【一日一本】境界性人格障害のすべて

今回は

「境界性人格障害のすべて」

ジェロルド・J・クライスマン & ハル・ストラウス 著
白川貴子 訳 VOICE

をご紹介します。

少し前に出版された本ですが、私が最初に境界性人格障害の方と出会ったときに買った本がこれでした。

今では、境界性人格障害の本を書店でみかけることも多いと思います。

ところで、みなさんは「境界性人格障害」をご存じでしたか?

「知っている!」
「知り合いが・・・」
「新しい病気?」

どうでしょう?

「境界性人格障害」
これは、精神疾患の一つです。

感情が不安定で、爆発的な怒りを発しやすく、自傷行為をおこなう、自分のリアリティに周囲を巻き込む、論理的な説得が伝わらないなど、本人はもちろん、周囲の人も傷つきへとへとになってしまうBPD(境界性人格障害= ボーダーライン) 。
 
ADHD など他の障害との合併症として存在するケースも多く、臨床家も判断するのが難しいとされてきたBPDの診断基準を、人に対する不安定で激しい態度、自傷行為の繰り返し、気分の激変などの明解な8 項目にわけて紹介しています。

さまざまな人のケースをくわしく解説しながら、BPDの症例と対処法を具体的に示しています。

医療現場でも対応が難しいとされているBPDですが、当事者や家族、医療担当者らが一緒になって根気よく取り組めば、治療は可能で、少なくとも症状は大幅に改善できることも、さまざまなケースを通じて紹介されています。
                              
●BPDの原因に深く関わる家族関係の見直しや、子ども時代に負った心の傷を癒すことが不可欠。

●パートナーや家族への関わりは、暴力的な支配、あるいは支配への依存に陥りやすく、互いに傷つきヘトヘトになってしまう。

●BPDの人を責めたり、同情したりするのは逆効果。一人では歩けないが、一人で歩けるように導いていくことで状況は改善できる。必要に応じて専門家に相談を。

●BPDの治療は、SETのコミュニケーション──サポート(支援)、エンパシー(共感)、トルース(真実)──が基本。

●つらい状況を乗り越えたBPDの人には、介護士や看護師になる人も多い。人から感謝されることはBPDの改善に大きな効果がある。

本書の「SET のコミュニケーション」サポート( 支持する) 、エンパシー( 共感する) 、トゥルース( 真実を伝える) と呼ばれる治療の基本(BPD以外にも応用できます) を始め、怒りへの対応、グループ療法の有効性、娯楽が症状改善に果たす役割など、BPDに関する知識を得るだけでなく、当事者や関係者に希望を持っていただける内容が充実しています。

もうちょっと「境界性人格障害」を知りたいなと思われた方はいますか?

今回ご紹介した本以外にも、「境界性人格障害」を教えてくれる本がありますので、ご自身でわかりやすいものを選んで、読んでみてください。

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BPDの人達が生きる世界


「境界性人格障害」
この境界(ボーダーライン)という言葉使われたのは1930年代

1980年には、アメリカの精神医学会発行のDSMーⅢに取りあげられました。

今でも、精神疾患はなぜそうなるのか解明されていない病気です。
そして社会では病気だと正しく理解されていません。

病気は自分、家族、周囲の人、生活、人生に大きく影響します。

日本では精神疾患を抱えている方が420万人いるといわれています。
病気じゃないと病院に行っていない人も含めるともっといるかもしれません。


精神障害に対する私たちの認識は体の病気へのそれに追いついていない


身体的な病気の友人を見舞いに病院を訪問することは躊躇しない人も、もしその友人が精神病院に入院しているとしたら、恐れをなすか、大いに気後れを覚えるでしょう。

境界性人格障害についても、情報不足が原因で、正確な原因や治療についての専門的知識と社会における認識とのあいだにギャップが生じているのです。

BPD(境界性人格障害)の人たちが生きる世界


孤立無援感、見捨てられるとことへの恐怖、衝動的な自己破壊行為、対人関係のもつれ、親密な人間関係がつくれないこと。
これらは、多かれ少なかれどんな人でも体験しているものです。

境界性人格障害の人々は、つねにこうした感覚を抱き続け、それも普通の人よりもはるかに強くそれを感じ続けています。

精神的、情緒的な苦痛、身体的な苦痛と同じように苦しく、時にはそれより恐ろしい苦痛に悩まされながら、なぜそのようになるのか、どうすればいいのか、どこに助けを求めればいいのかがわからずにいる人々が大勢います。

大切な人と人との相互関係が望ましい方向に向かうことこそ、境界性人格障害の人々とその周りの人たちを救済する手段になり得る、この本がその救済の旅の助けになることを願っています。


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