"立ちんぼ"や"闇バイト"を貧困のせいにするな
先日、テレビを見ていたら世界仰天ニュースで「悪質ホストに人生を壊された娘を救う 両親の闘い」という特集を放映していました。大学生になり上京した娘がホストにハマってしまい、売掛金の支払いだかでキャバクラで働くようになり、ホストの金ヅルになってしまいます。両親は娘を全否定することなく、しかし金を渡すことなく、寄り添いながら娘を救出する、みたいな内容でした。しっかり見ていなかったので細部は違うかもしれません。
それを見ていて私は思いました。確かに悪質ホストは許せない、純粋な女性を手玉に取って金をむしり取り、人生を壊してしまうなんて。しかし同時に、この娘が100パーセントの被害者のように扱われているのは違和感があると。たしかにかわいそうではありますが、彼女も成人した一人の大人です。ホストの危険性を全く知らないわけがありませんし、たとえ一度騙されてしまったとしても、キャバクラで働いたり、家族に金の無心に行くというのは、あまりにも考え無しに行動しすぎです。
新宿の歌舞伎町では、ホストに貢ぐために売春行為をしている、いわゆる「立ちんぼ」の女性が集まる場所があり、問題になっているそうです。この「立ちんぼ」について、一部の「人権派」論者は「彼女たちは男に虐げられている被害者だ」と擁護します。また、路上売春が横行する外国の都市を引き合いに出し、「この光景は日本が貧しくなった証拠だ」と賢しらに言い放つ人もいます。本当にそうでしょうか。
まず、「立ちんぼ」は立派な売春行為ですので、それ自体犯罪です。ホストに貢ぐためだとか売掛金だとかは生活必需品でもありませんし、その時点で、彼女らが被害者でも貧困でもないことは明らかです。たしかに、ホストに手玉に取られている、という点で被害者と言えなくもないですが、そもそも歌舞伎町のホストに最初に行ったのは自らの意思でしょう。誘拐されたわけでも、檻に入れられているわけでもない。不当な売掛金をかぶせられても、消費者センターに駆け込むこともできたはずです。彼女らは最初から自由であり、自分の意思で売春をしている、単なる犯罪者です。
最近世間を騒がせる「闇バイト」もそうですが、単なる犯罪の原因を「若者の貧困」に結びつけるのはやめていただきたい。確かに、103万の壁だとか重すぎる社会保険料だとかで、若者の経済状況は決して良いものではありません。しかし、だからといって普通の人は売春や強盗に手を染めたりしません。彼らは貧困だからそうしたのではない。単純に、人として最低限のモラルやリテラシーが欠けているだけです。どちらかと言えば教育の問題でしょう。
社会保障の整っていない外国と違い、日本は働けなくても飢えて死ぬようなことまずありません。しかるべき役所にいけば、様々なセーフティネットが用意されているはずです。私たちはそのために高い税金を払っているのですから。だから、日本において「貧困だから犯罪に手を染めた」は卑怯な言い訳以外の何物でもありません。苦しい生活を送っているけれど、犯罪に手を染めていない大勢の若者に失礼です。
そういえば、巧みな話術で男性から金をだまし取ることをマニュアル化した「頂き女子」がいましたが、人権派の論法でいけば騙された男性は「被害者」ということになるのでしょうか。「いい年して若い女性と付き合おうとするキモイおじさんがいけないんでしょ笑」などと言っている自称フェミニストもいましたね。彼らの中でどう整合性をとっているのか、理解に苦しみます。