【ショートショート】手帳の魔法と決意の力

注意！
この作品はフィクションです。
実際の団体や人物は関係ありません。
この作品には画像生成AIを使用して作成した画像を使用しています。
以上を踏まえた上でお読みください。

鈴木は、ひっそりたたずむ古書店の隅で、一冊の奇妙な手帳を手に入れた。

その表紙には「唱えた願いは全て叶う」という不思議な言葉が刻まれていた。

半ば遊び心で、彼はその手帳を買い求め、帰宅の途についた。

夜、寝静まった部屋で、鈴木は翌日に成し遂げたいことを、一つひとつ手帳に書き記し、それを声に出して読み上げた。

「朝食をとる」

「定時で会社に着く」

「プレゼンを成し遂げる」

彼の声は、空っぽの部屋で虚しく響いた。

次の日、鈴木は信じがたい一日を過ごすことになる。

手帳に書き記したことが、まるで魔法のように現実のものとなったのだ。

彼はこの不思議な手帳の力を信じざるを得なくなった。

日を追うごとに、「次に何をすべきか」が自然と心に浮かび上がるようになり、自信と満足感で胸がいっぱいになった。

だが、全てが手帳通りに進む中、鈴木は自分がその手帳に依存していることを悟り始めた。

手帳に書かれていないことへの興味が薄れ、自らの意志で決断することが次第に難しくなっていった。

深夜、ふとした瞬間、鈴木は自分自身に問いかけた。

「これで本当に幸せなのか？」

手帳を握りしめ、彼は長い時間をかけて思索にふけった。

そして、彼は決意する。

もう手帳の力に頼らず、自分の足で歩んでいくことを。

翌朝、鈴木は新たなやることリストを作った。

しかし今度は、それを手帳に記すのではなく、心に刻むことにした。

「自分の力で、そして周りと共に、目標を達成する」

彼は静かに手帳を押し入れの奥にしまい込み、新しい日々の始まりに備えた。

その日から、鈴木の体からは過去にないほどの強い力を体中から感じるようになった。

決意が彼の体に影響を与え、自分の道を歩み始めさせたのだ。

その時、彼は理解した。

真の満足とは、自らの手で掴み取るものなのだと。

以上でこの物語は終幕となります。
最後まで読んで頂きありがとうございました。