当直医を脅かす 休日診療の実態
昭和のおばちゃんが日々見聞きしたこと感じたことを昭和目線で独りごちます。
コロナがまたまた最近流行っているらしい。施設に入っているお義父さんがコロナにかかり 休日の病院へ。
検査結果を待っていると 受付の方の
「電話をされてこられたんですかね」
という問いに
「そんなん してる間ないわ。」
と男性2人が入ってきた。
年配の父親とそこそこ年配の息子ペア。
父親はちょっと興奮状態で
「耳から頭からどんだけ刺してきよんねん!!」
どうやら蜂に刺されたらしい。
当直の先生とのやり取りが
扉越しに聞こえてくる。
父親はアナフィラキシーショックを心配しているようだ。
確かに症状が出てから15分で死に至ることもあるから、こわい…。
それに対して当直の 若い男前の先生は 大変落ちついておられ なんだか話がちぐはぐしている。
「もう、ようけ襲ってきよってん。
あいつらほんまにあっちこっちさしよ ってに」
「蜂も蜜を集めていたんでしょうかね」
「そんなことしとらんかったわ。わしは 今までも蜂に刺されて何回も死かけとんねん」
「どういうことですか?」
「呼吸困難になったんや。」
「それはいつ頃ですか。」
「だいぶ前や。」
「20年ぐらい前ですか?」
「せや でもアレルギーあるから使えへん薬があるんや。」
「どんな薬かわかりますか。」
「マー坊!(そこそこの年齢の息子だがマー坊と呼ばれていた)なんやったかな。使えへん薬。あ、造影剤もあかん」
「造影剤は使いません。(せやろな )
でも○○さんは蜂に強い体質かもしれませんね」
「そんなことあるかい。4回も刺されて死にかけとんねんから」
(4回刺されても生きているから、やはりそこは強いということなんじゃないか?)
「それに 思ったほど刺されていませんよ。」
「いや、そんなはずないわ。無茶苦茶よってきよったで。」
「でも、刺されていませんよ。」
「どういうことや。」
「蜂の種類にもよりますからね。ミツバチなどはむやみにさしませんからね。」
「あしなが蜂やったら?」
「あしなが蜂だったんですか?」
「そりゃ、わからん。」
とにかく「死ぬかもしれん。早く手当てをしてくれ」と焦る父親と「これは大丈夫やな」と思う先生とのやり取りは噛み合っておらず 時々つっこみを入れながら耳をダンボにして聞いているおばChannel。
まあ、急患でくるぐらいやから みんな切羽詰まってるってことやもんな。若い先生も その相手は大変や。
しかし、次第に父親が冷静になってきた。「俺、大丈夫や」と気づきはじめたのだろう。
「いやあ、びっくりして慌ててもうて。」
と、少し恥ずかしそうな父親に
「そうですよね。慌てますよね。でもきてくださってさよかったんですよ。」とどこまでも優しい。
なんだか噛み合っていないように思った父親との会話も、父親を落ち着かせるための作戦だったのか?と思わせる終焉。
うちのお義父さんは、とりあえず入院することになり
その間も、熱中症の方など次から次とくる急患に対応する お医者さん。本当にご苦労さまです。
お医者さんって 本当に大変。だけどこんな親切なお医者さんがいてくれることに安心したおばChannelであった。