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巡礼7日目〜Los Arcos→Sansol

2023/09/29
今日は7kmだけの移動。休息することにした。
昨日はあんなに痛かったマメも、今朝見たところかなり良くなっている。皮が硬くなっている。
ただ、歩くと足裏に違和感があるし、無理はしないでおこう。

農地わきの草木でたまに見かける蜂の巣
鳥達がさえずる道 アトリの仲間とムシクイの仲間っぽいものを見かけた。

日差しが燦々と降りそそぐ道をひたすらまっすぐ歩く。足に違和感があったので、気を紛らわすために音楽を聴きながら歩いた。感極まってしまい、泣きながら歩いた。今日はスタートが遅かったので人が少なく、前にも後ろにも誰も見えない。
今までの人生、しんどい時がたくさんあったこと。でも生きていること。ずっと歩きたかったこの道を、ついに歩いていること。この瞬間が夢ではなく、現実であること。それが、この上なく幸せであった。

遠くに見える、羊たちの群れ

遠くに、羊飼いがいた。
子どもの頃憧れの存在だった羊飼い。実際に見るのは初めてだった。
実在の羊飼いだ……と眺めていたら、Hola!と手を振ってくれた。
確か高校生の時だったと思うけれど、パウロ・コエーリョの「アルケミスト」が大好きな本だった。主人公は羊飼いの少年で、アンダルシアで羊たちを連れて移動しながら生活していた。
昔から動物や自然が大好きだった私にとって、旅をしながら羊たちと心を通わせて暮らすことができるなんて、夢のような職業であった。
けれどいつのまにか大人になって、羊飼いに憧れていた時期があったことすら忘れてしまっていた。
本物の羊飼いを見た時、当時頭の中で描いていた世界を思い出して、心が震えた。鳥肌が立った。
こんな経験をできるなんて。
こういう特別な思いを逃さずに生きていたいなぁ。どうか、この先の人生、何歳になってもこんな素敵な気持ちを感じることができる人間でいられますように。

Sansolのアルベルゲ。ゴッホの世界

今日のアルベルゲは、定員十数人の小さなところ。いつも2段ベッドの上段(若年者は大抵上段をあてがわれてしまう)でうんざりしていたので、一段ベッドで嬉しかった。
Sansolは人口100人程の小さな町。いや、本当に100人も住んでる?というくらい静まり返っている。

お店は小さな食料品店がひとつだけ。
地下室でのディナー

趣のある地下室である。オーナーの話によると、築300年は超えているそう。
たまたま一緒になった日本人の方と一緒に食べた。
メニューは、サラダとスパゲッティ・カルボナーラ。デザートはnatillaというカスタード(クレマ・カタラーナのキャラメリゼ無し版で上にシナモンがかかっている)、もちろんワインも付いている。

遥か向こうから昇ってくる月

夕食を終えて洗濯物を取り込みに3階へ行くと、満月が昇ってくるところだった。
急いで外に出る。

こんなに完璧な月は、見たことがなかった。

偽物かと思うくらい、完璧な月だった。

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