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プログレッシブ歩き遍路・2002年 ④ 徳島
5月7日
昨夜は梅野屋軒下で気持ちよく寝ていた時にハプニング。
22時頃近所に住むというおっさんが家に泊まりにこいと声をかけてきた。
とてもありがたく、近くのおっさんの家に行く。
ゆっくりくつろいでと言われ遠慮なく畳を堪能する。
おっさんがビールを持ってきた。
その頃の俺らはお酒など全く飲めなかったしちょっときついなあと思ったが、せっかくなのでいただく事にする。
乾杯して会話をしていると、どんどんおっさんがエロチックな会話を始める。
君らどうや性欲有り余ってるやろう、羨ましいねえと言う。
そしてなぜかどんどん会話はホモチックになっていく。
「おじさんは学生の頃いじめられてねえ いじめっ子に挿入されたりしたんだよ」
と言う。
「でもねえ 案外気持ちよくてねえ オツなもんだよ」
と言う。
やばい襲われたらかなわんと思い、もう寝ますと言うと
まあちょっと待ってと言いビデオデッキをいじり始めた。
そして「白い体験」と言う80年代の裏ビデオ鑑賞会が始まった。
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この展開はめっちゃおもろいけど疲労がピークで眠くなる。
おっさんは色々解説してくれるが頭に入ってこない。
ようやく察してくれたおっさんは、それじゃあゆっくり休んでなと寝室に消えた。
安心した友人Sと俺は、とりあえず白い体験を最後まで見てから寝た。
*
翌朝6時半に起きるとおっさんは食事の用意をしてくれた。
目玉焼きにハム、きゅうりに味噌汁と炊き立てのご飯。
食べながらおっさんは朝からエロチックな会話だけをしていて、とても元気だ。
食卓の部屋には椅子に座った女の人のとても大きな油絵がある。
おっさんの娘の書いた絵らしい。
おっさんの奥さんと娘は家を出ていったらしい。
何があったのかわからないが、おっさんはエロチックで元気で何よりです。
お礼を言い納め札を渡し、出発する。
法輪寺では同じ18歳のお遍路さんに会い、野宿の良い場所など教えてもらう。
彼はもう88箇所回り終えて帰るところらしい。
香川でお金持ちに気に入られ高級自転車を買ってもらったと嬉しそうに話してくれた。
そして切幡寺を越え、途中小さなお店で晩御飯用にするめとニッキ飴を買う。
藤井寺に着き、かなり厳しいという噂の焼山寺までの遍路ころがしという長い山道に挑む。
登り始めに西田敏行のようなおっちゃんがタバコと針と糸をくれた。
豆ができたら針と糸を刺して水を抜くと良いらしい。
とても良いことを聞いたと、すでに豆だらけだった俺は水を抜きまくった。
友人Sはなんかめっちゃ軽快に山を登り歩く。
俺はなぜかめちゃくちゃキツく感じて、何度も休憩してしまう。
小学校の時は俺の方が走るの早かったのに!と悔しがる。
半分くらいきたところで今日中に焼山寺に着くのは無理やなあとなり、柳水庵というところに着いた。
物置の隅で寝させてもらっていいか聞くと笑顔で了承していただけた。
柳水庵のお母さんがタオルとポストカードをくれた。お風呂も沸かしてくれるそうで感激する。
2人入るのはちょっときつい湯船に、向かいあうのは嫌なのでお互いにお尻を付き合って入る。
さっぱりした体に山の空気が気持ちよく風呂上がりのエコーが最高にうまい。
もう今日はニッキ飴とスルメ食べて寝るかと思っていると、50代くらいの夫婦遍路さんが来た。
今日はここでテント泊するようだ。
旦那さんがサッカー選手のフィリオにそっくりなので、心の中でフィリオ夫妻と呼ぶ。
飯盒で炊いたお米とふりかけ海苔梅干しを差し入れしてくれた。
今日はあまり食べていなかったので涙が出るくらい美味しかった。
お礼に昼間買ったスルメを渡す。
就寝前のエコーと缶コーヒーを味わい、納屋の隅で寝袋に潜るとすぐに眠った。