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青ストラップの『データ・ドリブン人事戦略』

人事図書館第2回ラーニングバーで、交流を促す素敵な工夫があり、入り口で4冊から1つ好きな本を選び、同じ本の人は同じ色のストラップを着ける、というもの。その時に私が選んだ本が「データ・ドリブン人事戦略」。

会の途中で、同じ色のストラップの人で集まりましょう、となって、
「この本、読んだことある人~?」
・・・
(シーン)
「誰も読んだことないんかい笑」
ということで、折角出会った本なので読みつつアウトプットもしようと思います。本の要約はいくつかの記事でされてそうでしたので、「私の部門で実践できそうなことは何かあるか」という視点でアウトプットしていきます。

データ・ドリブン人事戦略とは


本書としては下記のように定義されています。

この爆発的なデータを賢く活用し、社内の人々のパフォーマンス(人事部門自体のパフォーマンスも含む)を向上させるだけでなく、組織全体の成功に貢献する洞察を抽出できるような人事戦略

「組織全体の成功」あたりがまさしくコトに向かう人事っぽいですね。
また、人事部門を含むとあえて記載しているところに色々な行間がありそうな匂いが…

組織と私の役割


日系SIerで部門HRBP(35名程度の部門)を担当しており、メンバーの大半はシステムエンジニアで、勤務場所は自社オフィス、顧客オフィス(常駐)、在宅がメンバーによって異なります。
所謂人事専門領域には携わっておらず、主に組織開発、働きがい向上に関する施策企画・実行を担当しています。

目標を明確に

第3章の冒頭で、

目標を明確にし、データを最大限に活用し、その活動に賛同を得るためには、データ・ドリブン人事戦略の明確なビジネスケース(事例)をつくる必要があります。
これは「より広範な会社の戦略目標にリンクする明確な人事データ戦略を策定することによって、人事が、それらの目標達成にどのように貢献することができるか」を示すことを意味します。

私の技術的な担当領域も「データ利活用」領域で、「データドリブンな経営に向けて~」的な文脈はよく聞きつつ、あるあるですが「データを使うこと」が目的化されていないか?と思ってしまうこともあります。

この人事戦略の文脈でも、注意していないと「データドリブン人事!?じゃあ、どんなデータを使う?勤怠ログ?アンケート??学習データ???」となってしまいそう。
そのためにも、組織戦略/目標起点として、戦略に貢献する人事データとは何かを問い続けることが大事。(当たり前の話なんですが、いざやろうとすると…)

その他書いてあること


どんな人事データ(活動データ、会話データ、写真とビデオデータ、センサデータ)があるか、
どんな分析テクニック(できスト分析、予測分析、音声分析、ビデオ分析、画像分析、感情分析)があるか、
それらを採用、従業員エンゲージメント、ウェルネス、L&D、パフォーマンスの領域でどう生かしていけるか、について書いてあります。(興味ある方は是非)

自組織で活用できそうか?


私の担当領域的に第8章の従業員エンゲージメントを中心にヒントを探してみました。

従業員アンケートは古い

80%以上の企業が従業員アンケートを実施していますが、私は、このアプローチは現在完全に時代遅れになっていると考えています。

上記と考えた著者の理由は、タイムリーさ不足(年一回前提)、長いアンケートが好きでないアンケート結果の有用性に対する疑問(会社に忖度)。
わかるわ…。激しく同意する。

新しい手法

まだ完全ではない、という前置きのもといくつかのツールが紹介されていました。
① 電子メールやメッセージの分析から仕事の満足度を測定
② 電子メールやメッセージを用いた感情分析
③ パルスサーベイ(経営者や人事に対する継続的なフィードバック)
※①と②はプライバシー的な懸念がある旨、実現に向けては相応の注意が必要との記載もあり。

感触

SIerという特性上、顧客環境(オフィスも端末も)で働くことがあり、顧客環境内でやり取りされているメールやメッセージをどうこうできないんですよね…。(そもそもどうこうできたとして、やっていいかという問題もある)
それだと妄想が進まないので、自社環境しているメンバーに限った前提で考えると、Teamsをコミュニケーションツールとして使っていて、M365 Copilotを契約していれば、自組織のTeam内のメッセージの傾向を把握することはできそう。
お、このやり方、案外いけるかも
組織の状態を定量スコアで把握できることはネガティブチェックにも使えそうだし、よりCopilotが進化してくれば、カルチャーに沿ったやり取りがされているか、的な測定もできるかも。

Teamsメッセージ分析を深堀

Teamsメッセージを分析しようとしたときに現実的に課題となりそうな点で思い付くは下記。

① Teamsで業務的なやり取りしかされない(分報的なものが現状ない)
② M365 Copilotの精度がどこまで上がるか(現状、イケてるときもあれば、イケてないときも結構ある)
③ メンバーが了承してくれるか

②はそんなに遠くない将来解決してくれる、もしくはメッセージを抽出して、外でゴソゴソするやり方をMS社と相談すれば技術的には何とかなる気はする。
③を了承してくれないと分析以前に組織と個人の信頼関係構築が先。
①が当組織だと一番ハードルかもしれない。Teamsはまだあくまでメールの代替手段で、オンラインコミュニケーション空間的な存在になっておらず、そこが変わっていけるか。
まだまだ実用性は怪しいものの、小さなところからでも始めていくことが大事だと思うのでまずはトライしてみようと思います。

自部門独自サーベイ

上記に記載した以外に個人的に考えていることは自部門独自サーベイ。
全社でのエンゲージメントサーベイ項目は理想の組織像ではあるものの、「自分たちが目指したい組織なのか?」に対しては、どうなんだろう、という思いがあり…。
今トライ中なのは、自部門の組織ビジョンに対してありたい/あるべき組織像を対話を通じて解像度を上げ、それを指標/KPI化すること。
対話の中で、例えば5段階評価とした場合、1と5はどんな状態なのかも目線を合わせる。そこまでできると、結果指標に対して、理想とのギャップが自分ゴトとして対話できるのではないか。
そんな仮説を持ちつつ、来年3月末を目指してまずは組織像KPIを進めています。(果たしてうまくいくか…)

終わりに


一度目に読んだときは「そういうことできたらいいよね(できないけど)」とやや斜に構えながら読んでいましたが…、
記事を書くにあたり、改めて「自組織で何か活用できるか?」と問いながら読むことで頭が刺激され、アイディアが出てきて個人的に楽しい時間になりました。
読むときの心持ちって大事ですね。

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