”アフターサン”を観て
母子家庭で育ったソフィがふと発見したビデオテープに、20年前、11歳の時、トルコで過ごしたバカンスの記録が残る
映画は8mmビデオで撮った一人称のセリフが中心で、特にナレーションも解説もない
普通には状況が伝わらないのかもしれないが、別居の父親と面会交流で長期宿泊に来ていると理解できる
11歳の娘は無邪気にプールや踊りやビリヤードなど毎日、優雅に楽しみ、父親と屈託のないバカンスを楽しむ
父親も今日は何しよう、これしようと娘との触れ合いに全力を尽くし、よき父親として好感が持てる
しかし、その裏では、押し潰されそうなプレッシャーやストレスを抱えている一人の人間でいた
娘とのカラオケのリクエストを自身のひねくりで断り、葛藤に陥るが、翌日、素直に詫びを入れる
そこには父親目線というより、一個人としての向き合い方を感じた
娘がいう”昨日、バイクゲームの知り合いとキスしちゃった”
父親は応える”同い年ぐらいか、いいんじゃないか”
”何でも言っていいんだよ。薬や交際など、お父さんもやっていた”
娘は私はやらないと応えていたが、そこには確かな信頼関係が芽生えていた
空港での別れ際、いつまでも、物惜しそうに見送る姿が印象的であった
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