コラム11 太平洋フェリーに価値はあるのか (その1)
こんな題名付けると、太平洋フェリーさんに怒られそうだけど、決して否定的なものではなく、逆に回し者という訳でもありません。
最近行ったケア現場でのリーダークラスの「心の安全基地」を基本テーマにした演習の題名なのです。
え? なんでケアのスタッフさんたちの勉強で「太平洋フェリー」の話?と、思われるかもしれません。
その大きな理由は、ケアの世界という小さな世界の中だけでは、思考の枠が広がらないからということです。
時にはケア世界の枠から外れて思考を動かすこと。そのことによってケア現場での別角度からの「気づき」が得られるからです。
そういう意味では、テーマは別に太平洋フェリーではなくて、他の何でもいいのです。
しかしあえてフェリーを選んだのは何故か? 「船」はある意味「施設」と近いところがあるからなのです。
さて、今年の秋、用あって北海道へ何十年ぶりかに行ったのですが、当然移動手段は飛行機しか頭にありませんでした。
もちろん、大阪から車で行くならば新日本海フェリーがあるかということは頭の片隅にはありましたが、(その昔なら、トワイライトエクスプレスなんていう手段もあったでしょうが)そんなに日数も取れないので、はなから飛行機一択しかなかったのですね。
そうです。大阪から北海道行くなら飛行機が最善の方法ですよね。
しかし最近YouTubeで、フェリー旅を紹介しているものがありました。そこで知ったのが「太平洋フェリー」だったのですね。
「太平洋フェリー」は、名古屋~苫小牧をおよそ40時間かけて航行します。(途中仙台港で3時間停泊) 名古屋19時発のフェリーは、翌々日の11時に苫小牧に到着します。つまり船中2泊の、最長航路を行くフェリーなのです。
しかしながら、大阪からだと、まずは名古屋に行くという手間があります。おまけにさらに40時間です。
飛行機ならば伊丹から1時間45分。待ち時間等を含めても3時間前後。つまり半日弱で北海道に着くのです。
フェリーならば、名古屋までの移動を半日として、丸二日かかるのです。
どう考えても半日で北海道の大地を踏める飛行機の方がお得ですよね。お得という意味では、船の方が飛行機より特段に安いという訳でもありません。(選択する部屋にもよりますが。相部屋ごろ寝の山小屋風のところは安いですが)
しかし、何故かこの「太平洋フェリー」、人気なのですね。車ごとではない一般の乗船客もかなり多いとか。
そこで考えたのです。
人それぞれ価値観は違うので、飛行機、電車、船、どれが良い悪いとかというのではなく、毛頭考えになかった長時間かかるフェリー旅にどのような価値を見出すことができるのだろうか?
そのことについて皆さんと考えてみることにしたのです。
もちろん休みの日数が限られている、特に介護職の場合、のんびり船旅なんて所詮無理だと言われるでしょうが、そのことは横に置いといて、40時間フェリーに乗る価値(ケア現場でいえば、40時間どころか、かなりの日数を過ごすことになる施設入所に置きかえることもできる。)について、良い悪い両面から考えてみることにしたのでした。