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他人に嫌われるのが怖い


私は他人に嫌われる事がすごく怖い。 
怖くてたまらん。

一人でも嫌われたら、私には価値がなく一生孤独で誰からも相手にされないと思ってしまう。
途端に自信がなくなり、他の人に出会っても「こんな私と話させてしまい、申し訳ない」と、引け目を感じる。
だから、とにかく出来る限り嫌われないように生きてきた。

それが、もう疲れてきた。

嫌われないように振る舞うことも、好きでもない人と仲良くすることも、笑いたくもないのに笑うことも…全部が邪魔臭くなってきた。 
正直しんどい。

嫌われないようにするには体力と気力が必要だ。
笑いたくない時に笑うには顔面の筋力を使うし、それを持続するための気力を要する。
行きたくもないランチに行くには自分を奮起させる為の強大な精神力と鉛のように重くなった身体を動かす為の果てしない体力が必要だ。

しかも時間もお金も搾取される。

こんなコスパの悪い事はもうしたくないと純粋に考え始めた。

「他人に嫌われるのは怖い」を克服する為に、まずアドラーの「嫌われる勇気」を読んでみた。

すごく勉強になった。
特に課題の分離という考え方は、本当に知ることが出来て良かった。
でも、そんなあっさり克服出来るわけはない。

沢尻エリカのようになりたい。
「別に」の後はツーンッ。
これくらい気位の高い女になりたい。

そもそも何故、嫌われたら怖いのか?
考えてみた。

①私はおバカで何をしてもまともに出来ない。やることなすこと全部、間違い。だから、いつも誰かに決めて貰ったり、誰かの助けがないと生きていけない。

②他人から好かれたり、大事にされると「自分は必要とされている」「ここにいても良いのだ」と感じる事が出来る。そうでなければ「私には価値がない」「ここにいてはいけない」と考えてしまう。

③自分に対して敵意や嫌悪感を持っている人(持っていると感じる人)がいたら、気になって居ても立っても居られなくなる。怖くて、辛くてたまらなくなる。

②と③はリンクしている。
自分の事が嫌いそうな人がいると、「ここに存在するな」「お前に価値はない」と言われている気分になり、それが正解のように感じてしまう。そして、間違った確信をしてしまう。

①については、何故そんな風に思い出したのか?
そうか、子どもの頃だ。
いつも母が私に言っていた言葉だ。

母はいつもせわしなく怒っている、昔も今も。
自分の好きな事しかしない父。
のらりくらり暮らしている娘(私)。
超絶自然体の重度知的障害者の息子。

母以外はほぼ何もしない家族。
だから、母はいつもせわしなく働いている。
いや、母がせわしなく働いてくれるから我々は働かなくなったのか。
いや、それはただの屁理屈で結果論として我々は何もしないで幸せに生きてきた。
母のお陰で。

母はいつも誰かのために動いていた。
家族のため。
家のため。
地域のため。

特に重度の知的障害のある息子への献身さは並ではない。
本当に尊敬する。
私と弟は母から生まれたが、愛情の度合いは明らかに違う。
弟へな愛情と私へのそれとは質も種類もまるで違う。
レベルとステージが違う。
でも、それに対して不満も劣等感もない。
それが当たり前で自然だ。
私自身もしっかり愛されたと実感している。

そんな愛情深く素晴らしい母だが、とにかく気が短くて口が悪い。
「アホンダラァァァ!」は100万回くらい聞いている。
天はなかなか二物を与えない。

口が悪いので、母の素晴らしさがかすみ消されているのが事実。

私は子どもの頃から惚けていて、とにかく動きがトロかった。
持って生まれた性質ではなく、生粋の怠け者だ。
実際、学校で怖い先生の前ならキビキビ動いていた。 
許されるならば際限なく怠けて、廃人になれる人間だ。

そんな私は母から、「早く動けぇー!」「なんで、お前はそんなアホなんやー!アホンダラァ!」「ほんまに、一人では何もできへん奴やなぁ!」と怒っていた。
 
どんなに罵声を浴びても、母の前ではのらりくらり。
何故なら、母はどんなに怒ろうと私への愛情は確固たるもので、見捨てられる事はないという自信があった。
それと同時に、「最終的にはお母さんがどうにかしてくれる」という甘えが大きくあった。
だから、私は母からの罵声を甘んじていた。
心地良かった。
母は何も悪くない。
自ら強く望んだのだ。

そうすると自己暗示にかかって、私はアホで一人では何も出来ない自分を積極的に受け入れた。
そうすると楽が出来る。
その後の人生もそんな風に言われる度にヘラヘラ笑いながら受け入れていた。
でも相手は他人。
他人は私を見捨てる。
私は他人に見捨てられたら生きていけない。
だって私はアホで一人では何も出来ないから。
だから、嫌わないように。
嫌われないように生きていく事を選んでいた。

もう良いじゃないか。
もう疲れたし、気付けた。
他人に嫌われても全然生きていける事が分かった。
だから、もう良い。









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