医薬品製造の清浄度(菌数)の環境確認
医薬品は基本的に体の抵抗力が落ちている患者さんに投与するケースが多いので、少しでも菌や異物等が入ると毒性を発揮しかねません。
このため、医薬品はどこでも製造できるわけではなく、環境は問題ないか確認する作業が必要になります。もちろん目に見えない品質を取り扱っているので、確認すれば、絶対大丈夫というわけではなく、リスクを極力減らすための確認作業になります。
例えば、無菌製剤を製造するときの環境の清浄度の確認作業は、シャーレに撒いた培地を使って以下の項目を測定します。
・落下菌数(シャーレの蓋を取り培地を開放状態にして測定)
・空中浮遊菌数(吸引する機械に培地を入れて測定)
・付着菌数(作業者の手指、作業服に培地をくっつけて測定)
医薬品であればグレード毎に許容される菌数の基準が決まっています。
グレードA
:充てん前の無菌作業(無菌接続,無菌原料の添加等)、無菌充てん,容器閉塞などを行うエリア
・落下菌数 <1cfu/plate
・空中浮遊菌数 <1 cfu/m3
・付着菌数 <1 cfu/5指
※cfuは"colony forming unit:コロニー形成単位"の略
グレードB
:無菌を維持できるように収納された滅菌後の容器、原料及び中間製品の搬入、無菌操作区域に直接介入する人、器具、装置などが所在する区域。グレード A の周辺環境。
・落下菌数 <5 cfu/plate
・空中浮遊菌数 <10 cfu/m3
・付着菌数 <5 cfu/5指
グレードC
:滅菌前の容器,原料及び中間製品が、環境に暴露される製造作業を行う区域。無菌操作に使用する器具,装置などを洗浄する区域等。
・落下菌数 <50 cfu/plate
・空中浮遊菌数 <100 cfu/m3
・付着菌数 <25 cfu/5指
グレードD
:一番グレードが低い区域。グレードCの周辺環境
・落下菌数 <100 cfu/plate
・空中浮遊菌数 <200 cfu/m3
・付着菌数 <50 cfu/5指
グレードA及びBの環境確認(環境モニタリング)用培地は、多重包装品を使用するか、外装を消毒か除染し、搬入しなくてはなりません。
(日本薬局方の参考情報の"品質管理試験”に記載有)