鉄道模型のススメ⑤

 …続き
 このシリーズを書いていて一番思ったことは、私の父はなんて優しく愛に溢れた人だったのだろうという事だ。あらためて思い返すと胸がいっぱいになる。
 父の方も息子が自分と同じ趣味を持って嬉しかったのだろう。釣りやキャンプやジャイアンツファンなど親子で一緒に楽しめたら最高の時間を過ごせる。

 さて話を戻すとポイントと駅。その存在はカタログを穴のあくまで見て知っているのだが、同時に二編成走り出さない為には絶縁箇所を設けましょうというのがある。そのヒントがカタログに書いてあるけれども文字が小さくて難しく、失敗したらショートして大変な事になるというイメージが付いていた。
 昔放送された銀河テレビ小説たけしくんハイ!で幼少期のビートたけしがレールを持っておらず、普段手で押していた機関車を友達の家でレールに乗せて通電したら煙が出て燃えたという衝撃的なエピソードが記憶に焼き付いている。使い方を間違えて5000円の機関車が燃えたら洒落にならない。そんなイメージからポイントの導入は避けていた。
 まあ所持金が0になっているので何かを買うにしてもしばらく先だ。

 暖かくなり居間からコタツが無くなりまた円形レールの季節がやってきた。しかしどんなものでも飽きは来る。ついにあれに手を出すか。

 模型屋さん、いつもの店員さんが居る。暇そうな間を狙って、いつも混んでる事はないけど…話かける。ポイントの絶縁ってどう配置したらいいんです?と。ものすごい説明をしてくれた。時間にして30分くらいの講義。とても分かりやすくて今までの霧が晴れた。どれだけすごい説明かと言うと今それを説明出来ないくらい。まあ店員さんは何度も何度もお客さんに説明してるプロだからね。それで分かったのは…

・今売っているポイントには絶縁箇所が最初から備わっている
・万が一ショートしてもパワーパックのブレーカーが検知して保護される
・リバースは要注意、ポイントから出た線路が同じポイントに戻るとプラスとマイナスが逆にぶつかってショート

 島式ホームをポイントで挟んで駅を再現したいと希望を言うとそれに適したポイントとレールとホームを用意してくれた。予算範囲内。予算=財布の残金-帰りの電車賃。
 帰りの電車の急行が停まる駅で8090系と8000系が並んだ。これが再現出来るぞと興奮する。

 家に帰るなりポイントとレールを配置、店員さんの言うとおりのレール長で島式ホームが設置出来た。ポイントの切り替えスイッチをパワーパックにくっつけてカチカチ変えてみる。EF66単機で試運転して理解する。なるほどポイントが向いてない方向には電気が流れないように出来てるんだな。

 本命の東急の8090系、8000系を駅に停める。さっき見た光景をそのまま小さくしたのがウチの床にある。線路に乗せ直さなくても交互に二種類の車両を走らせる事が出来るぞ。こんな楽しいポイント切り替えを食わず嫌いしていたのか!またポイントを通過する時の音が実にそれっぽい。小さい電車最高。父はというと台所の食卓から遠目に見ながらいいなあと言っていた。

 このように鉄道模型の楽しみ方は次から次へと追加する要素が有って終わりが無い。子供に与えるときは経済観念がある程度しっかりしてからの方がいいだろう。でないと有り金を全投資、たまったらまた全投資となりアイス1本買えない少年時代を送ったりする。私の場合は最近高いラーメンを1200円で食べた後に店出ながら中間車両の完成品買えたなとか思ってしまう。

 ⑤まで書きましたがこの続きとなると更に車両を増やしたりキット作ったりレールを複雑にしたりという展開だ。でも振り返るとここで書いた駅とポイントを買ったくらいが最も幸せだったような気がする。

 そんなわけで私と父の鉄道模型のススメでした。

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