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『企業文化をデザインする』から学ぶカルチャーの解釈
日系SIerで、部門HRBPと技術系業務の二足の草鞋を履いているケーです。
本記事では『企業文化をデザインする』(以降、本書)を読み、自組織にどう生かすかという視点で、本から学んだことを残していきます。
問い
現在、私の所属する組織では「組織成果に貢献するために『カルチャー』を生かすには?」という問いに向き合っています。
昨年、「私たちらしさとは何か」の言語化を試み、一旦言語化はしたものの、それを生かせている感覚がなく、カルチャーを組織成果に繋げる全体デザインの無さを感じています。
本書から全体デザインのヒントを少しでも得たい、そんな思いを持って読んでみました。
現時点の解釈
現時点で、本書から学んだことを一言で表現すると下記になりました。
カルチャーは、個人のやる気を組織成果に繋げる組織行動デザイン(変換装置)
図にするとこんなイメージ。
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「やる気」とは、本書内にもそのまま記載されているキーワードで、個人的には「内発的動機に基づいた主体性の発揮」と解釈しています。
やる気をを組織成果に繋げるために、カルチャーという「変換装置」を使う、そういう位置づけで理解すると自分の中で腹落ち感がりました。
ちなみに、この解釈は私がそう感じたもので、本書内に上記文言や図がそのまま書いてあるわけではないです。
自組織で活かすアクション
やる気を組織成果に繋げていくために、色々なエッセンスが盛りだくさんな本書から、自組織に組み込めそうなエッセンスを3つに絞りまとめています。
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一つひとつは以降で記載しますが、まとめると、
「カルチャーを言語化し、マネジメント層が率先してカルチャーを実践しつつ、メンバーのやる気を育む環境を整える」
ことにより、組織成果へ繋げる、そんなイメージです。
①カルチャー言語化
カルチャーの定義
本書では、企業カルチャーを下記のように定義しています。
その企業が信じるもの、そして
それに基づき判断/行動することのすべて。
(この定義は、まだ私の中で咀嚼し切れていません…)
カルチャーの言語化
カルチャーの言語化について、第5章「カルチャーのデザイン要件」で下記のように記述されています。
重要なことは、企業カルチャーとは作るものではなく、基本的には「すでにあるもの」だということです。
(中略)
企業カルチャーに対する経営戦略上のアプローチは、「すでにあるもの」を可視化し、深く理解し、より広め、自社の置かれている外部環境や事業戦略に合わせて調整したり、バランスをとったり、場合によっては外科手術したりする ーーつまり「デザイン」なのです。
つまり、カルチャーは既にあり、それを言語化しつつ、メンバー内で理解しながら、事業戦略に合わせて調整すればよい、と解釈しました。
昨年言語化した「我々らしさ」をベースに、今検討している事業戦略を重ねて、どういう組織行動を必要とするのか、を言語する。それをまずはやってみようと思います。
(かつ、一度定義したら終わりではなく、問い続けることが大事。)
②組織力学
第5章「カルチャーのデザイン要件」の中で
カルチャーデザインの真髄は、組織全員を巻き込んだコミュニケーションデザインなのです。
とあり、コミュニケーションデザインを理解するには、「組織力学」の理解が必要とのこと。
組織力学とは、
組織力学 = 下から上への注目の総和が、上から下の総和を勝る
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つまり、カルチャーを狙い通りにデザインするためには、マネジメント層の日々の判断や言動を言語化したカルチャー(組織行動)と整合させることが必要。
もし、異なっていたら、組織全体がその影響を受け、悪いカルチャーに染まってしまう。
まずは、部長、GLから率先してカルチャー(組織行動)を見せていくことが大事。
ただ、部長、GLも間違うこともあるし、悩むときもある。だからこそ、対話をして軌道修正しながら一歩ずつ前に進んでいきたいと思います。
③やる気マネジメント
第8章「カルチャーをデザインするリーダーシップ」の中で、「やる気」を因数分解した例が載せられています。
あくまで下記例は、本書の著者が一般的と考える例で、実際の取り組みは社内状況に合わせたアジャストが必要。
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内発的動機付けは、私の組織の1つの大きな取り組みテーマで、上記因数分解は非常に参考になり、エドワード・デシ氏の自己決定理論も横にらみしながら、因数分解要素を議論し、施策に落としていこうと思います。
おわりに
カルチャーの捉え方がモヤモヤしていたのですが、冒頭で記載した「個人のやる気を組織成果に繋げる組織行動デザイン(変換装置)」のように思うと、すっと入ってきた感覚があり、その感覚を信じてまずは試してみようと思います。