Nゲージ前の鉄道模型~HOゲージの楽しみ方~
鉄道模型のススメ全5回の投稿をたくさんの方に読んでいただきました。ありがとうございます。
今回は一世代前の鉄ヲタ、他の誰でもない私の父がどんな鉄道模型を楽しんでいたかの記録。
HOゲージは高級品のイメージが強い。大金持ちが資産を注ぎ込んで屋敷の一角を固定式レイアウトにする。金属製の重厚感のある車両は素晴らしい。
それでは仕事に明け暮れて財産を築けた高齢者でないと模型趣味を楽しめなかったのかというとそんなことは無い。父が若かった時の鉄道模型をご紹介。貴重な車両は保存してありそれらを見つつ歴史を紐解こう!
まずHOゲージはデカい。居間のこたつをどかしたスペースなんかに線路がおさまらない。
車両は機関車の動輪を減らしたおもちゃのようなフリーランスと2軸貨車、ではなくて20m級のスケールモデルを走らせていた。一編成4~5両くらい。
・スカ色の70系電車
・湘南色の80系電車
・湘南色の153系電車
・20系寝台車
・EF58電気機関車
153系なんて当時最新鋭だ。これらの走る模型、そうとう高価と思われるがほとんどがペーパーキット。紙で出来ている。作る腕があれば大金を投資しないでもコレクションが増やせた。愛着もひとしお。
ペーパーと言ってもペーパークラフトを想像してはいけない。うまい人がサーフェーサー吹いて研いで綺麗に艶のある塗装をすると紙には見えない。
側面の紙、屋根の木、床は木、正面は真鍮、エッチングで完成してるもの。パンタグラフや台車の部品が付いてモーターを組みつければ立派な鉄道模型の完成。
床板にクハ86✕✕✕と車両の形式が手書きされている。車両そのものもすごい上に父が昔書いた字がここにあるのに不思議な感覚を憶える。これはいいぞと思って私もNゲージのキットを作り終わったら最後に細長い紙にデハ85✕✕とか書いて床板貼ってマネしていた。
EF58は重たい電気機関車でさすがにペーパーではなかった。80/1のプラモデルを改造してHOゲージ化したものだ。プラモデルの質は製品によりけりだが、いいものを選んでHOゲージ化すると化ける。今でいう鉄コレのNゲージ化みたいなことをやっていた。
ペーパー製の20系寝台車には赤い電球がテールライトとして点いていた。走り去る姿には乗ったこと無いのに旅情を感じる。
帯の色違いや改造車でごちゃごちゃになった24系より20系は編成美があって素晴らしい。
線路も保管してある。これがフレキシブルレールではなくて木製の道床付きレール。枕木の表現が付いているからてきとうな木にレール付けた手作りではなくて市販品だろう。Nゲージで一般的になったと思ってた道床付きレールのお座敷レイアウトをHOゲージでもやってたんだ。
電気の供給はまずトランスで家庭の交流100Vを交流17~18Vに変える。ちょっと前にSNSでハードオフで売ってたこれ何?で鉄道模型に使うものだよというのがバズってた。その写真のものがウチにある。
トランスから線路に直に繋げられると思っている人が多くてやきもきした。交流を直流に変える装置が別に必要。マスコンとブレーキが付いていてノッチを入れるとゆっくり加速するのは高価でトランジスタコントローラーと呼ばれている。父が使っていたのはツマミが1つでゆっくり加速とかブレーキで減速する機能がなくてツマミをひねっただけリニアに模型のスピードが変化する。
武骨なシルバーの筐体にコントロールツマミ、逆転スイッチ、電圧計、電流計と赤いパイロットランプがひとつ。レトロ感に満ちている。
トランジスタでは無さそうだからコントローラーって呼んでたかな?なんとこれが父の手作り。計器の針が動くのが電車の運転席を覗いたときのそれと一緒でとてもリアルに思える。
そしてこのトランスとコントローラー、私のNゲージでも使えたのだ。複線化をしたいけどパワーパックもうひとつ買うのははばかれたので使ってみたら問題無かった。
こういう電気系のものは使っているとほんのり暖かくなっていかにも機械というにおいがしてきて風情がある。トランスは100Vに繋いでるしヒモみたいな電源コードが怖い。火事が起きなくて良かった。
あらためてHOゲージ達を眺めると若い父が楽しんでいたのが分かる。素晴らしい鉄道模型ライフ。
もし昔に今のようなブログやnoteがあって父が制作記事書いてたら読んでみたいななんて考えたりする。
またの鉄道模型記事をお楽しみに!