧ください。

『賛美はもう意味ないなっている；；　偽のカリスマ性』

賛美とは、偉大なものを讃（たた）えることです。
また、普通は○○への賛美、といった表現で使います。

しかしながら、催眠に堕ちかける中、この歌詞の中で賛美の意味が無くなる対象は一人だけでしょう。
それはスバリ、催眠をかける人ですね。

その人は言葉を巧みに操ることで、人の心を動かすことができるカリスマ性があった。しかし、その言葉は偽物だった。
これが『偽のカリスマ性』のしっくりくる解釈だと思います。

『現実を直視しすぎると　失明しちゃうんだ！　だから、適度にね(^^♪』

最後にして問題の歌詞です。

『現実を直視し過ぎると失明しちゃう』というのは、「現実が目を焦がすほど明るいものか、辛いもののせいで見続けることは難しい」という事で合っているでしょう。
しかし、そのどちらかを完全に言い切ることは難しいです。

「現実が実は明るいものである＝催眠こそが偽物である」という解釈なら、
『適度にね』は現実を適度に見ようという意味になります。

特に、この考察では1番Aメロが嘘であるという解釈をしました。これが正しいなら、現実は辛く苦しいものであるというのはネガキャンで、実際にはその限りではないはずです。

また、催眠がDrugや隠し事の比喩であることを考えると、催眠を適度に見ようという事にはなりません。メタファーという点では、こちらの解釈が適切になります。

一方、「現実は暗く苦しいものである＝催眠こそが本物である」という歌詞になぞった解釈であれば、『適度にね』は現実逃避を適度にしようという意味になります。

この解釈はテト目線で考える場合は非常に収まりが良いものとなります。

現実は苦しいから、ずっと非現実（ここでは催眠）に逃げようと誘ってきた。
でも結局催眠だけだと後でツケが回ってくる。だから催眠は適度にね、と。

「ラスサビは催眠にハマってしまったテトの遺言パートである」という強力な後押し要素もあります。物語の構成としてはこちらの方が綺麗ですね。

……さて、二通りの解釈を説明してきましたが、この考察では【どちらの意味も含んでいる】だろう、という面白みのない結論を出しました。

理由は二つあります。
①この曲が二層構造になっている事と、②「適度に」はどちらかに偏るという意味では無い事です。

①については説明してきた通りですね。

表面上ではテトが芝居をしているように感じるし、ミクは完全に操り人形になってしまったかのように視聴者は思います。
その場合は、ボカロ主のメッセージが伝わっていないので歌詞通り後者の意味で伝わります。

一方、考察していくと裏のメッセージを読み取ることができます。すると、前者の意味が含まれている事が分かるという寸法です。

②についても現実的に考えれば分かります。
物事は0-100ではありません。30-70でもいいですし、50-50と半分に分けたって良いでしょう。

そもそも、現実直視と現実逃避はどちらもヒトがヒトであるために必要な事なのです。
どちらか一方に偏ることこそが良くないのであって、それらを善悪の線引きで分けることはできません。

こう考えるならば、どちらの解釈も同時に成立していいはずです。
現実を「適度に」見つつ、非現実も「適度に」楽しめばいいのですから。

考察まとめ

曲の根幹

目が〇のパートは通常の催眠部分であり、☆のパートは催眠している側のメッセージが伝えられている催眠部分を表している。

催眠している人は投稿者であるボカロ主で、「自分を貶めるような、身の回りの甘い誘いに注意しろ」というメッセージをミクを通じて視聴者に伝えている。

テトはそれを知らず、意識だけは催眠に抗っている。最後には催眠に堕ちてしまうという結末から、これは「甘い誘い時の乗ってしまった人の末路」を表すモデルケースを示している。

作者のメッセージ

ボカロ主は「現実が辛いものだと刷り込み、楽な方向に流す存在が周囲に溢れている」と警鐘を鳴らしている。

さらに、「楽な方に流され過ぎてしまうと結局は自分が苦しむことになるため、適度に付き合うことが大切」だと説いている。

この「楽な方向に流す存在」は違法ドラッグやソシャゲなどの娯楽といった直接的な手段に留まらず、将来を無視した楽観的な選択肢（例えば専門スクールに通う、退学する、就職しない……etc.）を選ぶといった間接的な手段を用いて現実逃避をすることも指していると思われる。

さらに、その存在は自分が気付かぬうちに近づいて来ることもある。自分は大丈夫だと思っていても、既にその罠にかかっていて将来が狭まっている可能性もある。
だから、特に自分の心のガードが脆くなっているときには、甘い言葉で誘う存在には十分注意しなければならない。

…………これがミクを通してこの曲のボカロ主から自分が受け取ったメッセージです。少しだけでも合ってると良いな。

〆の挨拶

ここまでお読みいただきありがとうございました！

MVも曲も全てが素晴らしい『メズマライザー』ですが、歌詞をより考察したことでもっと好きな曲になりました。

最後にもう一度触れておきますが、この考察はあくまで私の一解釈に過ぎません。解釈可能性は無限大なので、是非歌詞の意味をご自身で考えられてみては如何でしょうか。

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それでは次の記事でまたお会いしましょう！
サラダバー！！！

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