坂本龍一 ✕ ダウンタウン

 坂本龍一が2001年に出版された本で「ダウンタウン理論、年下の芸人をいたぶっているだけ」と語っていた。去年くらいに掘り起こされてXやnoteでたくさんとりあげられている。なんかみんな好き勝手書いててうらやましいぞということでGeishaGirlsを当時熱心に見ていた少年が今になって書くよ。
 1994年のガキの使いやあらへんでスペシャルでGeishaGirlsのレコーディング、LIVEが放送された。ダウンタウンが坂本龍一の居るニューヨークのレコーディングスタジオへ着くと坂本からテイ・トーワと富家哲を紹介される。ここで人見知りなダウンタウンは「あれ?坂本さんと作曲するんちゃうの?」という態度を見せる。当時のテイ・トーワがディー・ライトでどんだけ人気のスーパースターなのか分かっていない。態度に出しちゃうのはどうかと見てて思ったよ。
 それで2曲作って現地でLIVEもするよということになりダウンタウンにいきなりプレッシャーがかかる。1曲目は坂本龍一が作曲のGrandma Is Still Alive。幻想的なバックトラックというかBGMに合わせて歌を入れるわけではなくダウンタウンの持ちネタの漫才を重ねる。でこれが全然合わさってない。なんなら別々に聴きたいくらい、あーこれは坂本龍一が詞を用意したり歌レコーディングするの面倒くさかったんだなというのがありあり。ひどい。当時は喜んで聴いてたけどね。
 坂本龍一的には1曲作ってやったよという体で2曲目、テイ・トーワ作曲のKick & Loud。こっちがB面扱いだったと思うけどラップの曲として完成していて楽しい。ただ坂本龍一の名前はクレジットされてない。何でだろう?もうね言ったら野暮なこと言っちゃうと坂本龍一面倒くさいからテイ・トーワにやらせた感がハンパないのよ。それでダウンタウンはラップの詞を書くことになり、いかにもダウンタウン=尼崎な単語の羅列の作品が出来上がる。これまたいかにもテイ・トーワなバックトラックにさっき書いた単語の羅列をハイテンションなラップでかますダウンタウン。自分の仕事ちゃっちゃと終わらした坂本龍一はヘラヘラ笑ってる。偉いもんだ。
 レコーディングの後は作ったばっかりの曲をひっさげて本場でLIVE。400人の前で漫才&ラップ。松ちゃんがメンバー紹介をするんだけどKOUMEとかSHUNGIKUとかてきとうな名前呼んでたのみんなの名前覚えてなかったからじゃないのかな?
 始まりは坂本龍一がガキの使いやあらへんでの観覧に来て、松ちゃんが坂本に曲を書かせて全米デビューしようと言ったのがきっかけだ。この発言をした松ちゃんや聞いた観客やスタッフのイメージでは、坂本龍一の才能と海外での知名度を利用して売れ線の歌を書いてもらってあわよくば第2の上を向いて歩こうみたいな狙いだったと思う。後のアルバムで生まれた「少年」のような曲ね。ところがこの時は環境音楽+漫才、ラップ(作ったのは弟子のテイ・トーワ)という期待の裏切りをされて乗っかるしかないダウンタウンはこのまま乗せられた。もし、皆がイメージした通り「少年」がこのときに生まれていて全米でブロモートされていたらチャートに名を残していたかもしれない。
 結局GeishaGirlsは私の様な熱心なファンの人達以外には理解が難しく、よくお笑いタレントが出す企画もののひとつレベルの認識だった。翌年浜ちゃんはWOW WAR TONIGHTを小室哲哉と作り大ヒット、さすが小室哲哉だな~あれ?そういえば去年ダウンタウン坂本龍一と何か変なのやってたよね?みたいな感じになる。
 GeishaGirlsは最初のシングルCDの後はリミックスCDそしてアルバム「炎のおっさんアワー」がダウンタウン全盛期にリリースされた。坂本龍一が作曲した名曲「少年」はこのアルバムに収録されてシングルカットもされている。作詞はヒットメーカーの売野雅勇。このアルバムの解説本が出版されていて面白かった。なんなら本読まないと意味がぜんぜん分からなかった。
 テイ・トーワはアルバムに参加していた他にも今田耕司のKOJI1200、12000の活動や今田東野板尾の深夜帯番組冒冒グラフに出演してたりした。
 最初の最初の話に戻すとダウンタウン、特に松ちゃんは基本的に自惚れが強くて相手を見下すのがデフォになってる人格なのよ。どんな偉いヤツ来ても俺は態度変えへん、これは売れたからやなくて昔からと自分で言っていた。それが1990~1991くらいの発言ね。それからもっと売れたわけだが。それで大御所と言われる域の偉い人達ってのはへーこらされるのにうんざりしていて元気のある若手~中堅が普通に接してくると親近感で嬉しくなる場合がある。でもダウンタウンの場合はそれを飛び越えて見下してきてモラル的におかしいことをつついて小馬鹿にしたりする。
 このどんなに世界的に評価を受けている人だろうが俺には関係ないという態度が坂本龍一やテイ・トーワに対して出ていたんだろうと思う。それが今回書きたかったこと。
 大人気のダウンタウンと共演したり作品を生んだりできれば経済的にも自らの人気にも莫大な利を得るだろうが、どう関わろうが見下してこられるという関係は長続きしないし後になって一言二言言う人がこうやって出てきてしまう。
 松ちゃんにこの先何があろうが弁護士を見下すだろうし裁判官を見下すだろう。いや松ちゃんはそれでこそ松ちゃんなんだから突き通してよ、なんて言うファンは残酷だね。
 楽しく共演してたと思いきやあらら残念なことに…これもお互い(坂本松本)らしいなという話でした。

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