【一日一本】”認知症世界の歩き方”をご紹介します。
今回は、
認知症の世界の歩き方
~認知症のある人の頭の中をのぞいてみたら?~
筧 祐介 著 ライツ社
「認知症のある方が実際に見ている世界」がスケッチと旅行記の形式で、認知症のことを楽しみながら学べる一冊。
認知症の本なんですが、この本をみていると昔のRPGゲーム攻略本を思い出してしまいます。
表紙をめくると、地図があります。
これからどんな冒険の旅が始まるのか、そしてこれからどんな場所にいくのか全体像がみえてきます。
それでは、認知症世界の旅に一緒にいきましょう!
「認知症のある方が生きている世界」を実際に見られるように
認知症のある方が抱えるトラブルを理解するのは簡単なことではありません。
この本では、認知症のある方が経験する出来事を「旅のスケッチ」と「旅行記」の形式にまとめ、誰もがわかりやすく身近に感じ、楽しみながら学べるストーリーになっています。
・乗るとだんだん記憶をなくす「ミステリーバス」
・人の顔がわからなくなる「顔なし族の村」
認知症のご本人の頭の中では、この世界がどのように見えていて、何に困っているのかがわかる。つまり、「認知症のある方が生きる世界」をみなさんが体験できるストーリーになっています。
「認知症とは何か?」
認知症とは?
「認知機能が働きにくくなったために、生活上の問題が生じ、暮らしづらくなっている状態」のこと
認知機能とは?
「ある対象を目、耳、鼻、舌、肌などの感覚器官でとらえ、それが何であるかを解釈したり、思考、判断したり計算や言語化したり、記憶に留めたりする働き」のこと
例えば・・・「外出先でトイレに入るまで」
①視覚で知覚
歩いて、目で探してトイレのマークが目に入る→「マークがある」
②記憶の想起と解釈
とらえた情報と自分の記憶を照らし合わせ、解釈する→「ここが男子トイレだ」
③判断と実行
得た情報から、自分がどう行動するかを判断、実行する→「よし入ろう」
このように、日々私たちはある行動に至るまでに、こうしたステップを一瞬で行っています。
しかし、認知機能が働きにくくなると、この一連が過程がうまくいかなくなるのです。
ここでちょっとイメージしてほしいのですが、いままでうまくいってきたこと、あたりまえにできていたことが、できない、他の人から違うといわれたらどう思いますか?
私なら
「えっ?なんで?」
「どうして」
と「パニック」です。
「どうしよう」「わからない」「これからどうなる」
行く先みえない不安です。
このようなことは、認知症に限らず、他の障害においても同じようなことを経験している方も多いのではないでしょうか。
【発達障害】
「どうして私の子供だけ、1人で走り回っているのだろう」
「みんなと同じことができない」
【精神障害】
「どうして、そんなありもしないことばかりいっているのだろうか?」
「ずっと部屋に籠って怠けている」
どうして・・・
認知症とともに、幸せに生きる未来をつくれるように
認知症は「今のところ」は、医学的に治す方法はないという事実があります。
しかし、
「どうやって、認知症ともに生きるか、付き合い方や周りの環境を変えること」
はできます。
自分と自分の大切な人との生活をともに作っていく手引きとなるのがこの本です。
ここで発達障害の当事者が書いた本もご紹介させてください。
”自閉症の僕が飛び跳ねる理由”
東田直樹 著 角川文庫 をご紹介します。
人との会話が困難で、気持ちを伝えることができない自閉症者の心の声を、自閉症当事者の著者が13歳の時に記した本です。
障害を個性に変えて生きる純粋でひたむきな言葉は、当事者や家族だけでなく、海をも越えて人々に希望と感動をもたらしました。
「認知症の本の紹介なのに、なんで発達障害の本?」と思われた方がいるかもしれません。
・気候や場に応じた服や持ち物を選ぶのがむずかしい
・注文する弁当の数を間違える
・いないはずの人の声や音、気配を感じる
・仕事や公的手続きなどの説明を聞いてもわからない
・レジで複数のことを言われると混乱する
等々・・・
これは、認知症世界の歩き方の付録「生活シーン別困りごと索引」というページに書かれている、さまざまな生活場面での困りごとです。
少しでも精神障害、発達障害について触れる機会があった方なら「あっ!」と思いませんか?
人それぞれ症状は異なりますが、精神障害、発達障害でも同じような症状で生活に困ることがあります。
本人が症状で困る。
サポートする家族も、どうしてこういうことになるのか、わからない。
本人もこのどうしうようもない思いを相手にわかってもらうように説明することができない。
本当はお互いを大切に思いあっているのに、それができず、苦しい時間、日々を過ごす。
どうしてそんなことをするの・・・?
行動の「理由」を知ることが、本人も介護者もラクになる
「どうしてこんなことをするの?」
こうしたやりとりの中に、「わかってくれない」「わからない」といったすれ違いが起こります。
しかし、その背景にある理由がわかれば、対応の仕方は変わります。
すれ違いを少なくすることができれば、ご本人も周りの方も楽になる場面が増えると思います。
絵や柔らかい言葉でわかりやすく、認知症の世界を旅できる本。
みなさんもご一緒に。
あなたは認知症の世界を
旅する旅人
この物語に登場するのは
架空の主人公でも
知らないだれかでもなく
「少し先の未来のあなた」
「あなたの大切な家族」です
認知症世界の旅
はじまり、はじまり
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