lionの呟き(2) 修学旅行が消える日
今、教育旅行が危ない。特に、公立小中学校。何か手を打たないと、修学旅行というものがなくなる、と私は思っています。以下にその根拠を述べます。
①運転手が足りない
これはもう言わずもがな。どの業界も人手がたりません。特に、大型免許保持者は物流業界内でもパイの奪い合いです。大手運送会社では、再配達を減らすようにアプリやAI受付などを導入しています。教育旅行はそうはいきませんね。自動運転バスで次の見学先へ、というのは、いったい何十年先でしょう。
②バスが(割け)ない
コロナ禍で、業界では大幅にバスを整理しました。使われないものが残っていても、維持費がかさむだけだからです。そんな中でも修学旅行に行けた年では「今日のバスは他の県から手配したんだよ」という声もありました。なるほど、都道府県の枠を越えて、バスのネットワークはあるんですね。そしてコロナ明けの去年。運転手不足、バス不足のダブルパンチです。そうなるとどうなるか。
③修学旅行は儲からない
資源は、最大限に生かされる部門に投下されます。教育旅行は、他の旅行と違い、利益率を上げにくいと言われています。さすがにトントンということはありませんが、商品として売っているツアーに比べれば差が大きいそうです。(業界経験者;談)。人の行き来が解禁された今、落ち込んだ売り上げを回復させたいと思うのが当たり前。人も、車も、時間も、そちらに割かれてしまう、というわけです。
④金額上限が変わらない
実は、修学旅行には「上限」があります。みなさんも、修学旅行の定番はここ、みたいな場所が思いつくでしょう。その場所は、たぶん、今も昔もあまり変わりません。例えば、関東圏で公立の小学校が、突然「今年は北海道に行って大自然を満喫しまーす」ということはできません。どれだけ学校が潤っていても、自治体が定める予算をオーバーしているからです。上限を設ける意図としては、保護者に過度の負担がかからないようにする、教育という側面から華美になりすぎることを防ぐ、といったところでしょうか。
「そうはいっても、いつものところには行けるんじゃない?」と思ったかもしれません。考えてください。ここ数年で、身の回りの物価がどれだけ上がったか。旅行に行く方なら、運賃が上がっていることは身をもって経験しているでしょう。これだけ値上げの動きがあったにも関わらず、自治体が定める上限金額は、おそらくどこも変わっていません。残念ながら来年は飛行機を使えない、という中学校の先生の嘆き節も耳に入ってきました。
子どもたちの経験はプライスレスです。現場の工夫ではどうにもならないところに来る前に、公教育であるからこそ、行政はしっかり資本を投入すべきだと主張します。子どもの、私たちの未来のために。