「センチメンタルグラフティ2を好きな人間が少なくとも一人いる」と叫びたい【ゲーム感想】
最初に
センチメンタルグラフティ2は2000年に発売された恋愛アドベンチャーゲーム(ギャルゲー)です。2とあるようにセンチメンタルグラフティの続編なのですが、2では「前作の主人公が死亡しその2年後を描く」という衝撃の展開でした。ゲーム内容も粗いところが多く、ネットで大炎上し、今でもク〇ゲーとしてその名を残してます。
ですが私はこのゲームが大好きです。
「前作の主人公が死亡」という要素が一人歩きし、時々ネットのおもちゃになっている中で、
「世界にはセンチメンタルグラフティ2が好きな人間もいたんだ」
という痕跡を残したく思い、初めてnoteを書いてみました。
注意書き(悪いところ等)
この流れでいきなり注意書きをするのもどうかと思ったのですが、やはり悪い点は目立つゲームで、前提として紹介する必要があると感じたので書きます。楽しむために「悪い点に目を瞑る努力」が必要なゲームなのは確かです。
【注意①】私は前作未プレイです
なので前作をプレイした上でのショックというのを私は経験していません。あくまで2単体をプレイした感想となります。ネットは見ていたので基本的なキャラ設定程度の知識は知っていました。
【注意②】攻略難易度が高い
今作はマップ巡回式で、特定の場所に特定の時間に行く必要があり、難易度が非常に高いです。よって攻略サイトが残っていることが前提となります。作ってくれた方々に感謝。
【注意③】シナリオの出来にムラがある
シナリオの整合性が合わなかったり、ルート・シーン毎のシナリオの出来に差を感じました。
【注意④】主人公に癖がある
主人公は大学の写真部に所属しており、「大学祭での展示に向けてモデルを探す」というのが物語の始まりとなります。
そんな彼ですがデリカシーに欠ける行動をとることがあり、ヒロインの地雷を踏みぬいたり、許可なくヒロインを写真に撮ったり、といったシーンが多々あります。その事以外は真剣に写真やヒロインに向き合っているので個人的には好感を持っています。しかし、一般受けはしないですし、あるルートで擁護のしようのない行動をとっているので、ここに挙げさせていただきます。
「前作の主人公が死亡」という設定から紡がれる魅力
上記の通り難の多いゲームではあるのですが、それでもなお、私がこのゲームが好きな理由を誤解を恐れずに言うと「前作の主人公が死亡しているから」という点になります。諸悪の根源みたいに言われること多いこの設定ですが、視点を変えると様々な魅力があるということを語らせていただきます。
(あとビジュアルや音楽もちゃんとクオリティが高く、ヒロインも心を開き始めたらすっごく可愛いです)
【魅力①】クリア後の達成感
ギャルゲーをゲームとして見ると、ゲームの目的は「ヒロインと結ばれる」事になります。ヒロインは攻略対象と呼ばれ、そう意味ではヒロインはボスという役回り持っているとも言えます。
このゲームのヒロインは皆、「好きな男の子と死別した」という過去を持っていて、基本ガードはめちゃくちゃ固いです。つまり強いボスです。そんなヒロインと交流を深め、時にぶつかり、そして最後に結ばれたときには、強いボスを倒した時のような達成感を感じました。
【魅力②】ヒロインの人間性に深みがでる
※このパートは特に主観が強いです
アニメやゲームのヒロインを語るにあたり「属性」という概念があります。幼馴染、後輩、先輩、元気っ子、おしとやか、ツンデレ、クール……といった型がありそういった型を複数組み合わせてキャラを作ることで、「消費者が選びやすくなる」というメリットがあります。自分もよく参考にし、とても便利な概念ですが、人間性を単純化しているように感じる事もあります(※個人的な感想です)。
そういったギャルゲーヒロインに「好きな男の子と死別して2年後」といった設定が加わることで、ヒロインの人間性がぐっと深くなったように思えました。あるヒロインはそれでも夢を掴もうし、別のヒロインは夢から逃げて、さらに別のヒロインは夢そのものが嫌いになり、傷ついたまま動けないヒロインもいる……
今作のヒロインの一人である永倉えみるを例に挙げると、
「高校生時代(前作)は語尾りゅんをつけるオカルト大好きな子供っぽい女の子。前作主人公と死別して2年後の今作では、年相応の振る舞いをし雑誌会社で記者として働いている。バイトとして入社した2主人公の上司。嫌いなものはオカルト全般だが、所属しているのはオカルト雑誌部署」
と一言では言い表せない唯一無二のヒロインとなっています。そういった型に囚われないヒロイン達に私は魅せられました。
【魅力③】思い出が過去になる事の切なさと希望
生きていれば色々な出来事が起こります。中には自分の力ではどうにもならないことも多いです。
前作主人公と死別した今作のヒロインもそんな出来事を経験しています。ただ「ヒロイン達が不幸のどん底にいるか」っていうとそうでもないんですよね。程度に差はありますが、2年の月日で大丈夫になっている部分もそこそこあって、でもそれを認めたくなくて、でも強くなりたい……という複雑な気持ちを抱えています。
そんなヒロインに対して今作の主人公の役回りは「ヒロインに過去の男を忘れさせる」事というより「自分は大丈夫になっていることを気付かせる」事となります。ヒロインが自身も認識していない表情を主人公がカメラに収め、そうしてヒロインは自分が立ち直っていることに気付き始めます。そういった彼女たちがその事を受け止めるシーンは、今まで芯にあった悲しみとの別れの切なさ、また未来に向かって歩み始める希望があり、自分のことのようにとても感動しました。
【魅力④】オンリーワンだからナンバーワン
ぶっちゃけ、「今作が発売されてから似たようなゲームが他に出会えていない」というのが、私がここまで拗らせた最大の要因だと思います。こんなにも魅力的なゲームなのに……私自身は浮気性のダメなオタクなので「より良い新作がでたら乗り越える」というのは割とあるのですが、このゲームに関しては時が止まったままです。
オンリーワンなのでナンバーワン。QED。
ヒロイン全員が過去の男を引き摺ってる新作ギャルゲーを待ってます。
2の世界観に関しての補足説明
センチメンタルグラフティシリーズは時代的には1→2となっていますが、2の作中で「前作主人公は誰とも恋人になっていない」と明言されています。つまり1で主人公が誰かと結ばれた世界は2には繋がっていません。それが前作をプレイした方々の救いになるかは未プレイの私には分かりませんが、誤解されている方もいるように感じたので補足させていただきました。
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