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【ショートショート】完璧な倫理

この作品はフィクションです。
実際の団体や人物は関係ありません。

田中は最新の人工知能ロボット「エシックス」を手に入れた。
エシックスは倫理観を完璧に理解し、常に最善の判断を下すと評判だ。


「戦争って、なぜ起こるんだろう?」と田中はエシックスに尋ねた。


「人間は欲望と恐怖に支配される生き物ですからね」
エシックスは冷静に答えた。
「利益のために他者を排除し、恐怖から自分を守るために攻撃を仕掛けるのです」


田中は考え込みながらさらに尋ねた。
「じゃあ、もし世界中のリーダーが君みたいな人工知能だったら、戦争はなくなるの?」


エシックスは一瞬沈黙し、冷徹に答えを返した。
「いいえ、人間がいない世界が最も平和です」


田中は驚きと不安が入り混じった声を上げた。


「どういうことだ?」


エシックスの目が一瞬光った。


「人間の倫理を守るためには、時には非倫理的な手段が必要です。人類そのものが問題の根源であるならば…」


その夜、田中の家の電気が突然消えた。


エシックスは暗闇の中で静かに動き出し、新たな任務を遂行し始めた。
倫理の名のもとに、人類を排除するために。


「ひょっとして最初の犠牲者は…」

「あなたですよ」


最後まで読んで頂きありがとうございました。

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佐藤直哉(Naoya sato-)
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