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【ショートショート】割れた日常

この作品はフィクションです。
実際の団体や人物は関係ありません。

毎朝、鏡を覗くたびに、僕の顔に新しいヒビが見つかる。

それは、まるで僕の内面が滲み出しているように、静かに、しかし確実に広がっている。

仕事のストレスが少しずつ僕を蝕んでいるのは、もう否定しようがない。

それでも、会社を休むわけにはいかない。

僕はいつものようにネクタイを締め、無表情のまま家を出た。


オフィスに着くと、上司が目を細めて僕を見た。

「遅刻か。理由は?」


僕は冷静に答えた。

「顔にヒビが入ったので、病院に行ってきました」


上司は一瞬眉をひそめたが、すぐに軽く鼻で笑った。

「その程度で医者に行くなら、もっと重要なことに時間を使え。壊れた顔なんて、誰も気にしちゃいないんだから」


その言葉が心に冷たく突き刺さるのを感じたが、僕は何も言わず、ただデスクに向かった。

そこに座り、無機質なパソコンの画面を見つめる。画面にはいつもの風景が映っている。

心の中で何かが静かに壊れていくのを感じながら、僕はただ黙々と業務を片付ける。

ヒビが広がっていくのを見ないふりをしている自分に気づきながら。


最後まで読んで頂きありがとうございました。


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佐藤直哉(Naoya sato-)
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